異世界に渡ったら獣人だった!

小猫田猫助

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はじまり

18話 友達

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 討伐が終わって数日、イジオタは姿を消したまま見つからなかった。しかし街はいつも通りの賑やかさで、ナートもデアドもいつも通りの生活に戻っていた。

 今日はデアドさんと初めて朝市に店の買い出しに来た。いつも朝練が終わった後は僕だけ先生の元に残りそのまま授業をしてたのだが、もう読み書きもある程度出来るようになったので家で課題をやって来る様にと言われた。
 先生もこの間のイジオタの件で魔法学院に行って、今後の生徒への指導及び逃亡したイジオタの行方を探すなど忙しくなった所為でもあった。

「凄い数の店だ!!これが朝市かぁ!」

 普段はただの広場だが、朝市では30は超える出店が立っている。様々な野菜を取り扱う八百屋、中には玉ねぎ似たセボラだけとか、トマトに似たセレジャだけを扱う店もある。
 肉屋はなんの肉かわからない肉を多数取り揃えてて、たまに生きた魔物さえ売っている。
 港の近くならではの新鮮な魚介類を扱う魚屋はさすが異世界という感じの見たことも無い不思議な魚が沢山置いてある、こう見るとこの間食べた目出てる鯛なんて、普通の部類に入るもんだなと思える。
 果物屋にも不思議なものは多い、色んな卵を扱う卵屋や香辛料屋には怪しい紫色の香辛料まである。

「ナート、人が多いから迷子になるなよ?」
「僕はデアドさんとはぐれてもしっぽ亭に帰れます!」
「はっはっ、冗談だよ!」
「鍛錬の後だからお腹減っただろ?軽くなんか食べるか?」
「はい!」
「ナート、これはガステルって言う食べ物だ!
 中に魚や肉、チーズなどを好きな組み合わせで頼むんだ。うまいぞ!」

 ガステルはあの黒い小麦で作った大きい黒い餃子の皮みたいな物を使って、色々な物を包んで揚げた物だ。
 食べてる人達を見るとなかなか美味しそうだ。

「美味しそうですね!どの組み合わせがデアドさんのおすすめですか?」
「俺か?そうだなぁ、俺はいつも忘れんぼう鶏とチーズの組み合わせを頼んでる。更に頼めば貰える野菜を細かく切って酸っぱい液に漬けたソースをガステルの中に入れて食べると一層美味いんだぞ!」

 本当に色々な組み合わせがあった。肉も突撃豚など何種類かあり、身をほぐした魚とクリームソースとの組み合わせも美味しそうだ。
 他にもピザみたいな組み合わせやデザートっぽい物まである。

「じゃあ僕もそれで!」
「ウルソ!おはよう!注文いいかい?」

 ガタイが良くてデアドさんに似て熊みたいな印象の店員に親しげに声を掛けた。デアドさんはよく食べに来るのだろう。

「おう!デアドおはよーさん!今日は珍しく二人か?」
「これから朝市は息子と来ることにしたんだ!
 俺の息子ナートだ!よろしくな!」
「おはようございます!初めてまして、ナートです。これからよろしくお願いします!」
「おぉ!この坊主がお前がいつも自慢してる息子か!よろしくな!」

 自慢ってどんな事を言ってるんだ?!最近デアドさんの親バカぶりがちょっと恥ずかしい…

「俺の所にもナートと同じくらいの歳の息子が居てな!
 おい!ガスト!こっち来い!!」
「なんだよ、俺今忙しいんだけど。」
「ほれ、前にデアドが話してたデアドの息子になったナートだ!仲良くしてやれ!」

 そういえば異世界に来てから今まで子供の友達がいなかったな…中身は17歳だけど友達になれるか?とりあえず初めが肝心だ!
 俺は男ウケもする爽やかな笑顔を浮かべた。

「初めまして!僕はナート、しっぽ亭っていう食堂のテイルズさん達の息子になったんだ!
 ここでは友達がまだいないから仲良くしてくれると嬉しいな!」
「…お前よくそんな言葉恥ずかしげなく言うな。
 まぁいいけど、俺はガストだ。ガステル屋の息子がガストなんて本当に嫌な名前だからさ、俺のことはガズって呼んでくれ。」
「ガスト!俺がつけた名前のどこが嫌だって言うんだ!文句ばっかり言いやがって!」
 
 店の食べ物から付けられた名前って嫌だろ...ちょっと同情するよ。

「ガズ!よろしく!!」
「ナート、お前いつ暇だ?」
「無の日はお店が休みだからその日なら基本空いてるよ。」
「よし、じゃあ次の無の日の朝迎えに行くからな!」
「デアドさん、次の無の日に遊びに行ってもいいですか?
「勿論だ!もうお前は強いって認めたからな、友達と遊びに行くぐらい心配ないしな。
 友達が出来て良かったな、ナート!!」
「はい!! ガズ、次の無の日楽しみにしてるよ!」
「おぅ!」
……


ーしっぽ亭ー

 夕食時にいつもの様にジアさんとノイテさんが店にやって来た。お店に二人が入ると珍しく居た人族の2人の女性客が小さな声で、店に入ってきた二人が格好いいと盛り上がっている。ここら辺の人族は傭兵団の制服を知ってるから、差別意識で例え格好いいと思ってても外でその姿を格好いいなんて言わない。きっと他所から来た人達だろう。
 前々から思ってたけどジアさんもノイテさんもかなり格好いい。ジアさんはワイルドな感じで、ノイテさんは美形なのだ。
 傭兵団の制服もまるで騎士団みたいに格好いい。全体が黒色で銀色で縁取られていて、上着が膝丈くらいまである。中は白いワイシャツに各隊のカラーのスカーフをネクタイの様につけている。因みに3番隊はグレーだ。
 ジアさん達が来る時は仕事終わりなので、スカーフも外して前を開け着崩している。
 ジアさん達は着崩した姿も格好良くて、女性客がキャーキャー言うのも分かる。
 あの建物も凄いし、傭兵団って言うより騎士団って言った方が合ってる。お金とかどうなってるんだろう?

「いらっしゃいませ!この間は討伐お疲れ様でした!」
「おう!デアドさんのお陰で大変な事にならずに済んだよ。」
「デアドさんも勿論ですが皆さんのお陰で大変な事態を回避出来たんです!闘ってる姿見たかったなぁ!」
「お?じゃあナートも傭兵団入るか?実は獣人じゃなくても入れるんだぜ!」
「まぁ実際は獣人じゃない者なんて受付嬢くらいしか居ないけどね。」

 獣人以外も入れるんだ!でも周りが獣人だらけで、力の差もあるから訓練について行くのは大変だろう。
 入る人は獣人差別を差し引いても居なそうだ。

「僕も傭兵団入ってみたいです!
 でも一番の夢はしっぽ亭を継ぐ事ですけど!」
「ハハッ。しっぽ亭を継ぐ事は大事だ!」
「そう言えば、試験合格したけど厨房に入れてもらえたかい?」
「それがデアドさんが忙しかったから、まだ厨房に入って習えないんです。」

 試験を合格して直ぐにイジオタの件があり、デアドさんは討伐の後も報告に行ったりと色々していたので、時間が無くてまだ厨房に入る事が出来なかった。

「すみません。デアドさんが忙しかったのは討伐の件の所為だよね。」
「何言ってんですか?!
 皆さんのお陰で街に危険が及ばなかったんです!
 あれだけの力があるデアドさんが協力するのは当たり前です!」
「理解ある家族で、デアドさんは幸せ者だな!
 そういえばナート、イジオタが警備隊の牢屋から消えたの知ってるか?」
「はい、聞いてます。牢屋から忽然と姿を消したと。
 でもどうやって消えたんでしょうね?鍵は掛かったままで、牢屋内も何処も抜け穴や壊した様な場所も無かったって聞きました。」
「そうなんだ。こうなると警備隊の内部に逃がした奴がいるって疑ってるが、中々探るのは難しいな。
 イジオタはお前に逆恨みをしてたから、気をつけるんだぞ!」
「はい、デアドさんにも言われました。
 僕の方が強いですが、恨みを持った人間は何をするか分からないからって。」

 本当にいい迷惑だ。魔法学院にも入れるほどお金も不自由無くて実力もあったのに。
 あいつは今迄自分の思い通りにならない事が無かったんじゃないだろうか?自分以外の者なんて気にした事がなさそうだ。だから俺の事が気に障った。
 あいつに何を言っても自分の非を認めず俺の所為にするだろうな。次会ったら一発くらい殴ってやる!
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