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番外編ーこぼれ話集ー
その3 カイ王子
しおりを挟む私の名前はタシ・ジン・カイ、国王のタシ・リア・ジンの長男だ。
今日から宰相の後を引き継ぐため、レニ宰相の執務室に向かっているところだ。
8年ほど前、無知であった私は、城の禁書を探し、英雄召喚をしてしまった。
英雄召喚…別の世界から、その時に必要な人物がこの世界に召喚される方法。
召喚されるのは、この世界に必要で、亡くなりかけた方が召喚される。
なぜそんなことをしたのかと言うと、国王である父の寿命を伸ばしたかったから。
魔物である母や、祝福を受けている私、ハーフである妹は150年は生きると言うのに、祝福を受けてはいない父は私よりうんと早くに儚くなってしまう。
その事に恐怖を覚え、方法を探した際にその禁術を見つけた。
「そうだ、妖精に好まれる英雄を召喚して、一部を父上に分けて貰えれば良いのではないのか」
幼い私はそう考え、召喚した。
そう、その頃の私は知らなかったのだ。
この国、ラグノルの国王になれる条件を。
16際で学園を卒業した私は、父に呼び出され、王家の石を見せられることとなった。
そこで知ったこの国の秘められた歴史。
そして知った、私は父の跡を継げないと言う事……。
一つ上の従兄弟でもあるユゲ・レン・ナチが次期国王であると言う事…………。
勿論ナチは素晴らしい人物だ。
いつも周りを気遣い、発言する前に色々と考えている。
ある日問いかけに対する答えが一呼吸開くのに気づき、理由を聞いてみた。
本人にズバりと聞くなんて、幼かったのだよな。
「一度口から出してしまった言葉はなかった事にはならないからね。
話す時にはその発言がその時の一番最良な答えなのか、一度考えてから話す事にしているんだよ。
周りや自分も傷つけないようにね」
それまで私は一つ年上の従兄弟殿を、祝福を受けていない、寿命も短い可哀想な存在だと思っていた。
傲慢であるな。
しかし、その言葉を聞いた時に、たった一つしか違わないのに、ナチは私より広い世界を見ている……大人な存在だと思った。
王家の石を見た時に、次期国王はナチであると父から告げられたが、条件だけではなく、ナチなら国の国民の事を考えられる良い王になれるだろうと思った。
間違えても自分が寂しくならないように禁術を使い、他の世界に住まわれていた人の運命を変えてしまった私よりは。
父に問われたのは、ナチを支えるか、違う道を歩むかだ。
歴代王に兄弟がいた場合、宰相や大臣となり、王を支えているけれど、これは強制ではない。
それぞれ自分で選択してその道へと進むそうだ。
私の答えは勿論……。
さて、色々教えを請わなければならないな。
国の為、ナチの為、父に恥じない為、何より私自身の為、沢山の事を学んでいこう。
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