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はじまり
28話 家族の想い
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俺達は面会を終え警備隊の建物を出たところにいた。
目の前に立派な馬車が一台止まり、中から一人の男性と一人の獣人のメイドが降りてきた。
「いってらっしゃいませ。」
「…。」
降りて来たメイドが深々と頭を下げ男性を見送り顔を上げると、彼女の首には奴隷の首輪があった。
…奴隷の首輪…嫌だ、気分が悪くなる。
見送られた男性は、デアドさんと同じ年齢くらいだ。ブラウンに黒い縁取りのある警備隊の制服の襟に金色の星が2つ付いている。白髪交じりの金髪は後ろに綺麗に撫でつけ全く乱れていない、銀縁の眼鏡を掛けた綺麗な顔は、眉間にしわを寄せている所為か随分と気難しいそうな印象だ。
「ペンサー…」
「え?」
「ペンサー・トラドル!」
「…?なんだ、デアド・テイルズか。」
「てめぇ、言うことはそれだけか?!
お前の息子がうちの息子に何をしたか知ってるだろ!親なら言うことがあるだろうが!」
「…。あれはもう俺の子ではない。だが、迷惑を掛けた。金を後で届ける。」
「金なんかいらねぇ!ってか、もう俺の子じゃないって何だ?!罪を犯したからか?お前最低な親だな!
親なら何があっても自分から子供の手を離すな!二度と過ちを起こさないように向き合って話せ!身体張ってでも止めろよ!!」
「…綺麗事を。本当の親でもないお前に何がわかる?」
「…確かに本当の親では無いが、俺はナートを本当の息子だと思ってる。だから俺は、ナートが何をしても俺から手を離すことはしねぇよ!」
「…理想論だ。お前の考えを俺に押し付けるな。
…ナート・テイルズ。迷惑を掛けた。何かあれば要望を聞こう、いつでも来るがいい。」
それだけ言うと彼はそのまま警備隊の建物の中に消えてしまった。
「おいっ!まだ俺は話しが!ったく!
相変わらず他人の話を聞かない奴だ。」
「デアドさん、今の人がセギド・トラドルの父親で警備隊2番隊隊長ですか?極度の獣人嫌いの?」
「ああ、そうだ。正式な名はペンサー・アルト・トラドル。侯爵家の次男でその魔力高さから警備隊2番隊隊長をしている。
王立騎士団にも入れる程の実力だが、今の見ただろ?気難しい性格が災いして、貴族として上手く世渡りが出来なくて、貴族が多い王立騎士団には入らず警備隊に入れられた。
ただ警備隊とはいえ貴族という事は変わらないからな、金持ちだ。あいつは結構な数の獣人を奴隷として買って家で働かせてるみたいだ…。胸糞悪い!」
「そうなんですね…。」
でも…本当にペンサー侯爵は獣人嫌いなのだろうか?
「ナート…家に帰ったらお前の事について少し聞きたい事がある。いいか?」
……
…
ーテイルズ家ー
「まずはナート、回復おめでとう!良かった!
お前が死ぬかもしれないってなった時、俺は自分の命と引き換えにしても救いたいって思ったんだぞ!
でも回復魔法も使えず何も出来ない自分の不甲斐なさに心底失望したよ。お前を救う力になってやれず済まなかった。」
「そんな!俺の方こそ、俺達でどうにかできるって勘違いして…子供だけで行ってしまってごめんなさい。」
「そうだな。そこは本当に反省すべき点だな。
あのメモを見た俺らは凄い心配したんだからな!でも、もうちゃんと理解して反省してるんだろ?ならそれに関しては俺から言う事は何もない。」
「本当に心配したんだよ。この人なんて慌てて何にも持たず教会に行こうとして、戻って来たら武器持って行くだけじゃなくて何故かフライパンまで持ってく始末さ!」
「お前っ、それは内緒にしてくれって言ったじゃないかぁ!」
「え?そうだったかい?覚えちゃいないよ!
だからそうだね…心配を掛けた罰として、明日から店のお昼を準備する手伝いを命じるよ!」
「え?お昼の準備?」
「そうさ!お昼の準備は本当に大変なんだよ!頑張りな!!」
「はい!!」
やった!!これで念願だった厨房にやっと入れる!!これでスィーツ作りに一歩近づけるぞ!
「それでナート…お前についてだが…本当は自分自身について記憶があるんじゃないか?
詳しく俺達に話せないのは、何か不安だから話せないでいるように感じるんだが…。」
「… …。」
「ナート、お前が何者であろうとも俺達が家族だという事は絶対に変わらない!お前から家族を辞めたいと言って出て行っても、俺達は家族だと思い続けてる!
無理に話してくれとは言わない。だが、俺達がお前が何者であろうとも家族だと思っているという事を知っていて欲しい!」
あぁ…正体を上手く誤魔化せていたと思ってたけど、とっくに勘付いていたんだ。それでもこんなにも受け入れてくれていたなんて。
本当の事を話そう!デアドさん達ならきっと、異世界から来た得体の知れない俺でも受け入れてくれる筈だ!
「デアドさん、ラウラさん…ありがとう。
俺がここに流れ着いた時に記憶が曖昧だと言ったけど…デアドさんの言う通り、記憶はあるんだ。
俺が本当の事を話す事が出来なかったのは…俺の話す真実は突拍子もなくて、信じてもらえないと思ったから…頭が変な子だと思われて追い出されたらって考えたら怖くて言えなかった。嘘ついてごめんなさい。」
「いいんだよ、ナート。
皆んなが皆んな正直に話せる訳じゃない。この人だって獣人だって事を言わなかったんだからね!」
「その話はいいって!」
「何恥ずかしがってんのさ!あんただってナートに嫌われたらって考えて言えなかったんだろ?
まったく二人とも変な所が似てるんだから!」
そう言ってラウラさんが笑うと、さっき迄のお互い気を使い過ぎて、言い出しづらかった雰囲気が一変して和やかな雰囲気になった。
「実は俺…異世界から来たんだ。」
「ハッハッハッ、ナートでも冗談言うんだっ、痛っ!」
ーバシッ!……バシッ!バシッ!ー
「ちょっ、痛いって!」
「馬鹿だね!ナート見て冗談言ってるように見えるのかい!」
「へ?冗談じゃない?」
「ハッハッ、冗談に聞こえるよね…でも本当なんだ。」
「…すまん!俺が馬鹿だった!だからそんな顔しないでくれ。本当にすまん!」
「…俺は学校から帰る途中に海に誤って落ちて、それで気が付いたらここに。
しかも…若返って!本当は俺17歳なんだ!でもここに来たら10歳頃の姿に戻っていて!
何が何だか分からないし、知らないこの世界で子供の姿で放り出されたらどうしようって怖くなって嘘を…ごめんなさい。」
「若返った?!…でも確かにナートは10歳のような子供とは違って随分落ち着いてて、頭も良いし女性の接客なんて子供じゃなかったもんな!」
俺の接客って…でもまぁ10歳の子があんな接客してたら変か…。
「ねぇナート、親御さんの話は真実かい?」
「本当だよ。俺の家族は10歳の頃、ちょうど今の姿の年齢の頃に車の事故で亡くなったんだ。
車って言うのは、こちらの世界で言うと馬車の様に乗って移動する乗り物で、馬車より凄く速い乗り物なんだ。その車という乗り物同士がぶつかって、家族が乗った車は海に落ちて…そのまま上がって来なかった。」
「ごめんね、辛い話をさせて。」
「大丈夫…今は家族がいるからか、昔程この話をするのは辛くないよ。
あちらの世界では家族を亡くしてからずっと一人で暮らしてたんだ…俺の事を可愛がって色々と教えてくれていた師匠の様な人が一人居たけど、一緒には暮らしてなかったから…だから今、朝起きておはようって言って、一緒にご飯食べて、おやすみって言えることが嬉しい。
でも…こんな異世界から来て中身は17歳だって言う得体の知れない俺を家族にしていいの?
さっき何があっても家族だって言ってくれたけど、無理して家族にしなくても大丈夫だから!
今まで見ず知らずの俺をここまで面倒見てくれて凄い感謝してるんだ。だから二人に嫌な思いをさせたくない!」
「馬鹿だね。例え中身が17歳で異世界から来てても、今まで一緒に過ごした家族である事は変わりない、私達の知ってるナートなんだよ。
きっと若返ったのも、家族を亡くしてから甘える事が出来なかった分を取り戻させる為に神様が粋な事をしてくれたんだよ。これからもっと家族として甘えなさい。」
「グスッ…はいっ…ありがとう…義母さん、義父さん!」
「ナ"ードォ!俺を義父さんって!!
うおぉ!俺はお前を今まで以上に可愛がって大事にしてやるからなぁ!」
…これ以上…それは嫌だな。
「あんたは少し過保護過ぎるんだから、中身が17歳だって事少しは考えてあげるんだよ!」
「ありがとう義母さん!!さすが俺の気持ちを分かってくれてる!
デアドさんは今までと変わらないでください。」
「グスッ…なんで俺だけ義父さんじゃなくなったんだ…ナートが俺にだけ冷たい…。」
目の前に立派な馬車が一台止まり、中から一人の男性と一人の獣人のメイドが降りてきた。
「いってらっしゃいませ。」
「…。」
降りて来たメイドが深々と頭を下げ男性を見送り顔を上げると、彼女の首には奴隷の首輪があった。
…奴隷の首輪…嫌だ、気分が悪くなる。
見送られた男性は、デアドさんと同じ年齢くらいだ。ブラウンに黒い縁取りのある警備隊の制服の襟に金色の星が2つ付いている。白髪交じりの金髪は後ろに綺麗に撫でつけ全く乱れていない、銀縁の眼鏡を掛けた綺麗な顔は、眉間にしわを寄せている所為か随分と気難しいそうな印象だ。
「ペンサー…」
「え?」
「ペンサー・トラドル!」
「…?なんだ、デアド・テイルズか。」
「てめぇ、言うことはそれだけか?!
お前の息子がうちの息子に何をしたか知ってるだろ!親なら言うことがあるだろうが!」
「…。あれはもう俺の子ではない。だが、迷惑を掛けた。金を後で届ける。」
「金なんかいらねぇ!ってか、もう俺の子じゃないって何だ?!罪を犯したからか?お前最低な親だな!
親なら何があっても自分から子供の手を離すな!二度と過ちを起こさないように向き合って話せ!身体張ってでも止めろよ!!」
「…綺麗事を。本当の親でもないお前に何がわかる?」
「…確かに本当の親では無いが、俺はナートを本当の息子だと思ってる。だから俺は、ナートが何をしても俺から手を離すことはしねぇよ!」
「…理想論だ。お前の考えを俺に押し付けるな。
…ナート・テイルズ。迷惑を掛けた。何かあれば要望を聞こう、いつでも来るがいい。」
それだけ言うと彼はそのまま警備隊の建物の中に消えてしまった。
「おいっ!まだ俺は話しが!ったく!
相変わらず他人の話を聞かない奴だ。」
「デアドさん、今の人がセギド・トラドルの父親で警備隊2番隊隊長ですか?極度の獣人嫌いの?」
「ああ、そうだ。正式な名はペンサー・アルト・トラドル。侯爵家の次男でその魔力高さから警備隊2番隊隊長をしている。
王立騎士団にも入れる程の実力だが、今の見ただろ?気難しい性格が災いして、貴族として上手く世渡りが出来なくて、貴族が多い王立騎士団には入らず警備隊に入れられた。
ただ警備隊とはいえ貴族という事は変わらないからな、金持ちだ。あいつは結構な数の獣人を奴隷として買って家で働かせてるみたいだ…。胸糞悪い!」
「そうなんですね…。」
でも…本当にペンサー侯爵は獣人嫌いなのだろうか?
「ナート…家に帰ったらお前の事について少し聞きたい事がある。いいか?」
……
…
ーテイルズ家ー
「まずはナート、回復おめでとう!良かった!
お前が死ぬかもしれないってなった時、俺は自分の命と引き換えにしても救いたいって思ったんだぞ!
でも回復魔法も使えず何も出来ない自分の不甲斐なさに心底失望したよ。お前を救う力になってやれず済まなかった。」
「そんな!俺の方こそ、俺達でどうにかできるって勘違いして…子供だけで行ってしまってごめんなさい。」
「そうだな。そこは本当に反省すべき点だな。
あのメモを見た俺らは凄い心配したんだからな!でも、もうちゃんと理解して反省してるんだろ?ならそれに関しては俺から言う事は何もない。」
「本当に心配したんだよ。この人なんて慌てて何にも持たず教会に行こうとして、戻って来たら武器持って行くだけじゃなくて何故かフライパンまで持ってく始末さ!」
「お前っ、それは内緒にしてくれって言ったじゃないかぁ!」
「え?そうだったかい?覚えちゃいないよ!
だからそうだね…心配を掛けた罰として、明日から店のお昼を準備する手伝いを命じるよ!」
「え?お昼の準備?」
「そうさ!お昼の準備は本当に大変なんだよ!頑張りな!!」
「はい!!」
やった!!これで念願だった厨房にやっと入れる!!これでスィーツ作りに一歩近づけるぞ!
「それでナート…お前についてだが…本当は自分自身について記憶があるんじゃないか?
詳しく俺達に話せないのは、何か不安だから話せないでいるように感じるんだが…。」
「… …。」
「ナート、お前が何者であろうとも俺達が家族だという事は絶対に変わらない!お前から家族を辞めたいと言って出て行っても、俺達は家族だと思い続けてる!
無理に話してくれとは言わない。だが、俺達がお前が何者であろうとも家族だと思っているという事を知っていて欲しい!」
あぁ…正体を上手く誤魔化せていたと思ってたけど、とっくに勘付いていたんだ。それでもこんなにも受け入れてくれていたなんて。
本当の事を話そう!デアドさん達ならきっと、異世界から来た得体の知れない俺でも受け入れてくれる筈だ!
「デアドさん、ラウラさん…ありがとう。
俺がここに流れ着いた時に記憶が曖昧だと言ったけど…デアドさんの言う通り、記憶はあるんだ。
俺が本当の事を話す事が出来なかったのは…俺の話す真実は突拍子もなくて、信じてもらえないと思ったから…頭が変な子だと思われて追い出されたらって考えたら怖くて言えなかった。嘘ついてごめんなさい。」
「いいんだよ、ナート。
皆んなが皆んな正直に話せる訳じゃない。この人だって獣人だって事を言わなかったんだからね!」
「その話はいいって!」
「何恥ずかしがってんのさ!あんただってナートに嫌われたらって考えて言えなかったんだろ?
まったく二人とも変な所が似てるんだから!」
そう言ってラウラさんが笑うと、さっき迄のお互い気を使い過ぎて、言い出しづらかった雰囲気が一変して和やかな雰囲気になった。
「実は俺…異世界から来たんだ。」
「ハッハッハッ、ナートでも冗談言うんだっ、痛っ!」
ーバシッ!……バシッ!バシッ!ー
「ちょっ、痛いって!」
「馬鹿だね!ナート見て冗談言ってるように見えるのかい!」
「へ?冗談じゃない?」
「ハッハッ、冗談に聞こえるよね…でも本当なんだ。」
「…すまん!俺が馬鹿だった!だからそんな顔しないでくれ。本当にすまん!」
「…俺は学校から帰る途中に海に誤って落ちて、それで気が付いたらここに。
しかも…若返って!本当は俺17歳なんだ!でもここに来たら10歳頃の姿に戻っていて!
何が何だか分からないし、知らないこの世界で子供の姿で放り出されたらどうしようって怖くなって嘘を…ごめんなさい。」
「若返った?!…でも確かにナートは10歳のような子供とは違って随分落ち着いてて、頭も良いし女性の接客なんて子供じゃなかったもんな!」
俺の接客って…でもまぁ10歳の子があんな接客してたら変か…。
「ねぇナート、親御さんの話は真実かい?」
「本当だよ。俺の家族は10歳の頃、ちょうど今の姿の年齢の頃に車の事故で亡くなったんだ。
車って言うのは、こちらの世界で言うと馬車の様に乗って移動する乗り物で、馬車より凄く速い乗り物なんだ。その車という乗り物同士がぶつかって、家族が乗った車は海に落ちて…そのまま上がって来なかった。」
「ごめんね、辛い話をさせて。」
「大丈夫…今は家族がいるからか、昔程この話をするのは辛くないよ。
あちらの世界では家族を亡くしてからずっと一人で暮らしてたんだ…俺の事を可愛がって色々と教えてくれていた師匠の様な人が一人居たけど、一緒には暮らしてなかったから…だから今、朝起きておはようって言って、一緒にご飯食べて、おやすみって言えることが嬉しい。
でも…こんな異世界から来て中身は17歳だって言う得体の知れない俺を家族にしていいの?
さっき何があっても家族だって言ってくれたけど、無理して家族にしなくても大丈夫だから!
今まで見ず知らずの俺をここまで面倒見てくれて凄い感謝してるんだ。だから二人に嫌な思いをさせたくない!」
「馬鹿だね。例え中身が17歳で異世界から来てても、今まで一緒に過ごした家族である事は変わりない、私達の知ってるナートなんだよ。
きっと若返ったのも、家族を亡くしてから甘える事が出来なかった分を取り戻させる為に神様が粋な事をしてくれたんだよ。これからもっと家族として甘えなさい。」
「グスッ…はいっ…ありがとう…義母さん、義父さん!」
「ナ"ードォ!俺を義父さんって!!
うおぉ!俺はお前を今まで以上に可愛がって大事にしてやるからなぁ!」
…これ以上…それは嫌だな。
「あんたは少し過保護過ぎるんだから、中身が17歳だって事少しは考えてあげるんだよ!」
「ありがとう義母さん!!さすが俺の気持ちを分かってくれてる!
デアドさんは今までと変わらないでください。」
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