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想定外のお客さん

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連絡があって二日後、客人が訪れた。
冒険者パーティー【旭の昇る海】のメンバーが二人と、なぜかランフェルの3人が、やって来た。

冒険者達以外の出迎えているメンバーは、慌てて頭を下げたままだ。
 
「やっぱり兄貴達かー」
馬車から降りて来たのは、一目でアキチカとミヤミヤムーの兄弟だとわかる見た目の青年だった。

二人は出迎えている俺たちの前に立ち、両手を後ろに組み頭を下げ挨拶をしてくる。
おじさんだけ頭を上げて、挨拶を受けるけど、俺達は頭を下げた。

「初めまして、パーティー【旭の昇る海】リーダーの晴盛(はるもり)です。
そしてこちらがサブリーダーの…」「チムチムリーと申します。
そこのふてくされている男の兄です」
「遠いところをようこそ。
この地を任されている、トーマソン・アスデモスです。
そして、ランフェル殿下、おいでになるとは存じず、申し訳ございません」

うちの国では、領地に王族が訪れる時は、領民も、家に勤めている者も総出で迎えるのが普通だ。
国民の事をよく考えて、善政を敷く王族の事が国民 皆好きだから、こぞって集まっていたら、それが通例になったらしい。

今回は知らなかったので、リズヴァーン一家の3人と執事、従僕2人とメイドが3人(到着した客人の案内と荷物持ちの為)それと俺の9人と、冒険者達でのお迎えだ。

「構わぬ、今回私はただの案内人なのだから、固く考える必要はない。
皆も頭を上げてくれ」

言われて初めて頭を上げる。
いくら学園では同級や先輩と云えど、学園の外に出れば王族と民だ。
頭も下げるし、こちらから話しかけることもない。
本来なら挨拶の一つでも、辺境伯であるおじさんであれど、自分から挨拶をする事はない。

でも今回は、メインの客は冒険者で、王子が来る連絡も無く、しかも客から先に挨拶をされたから例外扱いになるのか?
臨機応変?

ぶっちゃけて言うと、うちの国はそこまでキッチキチに身分によってのしきたりは無い。
ただ、国民の方が自発的に王族を敬い、言い方は悪いけど遜っている。
尊敬できる相手には、自然と立てる態度になっちゃうよね。

立ち話もなんだからと、場所を移動したのだけど、俺達13人と護衛とお付き、メイドと執事……総勢30人も入るとサロンは窮屈に感じる。
元々おじさん達は、領地では社交をしないので、サロンは王都の貴族やうちより小さめなんだよね。

13人が腰を落ち着け、お茶が配られて一息ついてから、話が始まる。
東の国へ向かったアキチカ達がここに居る理由を聞き、東の国との関係がどのようになっているかを説明した。

「なる程、確執は有るけれど、和平は結ばれていると」
「だからと言って友好的とは言えず、現状はお互い干渉しないと言うところですかね」
「攻めてこなければ、こちらからは何もしません。
あちらから交易を求められれば、現在も応じてもいますし。
相手次第…とでも言うのでしょうか」

おじさんの言葉に王子が続ける。
「排他的ですから、見知らぬ者は受け入れないでしょう。
威嚇攻撃だったのでしょうが、怪我などなくてなによりです」

本当だよ、国際問題になるとこだったよね。

ハルモリさん達のパーティーは、もう一つのパーティーと王都内を王子に案内してもらい、そちらのパーティーは、うちの国を西から北へ、ハルモリさん達のパーティーは、東(うちの領地)から北へ、そこでアキチカ達と合流して、三つのパーティーが一緒に山脈を越え、北の国へ行く予定。

うちのサリフォル領までが範囲内で、アスデモス領まで来る予定はなかったそうだ。
サリフォル領でアキチカ達がアスデモス領に居ると聞き、ハルモリとチムチムリーの二人が確認に来たと。

因みにハルモリのパーティーには王子が、西へ向かったパーティーには、公爵家から案内人が付いているそうだ。

情報交換が終わった頃には、昼の準備が整ったので、昼食に。
食休みの後は、折角だからとハルモリ達を領地へ案内した。
ゾロゾロと行ってもなんなので、ハルモリとチムチムリーの二人をおじさんが案内した。

俺達が行こうか?と言ったんだけど、アキチカ達を案内してくれたんだから、今回は自分が行くと言うので、お任せした。
もしかして、王子の相手をするのが嫌なのか?

アキチカ達は、おばさんと猟師達と夕食の食材を獲りに、狩へと出かけたので、残ったのは俺とリズヴァーンと王子だ。

サロンで話をしようと思ったら、王子から「なるべく人の耳のないところで話をしたい」と言われて、リズヴァーンの部屋へ移動した。


個人の部屋でも王城の王子の部屋なら、部屋の入り口には護衛が立ち、部屋の中には従者とメイドがいるはずだし、俺やリズヴァーンでもお付きは部屋にいるし、メイドもいたりいなかったりで、完全に一人になることはほとんど無い。

だから、本来なら俺達3人が同じ部屋にいたら、入り口に護衛が立ち、従者やマリアンヌの様な、それぞれのお付きも合わせて、10人ほど部屋の中に居るはずだ。

でも今は人払いをして、護衛も入り口の外に立たせ、お付き達も出てもらっているので、部屋の中には3人だけになっている。
お茶を運んできたメイドも出て行き、扉を閉め人の気配がなくなった頃に、王子の話が始まった。








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