異世界に渡ったら獣人だった!

小猫田猫助

文字の大きさ
17 / 33
はじまり

17話 討伐隊 後編

しおりを挟む
ーカンポスの奥の森ー

 普段なら魔物が出ても一角ウサギや突撃豚ぐらいしか出ない平和な森に、マカッコの群れが我が物顏で居ついていた。
 マカッコはオラウータンの様な見た目と大きさの魔物だ。しかも速さは猿並みのすばしっこさがある。いつも群れになっており、魔物の中でもズバ抜けて統率力のあるリーダーがいる。
 3番隊はマカッコが見える場所で様子を伺っていた。

「すげぇな。全部で15体ってことは…一対一ってとこか。」
「ジア、リーダー以外は俺達に任せろ。ジアはリーダーだけを目指せ。」
「俺一人でリーダーを倒すのか?意外と強いんだぜアイツは。」
「僕が知ってる君なら余裕だろ?」

 ノイテは昔からそうだ。いつも俺をやる気にさせるのが上手い。

「はぁ…頑張りますか。お前も真っ白な毛並みを自分の血で汚すなよ!」
「わかってるよ。僕の望みは君の最期を看取ってから逝く事だからね。」

 ノイテの毛並みは真っ白で本当に綺麗だ。俺の様に手入れを全然して無い毛並みとは全然違う。しかし、なんでこいつはそんなに俺がいいんだろうな。

「けっ!お前じゃなく綺麗な女に看取られるさ!」
「さてジア隊長、皆に気合を入れてくれ。」
「お前ら!相手さんも今か今かと待ちかまえてやがる。魔物と言っても頭がキレる上、すばしっこい相手だ!
 下手に頭が空っぽな人間相手するより大変だ!絶対に気を抜くなよ!!」
「「「「「「オウ!!!!」」」」」」

 返事と共に風が巻き起こり、風がおさまった頃には人の姿をした者は誰一人いなった。
 そこには傭兵団の制服を着た様々な獣姿の獣人達がいた。その中で一際目立っていたのは、銀色の毛並みを持つ狼と真っ白な狐の獣人、ジア隊長とノイテ副隊長である。
 マカッコ達はリーダーを守る様にして3番隊を待ち構えていた。

「おい、マカッコ!悪いが俺らは普通の討伐隊とは一味ちがうからな!」
「隊長が進む道を開けろ!」
「「「「「オウ!!」」」」」

 俺の前にいる隊員達が道を切り拓く為に、邪魔な敵をどかしていく。
 その中でも子供の背丈ほどの薄い茶色の毛並みをした可愛いウサギの獣人ファルコンは、マカッコをジャンプして蹴り飛ばし瞬く間に敵を俺の前から排除していった。
 見た目はぬいぐるみの様に可愛らしいが、性格は男らしい。傭兵団の中では中堅で、仕事も出来て頼りになる。本来なら隊長や副隊長と言ってもおかしくないが、本人が頑なに拒否している。

「ファルコンって可愛いのに相変わらず恐ろしく凄い蹴りだよね。」

 そう言ってファルコンに熱い視線を送っているのは、傭兵団の中で数少ない女性の一人、シャム猫の様な色合いの毛を持ち少しキツそうな顔つきの美人、猫の獣人のエリアだ。

「蹴りだったら俺だって負けてないぜ!ハニー見ててくれよ!」

 ロンはカンガルーの獣人で女好きでお調子者、ドジでよく失敗する。どうしようも無い奴だが、間の悪さなどから同情される事が多く憎めない奴だ。格好悪いわけじゃないが、女性にはいつも相手にされない残念な子だ。

「まぁロンは蹴りだけは凄いけど、ファルコンと比べてまだまだ強く無いし可愛くないから私の好みじゃないわ。さて、私はあいつにしようかな。」

 エリアはこの場から敵を離す為に鞭を絡み付け投げ飛ばした。マカッコの攻撃に当たらない様に避けながら、破壊力のある鞭でマカッコを打ち付けている。
 あいつは相変わらず容赦無いな…残っていた隊の者は一人を除いてエリアの事を引いた目で見てる。

 リーダーを守っていたマカッコも隊員達に蹴散らされ残り一人となった。見たところマカッコの副隊長といった感じだろうか?

「さてジア隊長、こいつは僕がさっさと片付けて君の闘う姿を見に戻って来るからね。」
「お前が来る前に終わってやるよ!」
「それじゃあ急がなくちゃいけないね。」

 ノイテは残っていたマカッコを風魔法で吹き飛ばし弓を放った、そして剣を手に追いかけて行った。
 あいつの闘い方いつ見てもオールマイティ過ぎるよな…さて、行くか!
 剣を抜きマカッコのリーダーに向かって一撃入れたが、素早く避けられてしまった。

「流石に一撃目では無理か…」

 ジアとマカッコは凄いスピードで激しく剣と爪をぶつかり合わせる。

「隊長の闘い凄いな…速すぎて目で追うのが精一杯だ。」
「ロン!隊長の闘いを見たいのはわかるが、こっちを手伝ってくれ!」
「ごめん!いま行く!」

「チッ!流石リーダーだな。そんな簡単に殺らせてくれないか。じゃあ…<コルタード>!!」

 剣に風魔法を掛け鎌イタチを連続で放ったが、マカッコは鎌イタチをギリギリで避ける。
 しかし避ける先を読んでマカッコに剣で渾身の一撃を入れる!…マカッコは睨みながら倒れていった。
 そこへノイテも魔物を倒して戻ってきた。

「なんだ終わっちゃった?」
「お前が遅いから終わったよ。」
「でも息も上がってないし、大した事ない闘いだったみたいだね。」
「お前も余裕だったみたいだな。」

 最後に確実に絶命させる為、倒れているマカッコに剣を突き刺しマカッコの死体を回収した。
 周りを見回すと皆倒して戻ってきた様だ。

「皆怪我はないか?」
「「「「「はい!」」」」」
「倒したマカッコは回収しただろうな?」
「やべっ!」
「はぁ…ロン!!回収してこい!
 ファルコンお前も付いて行ってくれ。」
「「はい。」」

 うちにも再度教育しなおさなきゃいけない奴がいたみたいだ…。

……


ーソロカバの森ー

 デアドの作戦通り、2番隊がキラヌスに当たらない程度の位置に攻撃した。狙った通り1体だけ、3番隊の2人に向かって走ってくる。

「うわっ!予想以上に速いな!」
「でも日頃の訓練のお陰で余裕でしょ?」
「まぁな。おっ!デアド隊長が見えた!」
「隊長が言ってた通り両側に避けるよ!」

「お前ら良くやった!」

 俺は熊の姿になり身長を優に超える槍を構えていた。普通の者なら持つ事さえ出来ないであろう俺の愛用の大きな槍を回して、向かってきたキラヌスを弾き飛ばす。

「悪いな、俺は手加減が苦手でな。
 子を持つ親の気持ちは分かるが、俺らも身を守んなきゃならないもんでな。勘弁してくれよ。」

 自分の横に槍を突き立て、また向かってきたキラヌスを素手で掴みなぎ倒す。横に突き立てていた槍を取り、一思いにキラヌスの首に突き刺した。

「すげー、さすが元1番隊隊長だわ。」
「無駄な動きが一切無かったね!」
「お前ら、今倒したキラヌスの回収を頼む!
 それが終わったらさっきのキラヌスの親子が居た場所に合流してくれ!」
「「はい!」」

 俺は2番隊の3人に合流した。キラヌスの母親は辺りを警戒して鳴き叫んでいる。

「3番隊の2人はさっき倒したキラヌスの回収をして直ぐに此方に合流する。
 さて作戦だが、3体まとめて闘うとしよう。お前達は後方から俺と3番隊は前方で闘う。基本魔法による防御で、たまにキラヌスの子供への攻撃を頼む。」

「「お待たせしました!」」
 
 さっきの魔物を回収し終えて3番隊の2人が合流した。

「おう!お疲れ!
 今作戦を話していたんだが、俺とお前達は前方で闘う。後方から子供へ攻撃をして貰うが、母親はきっと子供が気掛かりで隙ができる筈だ。
 しかし子供を攻撃すると母親は怒って、2番隊を攻撃しようとするだろう。絶対に後方に手を出させるなよ!
 さぁ行くぞ!」
「「「「「はい!!」」」」」

 2番隊が親子に向けて魔法を放つと、キラヌスの母親は怒り鳴き叫びながら向かってきた。
 3番隊の二人が母親のキラヌスに向かって両脇から攻撃を仕掛ける。

「「おりゃー!」」

 ガッ!キィーン!

「硬ってぇ!」「全然刺さらない!」
「ギィーギィー!!」
「2番隊攻撃を!お前ら俺の槍避けろよ!」
「「はい!」」

ドォーン!

「ギィギャー!!」
「悪いな!弱肉強食っって事で諦めて倒されてくれ!」
「ウギャア!ギィッ…」

 2番隊の攻撃により出来た隙を突いて、キラヌスの母親を槍で投げ飛ばし、飛び上がって上から突き刺した。槍を抜くとそのまま子供の所へ走り一突きで絶命させていく。

「…魔物でも子供を殺るのは嫌なもんだな…
 お前ら!辺りにまだ居ないか確認を!」
「「「「「はい!!」」」」」
……


 こうして討伐は無事に終わったが、彼らが戻ってから数刻後イジオタが姿を消したという報告が入った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

処理中です...