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友達を救いたい 宏子

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 うちには怜という友達がいて、関西なまってるけどすごい”いい”子なのよ。いい子って、どんな意味でかって? ふふーん、教えない。
 
 なんだろう、うちはよくスナックのマダムみたいっていわれる。でもね、うちはまだ高校生なの。高校5年生。2留してまーす。
 
 怜くんはね、高2か3。学年的には同じなんだけど、まあ、”下”よねえ。
 
 でも、うちの集団はそういう1年2年の差とか、細かいことは気にしません!
 全オープンなの!(あ、もちろんそういうところのOPENはだめだよ?)
 
 わたしはそんな集団が大大大好き。
 だったんだけど……

 グループLINEを起動。
「UCHIRA=さいこー!」
 
 グループメンバーは怜、うち、小雪ちゃん(うちは、こーちゃんって呼んでいる。)あと、ゆーたくん。
 この4人。
 怜は、だから、立ち位置が気まずいとかよくほざいている。
 どういうこと? 「気まずい」なんて、いままでわたしたちから、たとえば地球と天王星くらいは離れていると思っていたんだけど。

 怜くんが、なんかをやらかしてしまったみたい。
 ホウキで、悪い集団で野球してたのが原因だった。
 まあ、いつもの光景よね。
 
 パーン!
 誰かの雑巾がどっか原っぱに行った。
 
「あれ? 俺の雑巾があらへん!」

 叫び声。
 独特よね、「あらへん!」って。
 集団は、怜が気がくるってしまって雑巾をひとりでに窓から放り投げたことにした。
 
 ――クラセンはちょろい。
 それがにくく思われた。いままでで、一番悔しい出来事かもしれない。笑い飛ばせないくらいにくやしい。

 ――怜くんは、傷ついている。
 たぶん、うちは怜くんを救えない。

 小雨がだんだんやんできた。しかし、空は暗い。ああ、夜だな。
 うちはそう感じ、夜だー、夜だー、と意味もなく声をだす。

 もしかしたら、怜くんもこの道を通ったのかもしれない。
 あんまり思いつめていなければいいけれど――。

 地面に落ちそこなった雪たちが、ひらひらと舞っている。
 肩に触れると、小さく、誰かの声が聞こえる。

「……あらへんのかもしれない?……」
「意味……」

 詳しい言葉はよく聞こえなかったが、怜くんの声だとわかった。
 どうしよう。事態は深刻かもしれない。
 うちは、もしかしたら――

 驚くほど、芸がない自分を、飾りたてたいだけなのかもしれない?
 いつの間にか速足になっていたが、それは気が楽になったからではない。
 
 悔しいからだ。
 みじめだからだ。

 なんだろう、箱の中で飼いならされた小鳥みたいな気持ちだ。
 うちは、上唇をかみながら家路についた。
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