異世界に渡ったら獣人だった!

小猫田猫助

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はじまり

3話 家族

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「どうだい調子は?スープ温めてきたんだけど、食べれそうかい?」
「大丈夫です。ありがとうございます。」

 さっきは身体が10歳に戻っていてパニックになりかけていた。でも何処かもわからない所で、騒ぎ立てて追い出されたりしたら大変だと思い、落ち着きを取り戻す事が出来た。
 そして状況が掴めるまで、記憶喪失のフリをする事にした。

「そういえば、お前さんの名前はなんて言うんだい?」
「すみません、自己紹介もせず。
 僕はナオト、神渡直人カミドナオトといいます。」
「カミド・ナート?ナートが名かい?」
「そうです。ナオトが名です。」
「ファミリーネームがはじめにくるなんて変わってるね。東方の方にそんな呼び方の国があるって聞いた事があるけど、そっちの方かねぇ。
 しかし困ったね。もし東方の地域だったら普通では辿りつけないんだよ。商人の船ですら、東方にはほぼ行かないから、どうやって連絡していいのか分からないね。
 でも親御さんも心配してるだろうから、早く連絡だけでもさせてあげたいけど。」
「家族は両親と妹がいたんですが、事故で亡くしました。住んでいた場所はちょっと記憶が曖昧で......」
「記憶が曖昧って、大丈夫かい?!
 明日レイバン先生に相談しようね!
 … …しかし…そうかい…まだ子供なのに家族を亡くしていたとは…辛かったね…
 そうだナート!!私達の家族にならないかい?これもなんかの縁だ!記憶が戻って、今まで住んでいた場所に戻りたいと思えばそこに戻ればいい。
 でもそれまでは、私達の家族だ!」
「え?!!! いや、そんな申し訳ないですよ!それにご主人の意見も聞いてないですし!」
「遠慮なんて子供がするもんじゃ無いよ!あの人もいい考えだって喜んでくれるさ!
 今日からお前さんは、ナート・テイルズだ!!ちなみに私は、ラウラ、ラウラ・テイルズだよ。うちの旦那は、デアド・テイルズって言うんだ。覚えておくれ。」

 確かに自分の状況が分かるまでお世話になりたいとは思ってたけど、家族にまでして貰おうとは思ってなかった。
 でも家族になろうという言葉は、俺の心を温かくして、涙が出そうなぐらい嬉しかった。

「ありがとうございます。すごく嬉しいです!
 不束者ですが、よろしくお願いします!」
「あはっはっはっ!なんだいその嫁の挨拶みたいなのは。でも良かった!ちょっとだけ、あんたの気持ち聞かずに強引に決めちまったかと気なってたんだ。
 さぁ、冷めないうちにスープを飲みな!」

 美味しい。母さんが作ってくれたスープの味に似てる。

「どうしたんだい?やっぱりまだスープを飲める状態じゃなかったかい?それとも口に合わなかったかね?」
「い、いえ!美味しいです!母が昔作ってくれたスープの味に似てたのでびっくりして。今度作り方教えてください。」
「そうかい…元気になったら教えてやるからね。早く元気になりな!」
「ありがとうございます!」
「そうそう、先生が薬をくれたからね、スープを飲んだら飲みな。
 おやっ?水がもう無いね…<アグア>」

 それは、突然の衝撃だった!杖を何処からともなく出し、杖を振るとコップの中に水を出したのだ!

 ?!!!ま、魔法?!!!

 いやいや、これはきっとラウラさんが俺を元気付けようと見せてくれた手品に違い無い。

「ラウラさんの手品上手ですね。びっくりしちゃいました!」
「手品ってなんだい?」
「いま、お水を何もない所から出したじゃないですか?それが凄い手品だと。」
「お水を出した事がかい?何を言ってるんだい?こんなの皆できる事じゃないか。そんなになんでも無理に褒めなくてもいいよ!」
「え?! 皆できるって...(ラウラさんは嘘をついてる様には見えないし、やっぱり魔法なのか?!)
 僕お水出したりできないです。」
「本当かい?!記憶が曖昧で忘れちゃったんじゃないのかい?それか、よっぽどの田舎だと魔法の教育も十分出来ないって聞いたけど、ナートは東方の田舎の方で暮らしてたのかもね。
 魔法が使えないと不便だろ?そうだ!先生に明日相談して、教えてもらえるようにしてもらおうか?すぐに使えるようになるさ。今は取り敢えず、何も心配せず休みな。」
「ありがとうございます。」
「それとうちは食堂をやっててね、この家の一階から食堂に繋がってるから、もし何か用があってうちらが家の中に居なかったら、食堂の方に顔出しとくれ。
 あとトイレは1階に降りて階段横、喉乾いたら水も台所に行けば蛇口から出るからね。」

 本当に魔法なのだろうか?もしそうなら、ここは俺の知ってる世界ではない。
 そうだ、外を見てみよう!ここが何処か確かめる為にも、見たら何かわかるかもしれない。ここは2階だ。たとえ前に建物があっても、間から何か見えるだろう。そう考えながら、窓際に行きカーテンを開ける。
 そこには俺の知らない世界が広がっていた。なんて事だ!ここは本当に異世界だったのか!!
 この家の前の食堂は平屋建てで、お陰で窓からの眺めは開けていた。もう辺りは暗くなっていたが、通りをガス灯の様なものが照らしていてよく見る事ができた。
 通りには赤や青、金、銀と様々な髪色の人々が歩いていた。さらに人に混じって人ではない者達が、少数だが歩いていた。獣人やエルフ、ドワーフらしき者達である。
 そして俺に異世界だと確信させたのは、空に浮かぶ城だった。遠くの夜の空に浮かぶ光り輝く美しい城だ。
 なんて美しいのだろう...美しくて、不思議だ...異世界かぁ...これからどうしよう。
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