上 下
42 / 77

第42話 Ω反逆同盟を結成した件

しおりを挟む
 尾芽牙おめがくんはΩの危機を救うため、αによる男性支配社会へ正義の鉄槌を下すためにΩ反逆同盟を結成し、早くも一大勢力を築いていた。


「収入のジェンダー格差、家庭内におけるΩの家事・育児負担率の高さ、管理職・国会議員にΩがいないことなどを見ても、我が国がαによる男性支配社会であることは、火を見るより明らかッ! いい加減、その事実を認めたら~」
「……うぅ、おのれ~」


 尾芽牙おめがくんに背中を乱暴に突き飛ばされた政治家は、抵抗もできずに倒れ込み、思い切り膝を打った。


「Ωの分際でワシのような大物政治家に乱暴するとは貴様、自分の立場が分かっとらんようだなぁ⁉︎」
「黙れ。立場を分かっていないのは、あんたの方だよ」
「……なんだと⁉︎」


 親の七光りで何一つ苦労することなく、政治家として今まで数多くのΩを這いつくばらせ、性的に搾取してきた男は生まれて初めてΩに見下ろされる屈辱に発狂しそうになっていた。
 多くの人間を顎で使い、札束でΩの横っ面を叩いて好き放題やってきた政治家にとって、Ωと対等か、それ以下の扱いを受けることは地獄の苦しみなのだろう。


「もう一度言うけど、自分の置かれている立場を理解したら? 生きていられるのはボクの気まぐれのおかげなんだから。本来ならその命でΩに対する非人間的扱いを正当化できる社会を維持してきた罪を償ってほしいところなんだけどね」
「く、うう……Ωがワシに偉そうな口を利くんじゃない! お前らなど産む機械として大人しく種付けされていればいいものを……」


 まだΩが強力な特殊能力に目覚める前の時代ならば、αに力で勝てないΩは未来永劫、男社会の奴隷として肉体的にも精神的にも搾取され続けただろう。
 だが、今は違った――。


「下品な目でボクの方を見ないでくれるかなぁ~」
「ひぎぃッ! うぐッ、うぅ……」


 尾芽牙おめがくんに、みぞおちをしたたか蹴り抜かれた男は、前のめりになって蹲ってしまう。


「この期に及んで、まるで反省の色がないみたいだね。やれやれ、男としての魅力もろくにないくせに、好色な目でΩを見るなんて醜悪で無様だわ~」
「なんだと⁉︎ Ωの分際で、このワシを愚弄するか!」
「はぁ……さっきから『Ωの分際で~』とか言ってボクたちのことを散々バカにしきってるみたいだけど、種付けする以外に脳がないαの男なんかがそんなに偉いわけ? 大多数の男はΩから見ればキモいだけなんだけどなぁ。アオイくんも、そう思うよね?」


 尾芽牙おめがくんが僕に話を振ってきた。ノリと勢いだけで、こんな所まで尾芽牙おめがくんに付いてきてしまったのだ。


「まあ……そうかもね……」


 僕は力なく言ったが、本音を言えばキモい男たちが勃起能力の欠如と共に平和的に滅び去ってくれれば、これほどΩにとって安全なことはないだろう。
 学校や会社でもΩの胸や尻を触る程度のセクハラは日常茶飯事。全て男としての権力で黙らせ、やりたい放題のキモいヤツに限って、性的好奇心が旺盛なのだ。


「ここにいるアオイくんはね、お前のような無能の雄豚が気安く声をかけることも恐れ多いほど偉大な可愛いさを持っているんだ♡ それなのに、その薄汚れた目でジロジロとアオイくんのことを見やがって~!」


 ドスッ!
 尾芽牙おめがくんのローキックが男のみぞおちに決まる。


「うごぉッ! げほげほッ……み、見ていない。たまたま視野に入っただけだ……げほッ」
「視野に入ったということは要するに見たってことだろ。お前みたいなゲスな汚物に見られたショックでアオイくんが寝込んだらどうするんだッ!」


 男の弁明に耳を貸すこともなく、尾芽牙おめがくんは容赦なく何度もみぞおちに蹴りを加えていく。


「いい姿だね、雄豚。生まれた時から男としての権力だけに縋って生きてきたゴミクズにはお似合いの末路だwww」


 ピシイッ!


「ひぎぃッ!」


 今度は尾芽牙おめがくんの鞭が男の尻に食い込む。
 躾用の騎乗鞭を手にした尾芽牙おめがくんに睨みつけられ、男は背筋を震わせていた。


「ボクたちが男共に散々されてきたことをやり返してるだけだよ。今までボクたちが味わわされてきた苦しみと比べれば、こんなの序の口さ!」


 確かに尾芽牙おめがくんの言う通りかもしれない。生まれて初めてレイプされた時は乳首や股間から血が出るほどメチャクチャにされて全身アザだらけになった挙句、プレイと称して殺されるかと思うほどの苦痛を味わわされた。今まで生きてこられたのが不思議なぐらいだ。
 彼らは僕を、『Ω』を心の底から見下し、完全に玩具か、奴隷としてしか見ていない。そのことへの怒りが目の前の男に対する同情心をかき消した。


尾芽牙おめがくん……もっと、そいつをやっちゃってwww」
「アオイくんの望むがままに♡」


 こうして尾芽牙おめがくんはΩを人間扱いしてこなかった社会を築き上げた政治家共を次々と闇に屠っていくのであった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

保健室でイケメンが目隠し拘束されていたので犯してみた話

BL / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:286

痴漢を試みたら、逆レイプされました。

BL / 完結 24h.ポイント:35pt お気に入り:4

アイドル辞めると言ったら犯された

BL / 完結 24h.ポイント:142pt お気に入り:1,637

処理中です...