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教えてお兄様
しおりを挟む俺がフラグを立ててしまったのか、最近スカーレットと王子の仲が良い。
ヒロインであるクリスティーナはと言うと…。
どうやらモースディブス・ベクトリグや教師と話しているのをよく見かける。
そちらのルートに行くのかな?
よし、ここはキューピット役らしく、間をとり持ってあげようかな。
そうと決まれば、同学年の兄にどんな奴か聞き込みだね。
*****
帰宅後、兄の部屋のドアをノックすると、中からアルバートが出て来た。
「あら、お兄様が直接迎えてくださるなんて。
リヒャルトはどうなさったの?」
普段なら従僕が相手を確認して、主人の許可が出てからドアを開けるのに。
「キャシーの迎えを他の人に任せられないからね」
ニッコリ微笑んで言うけど、何で俺が来るってわかったの?
怖いんだけど!
でも顔に出すのはNGだから、微笑み返す。
「あら、流石お兄様ですわ。
今お時間よろしくて?」
招き入れられ、2人掛けのソファーに案内される。
その向かいにある1人掛けのソファーに座るかと思っていた兄は、俺の隣に座ってしまった…距離詰めるの怖いんだけど!
でもよくよく考えてみると、いつものことだった……。
この距離を疑問に思わないどころか、兄様に愛されて私って幸せ者、なんて思っていたキャスティーヌもどうなのよ?
「それで?僕にどんな話があるのかな?」
笑っているけど目が笑ってなくね?
「あ…あの、お兄様にお伺いしたい事がありますの。
お兄様の級友の方で、ベクトリグ様の事をお伺いしたいのですけど」
モースディブスの名前を出すと、兄が固まった。
「…………ああ、同じクラスに居るけど、奴……彼がどうかしたのかい?」
隣から冷気が漂って来るのはきのせい?
「どう言う方かをお聞きしたいのですが」
「……………………………………」
「お…お兄様?」
「…………………………………………………………」
兄のお付きのリヒャルトがお茶を出してくれたので、兄が再起動するまで茶を飲み待つとするか。
紅茶を一杯飲み終わる頃、兄が真顔で聞いてきた。
「キャシーはあいつが気になるのかい?」
意識が飛んでた時間なんて無かったのように、話が続いてるね、まぁ話が早くて良いけど。
「私がではなく、私のお友達が最近ベクトリグ様と良い雰囲気ですの」
内緒ですわよ、と笑顔に乗せて言うと、真顔だった兄の顔が、ぱーーーっと輝いた。
「そ、そうか、キャシーが気になるのではなく、キャシーの友達がなのか」
よかったよかったと大きく頷いている。
シスコンって誰でもこんな感じなのかねぇ。
「そうだね、彼はとても頭の良い方だよ。
武芸もなかなかだけれど、やはり商家の跡取りだからなのか、経済学だと僕の次に成績が良いかな」
口の軽くなった兄から色々聞いたけど、キャラ設定と大差は無かった。
やっぱり頭の回転が良い奴らしい。
「ただ少し困ったのが、どうも彼は僕をライバル視しているみたいなんだよね」
「それはお兄様がパーフェクトだからなのでは?
お兄様に敵う方なんていらっしゃらないですもの」
褒めると笑顔が更に増す。
「キャシーはそう言ってくれるけど、個々の成績だと僕より上の人は居るよ。
現に剣術ではリズに負ける事もあるんだし」
敵わないじゃなくて、負ける事もあるってのがミソなんだね。
オールマイティ設定ってズルい。
「クリスティーナ様……私のお友達も頭の良い方ですわ。
勿論体術の成績も良いのです。
明るい方で、何度も私を助けてくれてますの」
「そうだね、彼女もなかなか優秀のようだね。
キャシー程ではないけれど、魅力のある方だと思うよ」
俺の友達だから、勿論二人は面識が有る。
「私の自慢のお友達ですわ」
特にお嬢様ならどう言う言葉遣いなのかと考えて、とっさに返答できない時など、俺の代わりに色々言い返したりしてくれるし。
え?利用している?
そんな事ない……はず。
まぁ、世話になってるからこそ、役目を全うする意味も含め、ハッピーエンド目指してもらう手伝いをしようと思うんだけどね。
二杯目のお茶を飲み終わる頃には、色々な情報を引き出し終わった。
さてと、そろそろ部屋へ戻ろうかな。
「ありがとうございましたお兄様。
機会があれば彼女に今お伺いしたお話を伝えようと思います」
もう一度ありがとうと伝えて、ソファーから立ち上がろうとしたんだけれど、
「そうだ、キャシー。僕もキャシーに聞きたいことがあるのだけど」
肩を押さえて引き止められてしまった。
あれ?また笑顔が怖くなってる?
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