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*発情期
しおりを挟むシャイルを押しのけ保護室へと入ってくるローレンツ。その顔には焦燥が伺える。
「ロー…ッ、はぁ」
再び体が熱くなり、後孔がじわりと濡れるのがわかった。
アルファの匂いだ。もっともっとその匂いを嗅ぎたくて堪らなくなる。
ベッドから足を降ろし、誘われるようによろよろと歩いた。その視線はローレンツしか捉えていない。
ローレンツもまたユリウスだけを見ていた。その目はゆらゆらと熱を孕んでいる。
長い足が1歩、また1歩と距離を詰めてくる。
広くない保護室内であっという間にその距離はなくなり、気づけばローレンツの腕の中にいた。
体全体がローレンツの匂いに包まれ、動悸が激しくなる。
「ロー、ローッ」
「ユーリッ」
重怠い腕をローレンツの体に回すと、強く抱きしめられた。
「もっと早く帰せばよかった」
「んっ」
冷静さを見せながらもその手は腰や背中を這っている。それだけの刺激でビクつく体。
「先生すみません、2人にしてください」
「ダメだ」
「先生、ユーリの一大事なんです」
「……っ、落ち着いたらすぐ帰れるように馬車を手配しておく。あくまでここは学園の保護室だから、それだけは忘れないように」
怖いくらいの声音。圧倒されたようにシャイルが答えるが、その言葉から最大限の譲歩だとわかる。
保護室はあくまでオメガが保護されるための場所だ。そこにアルファと2人になど、何が起こるかわかりきっているのに普通あってはならない。
それでもシャイルが引いたのは、2人の雰囲気がただのオメガとアルファという関係性だけでないと察したからだ。
静かに扉が閉まる。同時にローレンツの手が制服の中へと入ってきた。
「ユーリ……ユーリ…っ」
「は、ぁ……あ、ロゥ」
熱い手の感触に声が漏れる。
縺れるようにベッドへ倒れ込むが、その間もローレンツの手が止まることは無い。
覆い被さるローレンツの体がのしかかってくる。
「んぁ」
互いの下半身が触れ、その僅かな刺激にユリウスの腰が揺れた。
「辛いだろ」
ベルトを外されズボンを寛げられると、昂った熱が下着をじわりと濡らしている。
「楽にしてやる」
ずるっと下着を下げられ、あまり大きくないユリウスのものが頭を擡げふるふると揺れた。先端からはとめどなく先走りが溢れ、峰を濡らしている。
体をずらしたローレンツの重みが消え、寂しく感じていると、頭の下に腕を回され抱え込まれた。
「はぁ…」
揺れる熱がローレンツの視界に捉えられ、耳元に熱い息がかかる。
ローレンツの匂いに支配され、正常な頭なら考えられる思考が全く機能しない。本来なら番でも婚約者でもない相手とこんなこと許されないのに、止めるという思考に辿り着かないのだ。
そんなことより、溢れる熱に触れて欲しい。奥まで暴いて欲しいと願ってしまう。
腹を撫で、熱源へと向かう手を目で追う事をやめられない。その手が今からどんな快楽を与えてくれるのか。そればかりに期待してしまう。
「は、はや、く……っ、ろぉ」
期待に腰が揺れるが、止めるすべなと知らない。寧ろなぜ止めなければならないのかとさえ思えば思うほど腰が揺れていく。
ローレンツの長い節くれだった指が下生えを這い、根元へと辿り着いた。
「ぁ…」
もどかしい刺激に腰を捻る。もっと強く掴んで全体を扱いて欲しい。
ローレンツの指に擦り付けるように腰を前へと突き出し、緩く引く。その僅かな刺激だけで先端から透明な汁が溢れた。
それを全体に塗りたくって扱くと気持ちいいことは多くない経験で知っている。
周囲からは清廉潔白のように思われているが、遅い精通を迎えてから数える程度は自身で慰めたことくらいユリウスでもあるのだ。
前世での経験だって勿論記憶に残っている。ただ前世と違ってカリ首より亀頭が気持ちいいし、先端を押し込むように刺激すればすぐ達してしまうのはこの体が前世と違う証拠だろう。
「俺の指に擦り付けて…どんどん溢れてくるな」
「あ、あぁ…」
引いた腰を何度もローレンツの指に擦り付けるだけでしとどに滑ついていく。
「もっ、と……ッもっと、して」
ローレンツの制服を握り締め強請る。
途端、ローレンツの目がギラりと光った。
「はぁ……ユーリ、あんまり煽るな」
「んアッ!」
ギュッと陰茎を握られ、それだけで腰が溶けそうになる。
欲しかった刺激にありつき、筒状になったローレンツの手へと自身を入れたり出したりするのをやめられない。
このまま腰を振れば体の中に燻る熱を放出することが出来る。経験で知り得た快楽がそこにあるのだ。
もう少し、と思ったところでローレンツの手が不意に動いた。
「ふ…ッ!?あぁぁッ!」
根元から擦り上げられ、先走りを塗り込むように親指が先端を抉る。瞬間、急激に高められた快感が抑える間もなく溢れた。
気づいた時には白濁が飛び散り、ユリウスの腹を白く汚す。
「はぁ、はっ……ふ、ぅッぁぁ」
急に迎えた射精に全身のビクつきと荒い息が治まらない。
息を吸えば吸うほどローレンツの匂いを取り込み、体の熱は治まるどころかまだ足りないと後孔がひくつき始める。
「ゃ、ふ…ぅぅッ、ろ…ぉ」
白濁を絞り出すようにローレンツの手がユリウスのものを扱く。緩んだ足の間でどろりと愛液が溢れた。
「こっち……触らないと治まらないみたいだな」
熱い息を吐きながら、ローレンツの指が会陰をなぞり窄まりに触れる。
くちゅり…と濡れた音を立てるこそは垂れた先走りなのか溢れた蜜なのかわからない粘液でぐちゃぐちゃになっていた。指が撫でる度にいやらしい音を立てている。
「……わ、って……触、ってぇ…」
自身のものとは思えない蕩けた声が口から漏れる。
感触を確かめるように窄まりを撫でていた指が水音を立てながらその先端を潜らせた。
「ぁ……あ、あ、ッ」
滑りを帯びた蕾は抵抗もなく指を飲み込んでいく。それに合わせて控えめな嬌声が漏れた。
指一本を丸々飲み込んだそこが、物足りないというように蠢動し始める。
「はぁ……ユーリ……ユーリ」
ユリウスの首元に顔を埋め、ローレンツが荒く息を吐いた。そして耳の後ろに鼻を押し当て大きく息を吸う。堪らないというように何度も名を呼び、埋めた指でゆっくりと中の肉襞を擦った。
「んぁあッ……ぉ、……ろぉッ」
奥からどろりと蜜が漏れる。
それを喜ぶようにくちゅっと音を立て中をかき混ぜ、徐ろに出し入れする動きへと変わっていった。
グチュッ、グチュッ、といやらしい音を立てながらローレンツの指がユリウスの中を犯す。
「すごいな……熱くて、トロトロだ」
「ふ、ぅあ…ぁ、あ、あッ」
感嘆とするローレンツを余所に、ユリウスは気持ちよさに腰をくねらせ、口からは次から次へと喘ぎが溢れる。
後孔は勝手に濡れ、初めての感覚に全身が震えた。
男なのに勝手に濡れるはずがない。これがオメガの特性なのだろう。
そんなどうでもいいことを頭の片隅で思ったのも一瞬だった。
「ユーリ……はぁ、ユーリッ」
「ん、ああぁッ」
ローレンツの指が激しく抽挿し始めたのだ。
耳朶を食まれ、くちゅくちゅっと耳穴に舌先が差し込まれる。直接脳を刺激するような感覚にゾワゾワと全身が粟立った。
逃げたくなるような刺激に顔を反らせるが、それを許さないとばかりにローレンツの手がユリウスの頬に添えられる。
ぬちゅっぬちゅっと舌を出し入れされ、後孔を犯す指はいつの間にかその本数を増やし、ぐちゅ、ぬぷっ、と激しく内壁を刺激した。
もたらされる快感に腰をくねらせる。いつの間にかユリウスのものは再び頭を擡げ、嬉しそうに先走りを零しながら揺れている。
それを視界に捉えれば、その向こうでは激しくローレンツの手が動いていた。
ローレンツにされている。
そう思うだけで腹奥が熱くなり、後孔を締め付けてしまう。
「ゃ、ふぅぅ、ッんんぁ、だめ……ィック!」
チカチカと目の前が明滅し、ローレンツの指と舌に翻弄され高められた体は一気に欲を吐き出した。
腹には新たに吐き出された白濁が飛び散る。あまりの勢いに耳を舐めていたローレンツの頬へもかかってしまう。
「ふ、ぅ……ぁ、ぁ………んっ、んっ」
「ッ……ユーリ」
快感に震えながら、ローレンツの頬を汚した白濁に舌を伸ばす。
決して美味しくはない。当然だ。自分のものなど美味しいはずがない。それなのにローレンツの端正な顔を汚してしまった罪悪感から必死にそれを舐めとった。
もぞりと動いた瞬間、腹に熱く硬いものが当たる。
ローレンツのだ。オメガの匂いに当てられてしまったのだろう。ズボンを押し上げるほどに勃起している。
ゴクッと喉を鳴らし、ユリウスは快楽に朦朧とする頭でその熱に手を伸ばした。
これが体の奥まで入って、さっきのように中を擦られたらどれだけ気持ちがいいだろうか。溜まりに溜まった熱を、奥に吐き出され、子を孕めとばかりに突かれ続けたら……。
「俺はいい」
熱に触れるすんでのところ。ローレンツによって阻まれてしまった手が行き場を無くす。
「ぃ……や、これ…………ッこ、れ、欲しぃ」
駄々っ子のように目を潤ませ、ローレンツを睨む。
ローレンツのものによって奥を貫かれる妄想をしてから、腹奥が熱くて仕方ないのだ。散々指で刺激された後孔はヒクヒクと期待に疼いている。
「足りないならまた指でしてやる。ここで繋がるのはちゃんと番になってから、な」
朦朧とした頭では、ただ今抱いて貰えないということだけしか理解出来ず、ユリウスはローレンツの手で感じながらぐすっぐすっと泣くことしか出来なかった。
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