いつもは寄らないコンビニで

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影武者の午後5時 健二

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 悪役・ネット仮面の映画の第1幕ともいうべき部分の撮影が終了した。ピンクに男が入るということなので、それっぽーいイケナイ状況を推測されるかもしれないが、——または、現実にそうなるかもしれないが、——まあいいだろう。ぼくはゲイなわけではないが、反対しているわけでもない。万一そういう状況になるとしても、あんまり抵抗はしないタイプだ。

 第1幕は、チュートリアル的なものだったが、後半の引きも良いものだった。レッドの書き込みにピンクが反応し、仲間内で亀裂が生まれる——全てに気づいたブルーが何か書き込みをしていたりする、そんなシーンで終わるのである。

 全員、笑ってはいない。乾ききっている。

 まるでぼくみたいじゃないか。そう思ったりして、やっぱりぼくもまた、乾ききった笑いを笑っていた。ネット仮面より、ウルトラーメンやカメンライライティの方がすごく良い戦隊ヒーローじゃないか。

 あーあ、ファミレス分の食費が財布から消えただけじゃないか。これだったら。
 
——さっきから、ずっと、そんな堂々めぐってばっかりだ。

 本気でため息ついても、金が戻ってくるわけではないのに。
 どうしようもないから、今日は本気で逃げたいなって思った。

 撮影終わり。17時。
 生ぬるい風を受けていると、心が安らぐ。
 不吉なものの境地のような感じだ。

 ぼくも、それに似合う、とてつもなくぎこちない笑みを浮かべて、悪を極めしもののようにほくそ笑んだ。どうしてほくそ笑んでいるのかはよくわからないけれど、まあとりあえずこれでいいんじゃないか? と思える笑みはできた。

 なんだか楽しいけれど、結局これもまた堂々巡りに戻るんだろうな。疲れたように肩を落とすと、17時の風とまた出会った。

 いつものぼくなら、この風をウキウキしたものと捉えるんだろうけれど——。

 タイムプラス。前に見かけたコンビニだ。今は、それがなぜか憎く見える。一体どうしてなのかはわからないけれど。

 近くの自販機で缶コーヒーを買い、ぐいっと飲んで、捨てた。
 
 でも、タイムプラス。
 にくにくしげに思われたその店に、自分が羨みを抱いているだけだとわかった。

 自動ドアを潜って、タイムプラスに入る。真っ白に磨き上げられたタイルがぼくを出迎える。
 頂上の白い電灯を受けて、キラキラと輝いている。
 瞬間、不思議な平穏が心に訪れた。
 ああ、ぼくもいつかは、、こうなりたいな。
 むしろ、いつかなる、くらいの方が僕にとっては素敵だ。

 コンビニで買ったサンドイッチは200円程度だったがずっしりと重く、それと相対的に足取りは軽かった。どれほど長くいたのだろうか。もう18時を回っている。

 18時の風は、美しく、家路につくのにとてもふさわしかった。
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