軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸

文字の大きさ
16 / 52
第一章

第16話:憧れてない

しおりを挟む
 ちょっと雰囲気を掴むだけのつもりだったのに、あっけなく探索者になれてしまった。
 いや、探索者試験に向けてしっかり勉強もしてたし、軽トラダンジョンでレベル上げも行って準備万端だっただけだから「あっけなく」ってのも違うか。

 でもそう感じてしまうぐらい上手くいったのは、すべて軽トラダンジョンのお陰だ。
 軽トラの荷台にダンジョンゲートが現れた時にはどうなることかと思ったが、今となっては絶対に手放せないものになっている。

「ははは。しかしオレが探索者か~」

 オレが小中学校の頃は、探索者を題材にした漫画やアニメが流行っていたのもあり憧れてはいたが、それは夢の話であり、まさか本当に自分が探索者になるとは思ってもみなかった。

 それは十数年前までは今以上に危険な職業だったことが大きい。

 今でこそ探索者養成学校でノウハウを学び、ある程度まで安全にレベルをあげてから探索者になる仕組みが出来上がっているが、それまでの探索者一年目の死亡率はとても高く、大人に近づくにつれ現実が見えてくると、その数字を目にして諦める者がほとんどだった。

 もちろんオレもその一人だ。

「それがまさか三〇も折り返しになる歳になってから探索者になるなんてな」

「ばぅわぅ!」

「だいふく、おまたせ~」

 免許の交付が終わってこっそり軽トラダンジョンに入ったオレは、時間の流れる早さを元の一〇倍に戻してからだいふくを迎えに向かった。

「ばぅ!」

「ほうら。おやつ食……」

「ばふん!!」

「うか……って、あれ?」

 なんだ? おやつをあげようと思って袋から出したのに、いつの間にかおやつが消えているんだが?

「……落とした?」

 でも、その割にはだいふくが反応していない。
 おやつを落としていたらこいつが気付かないはずがない。

 オレは疑問に思いながらも袋からもう一つおやつを……。

「ばふん!!」

「………………」

 間違いない。首を傾げて「おやつまだ~?」みたいな顔をしているが……。

「だいふく……。ちょ~っと口を開けてみようか?」

「………………」

「あれ~? どうして後退りしているのかな~?」

 ごくん。

「飲み込んだ!!」

「ばぅぅ!?」

 その後、だいふくとしばらく追いかけっこした。
 あれ? こいつこんな速かったかな?


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 探索者免許を取得した翌日。
 昨日は引っ越しの荷下ろしも管理者倉庫のお陰で一瞬で終わったので、今日はさっそく浅井ダンジョンに行くことにした。

 まぁ翌日といっても、軽トラダンジョンの中でみっちり一日かけてダンジョン探索の注意点などを復習しておいたので準備は万端だ。もちろん休息も十分。

 今回は最初からだいふくを軽トラダンジョンに入れて時間の流れを調整してから向かっている。
 ネットで調べた感じでは普通ダンジョンの中の流れる時間のズレは、三倍前後までのことが多いらしい。
 だからよほどのことがない限り、もし数時間ほど浅井ダンジョンを探索しても、だいふくが待つのは短い時間で済むはずだ。
 まぁダンジョンの中の時間の流れの早さは確認できるので、もし五分の一とかになっていれば日を改めでもしよう。

 最終的にはダンジョン探索に慣れてきたら、作業部屋を使って連れて行ってもいいかとは考えているんだが、まだしばらくは軽トラダンジョンの中でお留守番してもらうつもりだ。



 軽トラに乗って一時間ほど移動して浅井ダンジョンに着いた。
 しかし併設の探索者協会浅井支部に入ったオレは、そのままダンジョンに入らず、ある窓口に向かった。

「すみません。装備のレンタルをお願いしたいのですが」

「はい。レンタルですね。武器と防具両方でしょうか?」

「いえ。今日はスライムだけのつもりなので武器だけお願いします」

 スライムだからという理由は嘘だ。
 本当は防具は管理者ローブがあるので必要ないだけだ。
 軽トラダンジョンでコボルト相手に検証してみたが、コボルトからだとダメージをまったく受けなかった。だから防具は当面必要ない。

 武器もスライムだけならいつものスパナで十分なのだが、これから探索者を続けていくにあたり、将来どの武器種を使っていくのか決めるのに色々試してみたかったのだ。

「畏まりました。それでは端末をお願いします」

 オレはバンドで腕につけていたD-Loggerディーロガーを外すと、受付のお姉さんに手渡した。

「……霧島蒼司様ですね。確認できました。では、武器の種類は何をご希望でしょうか?」

「えっと、自分に合う武器を探したいのですが、何種類か一度に借りることはできますか?」

「そうですね。本来はメイン武器とサブ武器の二本までなのですが、そういうことでしたら今回だけ特別に三本まで貸し出させて頂きます。それ以上は持ち運ばれるのも大変ですし、不意の襲撃などで反応が遅れる危険がありますので」

 お~。言ってみるものだな。
 受付のお姉さんはオレのリュックをチラッと見てたので作戦成功だ。
 管理者倉庫があるので手ぶらでいいのだが、大きめのリュックを背負っておいたのだ。

 本音を言えば管理者倉庫に武器ぐらいいくらでも入るので全種類貸して欲しいのだが、探索者活動が軌道に乗るまでは目立ちたくない。
 調べてみたら管理者倉庫と似たアイテムボックスというスキルは存在するのだが、そちらも所持している者が少なく、たちの悪い探索者にバレると無理やり荷物持ちされかねないらしいのだ。
 だから自衛できるようになるまでは管理者倉庫も慎重に使わなければいけない。

 もちろん作業部屋なんて似たスキルすら存在しないし、ダンジョンアドミニストレーター関連の派生スキルは全部秘匿する必要がある。
 っていうか、秘密にしなくていいスキルを何も持っていない気がするな……。

「それで、どうされますか?」

 おっと、考え込んでしまった。

「すみません。それじゃ、片手剣とメイス、あと槍をお願いします」

 どの武器も携帯するための鞘やベルトなどもセットなので、この組み合わせならなんとか持てるだろう。
 実際には戦闘する前に人気のないところで使わない武器を管理者倉庫にしまっておくつもりだが、とりあえず常識の範囲内で持ち運べるって体裁が必要だ。

 あらかじめチャージしておいたダンジョンPAYを使って端末で支払いを済ませて三つの武器を受け取ると、そのままダンジョンへと突入した。

 しかし途中で気付いたのだが、若干周りから注目を集めてしまっていた。

「はぁ……目立たないようにって思ってたところなのに、いきなり失敗した……。欲張らずに武器二つだけにすればよかった」

 左腰に片手剣を携え、右手には槍を持ち、リュックからはメイスがはみ出ていたせいで「弁慶にでも憧れてるのか?」と奇異の目で注目を集めてしまった。

「やってしまったものは仕方ない。気持ちを切り替えて武器を試していくか。と、その前に時間の流れは……お。三倍か。ラッキーだな。時間の流れが変わったら知らせてくれるようにセットしてと……」

 スライムを倒しまくったお陰で今のオレのレベルは既に12あるのだが、レベルが10になった時にいくつか便利な派生スキル能力が追加されていた。

 条件付きアラームもそのうちのひとつだ。
 次はレベル20になったらまた増えるのだろうか?
 戦闘系のスキルは含まれていなかったが、剣術スキルなどは戦っているうちに身につくことがあるみたいだし、頑張って身につけたいところだ。

 と言っても、どうすればスキルが取得できるのかは未だに解明されていない。
 ずっと剣を使い続けていても剣術スキルが取得できるとは限らない。
 だからスキルに頼らないでも戦えるように努力することが大事らしい。

 ちなみにレベル20にもなれば一人前と言われており、Dランクのダンジョンに入る条件にもなっている。まずはこのレベル20が目標かな。
 普通はレベル10になるのも数カ月かかるらしいので、ちょっとズルしたようで罪悪感を感じるが、オレはだいふくを守るためにも早く強くならなければいけない。これからも使えるものはなんでも使っていくつもりだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

現実世界にダンジョンが出現したのでフライングして最強に!

おとうふ
ファンタジー
2026年、突如として世界中にダンジョンが出現した。 ダンジョン内は無尽蔵にモンスターが湧き出し、それを倒すことでレベルが上がり、ステータスが上昇するという不思議空間だった。 過去の些細な事件のトラウマを克服できないまま、不登校の引きこもりになっていた中学2年生の橘冬夜は、好奇心から自宅近くに出現したダンジョンに真っ先に足を踏み入れた。 ダンジョンとは何なのか。なぜ出現したのか。その先に何があるのか。 世界が大混乱に陥る中、何もわからないままに、冬夜はこっそりとダンジョン探索にのめり込んでいく。 やがて来る厄災の日、そんな冬夜の好奇心が多くの人の命を救うことになるのだが、それはまだ誰も知らぬことだった。 至らぬところも多いと思いますが、よろしくお願いします!

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

処理中です...