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第1章
16 魔力訓練 ラオス編 *R18かも
しおりを挟む警備隊隊長のウルガが隊員を前に今日の訓練内容を説明していく。
「今日の訓練は自分の魔力の限界を知ることである」
「倒れる手前まで、どの技をどのくらい使えるかなどを検証しながら組み手をすること!」
「ほんとに倒れる前に自分で治療室に行って魔力回復してもらうように!」
「では、訓練開始」
そんな号令のもと、警備隊の隊員は訓練を開始した。
今日はイラザは魔道具の研究室へ行っていて、シャウはまだ見学期間中のため、ラオス一人が隊員と交ざり訓練を始めた。
ラオスは一人のベテラン隊員と組み手をしている。
見ていると、ラオスの方が俊敏さがあってよく動き回り多彩な攻撃をしかけていた。
けれど、時間がたつにつれ無駄に動かされて体力と魔力を消耗させられているのがわかった。
より速く、より力強く動くために魔道具をガンガン使っていたラオスは、思っていたよりも早く力尽きた。
相手をしているベテラン隊員はまだまだ余裕の表情を浮かべていた。
これはラオスが魔道具の使い方が下手なのか、相手がラオスに魔道具を使わせることに長けていたのか、どちらだろう?
ついにラオスが地面に大の字で寝転んだ。
「っだー、疲れた。もう動けねー」
「ラオス! こんなところで寝転んだら、他の人の邪魔になるよ」
「いや、無理だわー。シャウ、手を貸してくれー」
わざと情けない声を出しているのは分かっていたけれど、訓練の邪魔になるから手を貸すことにした。
「もう、ほら、治療室へ行くよ」
「おー、わりーな」
手を引っ張って立たせると、ラオスはそのまま僕にもたれかかってきた。
「ちょっと重いんだけど?」
「まあ、いいじゃんか」
治療室へ向かって歩いていく間、どんどんラオスの体重が僕にかかってくる。
ラオスはふざけているだけだと思っていたけれど、足元が危なっかしかった。
「ラオス、大丈夫?」
「うーん、あんまり大丈夫じゃないかもな」
そういうラオスの顔は少し血の気が引いて青ざめているようだった。
治療室へ辿り着く前に気絶するかもしれない。
すでに治療室へは沢山の隊員が向かっていたから、倒れても手が足りなくて誰も来れない可能性があった。
それなら、最近練習し始めた魔力回復をラオス相手に試してみようと思った。
ラオスだったら時間がかかってもそんなに怒ったりしないだろうという計算もある。
「ラオス、良かったら僕が魔力回復しようか?」
「えっ」
「今、結構辛いでしょう?」
「……いいのか?」
ラオスは戸惑いつつも熱い眼差しで確認してきた。
「いいよ」
「じゃあ、あの部屋に入ろう」
突然生き生きとして、近くの空いている仮眠室を示した。
歩くのが辛そうなラオスは、横になれる場所の方が魔力回復をするのが楽かと思い、ラオスを仮眠室に運ぶ。
それにしてもなにがそんなに楽しいのか、顔色は悪いままなのにラオスはご機嫌だった。
(そんなに僕の魔力回復をみるのが面白いのかな?)
確かにまだ誰にも見せたことはないけれど、他の治療士の人達と同じなんだから面白くもなんともないと思うんだけどな。
仮眠室の扉を開け、部屋の端にあるベッドに座らせる。
「準備するから待ってて、辛かったら寝てもいいから」
「ああ、…シャウ、使用中の札かけて、鍵かけといた方が良くないか?」
「ん? まあ、そうだね」
シャウは部屋を一度出て使用中の札にすると、扉をしめ鍵を閉めた。
ラオスは仮眠用ベッドに座ったまま、じいっとシャウの行動を見つめていた。
シャウは鞄の中の魔道具を探しながら、座る椅子を探し、仮眠室のためベッドしかない事に気づいてラオスの隣に座った。
そしてラオスに魔力回復が出来るようになったことを伝えようとラオスを見たときには、口を塞がれていた。
「んぅ?」
ラオスはシャウの後頭部を手で引き寄せ、もう片方の手でシャウの体を引き寄せた。
そして、シャウの空いていた口の中に舌を差し入れ、絡め始めた。
シャウは突然のことに、為すがまま口の中を蹂躙された。
「………っは……あ…」
口の中を蠢く舌にゾクゾクしたものを感じて体が震える。
(ちがう、ちがう、待って、待って…)
口移しの魔力回復じゃない。ちゃんと普通の魔力回復が出来るのに。
舌を吸われ、熱い舌がシャウの上顎を擽り、また舌を絡められる。
どんどん頭がぼやけていく。
「まっ…て…」
出たシャウの声は掠れていた。
「シャウ、早く」
ラオスが熱い息をシャウの耳に吹きかけながら、ぞくりとする低い声で語りかける。
「…っえ」
「魔力を回復してくれるんだろう?」
ラオスはやっぱり口移しの魔力回復だと思っていたみたいだ。
「っや…ちが」
「シャウ、辛いんだけど?」
切羽詰まった声で、まだこのままなのかと目で訴えてくる。
ラオスは終わるまで離してくれる気はないらしい。
「…………っ、わかった」
シャウは覚悟を決めて、近づいてきたラオスの唇を受け入れた。
そして舌を絡めると魔力を渡していく。
(ううっ、なんでこんなことになっちゃったんだろう)
動き回る舌に上手く魔力が渡せなくてもどかしくなる。
(何でこんなに舌が動き回るの!)
いつまで経っても終わらないし、なんかよくわからない感覚がして背中がゾクゾクするから、魔力回復に集中できなかった。
「…んん……」
「…はぁー」
ラオスが一度唇を離し、シャウの唇にちゅっとリップ音をさせて触れた。
そして、嬉しそうな顔をして、また口づけを深くしていく。
鳴ったリップ音にこれがキスという行為だと思い出した。
僕、今、ラオスとキスしてるんだ。
その事実に愕然とした。
(僕が勘違いしてたのが悪いんだけど……、でも、でも、キスするなんて思わなかった)
シャウの体が羞恥から体温が上がり熱っぽくなる。
全身真っ赤になっているんじゃないかとシャウは思った。
「…っあ……ぁ……」
ラオスの執拗な舌に翻弄され、シャウは息があがっていく。
「……ふ…あっ」
キスされながら、ラオスがシャウの服をめくり上げたのを本能的に危機を感じ、ラオスを渾身の力で突き飛ばした。
「っ、もう大丈夫だろ!」
「ああ、助かった、また、枯渇したらよろしく」
突き飛ばされて目を見開いた後、嬉しげににかっと笑ったラオスを睨みつける。
「もう絶対しないから!」
僕は恥ずかしくて、ラオスに言い捨てると、走って逃げた。
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