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ふしだらな狼と、二匹のネズミ
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レネの体力と気力が回復するのを、涎を垂らした狼が今か今かと覗き込んでくる。
レネは呼吸を整えながら、このままずっと体力も気力も回復しなければ良いのに、と心から思った。
これまでの長い人生で経験こそないが、森でクマに行き会って死んだ振りをする人間の気持ちが分かった気がした。彼の可愛い狼はクマではないが、今この時に限り、獲物を前にして腹をすかせた獰猛なクマとほとんど変わらないように見えた。
レネが元気になったと見るや、交わるための態勢を変え、またあの嵐のような快楽の渦に呑まれ好き放題貪られてしまうのだ。想像した途端、思わずごくりと喉が鳴った。
レネは何も言わずユシウスに腕枕をしてやりながら、せめてもの慰めを得ようとお気に入りの獣耳に鼻先を押し当てる。あんなにも汗をかいたというのに、ユシウスの尖った耳からは優しいお日様の匂いがした。
いい匂いに心が和んだ瞬間、ハッと脳裏にあることがひらめいた。
「……そういえば夕食の時、この問題について話し合おうとしたはずでは」
「レネ様、そんなの気にしないで休んでください。レネ様と俺のことに、ほかの奴が口出しする方が間違いなんです」
「ユシウス、今日という今日は誤魔化されませんよ! わたくしはっ」
「はい、レネ様の好きな毛皮をどうぞ。今日お日様に当てて櫛を入れたから、いつもよりふかふかですよ。ほら触って?」
「そんなことでこのわたくしを懐柔しようなどとっ」
「ほらほら、いつもみたいにギュってしていいんですよ」
「……ん、む」
ユシウスが「いつもよりふかふか」の尻尾をレネのお腹にぽふんとのせると、レネは怒り顔のまま、両手で鷲掴んだそれをむぎゅ、と握った。
毛皮職人が品質を確かめるように真剣に、なでなでし、ぎゅ、ぎゅと握る。
「……ふん、冬毛に比べたら毛量が大したことないではありませんか。この程度のふかふかでわたくしをとりなそうなど、呆れたものです。これだから年端もいかない者の浅知恵は」
「次の冬はもっとふかふかになってレネ様に満足してもらえるように頑張りますね」
「よく食べてもっと肥えなさい。そうすればきっと最高品質のふかふかになれるはずです」
「レネ様、俺はもう子供じゃないんですからこれ以上は肥えないですよ」
レネは小馬鹿にしたように鼻で笑うと、ユシウスの鼻の頭を指で弾いた。
「今でもこうしてわたくしに甘えてばかりの仔犬の分際で、生意気な」
「ごめんなさい。次からもっとお行儀よくしますから、許して」
次から?
わずかに変化した声音を聞き取ったレネが「ん?」と身構えた時には、ユシウスは腕枕を抜け出し、その手が裸の首筋、胸、わき腹、腰骨を辿り始めていた。
熾火のような快感の火種に息を吹きかけるように、じわじわとくすぐったい触れ方をしていく。
「……あ、ユシウス……まだ」
「レネ様はこの世で一番強い魔法使いだから、大丈夫。もう元気になりましたよね?」
「……馬鹿、まだ、だめだと、言って、ッ……」
脚の間に伸ばされた手が、しんなりしたそれをあやすように包み込んだかと思うと、親指の腹で先端をぐりぐりと擦った。
温かい手に包まれて気持ちよく安心していたレネの腰がビクッと痙攣した。
「レネ様、舐めてもいいですか」
ビクビクとのたうつレネが歯を食いしばってかぶりを振った。ユシウスは宥めるように、粟立ったレネの腕をさすり、のけ反った首に甘噛みをして吸った。
「……は、う」
「駄目ですか? どうしても? んー、どうしようかな……やっぱりしますね」
息を呑んだレネに笑いかけ、ユシウスははむはむと喉を噛んだ。
「大丈夫。俺がレネ様の嫌がることなんてするはずないの知ってるでしょう? もっと気持ちいいのをたくさんあげます」
それから四度、ユシウスは身体の向きを変え、レネを抱き起して膝に座らせたたり後ろから抱え込んだり、横向きにして後ろから片足を抱えて突き入れたりと、いつものように傍若無人に獣じみた交わりを繰り返した。
レネの息が絶え絶えになり、ユシウスとの会話も意味をなさなくなった。
ぐったりと恨みがましくユシウスを睨むと、覆いかぶさったユシウスは同情を引くみたいなか細い仔犬の声でキュウンと鳴き、甘えるように耳たぶを舐めた。そそり立ったものはまだレネの中でドクドクと脈打っている。
「……はッ、……レネ様の一番奥に入ってもいい?」
「……ん、っ、……? あ、……な、に?」
焦点の合わない目ではくはくと唇を喘がせるレネに、ユシウスが獰猛な笑みを浮かべる。
丸く柔らかい尻を持ち上げられ、背中が宙に浮いたことで目を見開いたレネが後ろ手にシーツを握りしめた。
何が来るのか、霞がかった頭が予感してごくりと喉を鳴らす。
次の瞬間——
重たくて熱い塊が肉の壁を擦りあげて奥の奥へと突き入れられた。
ひゅ、と喉から息が漏れ、光が明滅して視界が白く染まる。
「ああっ……」
断末魔の悲鳴に近い喘ぎがユシウスの血をたぎらせた。ユシウスの中にある獣の性が、狩りの興奮を呼び覚まされたように総毛立つ。
押さえつけられてなすすべなく喘ぐ、白くて綺麗な、柔らかい極上の獲物。愛しい愛しい。大好きなひと。
ふいに涙が出そうになった。
——ああ、もうこのまま、いっそのこと。
薄っすらと保っていた自我が消えかかったその時、レネの唇から音が零れた。
「ユシウス……かわいい、わたくしの、おおかみ」
汗に濡れた顔で見上げ、おいでというように両腕を伸ばしてくる。
「レネ、さ……くっ……」
熱いものを吐き出したあと、ぜえぜえと息を継ぐユシウスを抱き寄せて、レネが獣耳に鼻をくっつけた。
「レネ様……」
「なんです」
「もう少しだけ、まだ中にいてもいい……?」
レネは身体の奥に残った最後の呼吸を吐き出した。
「お願い。いい子でじっとしますから」
クウン、と鼻にかかった声で鳴く。レネはぐったりと目を瞑った。汗でべっとり濡れた額に銀の髪が張り付いている。
「……少しでもわたくしの中で動いたら、毛皮を剥いでひざ掛けにしてやりますからね」
そう釘をさすと、かくんとレネの首から力が抜けた。手足がくたりとし、人形のようにシーツに沈んでそれきり、動かなくなった。
❖
レネの瞼がゆっくり持ち上がると、ユシウスは濡らした暖かい布でレネの身体を拭いていた手を止め、頬にちゅっと口付けた。頬に張り付いた髪をかき上げ、耳にかけてやる。レネはぼんやりと、窓から差す月明かりを見ていた。
「まだ夜明け前です。寝ていてください、レネ様。痛いところはありませんか?」
「ユシウス……」
「はい、レネ様。お水ですか? 苺水がありますよ」
「やっぱり、わたくし達のこれは……少しおかしいのでは? 貴方のような獣人には、ふつうは発情期があるのでしょう? どうしてこうも毎日毎日……」
「レネ様は俺とするのがお嫌いですか? 気持ち良くありませんか?」
レネが気持良くないはずがない……わかりきったことでも、レネの口から聞きたくて問いかけた。
案の定、レネはもごもごと唇を動かし、不機嫌に返した。
「悪いとは言いません……わたくしが言いたいのは、頻度と、量の問題です。つまり……わたくしは何もしなくても、こうやって貴方の尻尾を抱っこしてくっついて眠れたら、それで満足な夜もあるわけで……その、こういうことをしなくたって、貴方の尻尾があれば、それで……」
言いながら、レネのほっそりした手がユシウスの長い尾を掴んですり、と頬を寄せた。
「レネ様、その言い方だと俺じゃなくて尻尾の方がお好きみたいに聞こえて、悲しいです」
「ふん、ふかふか尻尾なら誰のものでもいいというわけではありません」
「それって……やっぱり俺が良いってことですよね? レネ様」
「……だからそう言っているでしょう。わたくしに何度も同じことを言わせないで」
ユシウスの胸の奥がぎゅう、と疼き、喉からクウン、と甘ったるい鳴き声が漏れてしまう。
「結局、俺はレネ様の毛布になれましたね」
「ん? ああ、まだあの時言ったことを根に持っているのですか? あんなの、冗談に決まっているでしょう」
「いや、あの時は本気で鋏で毛皮を剥いで殺されるかと思ったんですけど……」
「馬鹿な子。わたくしがそんな真似するものですか……せっかく一目見て気に入って連れ帰ってきたというのに」
今、ものすごく嬉しいことを言われた気がする。ユシウスは顔を赤らめて内心身悶えした。
レネはどうでもよさそうに欠伸をして、ユシウスの尻尾の先端を枕にして目を擦った。
「……あのネズミ、明日までにどうするか決めないと。まったく……わたくしがせっかく……貴方のために」
まだ不満そうだ。
それだけ、ユシウスを喜ばせようとしてくれていたのだろう。
「ユシウス、貴方憎たらしくないのですか? 自分をいたぶった人間が憎いでしょう? 昔の憂さを晴らしたいと思わないのですか?」
レネが質問攻めにするのは珍しい。ユシウスはうーん、と唸った。レネのように頭がよくないから、考えていることがまとまらない。言葉にして説明するのもややこしい。もともと獣人は、複雑なことは考えないし、人間のように深く悩んだりもしないのだ。
けれどレネが知りたいなら、頑張って考えよう。
「俺はなんていうか……今がとても幸せで、大好きなレネ様が傍に置いてくれて、毎日嬉しくて、それ以外のことはどうでもいいというか」
想いを言葉にするのは、真っ暗闇の中、落ちている小石を拾うみたいだ。小石は闇の中で白く光っている。導かれるようにして拾い上げた綺麗な石にはどれも、レネの名前が書かれているのだ。
「わたくしの話ではなくて、貴方がどう思うか聞いているのですよ? 人間は恨みを晴らすと心が晴れるものです。それは悪いことではなく、ごくありふれた自然な営みです。魔法使いは特に、相手からされたことは一生忘れません。必ず報復し、どこまでも追い詰めます」
「……レネ様にずっと恨まれるの、生きた心地がしないでしょうね」
「そういう念が強ければ強いほど、強力な魔法使いの素質があるのですよ。執着心が薄ければ、いくら魔法を学んでも大成しない。生まれつき欲深くなくては、なれてもせいぜい二流でしょう」
ふふん、とレネが得意気に鼻を鳴らした。次の瞬間、くしゅんっ、とくしゃみをする。
「寒い! わたくしの毛布がなくなっていますよ、ユシウス!」
「はいはい、レネ様の毛布をどうぞ」
慌てて自分の尻尾を身体の前に持ってきて、レネのお腹の上に乗せた。レネは満足気にしっぽの先を引っ掴んで頬擦りした。
白い裸体……さんざんユシウスに貪られた後の艶めかしい身体で尻尾に抱き着くレネにまたもや劣情がせり上がりそうになる。さすがにこれ以上はマズいとわかっているので、別のことに意識を逸らした。
(それが本当なら、レネ様は自分のことを「欲深くて執念深い」って認めたことになるけど……いいのか)
「とにかく、わたくしは害を受けたら報復し、必ずや相手を痛い目に合わせます」
「相手がレネ様に謝るまで?」
「……謝罪の有無など、わたくしに関係ありますか? わたくしの気が済むまでです。当然でしょう」
「……」
なるほど。ユシウスはまた一つレネの性格について知見を得た気がした。
「俺は……というか獣人は人より獣に近いから、あまり復讐っていう考え方がないんだと思います。狩りをする時、狩られた側がいちいち相手を恨んだりしないし、強い者が弱い者を食べるのは自然なことだから。やられた時にやり返せなかったら、もうそこで終わりなんです」
森にすむ動物も、子が食われても親は復讐などしない。狩りも縄張り争いも、その時勝てなければ終わりだ。命を落としてしまうのだから。「その先」なんてないからこそ、獣人は人間のように恨みを引き摺らないと言われている。
そうは言っても、獣人には人間の血も流れているので例外はあるが。
「今まで考えたこともなかったな……レネ様と話してて改めて気付きました」
ユシウスはレネに微笑みかけた。
「だからレネ様があいつらを捕まえて来てくれて嬉しかったです。レネ様が俺のためにしてくれたんだって思うと、身体の奥がポカポカしてくるんです」
レネが手を伸ばし、ユシウスの鳩尾の辺りを触った。
「ここがですか?」
「はい」と答えて、レネの手を上から握った。
「だから機嫌を直してくださいね。俺、とっても嬉しかった。レネ様、俺のためにありがとう」
「わたくしは……」
レネが眉根を寄せた。
「わたくしは、貴方が嫌な目に合ったら酷く気分が悪くなります。それがたとえ、過ぎた過去のことであっても。いえ、過去の方が厄介です。今はわたくしが守ってあげられるけれど、過ぎたことはどうもしてあげられないではありませんか」
「レネ様……?」
「貴方が一人ぼっちで寂しい思いをした時間が、なかったことになるわけでは、ないではないですか!」
「レネ様」
「わたくしは肝心な時にそこにいなくて、貴方をずっとつらい目に」
「レネ様ってば!」
レネを見ると、堪えるように歯を食いしばっている。困惑と悲しさが押し寄せてきて、ユシウスはレネに擦り寄って抱きしめた。
「どうしちゃったんですか? レネ様と会う前の時間なんて俺にはどうだっていいよ。今すごく幸せだから、それで十分です」
「……馬鹿な子。わたくしと違って、欲もないし、純粋で濁りのない雪解け水のような魂なんですから……貴方には魔法使いの才能なんてこれっぽっちもありませんね……ふん」
レネのことに関しては欲まみれだと思うのだが……どうやらレネにとっては、ユシウスは純粋に見えるらしい。
以前に言っていた「魂の形が見える」という言葉を思い出して、ユシウスは照れくさくなった。レネに気に入ってもらえる魂でよかった。もし生まれ変わりがあるなら、来世も同じ魂で生まれて、またレネに拾ってもらえないだろうか。
「俺なんかよりレネ様の方が魂も外見も全部きれいで、かっこいいです。俺に魔法使いの才能はないから、虐められないようにレネ様が守ってくれますか?」
ふん、とレネが顎をそびやかした。
「当然です。わたくしのものに手を出す不届きな輩は誰であろうが許しません。ええ、そうですとも……今度こそ貴方に辛い思いはさせません。怖い思いをしないように、わたくしがいつも一緒にいてあげますからね」
ユシウスは嬉しくなって、レネを強く抱いた。お互い裸のままだ。胸の中にすっぽり収まったレネは、獣体温が心地よいのか、あるいは極度の疲労のせいか、すぐにとろとろと眠そうにし始めた。
「レネ様、もう眠ってください。明日はレオニールたちと馬車で国を出るから今のうちに寝ておかないと」
「ユシウス、貴方は? 寝ないのですか?」
「俺は寝ません。ここは俺の初めての家だから、最後の晩はレネ様を抱っこして、ずっと起きてようって決めてたんです。レネ様とのいろんな思い出を一個一個思い出しながら、この家に『ありがとう』を言いたくて。だから起きてます」
眠たそうにしていたレネが呆れ顔をした。
「家なんて、ただの入れ物です……それなのにお礼を言うなんて、変な子ですね」
「だって、寂しくて。レネ様が俺なんかを置いてくれた……初めての家なんですよ」
ユシウスがすん、と鼻をすする音を聞いて、レネはさらに眉を顰めた。
腕を掛け布団の中から上に伸ばした拍子に、あらぬ場所が疼いたのか、ん、と色めいた声を出す。
「馬鹿ですね……大事なのは入れ物の中身です。わたくしと貴方がいれば、どこに行こうが『家』が作れます。家族が一緒にいれば、そこが家なのですから」
ユシウスは目を見開いてレネを凝視した。
——「家族」。レネがユシウスの「番」という言葉に弱いのと同様、ユシウスはレネに「家族」と呼んでもらうたびに、鼻の奥がツンとして泣きたくなる。嬉しい。幸せ。大好き。ずっと傍にいたい。
「分かりましたか?」
こくこくと頷く。レネはよしよし、とユシウスの顎の下を撫で、鼻の頭に自分の鼻をくっつけた。
「もう泣きませんね? わたくしの眠りの邪魔です。さっさと寝ておしまい」
泣いてはいなかったけれど、今は泣きたいくらい嬉しいから否定しなかった。
「はい、レネ様」
「おやすみなさい、ユシウス。良い夢を」
汗をかいてしっとりとしたレネの身体が冷えてしまわぬよう、しっかりと抱きしめる。
「おやすみなさい、レネ様。また明日」
明日も、その次の日も、ずっとずっと先のいつかの日も。きっとレネより寿命が短い自分が、レネの歩みについていけなくなっったとしても。
白い骨になって、土に還って、レネのそばでずっと待っている。
また会える時が来るまで、いつまでだって待っている。
けれど今は、ひとまず。
明日のレネに会うために。ユシウスは目を閉じた。夢でもレネに会える気がして、眠りにおちる瞬間までも幸せだった。
レネは呼吸を整えながら、このままずっと体力も気力も回復しなければ良いのに、と心から思った。
これまでの長い人生で経験こそないが、森でクマに行き会って死んだ振りをする人間の気持ちが分かった気がした。彼の可愛い狼はクマではないが、今この時に限り、獲物を前にして腹をすかせた獰猛なクマとほとんど変わらないように見えた。
レネが元気になったと見るや、交わるための態勢を変え、またあの嵐のような快楽の渦に呑まれ好き放題貪られてしまうのだ。想像した途端、思わずごくりと喉が鳴った。
レネは何も言わずユシウスに腕枕をしてやりながら、せめてもの慰めを得ようとお気に入りの獣耳に鼻先を押し当てる。あんなにも汗をかいたというのに、ユシウスの尖った耳からは優しいお日様の匂いがした。
いい匂いに心が和んだ瞬間、ハッと脳裏にあることがひらめいた。
「……そういえば夕食の時、この問題について話し合おうとしたはずでは」
「レネ様、そんなの気にしないで休んでください。レネ様と俺のことに、ほかの奴が口出しする方が間違いなんです」
「ユシウス、今日という今日は誤魔化されませんよ! わたくしはっ」
「はい、レネ様の好きな毛皮をどうぞ。今日お日様に当てて櫛を入れたから、いつもよりふかふかですよ。ほら触って?」
「そんなことでこのわたくしを懐柔しようなどとっ」
「ほらほら、いつもみたいにギュってしていいんですよ」
「……ん、む」
ユシウスが「いつもよりふかふか」の尻尾をレネのお腹にぽふんとのせると、レネは怒り顔のまま、両手で鷲掴んだそれをむぎゅ、と握った。
毛皮職人が品質を確かめるように真剣に、なでなでし、ぎゅ、ぎゅと握る。
「……ふん、冬毛に比べたら毛量が大したことないではありませんか。この程度のふかふかでわたくしをとりなそうなど、呆れたものです。これだから年端もいかない者の浅知恵は」
「次の冬はもっとふかふかになってレネ様に満足してもらえるように頑張りますね」
「よく食べてもっと肥えなさい。そうすればきっと最高品質のふかふかになれるはずです」
「レネ様、俺はもう子供じゃないんですからこれ以上は肥えないですよ」
レネは小馬鹿にしたように鼻で笑うと、ユシウスの鼻の頭を指で弾いた。
「今でもこうしてわたくしに甘えてばかりの仔犬の分際で、生意気な」
「ごめんなさい。次からもっとお行儀よくしますから、許して」
次から?
わずかに変化した声音を聞き取ったレネが「ん?」と身構えた時には、ユシウスは腕枕を抜け出し、その手が裸の首筋、胸、わき腹、腰骨を辿り始めていた。
熾火のような快感の火種に息を吹きかけるように、じわじわとくすぐったい触れ方をしていく。
「……あ、ユシウス……まだ」
「レネ様はこの世で一番強い魔法使いだから、大丈夫。もう元気になりましたよね?」
「……馬鹿、まだ、だめだと、言って、ッ……」
脚の間に伸ばされた手が、しんなりしたそれをあやすように包み込んだかと思うと、親指の腹で先端をぐりぐりと擦った。
温かい手に包まれて気持ちよく安心していたレネの腰がビクッと痙攣した。
「レネ様、舐めてもいいですか」
ビクビクとのたうつレネが歯を食いしばってかぶりを振った。ユシウスは宥めるように、粟立ったレネの腕をさすり、のけ反った首に甘噛みをして吸った。
「……は、う」
「駄目ですか? どうしても? んー、どうしようかな……やっぱりしますね」
息を呑んだレネに笑いかけ、ユシウスははむはむと喉を噛んだ。
「大丈夫。俺がレネ様の嫌がることなんてするはずないの知ってるでしょう? もっと気持ちいいのをたくさんあげます」
それから四度、ユシウスは身体の向きを変え、レネを抱き起して膝に座らせたたり後ろから抱え込んだり、横向きにして後ろから片足を抱えて突き入れたりと、いつものように傍若無人に獣じみた交わりを繰り返した。
レネの息が絶え絶えになり、ユシウスとの会話も意味をなさなくなった。
ぐったりと恨みがましくユシウスを睨むと、覆いかぶさったユシウスは同情を引くみたいなか細い仔犬の声でキュウンと鳴き、甘えるように耳たぶを舐めた。そそり立ったものはまだレネの中でドクドクと脈打っている。
「……はッ、……レネ様の一番奥に入ってもいい?」
「……ん、っ、……? あ、……な、に?」
焦点の合わない目ではくはくと唇を喘がせるレネに、ユシウスが獰猛な笑みを浮かべる。
丸く柔らかい尻を持ち上げられ、背中が宙に浮いたことで目を見開いたレネが後ろ手にシーツを握りしめた。
何が来るのか、霞がかった頭が予感してごくりと喉を鳴らす。
次の瞬間——
重たくて熱い塊が肉の壁を擦りあげて奥の奥へと突き入れられた。
ひゅ、と喉から息が漏れ、光が明滅して視界が白く染まる。
「ああっ……」
断末魔の悲鳴に近い喘ぎがユシウスの血をたぎらせた。ユシウスの中にある獣の性が、狩りの興奮を呼び覚まされたように総毛立つ。
押さえつけられてなすすべなく喘ぐ、白くて綺麗な、柔らかい極上の獲物。愛しい愛しい。大好きなひと。
ふいに涙が出そうになった。
——ああ、もうこのまま、いっそのこと。
薄っすらと保っていた自我が消えかかったその時、レネの唇から音が零れた。
「ユシウス……かわいい、わたくしの、おおかみ」
汗に濡れた顔で見上げ、おいでというように両腕を伸ばしてくる。
「レネ、さ……くっ……」
熱いものを吐き出したあと、ぜえぜえと息を継ぐユシウスを抱き寄せて、レネが獣耳に鼻をくっつけた。
「レネ様……」
「なんです」
「もう少しだけ、まだ中にいてもいい……?」
レネは身体の奥に残った最後の呼吸を吐き出した。
「お願い。いい子でじっとしますから」
クウン、と鼻にかかった声で鳴く。レネはぐったりと目を瞑った。汗でべっとり濡れた額に銀の髪が張り付いている。
「……少しでもわたくしの中で動いたら、毛皮を剥いでひざ掛けにしてやりますからね」
そう釘をさすと、かくんとレネの首から力が抜けた。手足がくたりとし、人形のようにシーツに沈んでそれきり、動かなくなった。
❖
レネの瞼がゆっくり持ち上がると、ユシウスは濡らした暖かい布でレネの身体を拭いていた手を止め、頬にちゅっと口付けた。頬に張り付いた髪をかき上げ、耳にかけてやる。レネはぼんやりと、窓から差す月明かりを見ていた。
「まだ夜明け前です。寝ていてください、レネ様。痛いところはありませんか?」
「ユシウス……」
「はい、レネ様。お水ですか? 苺水がありますよ」
「やっぱり、わたくし達のこれは……少しおかしいのでは? 貴方のような獣人には、ふつうは発情期があるのでしょう? どうしてこうも毎日毎日……」
「レネ様は俺とするのがお嫌いですか? 気持ち良くありませんか?」
レネが気持良くないはずがない……わかりきったことでも、レネの口から聞きたくて問いかけた。
案の定、レネはもごもごと唇を動かし、不機嫌に返した。
「悪いとは言いません……わたくしが言いたいのは、頻度と、量の問題です。つまり……わたくしは何もしなくても、こうやって貴方の尻尾を抱っこしてくっついて眠れたら、それで満足な夜もあるわけで……その、こういうことをしなくたって、貴方の尻尾があれば、それで……」
言いながら、レネのほっそりした手がユシウスの長い尾を掴んですり、と頬を寄せた。
「レネ様、その言い方だと俺じゃなくて尻尾の方がお好きみたいに聞こえて、悲しいです」
「ふん、ふかふか尻尾なら誰のものでもいいというわけではありません」
「それって……やっぱり俺が良いってことですよね? レネ様」
「……だからそう言っているでしょう。わたくしに何度も同じことを言わせないで」
ユシウスの胸の奥がぎゅう、と疼き、喉からクウン、と甘ったるい鳴き声が漏れてしまう。
「結局、俺はレネ様の毛布になれましたね」
「ん? ああ、まだあの時言ったことを根に持っているのですか? あんなの、冗談に決まっているでしょう」
「いや、あの時は本気で鋏で毛皮を剥いで殺されるかと思ったんですけど……」
「馬鹿な子。わたくしがそんな真似するものですか……せっかく一目見て気に入って連れ帰ってきたというのに」
今、ものすごく嬉しいことを言われた気がする。ユシウスは顔を赤らめて内心身悶えした。
レネはどうでもよさそうに欠伸をして、ユシウスの尻尾の先端を枕にして目を擦った。
「……あのネズミ、明日までにどうするか決めないと。まったく……わたくしがせっかく……貴方のために」
まだ不満そうだ。
それだけ、ユシウスを喜ばせようとしてくれていたのだろう。
「ユシウス、貴方憎たらしくないのですか? 自分をいたぶった人間が憎いでしょう? 昔の憂さを晴らしたいと思わないのですか?」
レネが質問攻めにするのは珍しい。ユシウスはうーん、と唸った。レネのように頭がよくないから、考えていることがまとまらない。言葉にして説明するのもややこしい。もともと獣人は、複雑なことは考えないし、人間のように深く悩んだりもしないのだ。
けれどレネが知りたいなら、頑張って考えよう。
「俺はなんていうか……今がとても幸せで、大好きなレネ様が傍に置いてくれて、毎日嬉しくて、それ以外のことはどうでもいいというか」
想いを言葉にするのは、真っ暗闇の中、落ちている小石を拾うみたいだ。小石は闇の中で白く光っている。導かれるようにして拾い上げた綺麗な石にはどれも、レネの名前が書かれているのだ。
「わたくしの話ではなくて、貴方がどう思うか聞いているのですよ? 人間は恨みを晴らすと心が晴れるものです。それは悪いことではなく、ごくありふれた自然な営みです。魔法使いは特に、相手からされたことは一生忘れません。必ず報復し、どこまでも追い詰めます」
「……レネ様にずっと恨まれるの、生きた心地がしないでしょうね」
「そういう念が強ければ強いほど、強力な魔法使いの素質があるのですよ。執着心が薄ければ、いくら魔法を学んでも大成しない。生まれつき欲深くなくては、なれてもせいぜい二流でしょう」
ふふん、とレネが得意気に鼻を鳴らした。次の瞬間、くしゅんっ、とくしゃみをする。
「寒い! わたくしの毛布がなくなっていますよ、ユシウス!」
「はいはい、レネ様の毛布をどうぞ」
慌てて自分の尻尾を身体の前に持ってきて、レネのお腹の上に乗せた。レネは満足気にしっぽの先を引っ掴んで頬擦りした。
白い裸体……さんざんユシウスに貪られた後の艶めかしい身体で尻尾に抱き着くレネにまたもや劣情がせり上がりそうになる。さすがにこれ以上はマズいとわかっているので、別のことに意識を逸らした。
(それが本当なら、レネ様は自分のことを「欲深くて執念深い」って認めたことになるけど……いいのか)
「とにかく、わたくしは害を受けたら報復し、必ずや相手を痛い目に合わせます」
「相手がレネ様に謝るまで?」
「……謝罪の有無など、わたくしに関係ありますか? わたくしの気が済むまでです。当然でしょう」
「……」
なるほど。ユシウスはまた一つレネの性格について知見を得た気がした。
「俺は……というか獣人は人より獣に近いから、あまり復讐っていう考え方がないんだと思います。狩りをする時、狩られた側がいちいち相手を恨んだりしないし、強い者が弱い者を食べるのは自然なことだから。やられた時にやり返せなかったら、もうそこで終わりなんです」
森にすむ動物も、子が食われても親は復讐などしない。狩りも縄張り争いも、その時勝てなければ終わりだ。命を落としてしまうのだから。「その先」なんてないからこそ、獣人は人間のように恨みを引き摺らないと言われている。
そうは言っても、獣人には人間の血も流れているので例外はあるが。
「今まで考えたこともなかったな……レネ様と話してて改めて気付きました」
ユシウスはレネに微笑みかけた。
「だからレネ様があいつらを捕まえて来てくれて嬉しかったです。レネ様が俺のためにしてくれたんだって思うと、身体の奥がポカポカしてくるんです」
レネが手を伸ばし、ユシウスの鳩尾の辺りを触った。
「ここがですか?」
「はい」と答えて、レネの手を上から握った。
「だから機嫌を直してくださいね。俺、とっても嬉しかった。レネ様、俺のためにありがとう」
「わたくしは……」
レネが眉根を寄せた。
「わたくしは、貴方が嫌な目に合ったら酷く気分が悪くなります。それがたとえ、過ぎた過去のことであっても。いえ、過去の方が厄介です。今はわたくしが守ってあげられるけれど、過ぎたことはどうもしてあげられないではありませんか」
「レネ様……?」
「貴方が一人ぼっちで寂しい思いをした時間が、なかったことになるわけでは、ないではないですか!」
「レネ様」
「わたくしは肝心な時にそこにいなくて、貴方をずっとつらい目に」
「レネ様ってば!」
レネを見ると、堪えるように歯を食いしばっている。困惑と悲しさが押し寄せてきて、ユシウスはレネに擦り寄って抱きしめた。
「どうしちゃったんですか? レネ様と会う前の時間なんて俺にはどうだっていいよ。今すごく幸せだから、それで十分です」
「……馬鹿な子。わたくしと違って、欲もないし、純粋で濁りのない雪解け水のような魂なんですから……貴方には魔法使いの才能なんてこれっぽっちもありませんね……ふん」
レネのことに関しては欲まみれだと思うのだが……どうやらレネにとっては、ユシウスは純粋に見えるらしい。
以前に言っていた「魂の形が見える」という言葉を思い出して、ユシウスは照れくさくなった。レネに気に入ってもらえる魂でよかった。もし生まれ変わりがあるなら、来世も同じ魂で生まれて、またレネに拾ってもらえないだろうか。
「俺なんかよりレネ様の方が魂も外見も全部きれいで、かっこいいです。俺に魔法使いの才能はないから、虐められないようにレネ様が守ってくれますか?」
ふん、とレネが顎をそびやかした。
「当然です。わたくしのものに手を出す不届きな輩は誰であろうが許しません。ええ、そうですとも……今度こそ貴方に辛い思いはさせません。怖い思いをしないように、わたくしがいつも一緒にいてあげますからね」
ユシウスは嬉しくなって、レネを強く抱いた。お互い裸のままだ。胸の中にすっぽり収まったレネは、獣体温が心地よいのか、あるいは極度の疲労のせいか、すぐにとろとろと眠そうにし始めた。
「レネ様、もう眠ってください。明日はレオニールたちと馬車で国を出るから今のうちに寝ておかないと」
「ユシウス、貴方は? 寝ないのですか?」
「俺は寝ません。ここは俺の初めての家だから、最後の晩はレネ様を抱っこして、ずっと起きてようって決めてたんです。レネ様とのいろんな思い出を一個一個思い出しながら、この家に『ありがとう』を言いたくて。だから起きてます」
眠たそうにしていたレネが呆れ顔をした。
「家なんて、ただの入れ物です……それなのにお礼を言うなんて、変な子ですね」
「だって、寂しくて。レネ様が俺なんかを置いてくれた……初めての家なんですよ」
ユシウスがすん、と鼻をすする音を聞いて、レネはさらに眉を顰めた。
腕を掛け布団の中から上に伸ばした拍子に、あらぬ場所が疼いたのか、ん、と色めいた声を出す。
「馬鹿ですね……大事なのは入れ物の中身です。わたくしと貴方がいれば、どこに行こうが『家』が作れます。家族が一緒にいれば、そこが家なのですから」
ユシウスは目を見開いてレネを凝視した。
——「家族」。レネがユシウスの「番」という言葉に弱いのと同様、ユシウスはレネに「家族」と呼んでもらうたびに、鼻の奥がツンとして泣きたくなる。嬉しい。幸せ。大好き。ずっと傍にいたい。
「分かりましたか?」
こくこくと頷く。レネはよしよし、とユシウスの顎の下を撫で、鼻の頭に自分の鼻をくっつけた。
「もう泣きませんね? わたくしの眠りの邪魔です。さっさと寝ておしまい」
泣いてはいなかったけれど、今は泣きたいくらい嬉しいから否定しなかった。
「はい、レネ様」
「おやすみなさい、ユシウス。良い夢を」
汗をかいてしっとりとしたレネの身体が冷えてしまわぬよう、しっかりと抱きしめる。
「おやすみなさい、レネ様。また明日」
明日も、その次の日も、ずっとずっと先のいつかの日も。きっとレネより寿命が短い自分が、レネの歩みについていけなくなっったとしても。
白い骨になって、土に還って、レネのそばでずっと待っている。
また会える時が来るまで、いつまでだって待っている。
けれど今は、ひとまず。
明日のレネに会うために。ユシウスは目を閉じた。夢でもレネに会える気がして、眠りにおちる瞬間までも幸せだった。
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