悪役令嬢のお父様

春巻 名取

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「ブ、ブラダマン、これは子供の喧嘩じゃろ?」

「ほぅ、それが遺言でよろしいと?」

宥める国王と怒りのオーラが立ち昇るブラダマン。
心配で付いてきたマリエッタにそんなマリエッタが心配で付いてきたナタリア。
宰相は我関せずを決め込んだのか下手くそな口笛を吹いて視線を逸らしている。
そんな中、件の王子は…

「マリエッタ!貴様達一族郎党は永久追放だと言っただろう!更に国王に叛逆するとは何事だ!」

「………。」

マリエッタは答えない、いや、答えれない。寧ろ何故こんな熱した油に火を叩き込む様な真似が出来るのか。
信じられない珍獣を見る眼差しで王子を見ていた。

「何とか言ったらどうだ!…こうなったら貴様ら一族郎党は追放ではなく処刑だ!処刑にしてやる!」

そしてとうとう、王子は言ってしまった。

シン、と王座に静けさが訪れる。
冷たく、重い空気がブラダマンを中心に発生し、皆一様に黙ってしまった。
それに気付かずに仔犬の如く吠える王子は何処か滑稽で、痛々しいものだった。






















頭を抱える国王と宰相。
あちゃー、と項垂れるマリエッタ、面白い玩具を見つけた表情のナタリア。
皆様々な表情をしていた。

「早くこの叛逆者供を捕らえろ!」

激昂する王子に周りの兵士はどうするべきか互いに視線を合わせる。
その時である。

「…今、何と言った?」

ズン、と場の空気が重くなる。
兵士はガタガタと身に付けた鎧を鳴らし、国王は諦めた様に天を仰ぐ。
宰相は気絶し、マリエッタは周りの様子に戸惑っている。
ナタリアは頰を上気させて熱っぽい視線をブラダマンに送っていた。
そんな空気の中、王子は過呼吸になりながらも腰の剣を抜き放つ。
それは防衛本能が働き、生き残る為に取った行動であった。
しかしこの場では最も愚策であった。

次の瞬間、王子は宙を舞った。
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