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番外編ーこぼれ話集ー

その4 ワンコ副団長の日常

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自分の名前はエル・スウ・リイであります。
ラグノル国近衛団の副団長をしているであります。

自分の上司はオダ・ラト・ネイ様であります。
かの初代様、オダ・ノブ・ナガ様のご子孫様であられます。

バンパイヤとのハーフであられまして、美しい容姿に、美しいコウモリの羽を持たれています。

しかもであります、ネイ様は【魅了】なる力で色々となされます。

色々とは……色々であります。

しかも刀を持たせると、右に出る者は居ないと言うほど、戦いにも優れているのであります。
 
素晴らしい方ですが、素晴らしさ故にココーの存在なのであります。

しかーし、最近ネイ様は変わられたのであります。
たった一人の少年の出現によってであります。

少年の名はトウ・ドウ・ウチ様であります。
目が金色になるほど、妖精の方から祝福を受けておられます。

自分は一つも祝福が無いと言うのに………。

とにかーく!この少年の出現により、ネイ様は笑われるようになったのであります!

笑われるのですよ!?

自分は良い事だと思うのでありますが、他の団員達は複雑な表情であります。

そんなウチ様が今、とても複雑な表情で自分を見ているであります。

「……どうされたでありますか?」
自分が問うと、ウチ様は大きくため息をついたのであります。

「つかぬ事をお伺いしますが……その喋り方はわざとなのですか?」
「わざと……とは?」
「初めて会った時から気になって気になって仕方なかったのですが……ハッキリ言わせていただきたい!
キャラに合ってないやろ!」

……?何のことなのかわかりません。
ウチ様は滔々と語り出したであります。

「まずはその言葉遣い!なんなんですか、下っ端ならまだしも、副団長でしょ?
役職に合った話し方ってあるでしょう!
何よりそのルックスでその喋り方は無いですよ。
何ですかそれ、王子様ルックスの無駄遣いですか?」

一気に言われも半分くらいしかわからないでありますが……話し方?

「自分は騎士団に入団した時からこの話し方でありますが、何か問題がありますか?」
「だから入団した時とかならまだしも、リイさんって今、上の立場なんだからその喋り方は変です!」

何ですと!

「喋り方は、立場によって変えた方が良いのでありますか?」
「そりゃそうですよ」
「しかし……他の喋り方とはどうすれば…」
「友達とか、家族の前で喋るようでいいんじゃないかな」

家族の前……。

「そんな普通に喋って大丈夫なのか?」
「あー、まだそっちの方がいいよ」
だいたいそんな金髪碧眼のイッケメーンがあの喋り方なんて……と、まだぶつぶつ言っているウチ様。

「でも団長でも丁寧な喋り方なのに、その部下の自分が普通に喋るだなんて…」
「まぁネイはあれで合ってるからいいんだって。
リイの場合フレンドリーイケメン路線でいこう」

意味がわからないであります……いや、意味がわからないな。
でも、普通の喋り方にしたら、団員達のウケが良かったから、ウチ様の言うことは正しかったんだな。

「え?お礼?
そんなのいいよ、僕が突っ込まずに居られなかっただけだから」

後日ウチ様にお礼を言いにくと、謝礼は断られた。
謝礼は断られたんだけど、代わりと言って言われた条件が……、

「あ~~、モフモフ幸せ~。
熊澤さんのツルスベも良いけど、やっぱりモフモフも良いよね~」
好きな時にシッポを触る事だ。

どうやらシッポを触る行為を『モフる』と言うらしい。
正直シッポは弱点とまで言わなくても、弱いんだけど、我慢できないほどでも無いし、条件を飲んだ。

「女性をモフるとセクハラだしね~。
あ~~癒される~~~」

ウチ様の言葉はたまに理解できないけど、幸せそうだしまぁいいか。

そんな今日この頃の俺の日常だ。




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