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第三章 異世界の馬車窓から

忍びの伴家

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スイの代わりに付いて来てくれているネイに、聞いても良いかなぁと、尋ねてみる。
今日はスイもニトも別行動だ。
二人ともよほど畳に座るのが嫌みたいだね。

「尋ねても良いと思いますよ。
言いふらすわけでも無いでしょうし。
呼んできますので、少々お待ちを」

微笑んで答えてくれるけど……ネイってスイ系だよなぁ…微笑みがこわ……ゴホン。

「うちの家業ですか?忍です」

サラッと答えるハルさん。
え?忍?忍者ですか?
織田の忍とか、うぉーーってなるんですけど!
テンション上がるんですけど!

「え?じゃあ忍術とか使えたりするんですか?
火遁の術とか、水遁の術とか!
あと手裏剣とか、苦無を投げたり、忍者刀とかで二刀流で戦ったり!」

上がったテンションのまま聞くと、
「……忍ですよ?
忍ってご存知ですか?」
逆に聞かれてしまった。

「忍術を使って火や水で攻撃したり、木の葉で身を隠したり、水の上を歩いたり、動物を操ったり……」
「……全て妖術で出来る事ですね」
あ、本当だ…。

「屋根の上を走ったり、木から木へ飛び移ったり、別人に化けたり、毒霧吐いたり…」
「曲芸師ですか?」

あーーー!静かに冷静に突っ込まれるって、メッチャ恥ずかしい!

真っ赤になっておぶおぶしていると、可哀想な子を見る目で僕を見ていたネイが、
「ウチ様…忍とは諜報活動のスペシャリストの事ですよ」
と、正解を教えてくれた。

「エ?ソナノ?」
恥ずかし過ぎて思わずカタコトになってしまったよ。

「そうですね、他国に忍び込み、その地の住人に混ざり込み、情報を集めて来ます。
情報を持ち帰る為に身体は鍛えております。
逃げる時に隠れる為、高い木に登ったり、水に潜る事もあるでしょうけど、家系的に音の妖精の祝福を受けていますので、最近の若い者は逃げ足を鍛えるくらいですかね」

「…手裏剣を投げたりとか、逃げる時にマキビシを撒いたり……」
「しませんね。
どんな武器でも一通り扱える訓練はしますけど、そう言った特殊武器を使うと、身元が判明してしまいますからね。
ロングソードやランス、弓や戦斧などの使い方に力を入れております」

…ああ……僕の中の忍のイメージって、マンガやドラマの中の物だったんだ。

「戦い方は一通り身につけますけど、基本的に私達は戦いには参加しません。
自衛はしますが、生きて情報を持ち帰るのが、私達の使命ですから」

えー…二本の忍者刀で…とか、あちこちに武器を仕込んでいて、ガンガン攻めていくとか……無いんだ………。
ちょっとがっかりなのは、口に出さない方がいいな。

「じゃあ家訓の【人との子を沢山作れ】ってのも、情報収集の為だったりするんですか?」
「そうですね、運命の人が人間なら問題は無いですけど、英勇家系の者は、魔物の方やハーフの方と結ばれる者が多いですからね」

ああ、祝福受けることが多いから、寿命的な問題で、人以外と結ばれる事が多いとか聞いたなあ。

「人じゃないといけないんですか?」
別に魔物でもいいじゃん。

「ウチ様、ラグノルとマモランド以外で魔物やハーフの者が暮らす事は珍しい事なんですよ」
あ、情報収集するのに目立っちゃあダメか。

「近隣国ではハーフの方も多少は暮らしていますけど、やはり本当に少数なのですよ。
情報を集めるなら、目立たないのが第一ですからね」
「北へ行けば行くほど人ばかりですから、情報収集の為に人の子が居ないといけませんし、紛れ込ませるなら一人二人より、複数の者を忍び込ませないと、いざという時に対処できません。
なのてわトモ家の方々は運命の人と死別した後は、人と一緒になるのです」

正確に、確実に情報を集めるなら人数が多い方がいいと言うのはわかるけど、わからないのが…、

「そもそも運命の人って何?」






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この方検索かけると居ます。
本能寺でお亡くなりになったそうです。
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