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エピローグのその先で
お泊り
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「受け取ったなら、そこ積んで。レンタカーの返却時間も迫ってるし行くよ」
「了解」
手早く一颯が荷物を積み込み、明日香は車を発進はせる。
ここから明日香の家までは、車で約15分。荷物と一颯を家の前で一度下ろし、レンタカーを返しにいこうと明日香は頭の中で段取りをを立てる。
「一旦私の家の前で下ろすから、そこで待ってて。レンタカー返してくるから」
「わかった。あー、レンタカー代いつ払えばいい?」
「後で請求する。そういえばバイトとかしてたの?貯金あるの?」
図らずも当日に買うことになった飛行機のチケットはゆみさんが払った。「私はいつも節約して格安航空にしてるのに!」という叫び声が電話口から明日香には聞こえていた。
「してた。飲食店でバイト。貯金はない、わけではないけど。卒業旅行で使いすぎた感はある」
なるほど、と明日香は納得する。明日香も4年間かけて貯めていた貯金を使って卒業旅行は思いっきり楽しんだ。
「私も今は金欠。社会人しばらくは節約生活だなー」
「俺もー」
2人はこの先の生活を想像して、ため息をついた。
「はい、到着」
15分のドライブはお互いの金欠具合の共有をしていたら飛ぶように過ぎた。
「荷物下ろしてエントランスにいて。15分ぐらいで戻る」
一颯をエントランスに残し、明日香はレンタカーの返却に向かった。
「ここが、明日香の家」
エントランスで一颯はひとり呟いた。
一颯の中の明日香の家というと、地元にあった庭にウッドデッキがついた一軒家の印象が根強く残っている。
木造で家の中に入ると木の香りがした。
家具も木製のものが多く、全体的に温かい印象の家。
対して、東京の明日香の家は鉄筋コンクリート造りのマンション。
一颯はどうしても違和感がぬぐえなかった。
エントランスの端にベンチを見つけ、一颯は腰かける。
母親への連絡の返信が着ていることに気づき、スマホを見るとそこには「合流したなら安心。あとは明日香ちゃんに任せておけばどうにかなる!あんた1人だと心配で眠れなかったけど、明日香ちゃんいるしもう寝るね」
という早めの就寝報告が入っていた。
息子への信頼のなさと滅多にあっていない明日香への信頼に苦笑いしつつ、「了解、おやすみ」と一颯は返信する。
他にも溜まっていたLINEに返信したり、スマホをいじっていると、あっという間に明日香は帰ってきた。
「部屋、3階だから。荷物1回では運べないよね。スーツケースもあるし。1瞬ここに置いとくしかないか。案内する」
明日香の後に続き、エレベーターに乗る。
明日香の家は3階の一番奥だった。
玄関にスーツケースを置き、荷物を取りに行く。
「お邪魔します」
全部運びこんでリビングに入ると、そこはなんだか懐かしい雰囲気が漂っていた。
家自体は北海道の家と全く異なる。マンションだし、広さも違う。でも、子供の頃一緒にお絵かきをしたテーブルとか、ゲームが入っていたテレビ台とか、いたるところに見覚えのあるものがあった。
「夕飯食べた?私食べてないから今からなんか作るけどいる?」
懐かしさに浸っていると、キッチンから顔を出した明日香にそう問われた。
「あー、腹は減ってるけど、コンビニで何か買ってくからいい。荷物だけ頼むわ」
エントランスで先ほどこのあたりのネカフェは検索した。
「何?ネカフェでも行くつもり?言っとくけどこの辺のネカフェ、この時間身体とほぼ満席だよ」
「嘘!」
「まぁ、ネカフェって考えてただけましか。まじ、地元とは違うんだからって地元にはそもそもネカフェないか」
「あ、1年前ぐらいにできたよ」
「あ、そうなの?まぁ、そういうことだから一颯の今夜の寝床はそこのソファ―」
「は?え、明日香今この家1人だよな?」
あきさんは地元に帰ってるようだし、明日香の父親は単身赴任中のはずだ。
「そうだけど、何?今更なんかあるとでも?ほぼ兄弟でしょ。ゆみさんも母親も知ってるから」
一颯が放心してる間に明日香はキッチンに引っ込み遅めの夕食を作り始めた。
「了解」
手早く一颯が荷物を積み込み、明日香は車を発進はせる。
ここから明日香の家までは、車で約15分。荷物と一颯を家の前で一度下ろし、レンタカーを返しにいこうと明日香は頭の中で段取りをを立てる。
「一旦私の家の前で下ろすから、そこで待ってて。レンタカー返してくるから」
「わかった。あー、レンタカー代いつ払えばいい?」
「後で請求する。そういえばバイトとかしてたの?貯金あるの?」
図らずも当日に買うことになった飛行機のチケットはゆみさんが払った。「私はいつも節約して格安航空にしてるのに!」という叫び声が電話口から明日香には聞こえていた。
「してた。飲食店でバイト。貯金はない、わけではないけど。卒業旅行で使いすぎた感はある」
なるほど、と明日香は納得する。明日香も4年間かけて貯めていた貯金を使って卒業旅行は思いっきり楽しんだ。
「私も今は金欠。社会人しばらくは節約生活だなー」
「俺もー」
2人はこの先の生活を想像して、ため息をついた。
「はい、到着」
15分のドライブはお互いの金欠具合の共有をしていたら飛ぶように過ぎた。
「荷物下ろしてエントランスにいて。15分ぐらいで戻る」
一颯をエントランスに残し、明日香はレンタカーの返却に向かった。
「ここが、明日香の家」
エントランスで一颯はひとり呟いた。
一颯の中の明日香の家というと、地元にあった庭にウッドデッキがついた一軒家の印象が根強く残っている。
木造で家の中に入ると木の香りがした。
家具も木製のものが多く、全体的に温かい印象の家。
対して、東京の明日香の家は鉄筋コンクリート造りのマンション。
一颯はどうしても違和感がぬぐえなかった。
エントランスの端にベンチを見つけ、一颯は腰かける。
母親への連絡の返信が着ていることに気づき、スマホを見るとそこには「合流したなら安心。あとは明日香ちゃんに任せておけばどうにかなる!あんた1人だと心配で眠れなかったけど、明日香ちゃんいるしもう寝るね」
という早めの就寝報告が入っていた。
息子への信頼のなさと滅多にあっていない明日香への信頼に苦笑いしつつ、「了解、おやすみ」と一颯は返信する。
他にも溜まっていたLINEに返信したり、スマホをいじっていると、あっという間に明日香は帰ってきた。
「部屋、3階だから。荷物1回では運べないよね。スーツケースもあるし。1瞬ここに置いとくしかないか。案内する」
明日香の後に続き、エレベーターに乗る。
明日香の家は3階の一番奥だった。
玄関にスーツケースを置き、荷物を取りに行く。
「お邪魔します」
全部運びこんでリビングに入ると、そこはなんだか懐かしい雰囲気が漂っていた。
家自体は北海道の家と全く異なる。マンションだし、広さも違う。でも、子供の頃一緒にお絵かきをしたテーブルとか、ゲームが入っていたテレビ台とか、いたるところに見覚えのあるものがあった。
「夕飯食べた?私食べてないから今からなんか作るけどいる?」
懐かしさに浸っていると、キッチンから顔を出した明日香にそう問われた。
「あー、腹は減ってるけど、コンビニで何か買ってくからいい。荷物だけ頼むわ」
エントランスで先ほどこのあたりのネカフェは検索した。
「何?ネカフェでも行くつもり?言っとくけどこの辺のネカフェ、この時間身体とほぼ満席だよ」
「嘘!」
「まぁ、ネカフェって考えてただけましか。まじ、地元とは違うんだからって地元にはそもそもネカフェないか」
「あ、1年前ぐらいにできたよ」
「あ、そうなの?まぁ、そういうことだから一颯の今夜の寝床はそこのソファ―」
「は?え、明日香今この家1人だよな?」
あきさんは地元に帰ってるようだし、明日香の父親は単身赴任中のはずだ。
「そうだけど、何?今更なんかあるとでも?ほぼ兄弟でしょ。ゆみさんも母親も知ってるから」
一颯が放心してる間に明日香はキッチンに引っ込み遅めの夕食を作り始めた。
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