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08熱と心の特効薬
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コハクが、いつもの時間に起きて来ない。
最初の頃は、起こさなければ、いつまでたっても起きて来なかったので、シロガネが起こしていた。
しかし、最近は起こさなくても自分で起きれるようになっていた。
「まぁ、仕方がないか」
昨日は、仕事部屋の片付けをしたので疲れたのだろうか。
シロガネは、そう考えて、もう少し寝かせておこうと思った。
しばらくしてからシロガネは、時計を見て時間を確認する。
そろそろ、寝坊したと起きてきても良い時間なのだが、コハクが起きてくる様子がない。
起きてくれば、すぐに朝食を食べれるように準備を済ませている。
シロガネは、コハクを起こしに部屋へと向った。
部屋の扉をコンコンと叩いた。
こんな小さな音では、起きないとわかっている。しかし、丁度、今まさに起きたところならば返事があるだろう。
いきなり合図も無しに、扉を開けるわけにはいかない。
だが、返事はない。これも想定内である。
「コハク、入るよ」
声をかけて部屋に入れば、コハクは布団の中だった。
「コハク、おはよう。起きなさい」
大きめの声を出したが、一向に起きる気配がなかった。
シロガネは苦笑いをしながら、コハクを起こすために寝台へと近づいた。
すると、寝顔は険しく呼吸は乱れている。
急いで、コハクの額に手をおいて確認すれば、熱かった。
シロガネは、素早く部屋を出ていった。
すぐに戻ってくれば、水を入れた桶とタオルに氷枕を持っていた。
そっと、コハクの頭を持ち上げて、枕をどけて氷枕を置く。そして、ゆっくりと氷枕の上にコハクの頭を乗せた。
そして、小さめのタオルを絞って額に乗せる。
再び、部屋を出ていく。今度は水差しを持って戻って来た。
「コハク」
小さな声で名を呼んだ。
その声にコハクが反応して、薄っすらと目を開いた。だけど、焦点が合ってない様子だ。
「コハク、大丈夫かい」
もう一度、優しい声で呼んだ。
コハクの体が少し揺れて、瞳に光が見えた。シロガネの方へと顔を動かした。
「……シロ……ガネ」
「熱がある。辛いな。水を飲むかい」
「いら、ない……」
「蜂蜜につけた蜜柑を入れたから、ほんのり甘くて美味しいよ」
「あま……いの?」
「そうだよ」
「のみ、たい」
シロガネは、水差しの上に重ねてあるコップを取った。そして、蜂蜜づけの蜜柑の入った水を注ぐ。コハクが起きようとするので、手を差し伸べて抱き抱えるように支えた。
そして、コハクの口元に蜜柑が浮いてるコップを近づける。
コハクが小さく口を開けて、ゴクっと一口飲んだ。瞳が少し大きくなって、再び、ゴクっと喉を鳴らす。ゴクゴクっと全部を飲み干した。
コップの底に蜜柑が残っている。
フッゥと小さな息を吐いて、小さく、はにかんだ。
「あり、がとう……。おいし、かった」
「良かった。後で熱冷ましの薬を持ってくるから、飲みなさい」
「くすり……にがいの?」
「少しね」
「イヤだ」
「そうか……。なら、少し工夫をしてみようか」
「おこら……ないの?」
「何故、怒る必要があるんだい」
「だって……。これって……ワガママ、だ、よ」
「そうなのかい? 病人なのだから、気に病む必要はないさ。早く元気になってくれれば、それが一番だ」
「うん」
シロガネの暖かな優しさが、コハクを柔らかく包み込む。
それは、ふわふわっと宙に浮かんでいる風船のようだ。けど、飛んでいかないように大切に守られているような感覚がする。
シロガネの大切な宝物になったような気がしてコハクは胸が熱くなる。
つらい時に、気遣ってくれる誰かが側にいる。これは幸せなんだ。
コハクが素直な心で、柔らかな微笑みを浮かべた。
その綺麗な微笑みに惹かれて、シロガネの心が捕えられる。愛おしさが満ちて溢れそうになる。
「寝てなさい」
シロガネは、コハクの髪をそっと撫でて、その場を離れようとした。すると、コハクの手がシロガネの手に触れた。
「手、つめたい……、きもちいいの。もう、すこし……」
シロガネは、自身の手に触れたコハク手を握り締めた。そして、もう片方の手で、コハクの髪を優しくそっと撫でた。
撫でていた手を滑らせて頬に触れると、コハクは気持ち良さそうにシロガネの手にすり寄った。
柔らかな微笑みを浮かべて、うっとりしている表情は、甘えている時の猫ようだ。
ずっとこのまま側にいて、離れたくない思いは二人とも同じだった。
シロガネは髪を頬を、ゆっくりと何度もなんども繰り返し撫でた。
安心したのだろうか。
しばらくすると、コハクの小さな寝息が聞こえた。
シロガネは、握っていたコハクの手を自身の頬に当てて、撫でていた手でコハクの頬を包んで、親指で頬をなぞった。
コハクが眠りついたので、シロガネは部屋を後にして居間にいた。
薬棚から熱冷ましの薬を取り出して眺めていた。
熱冷ましの薬は、解熱と鎮痛の作用がある薬草を乾燥させて煎じた物だ。
少々それなりに苦い。
さて、甘いものが好きなコハクが飲めるようにするにはどうしたものか。
シロガネは思案する。
この間、町に出かけた時に、苺をたくさん購入した。保存用に、苺を砂糖で煮詰めて作った物がある。それと薬と合わせて、寒天を入れて混ぜたらどうだろうか。
思ったままに作って、食べやすい大きさにする。後は固めるだけだ。冷やさないといけないので、シロガネは指を鳴らせば、術式が発動した。作った物が冷気に包まれて固めた。
上手く出来たと、シロガネはホッとする。
シロガネが、コハクの部屋に戻ると、コハクが目を覚ましていた。
「シロ……ガネ」
「薬を持ってきたよ。起きれるかい? 頑張って飲もうか」
シロガネは、赤い小さな塊を見せた。
「これ……、くすりなの」
「そうだよ」
「おかし……みたい」
コハクをシロガネが抱き抱える。
「ほら、口を開けて」
「にがく……、ない?」
「甘いはずだよ」
コハクが小さな口を開ければ、舌が見える。その口の中に、シロガネがそっと赤い小さな塊を近づけた。
コハクの唇にシロガネの指がふれる。
その赤い小さな塊をコハクの舌の上にのせた。
コハクがひと噛みすれば、苺ジャムの味がした。
「あまい……おいしい」
「ほら、もうひとつ」
「アーン」
コハクは嬉しそうに、再び口を開けた。
もう一度、同じようにシロガネは食べさせた。
モグモグとコハクが、噛み締めるように食べる。その姿にシロガネは、無事に薬を服用させれたと胸を撫で下ろした。
抱き抱えていたコハクをシロガネが寝かせようとすれば、コハクがしがみついた。
「どうした? つらいのかい」
コハクが小さく首を振る。
「ありがとう」
小さな囁きに、シロガネの手は力が入る。そして、シロガネの胸の中にいるコハクを強く抱きしめた。
「はやく良くなっておくれ」
さっき、コハクの唇が触れた自身の指先に目がいく。その指を、そっと自分の唇に当てた。
「アーン」
儚げな声ではなくて、元気なコハクの声がする。大きな口を開けていた。
薬が効いてコハクの熱は下がったので、シロガネはコハクの為に粥を作った。
その粥を食べさせて欲しいと、コハクがシロガネにねだっている。
これも、コハクが元気になった証である。
シロガネは、仕方がないと思いつつ苦笑する。だけど、甘えられる喜びも感じていた。
湯気が出でいる粥をシロガネが、フーフーっと息を吹きかける。
コハクも真似をして同じように愉しそうに息を吹きかけた。
その様子をシロガネが見つめる。
二人の視線が交われば一緒に笑い合う。
「ほら、熱いから気をつけおくれよ」
シロガネがよそった粥をコハクは美味しそうに食べた。
最初の頃は、起こさなければ、いつまでたっても起きて来なかったので、シロガネが起こしていた。
しかし、最近は起こさなくても自分で起きれるようになっていた。
「まぁ、仕方がないか」
昨日は、仕事部屋の片付けをしたので疲れたのだろうか。
シロガネは、そう考えて、もう少し寝かせておこうと思った。
しばらくしてからシロガネは、時計を見て時間を確認する。
そろそろ、寝坊したと起きてきても良い時間なのだが、コハクが起きてくる様子がない。
起きてくれば、すぐに朝食を食べれるように準備を済ませている。
シロガネは、コハクを起こしに部屋へと向った。
部屋の扉をコンコンと叩いた。
こんな小さな音では、起きないとわかっている。しかし、丁度、今まさに起きたところならば返事があるだろう。
いきなり合図も無しに、扉を開けるわけにはいかない。
だが、返事はない。これも想定内である。
「コハク、入るよ」
声をかけて部屋に入れば、コハクは布団の中だった。
「コハク、おはよう。起きなさい」
大きめの声を出したが、一向に起きる気配がなかった。
シロガネは苦笑いをしながら、コハクを起こすために寝台へと近づいた。
すると、寝顔は険しく呼吸は乱れている。
急いで、コハクの額に手をおいて確認すれば、熱かった。
シロガネは、素早く部屋を出ていった。
すぐに戻ってくれば、水を入れた桶とタオルに氷枕を持っていた。
そっと、コハクの頭を持ち上げて、枕をどけて氷枕を置く。そして、ゆっくりと氷枕の上にコハクの頭を乗せた。
そして、小さめのタオルを絞って額に乗せる。
再び、部屋を出ていく。今度は水差しを持って戻って来た。
「コハク」
小さな声で名を呼んだ。
その声にコハクが反応して、薄っすらと目を開いた。だけど、焦点が合ってない様子だ。
「コハク、大丈夫かい」
もう一度、優しい声で呼んだ。
コハクの体が少し揺れて、瞳に光が見えた。シロガネの方へと顔を動かした。
「……シロ……ガネ」
「熱がある。辛いな。水を飲むかい」
「いら、ない……」
「蜂蜜につけた蜜柑を入れたから、ほんのり甘くて美味しいよ」
「あま……いの?」
「そうだよ」
「のみ、たい」
シロガネは、水差しの上に重ねてあるコップを取った。そして、蜂蜜づけの蜜柑の入った水を注ぐ。コハクが起きようとするので、手を差し伸べて抱き抱えるように支えた。
そして、コハクの口元に蜜柑が浮いてるコップを近づける。
コハクが小さく口を開けて、ゴクっと一口飲んだ。瞳が少し大きくなって、再び、ゴクっと喉を鳴らす。ゴクゴクっと全部を飲み干した。
コップの底に蜜柑が残っている。
フッゥと小さな息を吐いて、小さく、はにかんだ。
「あり、がとう……。おいし、かった」
「良かった。後で熱冷ましの薬を持ってくるから、飲みなさい」
「くすり……にがいの?」
「少しね」
「イヤだ」
「そうか……。なら、少し工夫をしてみようか」
「おこら……ないの?」
「何故、怒る必要があるんだい」
「だって……。これって……ワガママ、だ、よ」
「そうなのかい? 病人なのだから、気に病む必要はないさ。早く元気になってくれれば、それが一番だ」
「うん」
シロガネの暖かな優しさが、コハクを柔らかく包み込む。
それは、ふわふわっと宙に浮かんでいる風船のようだ。けど、飛んでいかないように大切に守られているような感覚がする。
シロガネの大切な宝物になったような気がしてコハクは胸が熱くなる。
つらい時に、気遣ってくれる誰かが側にいる。これは幸せなんだ。
コハクが素直な心で、柔らかな微笑みを浮かべた。
その綺麗な微笑みに惹かれて、シロガネの心が捕えられる。愛おしさが満ちて溢れそうになる。
「寝てなさい」
シロガネは、コハクの髪をそっと撫でて、その場を離れようとした。すると、コハクの手がシロガネの手に触れた。
「手、つめたい……、きもちいいの。もう、すこし……」
シロガネは、自身の手に触れたコハク手を握り締めた。そして、もう片方の手で、コハクの髪を優しくそっと撫でた。
撫でていた手を滑らせて頬に触れると、コハクは気持ち良さそうにシロガネの手にすり寄った。
柔らかな微笑みを浮かべて、うっとりしている表情は、甘えている時の猫ようだ。
ずっとこのまま側にいて、離れたくない思いは二人とも同じだった。
シロガネは髪を頬を、ゆっくりと何度もなんども繰り返し撫でた。
安心したのだろうか。
しばらくすると、コハクの小さな寝息が聞こえた。
シロガネは、握っていたコハクの手を自身の頬に当てて、撫でていた手でコハクの頬を包んで、親指で頬をなぞった。
コハクが眠りついたので、シロガネは部屋を後にして居間にいた。
薬棚から熱冷ましの薬を取り出して眺めていた。
熱冷ましの薬は、解熱と鎮痛の作用がある薬草を乾燥させて煎じた物だ。
少々それなりに苦い。
さて、甘いものが好きなコハクが飲めるようにするにはどうしたものか。
シロガネは思案する。
この間、町に出かけた時に、苺をたくさん購入した。保存用に、苺を砂糖で煮詰めて作った物がある。それと薬と合わせて、寒天を入れて混ぜたらどうだろうか。
思ったままに作って、食べやすい大きさにする。後は固めるだけだ。冷やさないといけないので、シロガネは指を鳴らせば、術式が発動した。作った物が冷気に包まれて固めた。
上手く出来たと、シロガネはホッとする。
シロガネが、コハクの部屋に戻ると、コハクが目を覚ましていた。
「シロ……ガネ」
「薬を持ってきたよ。起きれるかい? 頑張って飲もうか」
シロガネは、赤い小さな塊を見せた。
「これ……、くすりなの」
「そうだよ」
「おかし……みたい」
コハクをシロガネが抱き抱える。
「ほら、口を開けて」
「にがく……、ない?」
「甘いはずだよ」
コハクが小さな口を開ければ、舌が見える。その口の中に、シロガネがそっと赤い小さな塊を近づけた。
コハクの唇にシロガネの指がふれる。
その赤い小さな塊をコハクの舌の上にのせた。
コハクがひと噛みすれば、苺ジャムの味がした。
「あまい……おいしい」
「ほら、もうひとつ」
「アーン」
コハクは嬉しそうに、再び口を開けた。
もう一度、同じようにシロガネは食べさせた。
モグモグとコハクが、噛み締めるように食べる。その姿にシロガネは、無事に薬を服用させれたと胸を撫で下ろした。
抱き抱えていたコハクをシロガネが寝かせようとすれば、コハクがしがみついた。
「どうした? つらいのかい」
コハクが小さく首を振る。
「ありがとう」
小さな囁きに、シロガネの手は力が入る。そして、シロガネの胸の中にいるコハクを強く抱きしめた。
「はやく良くなっておくれ」
さっき、コハクの唇が触れた自身の指先に目がいく。その指を、そっと自分の唇に当てた。
「アーン」
儚げな声ではなくて、元気なコハクの声がする。大きな口を開けていた。
薬が効いてコハクの熱は下がったので、シロガネはコハクの為に粥を作った。
その粥を食べさせて欲しいと、コハクがシロガネにねだっている。
これも、コハクが元気になった証である。
シロガネは、仕方がないと思いつつ苦笑する。だけど、甘えられる喜びも感じていた。
湯気が出でいる粥をシロガネが、フーフーっと息を吹きかける。
コハクも真似をして同じように愉しそうに息を吹きかけた。
その様子をシロガネが見つめる。
二人の視線が交われば一緒に笑い合う。
「ほら、熱いから気をつけおくれよ」
シロガネがよそった粥をコハクは美味しそうに食べた。
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