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36休日と弁当
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ナデシコとスミレとの訓練を終えた夜。
「コハク、そろそろ寝る時間だよ」
「もう、そんな時間なの。一日があっという間だ」
「コハクは訓練で忙しいからね」
「ねぇ。ボクが訓練している間、シロガネは仕事しているんでしょ?」
「まぁ、そうかもね」
「あれ、何、その曖昧な言い方。気になる。ボクがいない時に何してるの」
「秘密」
「ずるい。だって、シロガネは皆んなから訓練の話しを聞けるのに。それに、中級や上級の式神を飛ばせば、全てお見通しだよね」
「そうだね。コハクが、皆んなの為に色々と考えてくれているのを知っているよ。ありがとう」
コハクは小さく口を尖らせて拗ねている。
シロガネが、そんなコハクの頭を優しく撫でた。明らかに誤魔化しているのがわかる。
けど、まぁいいかっとコハクは思った。
「そうだよ。ボクは頑張っているんだ。だから、たくさん褒めてよね」
撫でていた手でコハクの頭をポンポンと優しく叩いた。そして、手を乗せたままシロガネが微笑んでいる。
そのまま何も言わないシロガネに、コハクも見つめ返す。
「どうかした?」
「成長したなぁと思っただけさ」
「えっ、ボク、大きくなった?」
「あぁ、大きくなったな」
「背が伸びたかな」
そうじゃないとシロガネが笑う。
「誰かのために、何かをしたいという思いを持って、実行することさ」
初めて会った時に比べて、コハクの幼さが消えた。
最初、幼い言動だったのは、記憶がなかったからだ。
そして今、見た目よりも大人びた思考が現れているのは、記憶が戻ってきているからだ。
それは喜ばしいことのはずだというのに、シロガネは寂しいと感じていた。
少年から青年に成長していく姿に、感慨深い思いが溢れてくる。
今まで、一度足りとも感じたことのない感情に戸惑う。
「シロガネ」
コハクの優しい声で、思いに耽ていたシロガネの意識が戻る。
「なんだい?」
「どんなボクでも、ボクはコハクだ。シロガネがつけてくれた名前だよ」
シロガネの瞳が開く。
小さな指先が、力強く胸を撫でた。それは薄っすらと引っかき傷を残した。それは、確かな絆の証になる。痛みは焦がれる感覚へ。愛おしさが増していく。
「……コハク」
シロガネにとって、この世で最も愛しい響きだ。
「ありがとう、大好きだよ」
「ボクも、シロガネが大好きなんだ」
シロガネが、優しい笑みを浮かべて両手を広げた。その優しくて暖かな胸の中へ、コハクは迷う事なく飛び込んだ。
今日も明日も、過去も未来も、同じ思いを抱きしめる。
次の日、二人は穏やかでのんびりと朝を迎えた。
式神の皆んなは、退魔士の仕事が忙しくて、しばらく訓練は休みだ。
朝食を終えて二人で後片付けをする。
コハクの話しをシロガネが楽しそうに聞いている。
今日の予定は決めていない。二人一緒に過ごしたいと思う気持ちは同じだ。
そこでシロガネは、何か出来ることは無いかと思案する。
コハクはその様子を首を傾げながらうかがっていた。
シロガネの表情が変わった。何かを思いついたのは一目瞭然だ。
「コハク、弁当を一緒に作らないかい?」
「お弁当、楽しそう。どこかに行くの?」
シロガネの思いがけない提案に、コハクは喜んだ。
「あぁ、そうだよ。弁当を持って、森に行こう。いつもよりも奥まで入って、呪術や呪具の素材や薬草の採取しようと思う」
「森の中、奥に行くの?」
「コハクも呪力の制御や操作が身についてきたし、半数の式神たちから訓練を受けたんだ。何も心配ないさ」
式神たちと訓練を重ねて、呪術の知識や技術などは身についてきているが、あくまで訓練である。
更なる緊張感を持って、実戦の備えをするならば、魔物との向き合い方だと、シロガネは考える。
「そうだね。シロガネが一緒なら平気」
まだ怯える心が残っていたけど、コハクは前を向く。
それから二人は、一緒に弁当を作る。
コハクが初めておにぎりを握れば、小さくて一口で食べれる大きさだった。それは、炊き立ての米を仰いで冷ましても熱いからだった。
しかも、大きく握ろうとすれば、米がポロポロとこぼれてしまう。
一生懸命におにぎりを握るコハクの横で、シロガネが、熱さを物ともせず上手に握っていく。
「すごい、熱くないの?」
「そこそこかな」
「食べやすい大きさにするって難しい」
「コハクの手は柔らかくて皮は薄いからね。熱く感じるのだろうね。私よりも小さいから手なんだから上手く出来ないのは仕方がないさ。全ては慣れだよ」
次は、卵焼きを作ることにする。
シロガネが見守る中、コハクが、シロガネの作る様子を思い出しながら真似ていく。
そして、甘い方が好きだからと砂糖を多めに入れることにした。すると、溶いた卵液に砂糖がドバっと入った。
「あっ……」
しまった……と続く言葉が、声にしなくても聞こえて来る。
「甘くて美味しいの作るから」
明らかな失敗をコハクが誤魔化す。
その様子に、シロガネは何も言わずに口元を緩めながら目を閉じた。
砂糖を入れ過ぎた卵液で、卵焼きを作れば当然ながら焦げやすい。ひっくり返せば、黄色の卵焼きではなくて、茶と黒ばかりだ。
しかも、上手くひっくり返せなくてグチャグチャで、長方形に出来ない。
落ち込むコハクに変わって、シロガネが卵液を薄めて味を整えた。コハクの卵焼きの形を整えて、卵液を流して絡める。クルリと返せば、綺麗な黄色の卵焼きになった。
「すごいね、綺麗になった。でも、横から見ると中の層の焦げの部分がわかるね」
「だけど、コハクの味と私の味が一緒に楽しめる、たったひとつの卵焼きだよ」
「うん、そうだね!」
シロガネの優しさは、コハクを包んで染みていく。嬉しさは満面の笑みで伝えた。
卵焼きを作った後は鮭を焼いた。
その間に、肉の腸詰に包丁で切り込みを入れる作業する。コハクは怖々としながらも何とか出来た。そして、炒めて出来上がりだ。
後は、青菜の浸しを入れて彩りをよく、弁当箱に詰めれば完成となる。
「出来たっ」
「初めてしては上出来だよ」
コハクは初めての弁当を嬉しそうに眺めた。
「コハク、そろそろ寝る時間だよ」
「もう、そんな時間なの。一日があっという間だ」
「コハクは訓練で忙しいからね」
「ねぇ。ボクが訓練している間、シロガネは仕事しているんでしょ?」
「まぁ、そうかもね」
「あれ、何、その曖昧な言い方。気になる。ボクがいない時に何してるの」
「秘密」
「ずるい。だって、シロガネは皆んなから訓練の話しを聞けるのに。それに、中級や上級の式神を飛ばせば、全てお見通しだよね」
「そうだね。コハクが、皆んなの為に色々と考えてくれているのを知っているよ。ありがとう」
コハクは小さく口を尖らせて拗ねている。
シロガネが、そんなコハクの頭を優しく撫でた。明らかに誤魔化しているのがわかる。
けど、まぁいいかっとコハクは思った。
「そうだよ。ボクは頑張っているんだ。だから、たくさん褒めてよね」
撫でていた手でコハクの頭をポンポンと優しく叩いた。そして、手を乗せたままシロガネが微笑んでいる。
そのまま何も言わないシロガネに、コハクも見つめ返す。
「どうかした?」
「成長したなぁと思っただけさ」
「えっ、ボク、大きくなった?」
「あぁ、大きくなったな」
「背が伸びたかな」
そうじゃないとシロガネが笑う。
「誰かのために、何かをしたいという思いを持って、実行することさ」
初めて会った時に比べて、コハクの幼さが消えた。
最初、幼い言動だったのは、記憶がなかったからだ。
そして今、見た目よりも大人びた思考が現れているのは、記憶が戻ってきているからだ。
それは喜ばしいことのはずだというのに、シロガネは寂しいと感じていた。
少年から青年に成長していく姿に、感慨深い思いが溢れてくる。
今まで、一度足りとも感じたことのない感情に戸惑う。
「シロガネ」
コハクの優しい声で、思いに耽ていたシロガネの意識が戻る。
「なんだい?」
「どんなボクでも、ボクはコハクだ。シロガネがつけてくれた名前だよ」
シロガネの瞳が開く。
小さな指先が、力強く胸を撫でた。それは薄っすらと引っかき傷を残した。それは、確かな絆の証になる。痛みは焦がれる感覚へ。愛おしさが増していく。
「……コハク」
シロガネにとって、この世で最も愛しい響きだ。
「ありがとう、大好きだよ」
「ボクも、シロガネが大好きなんだ」
シロガネが、優しい笑みを浮かべて両手を広げた。その優しくて暖かな胸の中へ、コハクは迷う事なく飛び込んだ。
今日も明日も、過去も未来も、同じ思いを抱きしめる。
次の日、二人は穏やかでのんびりと朝を迎えた。
式神の皆んなは、退魔士の仕事が忙しくて、しばらく訓練は休みだ。
朝食を終えて二人で後片付けをする。
コハクの話しをシロガネが楽しそうに聞いている。
今日の予定は決めていない。二人一緒に過ごしたいと思う気持ちは同じだ。
そこでシロガネは、何か出来ることは無いかと思案する。
コハクはその様子を首を傾げながらうかがっていた。
シロガネの表情が変わった。何かを思いついたのは一目瞭然だ。
「コハク、弁当を一緒に作らないかい?」
「お弁当、楽しそう。どこかに行くの?」
シロガネの思いがけない提案に、コハクは喜んだ。
「あぁ、そうだよ。弁当を持って、森に行こう。いつもよりも奥まで入って、呪術や呪具の素材や薬草の採取しようと思う」
「森の中、奥に行くの?」
「コハクも呪力の制御や操作が身についてきたし、半数の式神たちから訓練を受けたんだ。何も心配ないさ」
式神たちと訓練を重ねて、呪術の知識や技術などは身についてきているが、あくまで訓練である。
更なる緊張感を持って、実戦の備えをするならば、魔物との向き合い方だと、シロガネは考える。
「そうだね。シロガネが一緒なら平気」
まだ怯える心が残っていたけど、コハクは前を向く。
それから二人は、一緒に弁当を作る。
コハクが初めておにぎりを握れば、小さくて一口で食べれる大きさだった。それは、炊き立ての米を仰いで冷ましても熱いからだった。
しかも、大きく握ろうとすれば、米がポロポロとこぼれてしまう。
一生懸命におにぎりを握るコハクの横で、シロガネが、熱さを物ともせず上手に握っていく。
「すごい、熱くないの?」
「そこそこかな」
「食べやすい大きさにするって難しい」
「コハクの手は柔らかくて皮は薄いからね。熱く感じるのだろうね。私よりも小さいから手なんだから上手く出来ないのは仕方がないさ。全ては慣れだよ」
次は、卵焼きを作ることにする。
シロガネが見守る中、コハクが、シロガネの作る様子を思い出しながら真似ていく。
そして、甘い方が好きだからと砂糖を多めに入れることにした。すると、溶いた卵液に砂糖がドバっと入った。
「あっ……」
しまった……と続く言葉が、声にしなくても聞こえて来る。
「甘くて美味しいの作るから」
明らかな失敗をコハクが誤魔化す。
その様子に、シロガネは何も言わずに口元を緩めながら目を閉じた。
砂糖を入れ過ぎた卵液で、卵焼きを作れば当然ながら焦げやすい。ひっくり返せば、黄色の卵焼きではなくて、茶と黒ばかりだ。
しかも、上手くひっくり返せなくてグチャグチャで、長方形に出来ない。
落ち込むコハクに変わって、シロガネが卵液を薄めて味を整えた。コハクの卵焼きの形を整えて、卵液を流して絡める。クルリと返せば、綺麗な黄色の卵焼きになった。
「すごいね、綺麗になった。でも、横から見ると中の層の焦げの部分がわかるね」
「だけど、コハクの味と私の味が一緒に楽しめる、たったひとつの卵焼きだよ」
「うん、そうだね!」
シロガネの優しさは、コハクを包んで染みていく。嬉しさは満面の笑みで伝えた。
卵焼きを作った後は鮭を焼いた。
その間に、肉の腸詰に包丁で切り込みを入れる作業する。コハクは怖々としながらも何とか出来た。そして、炒めて出来上がりだ。
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