哀歌-aika-【R-18】

哀歌

哀歌-1-

……どうして？

剛史はずっと疑問に思っていた。

愛する人はどうして一人だけなのだろう。
誰が勝手に一人と決めたのだろう。

胡桃を愛して、数え切れないくらいにセックスして幸せを噛みしめている中で、ふと脳裏に自分を待っている女性が浮かんだ。きっとご飯を準備している。彼女は今、何を思って過ごしているのだろう。


戻って抱き締めたい、と思った。
彼女の美味しいご飯を食べたい。話をしたい。
優しい笑顔で「たけちゃん」と呼んでほしい。


……そんな事を考えながらも、体の半分以上は胡桃を求めて続きをしたがっている。
目覚めたらどんな時間でも、また目の前の彼女と繋がりたくなる。
性欲は留まることなく溢れている。胡桃が欲しい。




夢は朧気だった。

家で出来たてのご飯と彼女の自信作の肉じゃがを食べている自分。
嬉しそうに自分を見つめている彼女。ほんの少し前まで別の女と淫らに愛し合っているくせに、自分は喜んでご飯を食べていた。

しかし、ゆっくりと景色が消えていく。

暗闇に堕ちて、目の前にいるのは裸の胡桃。微笑みを浮かべている。
そして、自分の手が彼女の首に近づいている。

そんな夢だった。


……ああ、そうだった。


これは、俺が……