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その少年、果てしない時を越えた先で何をするのかーー?
田舎に住む少年「降野(ふりの)弥勒(みろく)」は、中学二年、一学期の終業式を迎えた。夏特有の茹だるような暑さにバテ、駄菓子屋前のベンチでアイスを片手にダレていた。一向に動かないため、友人二人に駄菓子屋においてかれた彼。少し休んだあと、駄菓子屋店主の八千代という老婆にトイレを借りた。軽口をたたきながらも、せっせと用を済ませ、再びドアを開けた先。
ーーそこには、清廉な空気漂う中、石畳に鎮座する鳥居と社が存在したのだ。
ドアが軋むほど開け閉めしても変わらない景色。一体何がどうなっているのか。
「トイレのドアを開けた先は、なんか神聖そうな場所でした……ってか?」
ここからはじまる物語。誰にも予想できない弥勒の言動が、今後どう作用するのか、未だわからない。
※カクヨムでも公開中
文字数 29,461
最終更新日 2024.01.09
登録日 2023.07.04
自殺を図った男ーー榊 生世は、目が覚めると見知らぬ場所に居た。
自身の数十倍はあるだろう木々が生い茂り、その中の一際巨大な木の根元。そこで眠っていたのだ。
ここはどこなのか、なぜ自分は、自殺などを図ったのか。記憶が曖昧になりながらも、生世は森を探索することを決め、歩き出す。
感じない空腹、疲労感、喉の乾き、徐々に違和感が顔を出してくる中、森を抜けた先には、信じられないものがあった。
「…なんだこれーー果物、か?」
まさに、木の宝石。果物のような見た目であるが、見た目は宝石のようにキラキラと美しく、果物を模した宝石だと言われれば信じてしまいそうな程だ。なぜか落ちていた、くすんだ色で輝くそれを、生世は持ち上げる。そうして、なにかに導かれるように口を開けたーーその時だった。
「それオレのだから!」
転がり込んできた小さな影に、驚愕をあらわにする生世。
現れたのは、一人の少年だった。
ふんだくるように果物を掴んだ少年は、覚悟を決めた顔で食べる。
唖然としつつも、生世は自分以外にも人が居たことに少し安心をした。
少年が言うには、ここは楽園と呼ばれる生命の保管場所。そして、この果物は生命そのものであるとのことだ。
生世はなぜ自殺したのか、なぜここにいるのか、それらの謎を解かなければ果物が腐り落ちてしまう。
制限時間は、48時間59分。
彼は、この楽園で思い出すことができるだろうか。
なぜ少年は、楽園について詳しいのだろうか。
一体何者なのか。
それは、48時間後に明らかになる。
文字数 3,653
最終更新日 2023.07.02
登録日 2023.06.29
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