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Sid.20 モンスターの倒し方を学ぶ
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モンスターには必ず弱点となる急所がある。
どれだけ強固な鎧を纏っていても、必ず攻略可能な急所が存在するのだと。
「弱点を的確に射抜けば、威力の低い銃でも倒すことができる」
今回相手をした四つ足のモンスターは、喉と耳の穴。目も同じく弱点となる。
鋼の如き体毛に覆われ鋭い牙や爪がある。また、頭蓋骨も硬く剣は疎か銃弾すら弾いてしまう程。
「喉の部分にある体毛は柔らかいんだよ」
常に頭を低い位置にした態勢を取るのも、弱点を隠すためだそうだ。そもそも喉の体毛が硬かったら、体を丸めることができなくなる。背中側に丸くなることは無いが、腹側に丸くなるのだから、体毛が硬いと自らに刺さってしまう。
頭さえ上に向けてしまえば、銃であれば効果を充分に得る。そして倒れたら耳の穴に銃弾をぶち込む。耳の穴の奥は脳に繋がる。楽に頭の中身を破壊できると言うことで。
「生物の形態を取るモンスターは、必ず生物として設計されているからな」
しっかり観察し弱点を素早く見抜く。それができれば深い階層のモンスターであっても、容易に倒すことが可能になるそうだ。
「とは言っても生物の形態を取らないモンスターも居る」
「それってなんですか?」
「ゴーレムだな。素材が土や石ならいいが、金属だと手に負えない」
金属系のゴーレムも居るんだ。って言うか、ゴーレムなんてのも居るんだな。そんなのに遭遇したことも無かったし、出現しそうな深い階層に潜ったこともない。
クリストフのパーティーは十階層辺りで、それ以上進もうとしなかった。アヴスラグで初めて十階層以降へ進んだくらいだ。どこで自信過剰になったのやら。
でも、そうなると金属系のゴーレムはどうやって倒すのか。
「倒せるんですか?」
「時間が掛かるだろうな」
逃げながらも魔法で熱を加え、なおかつ急速冷却を繰り返すと、金属が熱疲労を起こすらしい。
そうなれば脆くなっているから衝撃を与えれば破壊できると。
金属のヒートショックって奴か。
「まあ、どれだけ掛かるか分からないが」
だよなあ。そう簡単にヒートショックなんて起こさないし。
じゃあ倒す術がないのか。
「聖霊士の奇跡の光や聖法術ならば倒せる」
「じゃあ、金属ゴーレムが出てきたら」
「ヘンリケの出番だな」
「あたしの召喚でも倒せるよ」
デシリアが横から口を挟んできた。
「勘弁してくれ。あれを出すと周りも巻き込む」
「あの、どういうことです?」
「強酸を吐き出す奴や、超高温で溶かす奴だな」
「距離があれば大丈夫だってば」
モルテンが何度か死にそうになったとか言ってる。アルヴィンもヴェイセルもヘンリケまでも死ぬからやめろと言われてるし。
いずれにせよ倒せるけど、周りへの影響が大きすぎるのか。どんなものを召喚してるんだろう。
「黒魔法でも上級であれば倒せるな」
「使える人は?」
デシリアにメンバーの視線が向くから分かった。
「魔法も使うんですね」
「召喚魔導士って召喚術と黒魔法を使うから」
「なんか凄いんですね」
「でしょ? もっと褒めていいんだよ」
モルテンが「正直な話」として魔導士や召喚士が居ないと、ラビリント攻略は不可能らしい。階層主を倒せなくなるからだとか。
単純な物理的攻撃手段は、中層までの階層主にしか通じない。
ライフル銃が通じるのも五十四階層くらいだそうで。それより深い階層ではライフル銃は通じない。他所のラビリントで得た知見だそうだ。
ゆえに重機関銃が必要なのだとか。
「一度に同じ箇所に何十発と叩き込めるからな」
それであれば倒すことも可能かもしれないと。試したことは無いから確証はないらしい。
今まではラビリントに持ち込むことができなかった。結果、デシリアやヘンリケに頼ることになっていたそうだ。
「モルテンも戦えるでしょ」
モルテンは魔法剣士だから剣に魔法を纏わせることで、魔法プラス物理の特殊な効果を得ることができるとか。
「けどな、それをやると」
「だよね。だからイグナーツ」
「そうだ」
「頼りにしてるよ」
替えの剣を大量に持参してもらえれば、モルテンも戦力になると言うことだそうで。
深くなると階層主は単純な物理的攻撃を受け付けないのか。
他のパーティーはどうやって倒してるのだろう。召喚士やら法術士が居るのか?
気になって聞いてみると。
「召喚士は貴重だな」
「聖法術が使える人も殆ど居ないね」
「え、じゃあ」
「シルヴェバーリはメンバーに恵まれた」
聖霊士も極端に数が少ない。現時点で探索者として知られているのは五人だけ。希少な存在だから知れると争奪戦になることも。
召喚士は百人にひとりの割合。召喚魔導士になると千人にひとり。
聖法術の使い手は二千人にひとり。シルヴェバーリは希少な人材が集まったそうだ。
「探索者って、この国に何人居るんですか?」
「三万八千二百人くらい、と言われてるな」
召喚魔導士は三十八人。聖法術で十九人しか居ないのか。
つくづくシルヴェバーリは凄いパーティーなんだな。俺なんかが居ていいパーティーなのだろうか。
ただの荷物持ち。ちょっとは銃も扱えるようになってきたけど。
せめて足手纏いになるのだけは避けよう。
十六階層から十七階層へ進むと、ここからは俺の知らない世界になる。気を引き締めて挑まないと。
周囲を警戒しながら進むとデシリアに「気負わなくていいから」と言われてしまった。
「警戒するのは悪くないけど、気負い過ぎても疲れちゃうよ」
「え、あの」
「分かるんだけどね。でも大丈夫」
こんな浅い階層であれば怪我を負うことすらないそうだ。
「イグナーツはまだ守られる存在」
「そうよねえ」
ヘンリケも今は守られていればいいと。階層主相手に気張ってくれればいいそうで。
ろくな戦闘経験がないのだから、地道に経験を積むことが最優先。
危険が及ばないよう周りの仲間が守ると。
少し進むと二足歩行のモンスターと遭遇した。
駆け出すモルテンとアルヴィンが居る。後方に視線を向けるのはヴェイセルだ。
俺に視線が向くと「まずは見ておけ。モンスターの行動と弱点をな」と言われ観察することに。
向かってくるモンスターは足が異様に細い。でも、その足はまるで昆虫のようだ。
体は節があって鎧で覆われているような、節足動物系のモンスター。頭も昆虫みたいな。でも二足歩行。
「うわっ! 跳ねた」
「あれはね、跳ね回るから」
「体が軽いみたいね」
デシリアとヘンリケがモンスターのことを教えてくれる。
「体は硬いけど節に強度が無いの」
「それって」
「関節を攻撃すれば楽勝」
体を覆う殻とは異なり、可動部分は動かすために強度が不足する。もし、間接まで硬い殻で覆っていると動きに影響を生じる。俊敏な動きができない、もしくは動かせない。
節足動物のような存在は関節を狙うのだそうだ。
「ほら、すぐ終わった」
体から四肢を捥がれ床に転がるモンスターが居る。身動きが取れず藻掻いているだけ。
「イグナーツ。止めを」
「あ、はい」
モルテンに呼ばれ側に行くと「狙いは首関節」と言われる。ダガーを突き立てると最初は硬く抵抗があるも、すぐにザクザク切り進められた。
そして転がる首。
「頭も胴体も暫くは動くからな。頭は注意した方がいい」
噛みつかれるそうで。
「魔石を取る時だがな」
外骨格の隙間からダガーを刺し込み、切っていくと中身を取り出せる状態になる。
まあ中身ってのは内臓だったりするわけで。最初の頃は気色悪かったけど、今はすっかり慣れたな。
魔石回収が終わりさらに先へ進むと、またも外骨格を持つモンスターと遭遇。
「この階層は主にあの手のになる」
銃弾が通じにくいから剣で応戦することになる。
それでも重機関銃であれば足を吹き飛ばせるそうだ。
「使うのはもっと下層だな」
ここで弾薬を使うのは勿体無いそうで。
駆け出すモルテンとアルヴィン。二人とも動きが早い。そしてすぐケリがついて魔石回収になるわけだ。
どれだけ強固な鎧を纏っていても、必ず攻略可能な急所が存在するのだと。
「弱点を的確に射抜けば、威力の低い銃でも倒すことができる」
今回相手をした四つ足のモンスターは、喉と耳の穴。目も同じく弱点となる。
鋼の如き体毛に覆われ鋭い牙や爪がある。また、頭蓋骨も硬く剣は疎か銃弾すら弾いてしまう程。
「喉の部分にある体毛は柔らかいんだよ」
常に頭を低い位置にした態勢を取るのも、弱点を隠すためだそうだ。そもそも喉の体毛が硬かったら、体を丸めることができなくなる。背中側に丸くなることは無いが、腹側に丸くなるのだから、体毛が硬いと自らに刺さってしまう。
頭さえ上に向けてしまえば、銃であれば効果を充分に得る。そして倒れたら耳の穴に銃弾をぶち込む。耳の穴の奥は脳に繋がる。楽に頭の中身を破壊できると言うことで。
「生物の形態を取るモンスターは、必ず生物として設計されているからな」
しっかり観察し弱点を素早く見抜く。それができれば深い階層のモンスターであっても、容易に倒すことが可能になるそうだ。
「とは言っても生物の形態を取らないモンスターも居る」
「それってなんですか?」
「ゴーレムだな。素材が土や石ならいいが、金属だと手に負えない」
金属系のゴーレムも居るんだ。って言うか、ゴーレムなんてのも居るんだな。そんなのに遭遇したことも無かったし、出現しそうな深い階層に潜ったこともない。
クリストフのパーティーは十階層辺りで、それ以上進もうとしなかった。アヴスラグで初めて十階層以降へ進んだくらいだ。どこで自信過剰になったのやら。
でも、そうなると金属系のゴーレムはどうやって倒すのか。
「倒せるんですか?」
「時間が掛かるだろうな」
逃げながらも魔法で熱を加え、なおかつ急速冷却を繰り返すと、金属が熱疲労を起こすらしい。
そうなれば脆くなっているから衝撃を与えれば破壊できると。
金属のヒートショックって奴か。
「まあ、どれだけ掛かるか分からないが」
だよなあ。そう簡単にヒートショックなんて起こさないし。
じゃあ倒す術がないのか。
「聖霊士の奇跡の光や聖法術ならば倒せる」
「じゃあ、金属ゴーレムが出てきたら」
「ヘンリケの出番だな」
「あたしの召喚でも倒せるよ」
デシリアが横から口を挟んできた。
「勘弁してくれ。あれを出すと周りも巻き込む」
「あの、どういうことです?」
「強酸を吐き出す奴や、超高温で溶かす奴だな」
「距離があれば大丈夫だってば」
モルテンが何度か死にそうになったとか言ってる。アルヴィンもヴェイセルもヘンリケまでも死ぬからやめろと言われてるし。
いずれにせよ倒せるけど、周りへの影響が大きすぎるのか。どんなものを召喚してるんだろう。
「黒魔法でも上級であれば倒せるな」
「使える人は?」
デシリアにメンバーの視線が向くから分かった。
「魔法も使うんですね」
「召喚魔導士って召喚術と黒魔法を使うから」
「なんか凄いんですね」
「でしょ? もっと褒めていいんだよ」
モルテンが「正直な話」として魔導士や召喚士が居ないと、ラビリント攻略は不可能らしい。階層主を倒せなくなるからだとか。
単純な物理的攻撃手段は、中層までの階層主にしか通じない。
ライフル銃が通じるのも五十四階層くらいだそうで。それより深い階層ではライフル銃は通じない。他所のラビリントで得た知見だそうだ。
ゆえに重機関銃が必要なのだとか。
「一度に同じ箇所に何十発と叩き込めるからな」
それであれば倒すことも可能かもしれないと。試したことは無いから確証はないらしい。
今まではラビリントに持ち込むことができなかった。結果、デシリアやヘンリケに頼ることになっていたそうだ。
「モルテンも戦えるでしょ」
モルテンは魔法剣士だから剣に魔法を纏わせることで、魔法プラス物理の特殊な効果を得ることができるとか。
「けどな、それをやると」
「だよね。だからイグナーツ」
「そうだ」
「頼りにしてるよ」
替えの剣を大量に持参してもらえれば、モルテンも戦力になると言うことだそうで。
深くなると階層主は単純な物理的攻撃を受け付けないのか。
他のパーティーはどうやって倒してるのだろう。召喚士やら法術士が居るのか?
気になって聞いてみると。
「召喚士は貴重だな」
「聖法術が使える人も殆ど居ないね」
「え、じゃあ」
「シルヴェバーリはメンバーに恵まれた」
聖霊士も極端に数が少ない。現時点で探索者として知られているのは五人だけ。希少な存在だから知れると争奪戦になることも。
召喚士は百人にひとりの割合。召喚魔導士になると千人にひとり。
聖法術の使い手は二千人にひとり。シルヴェバーリは希少な人材が集まったそうだ。
「探索者って、この国に何人居るんですか?」
「三万八千二百人くらい、と言われてるな」
召喚魔導士は三十八人。聖法術で十九人しか居ないのか。
つくづくシルヴェバーリは凄いパーティーなんだな。俺なんかが居ていいパーティーなのだろうか。
ただの荷物持ち。ちょっとは銃も扱えるようになってきたけど。
せめて足手纏いになるのだけは避けよう。
十六階層から十七階層へ進むと、ここからは俺の知らない世界になる。気を引き締めて挑まないと。
周囲を警戒しながら進むとデシリアに「気負わなくていいから」と言われてしまった。
「警戒するのは悪くないけど、気負い過ぎても疲れちゃうよ」
「え、あの」
「分かるんだけどね。でも大丈夫」
こんな浅い階層であれば怪我を負うことすらないそうだ。
「イグナーツはまだ守られる存在」
「そうよねえ」
ヘンリケも今は守られていればいいと。階層主相手に気張ってくれればいいそうで。
ろくな戦闘経験がないのだから、地道に経験を積むことが最優先。
危険が及ばないよう周りの仲間が守ると。
少し進むと二足歩行のモンスターと遭遇した。
駆け出すモルテンとアルヴィンが居る。後方に視線を向けるのはヴェイセルだ。
俺に視線が向くと「まずは見ておけ。モンスターの行動と弱点をな」と言われ観察することに。
向かってくるモンスターは足が異様に細い。でも、その足はまるで昆虫のようだ。
体は節があって鎧で覆われているような、節足動物系のモンスター。頭も昆虫みたいな。でも二足歩行。
「うわっ! 跳ねた」
「あれはね、跳ね回るから」
「体が軽いみたいね」
デシリアとヘンリケがモンスターのことを教えてくれる。
「体は硬いけど節に強度が無いの」
「それって」
「関節を攻撃すれば楽勝」
体を覆う殻とは異なり、可動部分は動かすために強度が不足する。もし、間接まで硬い殻で覆っていると動きに影響を生じる。俊敏な動きができない、もしくは動かせない。
節足動物のような存在は関節を狙うのだそうだ。
「ほら、すぐ終わった」
体から四肢を捥がれ床に転がるモンスターが居る。身動きが取れず藻掻いているだけ。
「イグナーツ。止めを」
「あ、はい」
モルテンに呼ばれ側に行くと「狙いは首関節」と言われる。ダガーを突き立てると最初は硬く抵抗があるも、すぐにザクザク切り進められた。
そして転がる首。
「頭も胴体も暫くは動くからな。頭は注意した方がいい」
噛みつかれるそうで。
「魔石を取る時だがな」
外骨格の隙間からダガーを刺し込み、切っていくと中身を取り出せる状態になる。
まあ中身ってのは内臓だったりするわけで。最初の頃は気色悪かったけど、今はすっかり慣れたな。
魔石回収が終わりさらに先へ進むと、またも外骨格を持つモンスターと遭遇。
「この階層は主にあの手のになる」
銃弾が通じにくいから剣で応戦することになる。
それでも重機関銃であれば足を吹き飛ばせるそうだ。
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