怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

文字の大きさ
89 / 203
遅延新入生勧誘編

鷺宮=アーデルハイト=弥守③

しおりを挟む
「分かった? サッカーが出来なくとも修斗は色んな人に必要とされているのよ」

「鷺宮の言う通り、人の価値は一つだけじゃないぞ優夜」

「はっ、まぁええわ。悪いが修斗、俺達はもうあの頃とは違う。例えお前が今からサッカーに復帰しようが、もう間に合わへん。この試合でそれを証明させたる」

 私の言ったことに納得はしていないものの、城ヶ崎は修斗に対して捨て台詞を吐くとグラウンドの方へ向かって行ってしまった。
 ふん、まだまだ子供ね。

「修斗どうだった!? 私の援護射撃!」

「あ、ああ。助かったよ」

 助かったと言いつつも修斗の顔が若干引きつっているのはどうしてだろう。
 そんなに私の援護射撃に感動したのかしら。

「修斗、優夜のことは気にするな。アイツはライバル視していた修斗がサッカーを辞めて、そのまま勝ち逃げされたと思っているんだ。ああ見えて、当時修斗が怪我をさせられた時に誰よりも相手にキレていたのはアイツだからな」

「ある意味純粋なだけ、か……。試合、頑張れよ。俺も見てるからさ」

「ああ。お前にガッカリされないようにするよ」

 神上と修斗が握手を交わしていた。
 城ヶ崎はともかく、神上は修斗がサッカーを続けるのに協力的だから今後も使えるね。
 修斗は神上と一番仲が良さそうに見えるし。

 城ヶ崎に続いて神上もグラウンドに向かった後で、私はしれっと修斗に尋ねた。

「試合、見るの?」

「そのために来たからな」

 私は心の中で一回転ジャンプをした。
 どうやら修斗はここでヴァリアブルが試合をすることを誰かから既に聞いていたみたいだ。
 どこかの誰か知らないけど伝えた人ナイス!
 たぶん神上や城ヶ崎と会うつもりは無かったみたいだけど。

 修斗と二人で試合を見れると思っていたが、グラウンド横のネット裏に着くと女の子が修斗を手招きしていた。
 クラスでは見たことがないから違うクラスの女の子かな、生徒会にもいないはずだし……。

「あっ、高坂っちー…………と、どなた?」

「休学明けで昨日から学校に来た……」

「鷺宮=アーデルハイト=弥守よ」

 どなたと聞きたいのはこちらの方だけど。
 まったく、修斗は女の子とばかり知り合って、そんなことにうつつを抜ぐらいならサッカーのことをもっと考えて欲しいよ。

「桜川美月です! もしかしてハーフさん!? 宮っちって呼んでいい??」

「好きにすれば」

 凄いグイグイ来る。
 あんまりこういう子は得意じゃないけど……でもここで待っていたということは修斗に試合があることを伝えたのはこの子なのよね。
 なら仕方ない。
 ファインプレーに免じて、仲良くしといてあげる。

「ま~た高坂っちは綺麗な女の子連れて~、梨音っちが怒るよ~」

「別に何人も連れて歩いてねーよ。それに何で梨音の名前が出るんだ」

「何でって……そりゃあ、ねぇ?」

「梨音っちに前橋っちに宮っち、あと神奈月先輩とかもそうだよね。いやぁ可愛い女の子達からモテモテですなぁ」

「つーかその括くくりなら桜川も入ってんだろ」

「ええっ!? いやいやいや、私はほら、可愛いくはないから……」

「いや、側はたから見たら充分可愛いだろ」

「へぇ!?」

「サッカーやってたからか引き締まった体に、適度に焼けてる健康的な日焼け肌、ショートカットの髪型はいかにもスポーツやってますって感じで似合ってるしな」

「あわわわわ……! そ、それ以上は、ストップで!」

「はぁ? お前が話し始めたんだろ」

「いやもうホント……これ以上はお腹一杯というか…………恥ずかしすぎて気絶しそうというか……!」

 何を見せられているんだろう。
 や、別に修斗がこれでサッカーを続けるキッカケになるなら全然いちゃついていても構わないんだよ?
 でもこれは関係ないよね。
 ただいちゃついているだけよね。
 今の修斗に価値はないから他の女の子と仲良くしてようが別に気にしないけど、でもここまで除け者にされるのもちょっと、ね?

「…………修斗」

「うわビックリした! 急に腰をつつくな弥守」

「あんまり見せつけられるのも癪だったから」

「何だそれ」

 修斗はサッカーのことだけ考えていればいいのよ。
 そこに私の存在が無くても構わない。
 あの時の煌めきを修斗が取り戻してくれるのなら、私はあらゆる障害物を壊してみせる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

処理中です...