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エピローグのその先で
初恋②
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「あの時って、小学生の?」
ぶわっと明日香の脳内にあの日の記憶が蘇る。
真っ赤に染った夕空。
真っ直ぐ目を見て「明日香がいい」と言ったまだ幼い一颯の姿。
「一颯と一緒だよ。あの時、私の隣にいるのは一颯が良かった。隣にいられるなら、正直恋人でも友達でも、幼なじみでもなんでもよかった」
あの頃と同じ、真っ直ぐ明日香を見つめる一颯に明日香は返す。
「俺も、最初はそうだった。それで付き合った。でも、今だったら、あんな放置とか、自然消滅とかには絶対させない。もっと大切にしたかった」
一颯はあの後、明日香が東京に行ったあと、後悔した。
いつまでも近くにいるからと疎かにしたことを。
幼なじみという立場に胡座を書いて、彼女を蔑ろにした。
よく言われていることだが、いなくなってから気づく大切さというものを実感した。
だからこそ、こうしてもう1度繋がった縁は切らしたくない。
「私も、もっとちゃんと話しておけば良かったと思ってた。
隣にいられるからっていう理由だけで恋人を選択するんじゃなくて、あの時はその選択肢しかなかったかもしれないけれど、中学生になって、もっと色々考えられるようになってからもズルズルそのままにしないでちゃんと話せばよかった。
そうすれば、こんなに長く時が空くことはなかったかもしれないって今でも思う」
明日香が“恋”じゃなかったって気づいたのは、先輩と付き合ったからだ。
あの時ちゃんと向き合っていえも気づいたとは限らない。でもそれは、向き合わなかった理由にはならない。
「明日香、もう1度、ちゃんと向き合いたい。いなくなってから気づくとか馬鹿みたいだけど、それでも、やっぱり俺の隣には明日香がいて欲しい。もう1度付き合ってくれませんか」
この瞳が、好きだ。と明日香は思った。
自分だけが映っている、真剣な輝きが。
でも、
「一颯のことは大切、隣にいるのがほっとするのも、居心地がいいのも変わらない。
でも、この気持ちは恋じゃない。あの頃はこれが初恋だと思っていたけど、先輩に出会って、ちゃんと恋をして気づいたんだ」
ぬるくなった紅茶を明日香は1口飲む。そこに溜まった砂糖が嫌に甘かった。
「恋ってもっと、ドキドキするものだった。
恋ってもっと苦しかった。
一颯との間にあったのは、恋じゃない。言葉で表すならば友愛とか家族愛とか多分そういうもの。
たぶん私は一颯とは幼なじみにしかなれない。時には友人で、時には兄弟のようで、時には恋人だった時もあるけど、それ全部ひっくるめて、幼なじみの一颯なんだ」
明日香はそう言って甘すぎる紅茶を口に含んだ。
ぶわっと明日香の脳内にあの日の記憶が蘇る。
真っ赤に染った夕空。
真っ直ぐ目を見て「明日香がいい」と言ったまだ幼い一颯の姿。
「一颯と一緒だよ。あの時、私の隣にいるのは一颯が良かった。隣にいられるなら、正直恋人でも友達でも、幼なじみでもなんでもよかった」
あの頃と同じ、真っ直ぐ明日香を見つめる一颯に明日香は返す。
「俺も、最初はそうだった。それで付き合った。でも、今だったら、あんな放置とか、自然消滅とかには絶対させない。もっと大切にしたかった」
一颯はあの後、明日香が東京に行ったあと、後悔した。
いつまでも近くにいるからと疎かにしたことを。
幼なじみという立場に胡座を書いて、彼女を蔑ろにした。
よく言われていることだが、いなくなってから気づく大切さというものを実感した。
だからこそ、こうしてもう1度繋がった縁は切らしたくない。
「私も、もっとちゃんと話しておけば良かったと思ってた。
隣にいられるからっていう理由だけで恋人を選択するんじゃなくて、あの時はその選択肢しかなかったかもしれないけれど、中学生になって、もっと色々考えられるようになってからもズルズルそのままにしないでちゃんと話せばよかった。
そうすれば、こんなに長く時が空くことはなかったかもしれないって今でも思う」
明日香が“恋”じゃなかったって気づいたのは、先輩と付き合ったからだ。
あの時ちゃんと向き合っていえも気づいたとは限らない。でもそれは、向き合わなかった理由にはならない。
「明日香、もう1度、ちゃんと向き合いたい。いなくなってから気づくとか馬鹿みたいだけど、それでも、やっぱり俺の隣には明日香がいて欲しい。もう1度付き合ってくれませんか」
この瞳が、好きだ。と明日香は思った。
自分だけが映っている、真剣な輝きが。
でも、
「一颯のことは大切、隣にいるのがほっとするのも、居心地がいいのも変わらない。
でも、この気持ちは恋じゃない。あの頃はこれが初恋だと思っていたけど、先輩に出会って、ちゃんと恋をして気づいたんだ」
ぬるくなった紅茶を明日香は1口飲む。そこに溜まった砂糖が嫌に甘かった。
「恋ってもっと、ドキドキするものだった。
恋ってもっと苦しかった。
一颯との間にあったのは、恋じゃない。言葉で表すならば友愛とか家族愛とか多分そういうもの。
たぶん私は一颯とは幼なじみにしかなれない。時には友人で、時には兄弟のようで、時には恋人だった時もあるけど、それ全部ひっくるめて、幼なじみの一颯なんだ」
明日香はそう言って甘すぎる紅茶を口に含んだ。
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