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エピローグのその先で
先輩②
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まず、会える時間が無くなった。
学生と毎日仕事がある社会人だ。
それでも、明日香が先輩のためだけに予定を空け、いつでも会える状態を維持しているタイプだったら違ったのかもしれない。
でも、大学でもクラリネットを続け、サークルにバイトに趣味にとフルパワーで生活していた明日香にもそんなに時間はなかった。
先輩の仕事がめちゃめちゃブラックだったわけじゃない。残業だって1日1時間程度。休日出勤は月に1回。
でも、資格の勉強に毎日の仕事に、先輩は追われ、明日香に割く時間はなくなって行った。
最後はこうなるのか。と明日香は思った。
それはまるで、一颯との別れと同じ様。嫌いになる訳でも好きじゃなくなる訳でもない。
ただ、自分の生活の中で相手の優先順位が少しづつ下がっていく。
同じ轍は踏まない。そう決めて、明日香は自分から別れを切り出した。
ちゃんとピリオドを打つという行為がどれだけ大切か知っていたから。
明日香は思う。あのとき、7年前、ちゃんと恋人としてお別れをしていたら幼馴染に戻れていたのではないかと。
普通に連絡をとって、またゆみさんと母親と一颯と4人で食事をする未来があったのではないかと。
中途半端に有耶無耶にして、勝手に気まずくなって、7年という時間を無駄にしてしまったのではないかと。
だから、母親から一颯のヘルプ要請が飛んできた時、勢いに任せて明日香は引き受けた。
こんな勢いでもないと、下手すると2度と顔を合わせないかもしれないと思ったから。
「私には勿体ないぐらい、素敵な人だったよ。喧嘩別れしたわけじゃないし、未だにSNSでは繋がってる。仕事頑張ってるらしい」
一颯重ね合わせていたことを悟られないように気をつけつつ、先輩について明日香は語った。
「誰かさんと違って、色んなとこ連れてってくれたし。素敵なプレゼントもくれた」
「あれは、まだ中学生だったし……。プレゼントはあげた!」
少しむくれた振りをして一颯は言い返す。
「カチューシャとシュシュでしょ?まだあるよ。1回も使ってないけど」
最後の一言は一颯に聞こえるかどうかの小さな声でボソッと呟く。
「まだ持ってんの?!」
「え、そんな驚くこと?人から貰ったプレゼントだよ?とってるに決まってるでしょ」
実際、アクセサリーボックスの一番下の引き出しに未だに一颯からのプレゼントは眠っている。そのアクセサリーBOXも今は引越しのダンボールの中だ。
「まじか、あんな昔のもの、とっくに忘れられたと思ってた」
感慨深そうに一颯は呟く。
「ん?てか、1回も使ってないってどういうこと?確かにつけてるの見たことないけど!」
ワンテンポ遅れて、明日香の呟きに一颯が突っ込む。
「え、だってあれ、完全に小学生の時の私の趣味だもん。貰ったのは中2の冬。可愛いとは思うけどさすがに使えないよ」
「まじかぁー、好きそうだと思って選んだのに!」
一颯の叫び声が響き渡る。
それからは、お互い今だから言える暴露合戦となった。
学生と毎日仕事がある社会人だ。
それでも、明日香が先輩のためだけに予定を空け、いつでも会える状態を維持しているタイプだったら違ったのかもしれない。
でも、大学でもクラリネットを続け、サークルにバイトに趣味にとフルパワーで生活していた明日香にもそんなに時間はなかった。
先輩の仕事がめちゃめちゃブラックだったわけじゃない。残業だって1日1時間程度。休日出勤は月に1回。
でも、資格の勉強に毎日の仕事に、先輩は追われ、明日香に割く時間はなくなって行った。
最後はこうなるのか。と明日香は思った。
それはまるで、一颯との別れと同じ様。嫌いになる訳でも好きじゃなくなる訳でもない。
ただ、自分の生活の中で相手の優先順位が少しづつ下がっていく。
同じ轍は踏まない。そう決めて、明日香は自分から別れを切り出した。
ちゃんとピリオドを打つという行為がどれだけ大切か知っていたから。
明日香は思う。あのとき、7年前、ちゃんと恋人としてお別れをしていたら幼馴染に戻れていたのではないかと。
普通に連絡をとって、またゆみさんと母親と一颯と4人で食事をする未来があったのではないかと。
中途半端に有耶無耶にして、勝手に気まずくなって、7年という時間を無駄にしてしまったのではないかと。
だから、母親から一颯のヘルプ要請が飛んできた時、勢いに任せて明日香は引き受けた。
こんな勢いでもないと、下手すると2度と顔を合わせないかもしれないと思ったから。
「私には勿体ないぐらい、素敵な人だったよ。喧嘩別れしたわけじゃないし、未だにSNSでは繋がってる。仕事頑張ってるらしい」
一颯重ね合わせていたことを悟られないように気をつけつつ、先輩について明日香は語った。
「誰かさんと違って、色んなとこ連れてってくれたし。素敵なプレゼントもくれた」
「あれは、まだ中学生だったし……。プレゼントはあげた!」
少しむくれた振りをして一颯は言い返す。
「カチューシャとシュシュでしょ?まだあるよ。1回も使ってないけど」
最後の一言は一颯に聞こえるかどうかの小さな声でボソッと呟く。
「まだ持ってんの?!」
「え、そんな驚くこと?人から貰ったプレゼントだよ?とってるに決まってるでしょ」
実際、アクセサリーボックスの一番下の引き出しに未だに一颯からのプレゼントは眠っている。そのアクセサリーBOXも今は引越しのダンボールの中だ。
「まじか、あんな昔のもの、とっくに忘れられたと思ってた」
感慨深そうに一颯は呟く。
「ん?てか、1回も使ってないってどういうこと?確かにつけてるの見たことないけど!」
ワンテンポ遅れて、明日香の呟きに一颯が突っ込む。
「え、だってあれ、完全に小学生の時の私の趣味だもん。貰ったのは中2の冬。可愛いとは思うけどさすがに使えないよ」
「まじかぁー、好きそうだと思って選んだのに!」
一颯の叫び声が響き渡る。
それからは、お互い今だから言える暴露合戦となった。
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