異世界に渡ったら獣人だった!

小猫田猫助

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はじまり

13話 試合

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 鍛錬を始めて3ヶ月が経った。もう季節はすっかり変わり、秋になっていた。
 ジャルジン国は日本と同じ様に四季がある。
 レイバン先生の家の庭には大きなキキの木があった。そこには柿の実に似たものがなっていて、オレンジに色づき始めている。
 柿の実に似ているが異世界の木というだけあって、この実は夜になると煌々と光る。今はまだ実に緑色が少し残りオレンジ色と混ざって、さらに幻想的で綺麗だ。
 もう少ししたら皆で先生の所に来て、キキを収穫する。沢山食べれるらしいから楽しみだ!

 季節も変わったが俺も見違える様になっていた。背もたった3ヶ月でかなり伸び、身体も細くしなやかな筋肉が付いた。この世界の10歳にしては幼い見た目だったが、今では上に見られることが多い。
 勿論剣も持てるし、何より素早く動ける様になっていた。デアドさんの様なパワーファイターは自分には向かないと言うのがわかったので、俺は忍者の様な身軽で素早い人を目指すことにした。

「デアド、ナートと試合をしてくれんかの?
両者木剣でやるのじゃ、魔法でも何を使ってもいいからナートがデアドに一本入れられたら、また森で試験を行ってやるからの。」
「本当ですか?!頑張ります!」

「来い!お前を危険な森に行かせるなんてしないからな!!」
「デアドが過保護になっておって気持ち悪いの。」
「デアドさん!僕はデアドさんに勝って、試験も合格して、厨房に入らせてもらいます!」
「ナートの希望もなんかズレておるな…
 さて、準備はいいかの?始め!!」
 
 デアドさんに一本入れるには短期決戦しかない!

 ナートは身体強化の魔法を掛けた。腰に木剣をぶら下げたまま、デアドの周りをグルグルと回る。風魔法で追い風を作り更に速度を上げた。
 デアドは木剣に手を掛けたまま一歩も動かない。ナートはデアドの背後に来た瞬間居合抜きで攻撃を仕掛けたが、剣は受け止められそのまま薙ぎ払われた。

「そんな子供騙し効かんぞ!」
「そうは言っても、正面から向かって行ったって力も剣の技も効かないんですから、子供騙しでも不意を突かせてもらいます!<ライ>!」

 ナートは雷の魔法を"クロ"に纏った。体制を低くしデアドに向かって走っていく。
 デアドに接近した辺りで風魔法で上に飛び上がり、そのまま剣を振り下ろす。だが、また薙ぎ払われてしまった。しかし、着地したと同時に雷を纏った剣を振り切りデアドに向かって雷を走らせる。

「ほう、雷を纏った剣か面白い、だがそんな遅い雷を遠くから撃ったんじゃ避けられるぞ!」

 避けるために横に跳んだデアドに向かって、ナートが風の爆風を使って突っ込んできた。さらに、デアドが着地しようとした足元に風魔法を放ち体制を崩す。そこを狙ってナートは居合抜きを放ったが、またしてもデアドの剣がそれを防ぐ。
 しかしデアドが受け止めたのを反動にして上に飛び上がり、上から雷を纏った剣をデアド目掛けて振り下ろした!
 デアドは剣は受け止めたが、雷の魔法は受けてしまった。

「そこまでじゃ!剣では一本とは行かないが、雷の魔法は受けたので一本とする。」
「え!!そうなんですか?!聞いてないですよ!剣で一本でしょ!」
「わしは言ったはずじゃ、何でもいいから一本入れろと。
 ナート、お前はこんな聞き分けのない親をどう思う?」
「かっこ悪いと思います。」
「か、かっこわるい...ナートに嫌われてしまった…。」
「面倒なやつじゃ…もう放っておくかの。
 ナート、試合はお前さんの勝ちじゃ。森での再試験は明後日の無の日に行うがいいかの?」
「はい。今度はもう覚悟はできてます。」
「では明後日の朝に来るのじゃぞ。
 あと、今日はもう此奴を連れて帰ってくれんかの?」
……


ーしっぽ亭ー
「いらっしゃいませ!こんにちは親方!!」
「おぅ!随分元気だなナート!元気な事は良い事だ!!ガッハッハッ!!
 そういえばナート、最近鍛えてるんだって?確かに剣を扱えるいい身体になってきたな!」
「本当ですか?!ありがとうございます!
 今日は先生の所でデアドさんと試合をして僕が一本入れたんです!」
「本当か?!そりゃあすげぇな!」

「あれは一本じゃない!!俺は森に行くの認めてないからな!」

「なんだあれは?」
「剣で一本と言うか魔法で一本取ったんです。でも先生が魔法でも何を使ってもいいから一本取れって言う話だったので、剣に雷を纏わせてぶつけて痺れさせたのを先生が一本ととってくれて。
 デアドさんは納得いってないんですよね。しかも僕に森は危険だから行かせたくないって意地になってて。」
「先生が一本って言ったなら一本だろ。
 しかも森に行くのは危険って、どこの森だ?」
「カンポスの奥です。」
「あそこなんて、もっとガキだって行ってるじゃないか!
 デアドは過保護になり過ぎだな。」
「そうだ!親方にお願いしたい事があったんです!前に言ってくれた僕の為に剣を作ってくれませんか?
 あっでも親方の剣ってかなり金額が高かったりして...」
「ナートの剣か!作ってやるって言ったな!
 じゃあ森で五匹何か獲物を捕ってきてくれ、お代はそれでいいぞ!」

「親方?!ナートに何言ってんだ!俺は認めてないんですよ!!」
「あんた!!いい加減にしな!私はそんな女々しい男と結婚した覚えはないよ!
 ナートだって強くなったんだ認めてやんな!」
「ラウラ!!…ラウラに叱られてしまった…
 …俺が悪かったよ…確かに考えてみればナートは凄く強くなった。
 ただ心配で認めたくなかったんだ…悪かったなナート。」

「僕の事心配して言ってくれてるって分かってたんでいいんです。これからももっと鍛錬して、デアドさんに心配されないくらい強くなります!」

「ナートぉ~、なんていい子なんだぁ"~」
「お前さん泣かないでおくれよ。でもそんな優しいお前さんの事大好きだよ!」
「ラウラ~!俺も大好きだぁ!俺は幸せもんだぁ~!」

「…なぁ注文いいか?」
「あっ、すみません。今日のオススメは痺れ草と双子海老のスープですが、如何ですか?」
「じゃあそれにするよ。」
……

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