ヴォクセル・プロジェクト

ゆら

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都市国家ヴァルムス

養護院からの依頼②



 院長室のソファに腰掛けると、本題である今回の依頼について神妙な面持ちでユーリーが話し始めた。

「相談というのは、最近畑を荒らす者たちのことなんです」
「畑荒らしか……貧民街も近いし、食べ物に困った奴の仕業か?」
「食べ物が足りないのであれば多少盗まれても構わないのですが、どうやら複数人……しかも他の畑も荒らしているようなんです」

 畑荒らしと聞き浮かんだのは貧民街。治安が悪く、窃盗は日常茶飯事的に行われている。だが、養護院の恩恵を受けている貧民街の者が養護院に迷惑をかけるなど滅多にない事だ。犯罪に巻き込まれる可能性があるとわかれば炊き出しも中止されることも考えられるのに。それほど困窮してるという事か。

「何で複数だってわかったんだ?」

 イラリオーノは状況を把握しようと冷静な声で問う。犯人や理由はどうあれ、現状被害を被っているのは事実。まずは犯人を捕まえる事が先決だ。

「荒らされた畑に残った足跡が違ったんです。少なくも5人。3日程立て続けに荒らされたと思ったらパタリと止んで、1週間くらいしたらまた……しかも今度は建物の方にも来ていたようで、畑の方から続く足跡が残っていたんです。このままだと子供たちに実害が出てしまうと思い相談させて頂きました」
「なるほど……早めに対応した方がいいな」



 犯人が現れるとすれば人気のない深夜だろう、と敷地内にある藪に身を潜め養護院の監視が始まった。

「全然現れないな」
「最後の被害が5日前だろ?そろそろ現れてもおかしくない」

 アランと共に監視をするがなかなか犯人は現れず、既に3日が経っている。

「そうだな……早く犯人捕まえて院長達を安心させたいんだけど」
「お疲れ」
「ディータ。もう交代の時間か」

 現れたディータにもうそんなに時間が経ったのか、と空を見上げた。日付を跨いで1時間ほど。星が瞬き、まだ辺りは静寂に包まれている。
 カサッ。
 揺れる葉の音にハッとする。
 アランとディータも気づいたようで、建物の横にある茂みに目を凝らした。
 揺れる葉に合わせてカサッカサッと音が鳴り、小枝を踏むような音が聞こえた。


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