ヴォクセル・プロジェクト

ゆら

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都市国家ヴァルムス

養護院からの依頼③



 音がした茂みから人影が現れた。一人、二人と身をかがめ息を潜めた様子で畑へと足を進めていく。その手には大きな袋が握られていた。
 三人現れたところで畑にしゃがみ込むと袋から何かを取り出し、育った野菜を袋へと詰めていく。
 犯人だ。

「アイツらッ」
「おい、あっち」

 アランに言われ視線を向けると、建物の方へ向かう人影。その手には細長いバールのようなもの者が握られている。

「ッ!?」

 あんな物一体なんに使うというのだ。
 恐ろしい惨状が脳裏を過ぎり、瞬間、身を潜ませていた薮から飛び出していた。

「あ!?オイッ!ジーク!」

 静止する声に、後先考えない悪い癖だと気付いた時には遅かった。少し離れた距離にいた犯人にも気づかれてしまう。
 当然だ。本来犯人を捕まえるなら気づかれないよう距離を詰めるのがセオリーなのに。

「チッ!警備隊の奴らか!」
「おい、逃げるぞ!」

 脱兎のごとく駆け始める犯人を見て養護院に被害がなかったことが唯一の救いだが、ここで犯人を逃がせばまた被害が出てしまうかもしれない。

「しまった!」
「焦りすぎだッ!とにかく追うぞ!アランは応援を!」
「隊長、犯人が逃げる!」

 苦い顔をするジークを他所に、アランが走りながら耳に手を当てて話し始める。念話の異能力だ。
 数少ない異能力者だが自警団内には数人所属しており、各々がその能力を遺憾無く発揮していた。
 アランの能力もこの緊急時や潜入時の状況報告に重宝されている。

「ディータは畑を荒らしていたヤツらを!ジークは俺と一緒に施設を狙ったヤツらを追いかけるぞ!」
「わかった!」
「えー、俺一人かよ!」
「隊長たちがすぐ合流する。見失うなよ」

 二手に別れた犯人を追いかけるが、相手もなかなか足が早い。しかも逃走経路も計画していたのだろう、迷いを見せることなく路地を曲がっていく。
 いくつかの角を曲がると、視界に岩肌が見えた。

「アイツらもしかして!?」
「ヤバいな……このまま砂漠に逃げる気かもしれないッ」

 砂漠に逃げられてしまえば見つけるのに苦労するだろう。その砂漠に出るまでに足場の悪い崖があるのだが、隠れる岩場が多いそこは犯罪者がよく逃げ込む場所でもある。
 どちらにしても見失ってしまえば詰みだ。
 それにもし砂漠に逃げられてしまったら──。

「アイツらが来る前に捕まえるぞッ」
「わかってる!」

 アランも同じ考えのようで、見失わないよう必死だ。
 息を切らしながら追うが、とうとう家屋が無くなり開けた場所へと踏み込んだ。もうこの先の岩場を抜ければ砂漠だ。


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