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飲み会はタイムプラスで! /良太
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タイムプラスという不思議なコンビニに出会ったのは一週間くらい前のことだった——いや、正確には二週間前にも一度目撃していたのだけれど、そのときはまだ改装工事中だったから、立ち寄ることはできなかった。なんだか不思議な通りに迷いこんでしまったよなあ、という気持ちを毎回抱くのは不思議だ。
そのときが最初で、7日前に1回、5日前に1回、2日前と昨日でそれぞれ1回。だから合わせて5回、良太はそのお店を目撃している。
そして、毎回狐につままれたような気持になっている。時間が1時間増えるというその店は、くせになるものがたくさんある。
――まずは、この時空のゆがみだよな、
と、良太は自動ドアに入った瞬間思った。何かの周波数でもかけられているのか、体が心地よくほぐされていく感じがする。不思議な感覚だ。
良太は31歳。
あまり見かけないロゴ「YUHI」。パクリだろうかと思うくらい某アヒサに似ている。
缶ビールにあわせてチーズたらこをちぴちぴやりながら倉田は過去を思い出した。
春――
あれ、ここはどこだ? ……ああ、入学式だ。大学だ。
倉田明憲。
坂口達夫。
良太はこの2人と友達だった。
三人は、教師になるという同じ夢を持っていた。
なのに、なのに俺は――。
良太は、こらえきれなくなって、スマホを取り出した。KINE(カイン)を開き、いじった。
「教師になりたい!」のグループチャット。まだ退会していなかった。
最後に送ったのは、2019年8月の終わり。倉田の、「良太、おまえ教員になるつもり、もしかしてないのか?」
そんなどきりとするコメント。
メールで上をドンドンスワイプしていく。2018年6月。坂口が中学の教員試験に受かった。今は佐賀県のM高で社会をやっているらしいが、坂口は良太に対して年賀状を送るのをその年でやめている。軽蔑のしるしだったのかもしれない。
2017年。坂口は23歳だった。大学の卒業祝いにカラオケに行ったのだろう、「お前歌うまいな!」とかのコメントを三十五件以上も送りあいしていた。
教員免許のための試験。2人は大学を卒業し、そして合格した。
良太は、試験すら受けなかった。
――俺は、卑怯者だな。
良太は、どこか自分をさげすむようなことを考えた。ラスト一本のチーズタラコを舌の上に載せると、パチパチと何かがはじけていった。
そのときが最初で、7日前に1回、5日前に1回、2日前と昨日でそれぞれ1回。だから合わせて5回、良太はそのお店を目撃している。
そして、毎回狐につままれたような気持になっている。時間が1時間増えるというその店は、くせになるものがたくさんある。
――まずは、この時空のゆがみだよな、
と、良太は自動ドアに入った瞬間思った。何かの周波数でもかけられているのか、体が心地よくほぐされていく感じがする。不思議な感覚だ。
良太は31歳。
あまり見かけないロゴ「YUHI」。パクリだろうかと思うくらい某アヒサに似ている。
缶ビールにあわせてチーズたらこをちぴちぴやりながら倉田は過去を思い出した。
春――
あれ、ここはどこだ? ……ああ、入学式だ。大学だ。
倉田明憲。
坂口達夫。
良太はこの2人と友達だった。
三人は、教師になるという同じ夢を持っていた。
なのに、なのに俺は――。
良太は、こらえきれなくなって、スマホを取り出した。KINE(カイン)を開き、いじった。
「教師になりたい!」のグループチャット。まだ退会していなかった。
最後に送ったのは、2019年8月の終わり。倉田の、「良太、おまえ教員になるつもり、もしかしてないのか?」
そんなどきりとするコメント。
メールで上をドンドンスワイプしていく。2018年6月。坂口が中学の教員試験に受かった。今は佐賀県のM高で社会をやっているらしいが、坂口は良太に対して年賀状を送るのをその年でやめている。軽蔑のしるしだったのかもしれない。
2017年。坂口は23歳だった。大学の卒業祝いにカラオケに行ったのだろう、「お前歌うまいな!」とかのコメントを三十五件以上も送りあいしていた。
教員免許のための試験。2人は大学を卒業し、そして合格した。
良太は、試験すら受けなかった。
――俺は、卑怯者だな。
良太は、どこか自分をさげすむようなことを考えた。ラスト一本のチーズタラコを舌の上に載せると、パチパチと何かがはじけていった。
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