異世界に渡ったら獣人だった!

小猫田猫助

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はじまり

8話 杖の店

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 今日は試験後はじめて先生と会う。
 この間の姿が余りにも不甲斐ないって呆れられて、もう教えて貰えなかったらどうしよう...でも正直に話すしかない、そしてもう一度試験を受けさせて欲しいとお願いしよう!
......
...
「さてこの間の試験は...勿論不合格じゃ。試験にもならんかったの。
 実は試験中、魔道具でお主の姿を見ていたので何故怪我をしたのかは理解しておる。
 ナート、お主自身も理解しておった様に見えたが、あの日何故ああなったか話してくれるかの?」

 俺はあの日起きた事を自分の気持ちも含め話した。正直に何に覚悟をしなければいけなかったか理解していなかった事も話した。そしてジアさんとノイテさんの話を聞いて自分なりに覚悟が出来たので、もう一度チャンスをくださいとお願いした。

「そうか、ジアとノイテがお前さんにそんな話をしたか。ナートは二人に可愛がってもらっているの。
 さて、話は大体分かった。途中『初めはスイーツの為だった』とか、わからん単語が出てきたが、まぁとりあえず少しは覚悟が出来た様じゃの。」
 「はい!なのでお願いします!もう一度試験を受けさせてください!!」
「いいじゃろう、しかし条件があるぞ。」

 条件?!なんだろう...
 まさか!スイーツを食べさせろって言うのかな...やぶさかではない。ゴクリッ。

「なにか先程までの空気より緊迫しておるの…条件は毎朝デアドと鍛錬をする事じゃ。
 お主は魔法の基礎はもう問題無いじゃろ。だが油断しておったとは言え、一角ウサギを避けられない程では心配じゃ。それに多少は剣を使えた方がいいじゃろ。」
「デアドさんとですか?!でも朝は市に買い出しに行ってるんじゃ...」
「ホッホッホ、デアドは朝市に行く前にここで鍛錬をしておる。
 あれはああ見えて強いのじゃよ。元騎士だしの。」
「そうなんですか?!全然知りませんでした。」

 …デアドは元騎士だと話しとらんかったか...まずかったかの...まぁでも息子になったんだし、いいじゃろ。

「というわけで、明日から鍛錬を始めるぞ。
 わしから合格をもらったら、再度試験を受けさせてやるからの。」
「ありがとうございます!!!!
 あと自分の杖についてお願いと言うか、相談があるんですが...この間狩った一角ウサギの黒い角で杖を作りたいんです。自分の戒めの為にも!」
「ふむ...その角を見せてみなさい。質が良ければ作ってもいいじゃろ。」
「はい!!〈異次元ポケット〉!
 ん~...ありました!これです!!」
「どれどれ...此れは凄いの!!魔力の拡大率が高いぞ!」
「そんなに凄いんですか?!」
「うむ!これなら申し分ないの!
 さて、これからこの角を加工して杖を作ってくれる職人の所に行くとしようかの。杖も色々な形があるからの実際に物を見てどれが自分に合っているか、参考にするのじゃ。」
……

 街の職人地区にある杖のお店にやってきた。
奥行きは狭いが天井は3階建て分ぐらい高く、尖った様に上に伸びている。天井の上の部分には明かりとりの窓があるが、明かりとりの意味がないくらい店内は薄暗い。カウンターの後ろは2階建て分ぐらいの高さの背の高い棚があり、色々な杖が魔道具のランプによって一本一本小さく照らされて輝いていた。不思議な雰囲気だ。

「いらっしゃい。あらっ?先生お久しぶりですね。」
「久しいのぉ。元気かの?」
「はい、お陰様で。でも先生がいらしいてくださらないから寂しかったんですよ。
 今日はどの様なご要望で?杖を新調されるんですか?」
「いや、わしではなくて弟子のナートじゃ。」
「あぁ、ナートくんね。」
「なんじゃナートを知っとるのか?」
「そりゃあ、今噂のナートくんですもの。
 珍しい黒く輝く瞳に、艶めく黒い髪、整った顔に子供にそぐわぬ丁寧な接し方。しかも先生公認のお弟子さんなんて将来有望、何処からか浜辺に流れ着いて記憶喪失なんてミステリアスでしょ?
きっとどこかの王子様だと、巷の女性達の間で噂になんですよ。フッフッ。お会いできて光栄だわ、小さい王子様。」

 恥ずかしい!!そんな噂が立ってたなんて!
黒い目と髪は確かにあまり見ないと思ってたけど、輝いてないし艶めいてない!先生の弟子なんて言ったって落ちこぼれだし、一角ウサギにも負けちゃう様な軟弱者なのに!

「初めまして。ナート・テイルズです。しっぽ亭で働いてますので、ぜひいらしてください。お姉さんの様な綺麗な方にいらしていただいたら、しっぽ亭にもお客様が増えますし、僕も嬉しいです。」
「まぁ、流石小さな王子様。ぜひ今度お店に行くわね。」
「ナートや、お前は子供なのにいつもそんな風に口説いておるのか?」
「いえ、本当にお綺麗だったからですよ。」
「まぁ、ありがとう!」

 先生の目線が痛い!でも女性に会ったら必ず褒めろと言うマスターの教えが自分に染み付いててやってしまう...

「まぁいい。それで今日は弟子の杖を作るのにいくつか杖を見させて欲しいと思ってな。因みに使うのは一角ウサギの角じゃ。」
「じゃあ、いくつかその角で作れるタイプの違う杖を出しましょう。」

そう言うと後ろの背の高い棚からいくつかの杖をフワフワと浮かべながらカウンターに下ろした。

「スタンダード型、ブレスレット型、指輪型、ペン型、剣型、槍型。手にとって見て構わないからね。」

 スタンダード型は、いま僕が先生から借りてる杖と同じタイプだ。ブレスレット型はラウラさんがお店で使っているタイプか、これはお店で使うにはいいかも。指輪型も杖を持たなくて良いから便利そうだけど、飲食店で指輪だとダメだろう。ペン型は事務系の人が使うと便利そう。剣型や槍型は店内じゃ使えないよ。

「この中だとブレスレット型がいいです。飲食店で働いてるので。」
「そうね、それが一番きみには合ってるかもね。」
「それじゃあブレスレット型にしてもらおうかの。」
「一角ウサギの角の加工でブレスレット型でしたら、銀貨5枚です。」
「先生!あの僕お金が...今日そのまま注文するとは思ってなかったので。」
「ホッホッホ、なに、可愛い弟子が覚悟を決めた日じゃ、わしからのプレゼントじゃよ。」
「そんな!だって先生にはお世話になってて、僕の方が何かプレゼントすべきなのに!!」
「いつかわしの老後の世話をしてくれれば良いぞ。」

 老後の世話って先生の要求が重い!だったら自分で払いたい!

「...ありがとうございます。先生の世話を喜んでさせていただきます。」
「さてナート、一角ウサギの角を出しなさい。」
「はい!<異次元ポケット>...これです。よろしくお願いします。」
「これは変わった角ね!!…ねぇ、ブレスレットの杖を作り出した残りを私に売ってくれない?」
「え?構わないですが...いくらになるんでしょう?」
「そうね...銀貨5枚!という事で今回の加工代はタダにしてあげるわ!」
「本当ですか?!ありがとうございます!」
「わしがプレゼントしようと思ったのにのぉ。」
「先生ごめんなさい、ナートくんには違うものを買ってあげて。それで加工が必要だったら、またうちへいらして。」
「商売上手じゃの~、まぁ確かにその角は滅多に見れない物だから、お主が興奮するのもわかるがの。で、いつ出来るんじゃ?」
「そうね、早くこれを加工したくてしょうがないから…他の人の後回しにして、でも凝りたいし…遅くても3日後には完成させるわ!ブレスレットのデザインとかは私に任してもらえるのかしら?」
「はい。ただ飲食店ですのでシンプルなデザインにして欲しいです。」
「わかったわ。楽しみにしててね!」
「よろしくお願いします!」
......
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