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第7話
続々
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「は…?人類が、滅んだ……?」
情けない声が喉を震わせた。冗談だろ、そんなことあるわけなくね?そう口に出そうとしたのに、出たのはオウム返しのような確認。限界まで見開いた目は、震える口元は、かすれ、途切れる言葉は、弥勒の衝撃を如実に表していた。
「ここが未来で、人類が滅んでまた誕生した?話が突飛すぎてついていけんのよ…!」
吐き捨てるようにそういった弥勒の肩を安は撫でていた。
「疑問も、受け入れがたい気持ちも察するにあまりありますが…今はどうか、政宗様のお話をお聞きください」
「できるわけ…!」
「ーー降野弥勒殿」
「!」
「お聞き、ください」
ゆっくりと、そう繰り返した小十郎。お願いの形であるはずなのに、弥勒は、それが絶対遵守すべき命令のように聞こえた。政宗の話をさえぎってくれるな、と。
「いい、小十郎。…俺とてこいつの立場じゃ動揺するだろうよ。」
「御意に。」
政宗の制止を受けた小十郎。
弥勒は、少しだけ落ち着きを取り戻した。
「仮に…仮にここが未来だとしても、なんで人類が滅んだんですか」
「ーー地球温暖化」
「!」
「この一言で、大体わかるんじゃねえか?」
震える口を叱咤して絞り出した問いへの答えは、聞き馴染みのある言葉で返ってきた。
地球温暖化。それは、現在とても大きな問題となっている現象。人間の科学力の発達に伴い、自然エネルギーや資源の酷使、その他様々な事が要因となって起き始めた問題。近年の異常気象、災害はこれが大きく影響していた。…数多の命が、災害という防げない自然現象に殺された。
ーー人間の、後先考えない発展が引き起こした、弥勒は思っている。
弥勒は地球温暖化に危機感を持つ人間の一人であった。幼少期とは比べ物にならない気温の上昇は、もはや凶器に他ならない。飼い犬が昼間散歩に行けないほど熱い地面、直ぐに蒸発する水分、高齢者の真夏の死亡率の高さ。…弥勒が今日、ベンチで動けずにダラけていたのも高すぎる気温の影響が大きかったのだ。
弥勒は何度も見ていた。
田舎だから、山があるから、野生の動物なんかたくさん見る。
例えば、地面でカエルが干からびていたとか。
例えば、捨てられて箱の中で大雨にさらされる子犬だとか。
例えば、水を求めて灼熱の路上を焼けただれた足で歩く猫とか。
例えば、水温が上がって死んでしまった魚だとか。
ーー例えば、日向ぼっこしていた近所の犬が、二度と動かなくなっていたとか。
猫と犬は保護し、今や我が家の一員だが、他は弥勒では到底解決できるはずもなかった出来事だ。人間でさえ耐えきれない現象に、動物が耐えきれるわけがない。
「ーーんだよ、それ」
弥勒は、力なく床に崩れ落ちる。そっと支えてくれた安にお礼さえ言えなかった。
どうしよう無い罪悪感で胸を締め付けられていたから。
んだよ、なんだよそれ。人間が無責任に発展していった結果が人類の滅亡とか。弥勒は、涙を出さずに泣き笑いの表情を浮かべる。流せる涙など、無かった。薄々、分かっていたのかも知れない。
唯でさえ理解できない状況に加えて、衝撃的な話だ。未来に来たとしても、まさか人類が滅び、再誕したとは思いもしない。タイムスリップ自体、現実で起こるとも考えたことなど無いのだから。
畳の上で横たわるドアを、じっと睨みつけることでしか、この荒れ狂う激情をこらえる術は無かった。
情けない声が喉を震わせた。冗談だろ、そんなことあるわけなくね?そう口に出そうとしたのに、出たのはオウム返しのような確認。限界まで見開いた目は、震える口元は、かすれ、途切れる言葉は、弥勒の衝撃を如実に表していた。
「ここが未来で、人類が滅んでまた誕生した?話が突飛すぎてついていけんのよ…!」
吐き捨てるようにそういった弥勒の肩を安は撫でていた。
「疑問も、受け入れがたい気持ちも察するにあまりありますが…今はどうか、政宗様のお話をお聞きください」
「できるわけ…!」
「ーー降野弥勒殿」
「!」
「お聞き、ください」
ゆっくりと、そう繰り返した小十郎。お願いの形であるはずなのに、弥勒は、それが絶対遵守すべき命令のように聞こえた。政宗の話をさえぎってくれるな、と。
「いい、小十郎。…俺とてこいつの立場じゃ動揺するだろうよ。」
「御意に。」
政宗の制止を受けた小十郎。
弥勒は、少しだけ落ち着きを取り戻した。
「仮に…仮にここが未来だとしても、なんで人類が滅んだんですか」
「ーー地球温暖化」
「!」
「この一言で、大体わかるんじゃねえか?」
震える口を叱咤して絞り出した問いへの答えは、聞き馴染みのある言葉で返ってきた。
地球温暖化。それは、現在とても大きな問題となっている現象。人間の科学力の発達に伴い、自然エネルギーや資源の酷使、その他様々な事が要因となって起き始めた問題。近年の異常気象、災害はこれが大きく影響していた。…数多の命が、災害という防げない自然現象に殺された。
ーー人間の、後先考えない発展が引き起こした、弥勒は思っている。
弥勒は地球温暖化に危機感を持つ人間の一人であった。幼少期とは比べ物にならない気温の上昇は、もはや凶器に他ならない。飼い犬が昼間散歩に行けないほど熱い地面、直ぐに蒸発する水分、高齢者の真夏の死亡率の高さ。…弥勒が今日、ベンチで動けずにダラけていたのも高すぎる気温の影響が大きかったのだ。
弥勒は何度も見ていた。
田舎だから、山があるから、野生の動物なんかたくさん見る。
例えば、地面でカエルが干からびていたとか。
例えば、捨てられて箱の中で大雨にさらされる子犬だとか。
例えば、水を求めて灼熱の路上を焼けただれた足で歩く猫とか。
例えば、水温が上がって死んでしまった魚だとか。
ーー例えば、日向ぼっこしていた近所の犬が、二度と動かなくなっていたとか。
猫と犬は保護し、今や我が家の一員だが、他は弥勒では到底解決できるはずもなかった出来事だ。人間でさえ耐えきれない現象に、動物が耐えきれるわけがない。
「ーーんだよ、それ」
弥勒は、力なく床に崩れ落ちる。そっと支えてくれた安にお礼さえ言えなかった。
どうしよう無い罪悪感で胸を締め付けられていたから。
んだよ、なんだよそれ。人間が無責任に発展していった結果が人類の滅亡とか。弥勒は、涙を出さずに泣き笑いの表情を浮かべる。流せる涙など、無かった。薄々、分かっていたのかも知れない。
唯でさえ理解できない状況に加えて、衝撃的な話だ。未来に来たとしても、まさか人類が滅び、再誕したとは思いもしない。タイムスリップ自体、現実で起こるとも考えたことなど無いのだから。
畳の上で横たわるドアを、じっと睨みつけることでしか、この荒れ狂う激情をこらえる術は無かった。
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