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第一章
第10話:筆記試験
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急いで申し込み用紙に必要事項を記入して身分証と一緒に渡すと、すぐに手続きを終えてくれた。
「受験料は一万五千円です。お支払いはそちらの端末でお願いします。毎度あり」
「ま、毎度あり?」
「なんでもありません。お支払いをお願いします」
「あの……」
「お支払いをお願いします」
顔はめっちゃ笑顔なのに、なんか圧が……。
オレは若干引きながらもスマホで決済を終わらせる。
「はい。ありがとうございます。では、お時間もあまりありません、すぐにそちらの階段から二階に上がってください。そうしますと目立つ案内板がありますので指定された部屋に入って頂き、そちらでまずは筆記試験をお受け下さい。筆記と言ってもタブレットで行いますので筆記用具なども必要ございません。筆記が終わりますと一時間の休憩を挟んで合否が発表されますので、その間に昼食などを済ませ、合格していた場合は説明を受けて実技試験にお進み下さい」
「わかりました。アドバイスもありがとうございます」
なんか乗せられた気がしないでもないが、この展開は望むところだ。
試験勉強は一通り終わらせてあるし、レベルも今はたぶん二桁に届いている。
実技試験ではかなりのアドバンテージになるはずだ。
何度も受けるのが普通だと言っていたが、一発合格を狙ってやろうじゃないか!
◆◇◆◇◆◇◆◇
筆記試験が終わったので、一階にあった食堂で昼食を食べることにした。
試験の手応えとしてはかなり良かったと思う。
特にわからないような問題もなかったしね。
食堂に着き、選んだのはオムライス。
ふわふわな卵にデミグラスソースやホワイトソースがかかったようなおしゃれなやつ……ではなく、薄焼き卵にケチャップがかかった昔ながらのやつだ。
「やっぱオムライスはこうでなくちゃ」
別にオムライスにこだわりがあるわけではないが、昔爺ちゃんがよく作ってくれたので結構好きな方だ。
シンプルでどこか懐かしさを感じる見た目。一口食べるとしっとりとした卵の優しい味が口の中に広がり、ほんのりとバターの香りを残す。
その卵に包まれたケチャップライスも程よい酸味と甘みが絶妙なバランスを保っており、すぐに次の一口をと何度もスプーンを運んでいく。
「これは当たりだったな!」
最近こそあまり料理はしなくなっていたが、爺ちゃんと二人ぐらしだったので料理はそれなりに出来るほうだと思う。食べに行きたくても周りになにもなかったから必要に迫られてって感じではあったが。
でも、このオムライスはオレでは再現するのは難しそうだ。
だって、びっくりするほど美味しいのに、いったいどうして、何がこんなに美味しくしているのかわからないのだ。
シンプルな料理ほど腕の差が出るということなのかもしれない。
味に感心しているうちに、あっという間に食べ終わってしまった。
まじで旨かった。
ここは家からそこまで遠くないし、魔石を売るついでにこれからちょくちょく食べにこよう。
「ごちそうさま」
食事を済ませたオレは、まだ少し早かったが先ほど筆記試験を受けた部屋へと向かうことにした。
さっきはオレが部屋に入るとすぐに試験官が来て試験が始まってしまったので、周りはあまり確認できなかった。でも、一〇人もいなかったと思う。
この辺りでは探索者協会浅井支部でしか試験が受けられないはずなのでもっといるのかと思ったが、毎日受けられるみたいだしこんなものか。
運転免許は七割ぐらいの人が取るとか聞いたことがあるが、探索者の免許はもちろんそこまでではないだろうし、飛び込み試験の合格率はかなり低い。
ほとんどの人は探索者養成学校に行くみたいだし、これでも多いぐらいか。
部屋に着くと、二〇歳前後と思われる若い男四人と、ぱっと見だと高校生にしか見えないような一人の女性が既に席に着いていた。
みんな発表を前に緊張をしているようで空気が重い。
オレは三〇代だしエンジニアとして今までそこそこ稼いでいたから一万五千円ぐらい痛くはないが、あれぐらいの歳だと受験料も馬鹿にならないからな。
そもそもレベル1だと実技に受かる確率はかなり低いから、何度も受けることになるから尚更だ。
ちょっとズルしているみたいで、少し申し訳ない気分になる。
でもオレは年齢的なハンデもあるし、爺ちゃんから受け継いだ軽トラを押収されるわけにはいかない。だいふくを守るためにも利用できるものはなんでも利用してやるつもりだ。甘いことを考えて、なにを優先すべきかを忘れないようにしなければな。
席に着いて暫く無言で待っていると、受付にいた職員の女性が入ってきた。
どうやらさっきの試験官ではなく、この女性が対応するようだ。
「お待たせしました。それでは今から結果の方を発表致します。番号を呼ばれましたら資料を取りに来てください。それと、ネットで申し込まれた方は既に合否がわかっているかと思いますが、当日申し込みで番号を呼ばれなかった方は不合格ということになりますので、そのままご退室をお願いいたします」
え? みんな受かってるの確認してからここに来ているのか!?
ということは今まだ来てない奴は筆記で落ちた?
うわっ! これで番号呼ばれなかったら恥ずかしいぞ!?
次々と番号が発表されていく様子を今度はオレ一人緊張しながら聞くことになってしまった……。
「七番の方も合格です。資料を取りに来て下さい」
よ、良かった……。ちゃんと合格していた。
手応え的に自信はあったけど、無駄に緊張してしまったじゃないか……。
こうしてオレは、無事に実技試験へと駒を進めたのだった。
「受験料は一万五千円です。お支払いはそちらの端末でお願いします。毎度あり」
「ま、毎度あり?」
「なんでもありません。お支払いをお願いします」
「あの……」
「お支払いをお願いします」
顔はめっちゃ笑顔なのに、なんか圧が……。
オレは若干引きながらもスマホで決済を終わらせる。
「はい。ありがとうございます。では、お時間もあまりありません、すぐにそちらの階段から二階に上がってください。そうしますと目立つ案内板がありますので指定された部屋に入って頂き、そちらでまずは筆記試験をお受け下さい。筆記と言ってもタブレットで行いますので筆記用具なども必要ございません。筆記が終わりますと一時間の休憩を挟んで合否が発表されますので、その間に昼食などを済ませ、合格していた場合は説明を受けて実技試験にお進み下さい」
「わかりました。アドバイスもありがとうございます」
なんか乗せられた気がしないでもないが、この展開は望むところだ。
試験勉強は一通り終わらせてあるし、レベルも今はたぶん二桁に届いている。
実技試験ではかなりのアドバンテージになるはずだ。
何度も受けるのが普通だと言っていたが、一発合格を狙ってやろうじゃないか!
◆◇◆◇◆◇◆◇
筆記試験が終わったので、一階にあった食堂で昼食を食べることにした。
試験の手応えとしてはかなり良かったと思う。
特にわからないような問題もなかったしね。
食堂に着き、選んだのはオムライス。
ふわふわな卵にデミグラスソースやホワイトソースがかかったようなおしゃれなやつ……ではなく、薄焼き卵にケチャップがかかった昔ながらのやつだ。
「やっぱオムライスはこうでなくちゃ」
別にオムライスにこだわりがあるわけではないが、昔爺ちゃんがよく作ってくれたので結構好きな方だ。
シンプルでどこか懐かしさを感じる見た目。一口食べるとしっとりとした卵の優しい味が口の中に広がり、ほんのりとバターの香りを残す。
その卵に包まれたケチャップライスも程よい酸味と甘みが絶妙なバランスを保っており、すぐに次の一口をと何度もスプーンを運んでいく。
「これは当たりだったな!」
最近こそあまり料理はしなくなっていたが、爺ちゃんと二人ぐらしだったので料理はそれなりに出来るほうだと思う。食べに行きたくても周りになにもなかったから必要に迫られてって感じではあったが。
でも、このオムライスはオレでは再現するのは難しそうだ。
だって、びっくりするほど美味しいのに、いったいどうして、何がこんなに美味しくしているのかわからないのだ。
シンプルな料理ほど腕の差が出るということなのかもしれない。
味に感心しているうちに、あっという間に食べ終わってしまった。
まじで旨かった。
ここは家からそこまで遠くないし、魔石を売るついでにこれからちょくちょく食べにこよう。
「ごちそうさま」
食事を済ませたオレは、まだ少し早かったが先ほど筆記試験を受けた部屋へと向かうことにした。
さっきはオレが部屋に入るとすぐに試験官が来て試験が始まってしまったので、周りはあまり確認できなかった。でも、一〇人もいなかったと思う。
この辺りでは探索者協会浅井支部でしか試験が受けられないはずなのでもっといるのかと思ったが、毎日受けられるみたいだしこんなものか。
運転免許は七割ぐらいの人が取るとか聞いたことがあるが、探索者の免許はもちろんそこまでではないだろうし、飛び込み試験の合格率はかなり低い。
ほとんどの人は探索者養成学校に行くみたいだし、これでも多いぐらいか。
部屋に着くと、二〇歳前後と思われる若い男四人と、ぱっと見だと高校生にしか見えないような一人の女性が既に席に着いていた。
みんな発表を前に緊張をしているようで空気が重い。
オレは三〇代だしエンジニアとして今までそこそこ稼いでいたから一万五千円ぐらい痛くはないが、あれぐらいの歳だと受験料も馬鹿にならないからな。
そもそもレベル1だと実技に受かる確率はかなり低いから、何度も受けることになるから尚更だ。
ちょっとズルしているみたいで、少し申し訳ない気分になる。
でもオレは年齢的なハンデもあるし、爺ちゃんから受け継いだ軽トラを押収されるわけにはいかない。だいふくを守るためにも利用できるものはなんでも利用してやるつもりだ。甘いことを考えて、なにを優先すべきかを忘れないようにしなければな。
席に着いて暫く無言で待っていると、受付にいた職員の女性が入ってきた。
どうやらさっきの試験官ではなく、この女性が対応するようだ。
「お待たせしました。それでは今から結果の方を発表致します。番号を呼ばれましたら資料を取りに来てください。それと、ネットで申し込まれた方は既に合否がわかっているかと思いますが、当日申し込みで番号を呼ばれなかった方は不合格ということになりますので、そのままご退室をお願いいたします」
え? みんな受かってるの確認してからここに来ているのか!?
ということは今まだ来てない奴は筆記で落ちた?
うわっ! これで番号呼ばれなかったら恥ずかしいぞ!?
次々と番号が発表されていく様子を今度はオレ一人緊張しながら聞くことになってしまった……。
「七番の方も合格です。資料を取りに来て下さい」
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手応え的に自信はあったけど、無駄に緊張してしまったじゃないか……。
こうしてオレは、無事に実技試験へと駒を進めたのだった。
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