異世界に渡ったら獣人だった!

小猫田猫助

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はじまり

14話 再試験と雑魚再び

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ー試験当日、カンポスの平原ー

「うむ、晴れて良かったの。まぁ、この時期余り雨は降らんか。
 さて、試験の内容は前回とほぼ同じで魔物を三匹狩ってくるのじゃ。今回は杖の材料は気にしなくていいからの、どんな魔物でも良い。
 しかし、もし無理だと思ったら一目散に逃げるんじゃぞ。お主にはそれだけの力はついておる。」
「はい!今日こそ頑張ります!!」

 森に入り暫くすると一角ウサギが現れた。
 俺はすぐさま雷魔法をクロに掛け、身体強化の魔法を唱えた。そして、先生から借りている剣に手をかけ構える。

 もう絶対に隙は作らない!

 真正面から行くと、またあの角で刺される可能性がある。俺は風魔法で空中を蹴りながらウサギを左右に翻弄しウサギの背後にまわった。そして背後から雷を纏った剣の一撃を放つ!
 ウサギはそのまま感電し絶命した…一匹狩った事に喜ぶところだが、命を絶った事実に複雑な想いが浮かんでいた。
 俺は心の中でごめんなと言いながら異次元ポケットに一角ウサギの死体をしまった。

「ふぅ…もう大丈夫だと思ってたんだけど、やっぱり殺すことは覚悟があっても少し怖いな。
 でもこの怖さは持ち続けなくちゃいけない感情だ。な、クロ?」

 俺は杖のブレスレットになったクロに話しかけた。返事はないが、何となくクロが頷いてくれてる気がする。

 それにしても、雷魔法の制御がここまで出来るようになって良かった。初めてここで試験をした時は雷魔法を使ったら、ほぼ丸焦げだっただろう。
 他の魔物を下手に呼ばない為にも余り血は流さない方がいいはずだ。

「アホーマヌケーヤクタタズゥー」

 酷い鳴き声が聞こえてきた。あれはムカつく鳥だ。余りにもムカつく鳴き声なので直ぐに殺られていたらしく、今では希少価値がついている。
 あの鳥は狩るのを禁止されてるからダメだ。

「ヤクタタズゥー!」

 聞いてると腹が立ってくるので離れよう。
 少し行くとまた一角ウサギが2匹現れた!俺はさっきと同じ方法を使って、2匹を狩ることに成功した!
 これで試験に合格だ!!

 森の奥の方から木が倒れる音がしてきた。俺は警戒しながら様子を見に近づく事にした…そこにいたのは突撃豚だった。
 突撃豚はその名の通り敵に死ぬ気で突撃して行く。木をなぎ倒す程の威力だ。
 俺はとりあえず木の上に跳び上がって様子を見る事にした。
 いつもしっぽ亭でステーキとして出してるけどあれが突撃豚か…日本にいた頃見た豚は目が愛らしかったけど、この豚はなんか100人くらい殺してきましたみたいな目をしてるな。
 しかし聞いた話だと攻撃しない限り草や木の実を食べる大人しい豚だと聞いたんだが…

 「<アグア>!」

 突撃豚が走って来た方向から、呪文を唱える声が聞こえてくる。突撃豚は水で丸々包まれた。
 突撃豚は苦しそうにもがき、やがて溺れ死んでしまった。

「…やっぱり溺れさせるのは可哀想な狩り方だな…
 それにしても食料として狩るんだったら、溺れさせたら質が落ちるのになんでだ?」

 暫くすると現れたのは、前に店に来て絡んできた雑魚イジオタだった!

「ハッ、手間かけさせやがって!
 お前みたいな価値の低い魔物は、大人しく俺の練習相手になってればいいんだよ!」

 イジオタは突撃豚に蹴りを入れて、そのまま放置して行ってしまった。
 俺は突撃豚の近くに行くと、突撃豚の体を風で乾かしてやった。

「こんな理由で殺されるなんて…。
 このままにして置くと魔物が寄ってくるな。」

 俺は突撃豚を異次元ポケットにしまうと、イジオタを追いかける事にした。
 なんかあいつを放っておくと拙い気がする…
 暫く行くとさっき俺がいた辺りに辿りついた。

「ギャーギャー!!アホー!!」

 ムカつく鳥が暴れている声が響いている。
 そこにはやっぱりイジオタがいた。イジオタはムカつく鳥に向かって魔法を連発していた。

「こんな所に希少価値のムカつく鳥がいるとは、ラッキーだな!さすが俺様だわ!」
「<ヴェント>!」

 俺は風でムカつく鳥の前に防御の結界を作った。

「やめろ!何してるんですかあなたは?!」

「なんだよ!誰だよテメェはよ!俺様の邪魔をするな!<アグア>!」
「<エヴァポーラ>!」
「チッ!」
「いきなり攻撃してくるなんて、何考えてるんですか!!」
「お前が俺の獲物のムカつく鳥を狙ってるから、攻撃したまでだ!」
「あんた何言ってんだ?!ムカつく鳥は捕獲禁止になってるだろ!」
「ハッ!でも裏では高値で買い取って貰えるからな!
 お前も狙ってるんだろ?だが、渡さねぇからな!<アグア>!」

 イジオタは連続で水魔法を撃ってきた!

「ハッハッハッ!俺様は王立魔法学院で学んでるからな、天才なんだよ!まだまだやれるぜ!」

 ナートはイジオタの周りを高速で回り始めた。
 いつもの雷は辺りが水で濡れてるから使えないな…じゃあ…

「チッ!すばしっこい奴め!これでどうだ!」

 イジオタは巨大な水の塊を作り始めた。

「死ねぇー!!」
「<トウナーデ>!」

 ナートは竜巻を起こしイジオタの作った水の塊を吹き飛ばした!そしてそのままイジオタの背後にまわり剣で小突いて気絶させた。

「上手く対処したの。」
「先生?!見てたんなら助けてくださいよ!」
「なに?わしの力など要らなかったじゃろ?」
「まぁ、そうでしたけど…」

「アホーマヌケー」

「そうだ!ムカつく鳥!無事だったんだな。
 もう見つかんなよー!!」

 ムカつく鳥はペコリと頭を下げて飛んで行った。意外と礼儀正しい鳥だった。

「先生、この人が練習だとか言って突撃豚を狩って放置していたのを回収しておいたんですが…」

「それはわしが預かるとしよう。
 さて、こやつは警備隊に引き渡すとするかの。」
「この人イジオタさんって言うんですけど、前にうちの店に来て僕に絡んできたんですよね。
 その時も言ってましたけど、王立魔法学院の天才だって。
 王立魔法学院ってこういう人が天才なんですか?」
「イジオタ?そんな名前の子は知らんぞ。わしの耳に入らないなら大したこと無いんじゃろ。
 しかもナートに負けておるからの、むしろよく魔法学院に入れたもんじゃ。」
「俺ってそんなにまだまだですか?」
「そうじゃの~魔法学院の1年生ぐらいかの。」

 ガッカリ…結構強くなったと思ってたのに!甘かった。

「しかし王立魔法学院の生徒がこんな違反を犯すとはけしからん!此奴は退学じゃ!」

「ん…痛って!テメェ!よくも俺様に!」
「お主は少し黙っておれ!!」
「ヒッ!!」
「イジオタとか言ったな?お前はナートに負けたんじゃ、それに捕獲を禁止されておるムカつく鳥を捕まえようとしておったので、これから警備隊に引き渡すからの。」
「な!なんでだよ!此奴も狙ってただろ!
 ってかお前!あの店のクソガキだったのか!」

 珍しい髪色って言ってたのに、俺に気づいてなかったんだ。

「ナートはお前からムカつく鳥を守っておったのじゃ。
 それと儂は王立魔法学院の前校長レイバンじゃ。お主には王立魔法学院を退学してもらう!」
「そ、そんな!!…クッソ!全部お前のせいだクソガキ!!
 おれの人生返しやがれ!死ね!!」
「まだなんでこうなったか理解しておらんのか!この馬鹿者が!!!!
 ナート、お主がちゃんと3匹狩ったのは見ておった。よってお主の試験は合格じゃ!おめでとう!でもこれからも精進するようにの!
 さて、わしはこの馬鹿者を警備隊に渡しに行くからの、気を付けて帰るんじゃぞ!」

「はい!!ありがとうございました!!」

 俺は森を抜ける前に親方と約束した5匹の獲物を得る為、さらに突撃豚2匹を狩ってしっぽ亭に帰った。
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