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第五章 問題は尽きないようです

髭の閣下

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髭閣下(だってまだ名乗ってくれてないから名前知らないし)は、聞いていた通り、
「まずはそこで潰れてる部下二人を倒して力を示せ。
その後俺に勝ったら話を聞いてやる」
脳筋だった……ってかギューギューで潰されてるの二人なの⁈


*****


僕達はウキウキした空気を隠しもしない髭閣下に連れられて、鍛錬場(城の庭に有るとは…)に赴いた。

「ここで代表3人で戦って、全勝したら話を聞いてやる」
「全勝…か?」
クマ将軍が聞いた。

代表3人なら、勝ち越したらって条件なんじゃないの?

「ああ、全勝だ」
髭閣下は僕たちに向かって腕に突き出し、指を一本ずつ立てていく。

「お前らが無断で入国した事を見逃すので一勝、武装した奴らが執務室に入って来た事を不問にする事で一勝、そんで話を聞くのに一勝だ」

「成る程」

いや、クマ将軍、成る程じゃないよ、交渉とかしようよ。

「そっちが一敗で、国外追放、二敗で投獄、全敗で処刑かな」

「それは条件が厳しいのではないのか」
クマ将軍が言うけれど、
「本来なら有無を言わせずのところを、交渉するチャンスを与えてるんだから、厳しくはないだろ?」

「成る程」

だから!成る程じゃ無いよ、将軍!
寡黙なのは知ってるけど!
力で勝ち取った立場とは言え、相手の方が役者が上だな。

「こちらからはこいつら二人と俺が出よう。
こう見えても国で俺の次に強い奴らだ」
「それならこちらは……」
クマ将軍が誰を選ぶか兵士を見回していると、髭閣下が止めた。

「いや、そっちのもこちらで選ばせてもらう」
「なに?」
「今あんた後ろの兵隊から選ぶつもりだったろ?
弱い奴出されても面白くないからな」
その言葉に兵士さん達が騒つく。

「そうだなぁ……そっちからはあんたとあんた」
髭閣下が指をさしたのはクマ将軍と、ネイだ。

「それと…………」
うわっ、視線がバッチリ合ってしまった。

「……この中じゃあお前が一番強いよな」
僕に視線を当てたままニヤリと笑う。

「でもお前の強さはなんか違うよな。
力の強さじゃない、内に秘めたもののパワーだ」
うん、内に居る妖精達の力だからね。
単純な力だと、髭閣下の指先一つでダウンだよ。

だって立ち上がった髭閣下、縦もデカイ。
僕なんて背伸びしても腰より低いかも……。

「そうだなぁ、あと一人は……あんただな」
指をさされたのはスイだった。


*****


フェンディスの庭が見下ろせる城の窓という窓から、これから行われる試合を見ようと、人が鈴なりだ。

勿論庭も人の山で「やっちまえ」や「ぶっ殺せ」など、とても城内とは思えない罵声が飛び交っている。

対戦相手は戦斧を担いだ中肉中背の男と、短剣をクルクル回している細身の男、そして縦にも横にもデカイ髭閣下だ。
細身の男はスピードタイプだろうから、ネイに相手してもらうとして、髭閣下には……

「あ、俺の相手はその兄ちゃんな。
そのおっさんはその腰の獲物使うんだろ?
戦った事あるタイプは面白く無いからな。
そっちの兄ちゃんの獲物は見たことない形だけど、剣は剣だからな。
だからそっちの獲物を持っていないのに強い兄ちゃんとやり合いたいな。
体術使うほど筋肉(にく)は付いてないし、飛び道具使う感じでもないしな」
楽しみだと笑う髭閣下……もう髭でいいや。

何だか髭がスイを見る視線がねちっこくて嫌な感じ。




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