聖女召喚で呼ばれた私は女神(仮)でした

ミツ

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五大国会議

エフィル神国秘密の会議

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 住宅建設を始めて一ヶ月、漸く全ての住宅の建て替えが終了した。
 移住者の為のマンション等も多く作り、街は以前の1.5倍程の広さまで拡大していた。

 更に、王宮も完全に別物になった。
 見覚えのある、日本人ならこう言うだろう。
『どちらの都庁ですか?』と。
 あえて言おう、やり過ぎたと!!

 この世界ではあり得ない地上10階、地下5階建ての建物だ。
 元の世界だと30階建ての建物のサイズは越えている。

 地下3~5階は、水源と生け簀兼養殖場。
 新鮮な魚が欲しかったしからね。
 地下2階は、今まで通り鍛冶の工房、広さと部屋数は前の何十倍にした。
 従業員が欲しかったからね。
 地下一階は、生活道具の工場。
 ここも、巨大化したよ。
 エリカさんの希望で。

 一階は、エフィル神国の教会本部。
 色々手を加えて、難民の仮宿泊所等も完備している。

 2階は厨房、食堂区画。
 ここでは、食堂と厨房を併設している。
 私が以前働いていた居酒屋のメニューが完備されている。
 そして、勤めている何人かのベテランは、街の人達に料理指導の為、交換制で街の中で飲食店をやっている。

 3階は発酵研究所と食材倉庫になっている。
 これは、醤油、味噌等を私の魔法以外で作り出す為のプロジェクトだ。
 裏テーマが『日本酒が飲んでみたい』と言うエリカさんの一言だったのは記憶に新しい。
 まあ、お酒が飲める年齢まで日本に居なかったからねエリカさんは。

 食材倉庫に関しては、私の食材保存の魔法が掛けられているから一生腐らないし劣化しない。
 これで、万が一の場合、飢饉など起きないと言うわけ。

 4階は円卓の会議室と教皇の間にしたよ。
 今まで、教皇の間で会議してたらしく準備が大変だったって聞いて作り上げた。
 教皇の間は、2階にあったときと内装とシステムはそのまま残した。
 まあ、唯一、以前の様相を残した部屋だね。

 5階~8階は、役所にしたよ。
 今までの役所の場所は、分かりにくいと文句があったからね。

 そして、9階、10階が私達の住居区画。
 勿論、階段と転移ベーターも設置済。
 防犯として、1階、2階、5階~8階までは、誰でも入れて3階、4階は許可証を持つ人だけ、9階、10階はミケラーノ一族と私の認証を受けた人だけが入れるようになってる。
 許可なく入った場合、強制的に1階の入口に戻されるって仕組みを完備。

 後、食事に関しても私が教えたレシピを参考に色々な料理が生まれていった。 住人や移住者達も私達と大差無いものを食べれるし、美味しいご飯は最高だ。



 ━━━そんなある日。



 あの話を聞いたのは『フェビカ王国に魔獣の森が現れた』と、五大国会議まで、僅か一ヶ月に差し迫った時期であった。

 ここは、会議室。
 私、レティシス様、ゲイリーさん、ステラさん、ヒョッケイさん、エリカさんが円卓を囲んで座っている。
 無論、私の膝にはくーちゃん、両隣にはティアム、ファントも就いている。

「この件、どうしましょうか」
 最初に口を開いたのは、レティシス様だった。
『放置しても構わないと思うのだが』
 次に口を開いたのはまさかのくーちゃんだった。
「何でよ、くーちゃん」

『あれは、エフィル様とアース様が意図的に作り出したモノだから』
 ……は?
「いやいや、どう言うこと?」
 くーちゃんの言葉に全員が小首を傾げる。

『えっ? 何にも聞いてないの? 母上?』
 私の膝に乗り、此方に振り向きコテッと首を傾げるくーちゃん。
 可愛いな……うん。
 今日は、強制モフモフしてやろう。
 ムフフフフフ。
『…………oh』
 くーちゃんが、両手で頭を抱えた。

 くーちゃんの話を聞くと、世界に混乱をもたらそうとしているフェビカ王国に罰を与えるためエフィルが魔獣の森を復活させたと言う。
 復活させた人は、魔王と呼ばれる人族でありエフィルの使徒の一人だと言う。

「へぇ……で、なんでこの世界の事なのにアースまで関わってるの?」
『あれじゃないかな? 勇者召喚』
「「「「勇者召喚!?!?」」」」
 私以外の全員が声を大にして叫んだ。
 ………?
「聖女召喚が可能なら勇者召喚も可能じゃない?」

 私の言葉に答えたのはファントだった。
「いえ、勇者召喚は失われた魔法ロストマジックなのです。
 その方法等は一切不明なのです。
 それこそ、揉み消されたように」
『ファントちゃん、正解』
 くーちゃんが答える。

 くーちゃんは、保育園の先生になってから全員にちゃん付けするようになったのだ。
 ファント達も最初は拒絶していたもののくーちゃんの可愛さに陥落した。

『勇者召喚は揉み消されたんだよ。
 勇者がアホなことをしたせいで』
 くーちゃんが語る。
「なんで、くーちゃんそんな事を知ってるの?」
『先代の記憶とエフィル様の叡知のお陰』
 なるほど……全然わからん。
 そんな私を他所にくーちゃんが話を始める。



 §§§§§

 かつて、この世界には邪神の使い邪王と呼ばれる王様がいた。 逆らうものは全て殺し、その圧倒的な力で世界を混沌に陥れた。

 その事態に世界の各種族の長や知識、能力の有るもの達は全ての知識を駆使し異世界から勇者を呼び出す『勇者召喚』を作り出し行使した。

 そして、現れた異世界の勇者は、邪王を殲滅。
 世界は平和になった。

 しかし、フェビカ王国を建国した勇者は不満を持っていた。
 邪王亡き今、これ以上称賛を受ける事がないと。

 そして、考え付いたのは邪王の力の一旦である『邪神』の力を行使すること。
 自身が立ち上げた、フェビカ王国ではなくエフィル神国に『魔獣の森』を作り上げたのだ。

 エフィル神国に作った理由、それは最もフェビカ王国から離れていたと言う至極簡単な理由からであった。

 そして『魔獣の森』を作った勇者は、魔獣を蹴散らしその名を後世に残したのだ。



 §§§§§


「ただの目立ちたがり屋のバカじゃん」
 私の言葉にくーちゃんが頷く。
『勇者と言っても邪王と変わらない愚か者と言うこと』
「でさ『聖女』は何処から出てきたのよ」
 今の話は、勇者がアホだから魔獣の森が出来たってことだけ。

『魔獣で世界が滅びかけたときに女神エフィル様が提案して採用されたんだよ。
 勝手に連れて来られたエリカちゃん達には、迷惑な話だけどね』
 確かに。
 めっちゃ迷惑。
 誘拐だからね、誘拐。
『でもね、『聖女召喚』されなかったらエリカちゃん達は死んでたからね』

「えっ? どういう意味かしら? くーちゃん」
 エリカさんが、椅子から立ち上がった。
『『聖女召喚』はね、アース様の世界で死期が差し迫った人間の中で聖女の適正が高い人を呼び出すシステムになってるの。
 これは、エフィル様とアース様が取り決めてエフィル様が説明をすることになってるんだけど?』

 あー、エフィル……絶対に説明してないわ。
「聞いてない…………」
 エリカさんが複雑な顔になった。
 誘拐されたと同時に救われたと言う複雑な状況に陥ってるよね。
『エフィル様は、基本的にズボラだからねぇー』
 くーちゃんが、ケラケラ笑っている。

「くーちゃん、エフィルに怒られても知らないわよ」
 耳元で囁くと、ガタガタと震えだすくーちゃん。
 これに関しては、自業自得だ。

「じゃあ『魔獣の森』は放置しても良いってこと?」
『うん』
「でも、勇者召喚は気になるわね……」
 そう、フェビカ王国には絶対的な戦力とも言える異世界の勇者がいるのだ。
 これに関しては、警戒するに越したことはない。

「では、ミサキ様ではなく相沢美咲お嬢様としてフェビカ王国に赴いて頂くのは如何でしょう」
 ファントの傍迷惑な提案が出された。
「いやいや、何言ってるのファント」
 絶対に嫌だ。
 フェビカ王国って、私を放置した人達のいる国でしょ?
 軽いトラウマだもん。

「それしか無いわね」
 エリカさんも、同意する。
 無論、レティシス様やゲイリーさん達もだ。
「私の意思は?」
「今回に関しては、無視の方向で」
 ティアムが微笑みながら言い切る。

 ━━━こういう時だけ、微笑むなよ。

 私以外の全員の顔が割れているためだそうだ。
 更には、教皇近衛騎士モフモフ達もフェビカ王国の貴族や王族に顔が周知されているらしいです。
 マッシューロさんは、有名らしいからいいけど……エロスティーナちゃんも?

 そして、私の意思を無視して会議は進む。
 決定事項は、私とケンの二人でフェビカ王国に行くことに。

「ミーちゃん、ケンちゃんを襲っちゃダメよ?」
「は? 逆じゃない?」
 か弱い私じゃなくてケンに言え。
「「か弱い…………」」
 ファントとティアムが、ため息混じりに囁く。
 何か? 文句があるなら聞こうじゃないか!!
「「イエ、トクニ……」」

「ケンちゃんにそんな度胸は無いわよ。
 あの子、旦那様に似て超奥手だから」
 人の顔を被った肉食系ライオンが言い切った。
「ソウデスカ」

 そして、出発当日。
 私とケンは、教皇の間に居た。
「よし、キティーナーちゃん。 宜しく」
「は、はい」

 私の魔力を経由してキティーナーちゃんの転移魔法で移動する魂胆だ。
 帰りは、エフィル神国に設置した帰還用転移装置であっという間よ。

 ……私の魔法で作りました。
 エリカさんの研究用にね。

「じゃ、じゃあ、行きますー」
 魔法陣が、私とケンを包み込む。

 §§§§§


 そして、瞬きをした瞬間に景色は変わりフェビカ王国の王都が見える小高い丘に到着した。
「着いたわよ、ケンちゃん」
 隣を見ると、目を瞑りガクガクと震えるケンの姿。
「怖かったの?」
「ああ、転移は初めてだからな……」
「そっか」
 私は、ケンの手を握る。

「……少しは落ち着いた?」
「うん……ありがと」
「じゃあ、行こうか」

 私とケンは、王都に向けて歩き始めた。





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