50 / 79
49カリンとエレン
しおりを挟む
昨日の今日、コハクはカリンと一緒にいる。
「よろしくね、カリン」
「うん、それじゃあ。がんばるぞぉー」
「おぉーっ」
二人は声を揃えて、手を挙げて気合を入れた。
カリンは、玄武の神使いで木属性だ。
「カリンって、獣使いの他には何が出来るの」
「植物の成長を早くして、思い通りに動かせるよぉ。あとは、風を作ったりぃ」
「それは凄いや、見てみたいっ」
「それじゃあ、いっくよぉーー」
カリンが地面にふれた。
「みんな、おいでぇ」
いくつもの小さな呪法陣が現れてた。
その中から小さな芽が出て、ニョキニョキと大きくなって、あっという間に綺麗な花や草に低木が生えた。
その現象は、早送りを見ているようである。
「もっと、いっぱいっ」
大きな呪法陣が現れて、辺り一面が花畑になる。
次にカリンが指笛を吹くと、低木の枝がコハクの方へと伸びてくる。
今度はカリンが、口笛を吹くと風が吹く。
「はなふぶきぃ」
強い風が吹いて、花畑の花が舞った。
それはとても綺麗な光景だ。
コハクが驚いている様子に、カリンは楽しそうに笑っている。
「すごい、すごいよ」
「でもぉ、戦いには、ぜんぜん役に立たないけどねぇ。ちょっとだけイジワル。邪魔するのぉ」
「体勢を整えたり、逃げたりするには、時間が必要だから役に立つよ」
「へへ、そっかなぁ」
コハクに褒められてカリンは嬉しくなる。
「カリンは木属性で、玄武の水属性と相性がいいよね。だから、植物を操ることができるのかな。獣使いっていう能力もすごく珍しいよね」
「そうだよねぇ……」
カリンが、何だか元気がない様子を見せた。
「ボク、何か気に触ること言ったかな……」
「ううん、違うよぉ。あのね、すっごく昔のことを思い出しただけぇ」
「昔って、式神になる前のこと?」
「うん。あるじとルーンが助けてくれた時の事だよぉ」
「あっ……」
コハクの気持ちが声になった。
「お話しするぅ」
「えっとね! 先ずは、動物たちと仲良くなるコツから教えもらおうかなって」
自分勝手な気持ちを表に出して、カリンに気を使わせてしまった。
コハクは悔いる。
カリンと楽しく過ごしたい。
その思いは本当で、元気づけたくて明るく振る舞った。
「コハクはいい子で、優しいねぇ」
いつもの明るくて賑やかなカリンの雰囲気とは違った。昨日、頭を撫でてくれた時の感覚を思い出す。物静かな声と大人びた言い方は、その時よりもはっきりとした違和感となる。
「か、カリン?」
しぃーっとカリンが、口に人差し指を当てた。そして、にっこりと笑う。
カリンは、こんな風じゃない。
「ぼくはエレン。よろしくね、コハク」
エレンと名乗ったカリンに、コハクは何が起こっているのか、わからないままだ。状況を把握出来ずに呆然としていた。
「ははっ、ビックリするよねっ。まぁ、無理もないかなぁ」
少しづつ、頭が冴えてくる。
確かに、コハクの知っているカリンとは、全く違う。
「いったいどういうことなの……」
「入れ変わったんだ」
「それって……。えっと、君がエレンなら、カリンは今どこにいるの」
「僕の中」
エレンが、自分の胸をトントンと叩いた。
「確認するよ。今の君はエレンで、さっきまではカリンだった」
「そうだねぇ」
「カリンの時は、エレンが胸の中にいて、エレンの時は、その逆なんだね」
「そうだよっ」
「君は、カリンは、二重人格ってやつなの?」
「そう定義されるものかもね。でもねぇ、カリンも僕も実在したから、似て非なるものだろうねぇ」
「それは、シロガネが関係しているの?」
「さすがはコハク。こういうのは鋭いねぇ、他は、てっきりだけどね」
クックっとエレンが笑う。
「どういうことか、話しを聞かせて。教えて欲しい」
「僕とエレンが、主と会った時の話しよりも」
「違う。そんなの、どうでもいい。カリンの、エレンとの話しが聞きたいっ」
コハクが泣き出しそうな表情で一生懸命に訴える。
「そんな、顔をしないくれ。意地悪をしたみたいになったよ。カリンに怒られる」
エレンが困り顔で苦笑する。
少し息を吸って吐いてから、気持ちを落ち着かせた。
「それでは、カリンと僕の話しを聞いておくれ」
エレンが話しを始めた。
ある国の王妃が難産の末に、子供を出産した。
一人目は男の子、二人目は女の子の双子だった。
古くからの言い伝えで、自分と同じ顔を持つ者に会えば、死の前触れの死神を連れて来ると恐れられていた。だから、双子は不吉な象徴であった。
故に、男の子は残されて、王子として皆から大切に育てられた。
だが、王女となるはずの女の子は、その存在を抹消された。
王子が十五歳になり、世の中を知る為に国を離れて隣国へと留学をすることになった。
隣国はよく似た文化だが、異なる部分もある。
自国から離れて解放され、新しい交流に王子は楽しんでいた。
隣国の先は、深い森が広がっていた。手前までならば普通の森だが、その奥になると魔素が多くて魔物が出現した。
その奥には何があるのか、誰も知らなかった。
その話しを聞いて王子は、興味を抱いた。
王子の国の先には、広大な土と砂と岩があり、その先の国に続くのみだった。
その道中に魔物が出現することがあるらしいが、それも稀だった。
本や話しでしか聞いたことない魔物を見てみたかった。
仲間を率いて、魔物が出る森へと入った。
「エレン様、これより先は駄目です」
従者が忠告する。
「わかっている」
この国の者たちは、魔物を恐れて近づかない。それは仕方がないことで、今まで何人の者たちが森に入り帰って来なかったからだ。
だが、約十年前ほどから森の入り口からその先へ、少し奥まで入れるようになったらしい。
そして、行方不明になる者はいなかった。
今、エレンがいる場所な境目である。
この場所と魔素が溢れて魔物が出現する場所の境目の違いに、エレンは興味を持った。
この周りを歩いて観察する。
あばよくば、境目の奥にいる魔物を見れないか、などと考えていた。
あれから、エレンは一人でこっそりと森へ入るようになった。
日中は人目があるので難しい。だから夜明け前に部屋を抜け出す。見つかれば鍛錬だと誤魔化した。
最初は怖々だったが、何度も行く内に慣れてきた。森で朝を迎えるのは気持ち良かった。
ある日、境界の近くを歩いていると、カサっと茂みが揺れた。気がつけば、足元に黒いフニャとしたモノがいた。それは、あちこちから現れる。
魔物だと分かり、魔物避けの粉をふり撒く。動きが鈍り、その隙に逃げた。
しかし、その黒いモノたちが追いかけて来る。エレンは、慌てて転んでしまった。
襲われると思った瞬間、森の中から口笛が響いた。
カタカタカタ、キュキュキュと、音が近づいてくれば、黒いモノに襲いかかっていた。それはネズミだった。気がつけば、黒いモノもネズミも、あっという間にいなくなっていた。
「だいじょうぶぅ」
「うわぁっ!」
転んだままのエレンの後ろから、声がして驚く。
後ろ振り向くと、さらに驚いた。
自分と良く似た顔の、背丈も一緒で歳の頃も同じぐらいの者がいたからだ。
少し丸みがある雰囲気から、女の子だとわかった。
「やっばりぃー、いっしょ、にてるぅねっ」
「なにがだ……」
「かおっ」
「そうだ、顔が一緒だ。なぜなんだっ」
「わかんないっ」
「お前は、魔物ではないのかっ。それとも死神の使いなのか」
「ぼくは人だよぉ」
「嘘をつくな、自分と同じ顔している者に会えば死神が、死が訪れると……」
「じゃあ、ぼくも死んじゃうの?」
そう、エレンもまた、目の前いる自分と良く似た顔の女の子にとって、畏怖される存在なのだと気づく。
エレンは深呼吸をして心を落ち着かせた。
「ここで、何をしている」
「ここで、暮らしているよぉ」
「ひとりでかっ」
「うん」
「いつから」
「わかんないけど、生まれてからすぐじゃないのぉ」
「どうしてだっ」
「わかんないけど、ルーンがね。捨てられたのを拾ったって、言ってたよぉ」
「捨てられた……ルーンとは何者だ」
エレンと良く似た顔の女の子がニッコリと笑って口笛を吹いた。さっきとは違う音色だ。
ドスドスと大きな音がした。
茂みが大きく揺れると、現れたのは白と灰色の熊だった。
「わぁっ」
「ルーン、おいでぇ」
「この、この熊が、お前を育てたのかっ」
「うん」
エレンは、自分に似た女の子と熊が戯れ合う様子を不思議な感覚で眺めた。
熊が人の子を育てるなどあるのか。
しかし、熊の懐く様子から嘘ではないのだと理解した。
ルーンが、エレンをジッと見つめた。
近づいてくるので、エレンは身構える。クンクンっと匂いを嗅いでくる。口を大きく開けたので驚いて目を瞑ると、顔がベチャッと濡れてベロっと舐められた。
ルーンが、エレンの顔をペロリペロリと舐めて戯れてくる。
「ちょっと、まってくれ」
クスクスっと笑い声がする。
「おいっ、お前、やめさせてくれ」
笑い声の主に止めるように声をかけた。
エレンは、お互いの名前を知らない事に気がついた。王子であるから自ら名乗るなど、あり得ない事だ。しかし命を助けてもらった。にも関わらず、礼さえも言ってなかった。
「ルーンっ、おしまいだよぉ」
言葉が理解できるのか、熊のルーンが舐めるのやめた。
エレンは一息つく。
「俺はエレンという。助けてくれてありがとう。おま……、君の名前を教えて欲しい」
「ぼくの名前はカリンだよぉ」
朝日が昇っていく。辺りは明るくなっていく。カリンの笑顔が眩しく輝いている。
「よろしくね、カリン」
「うん、それじゃあ。がんばるぞぉー」
「おぉーっ」
二人は声を揃えて、手を挙げて気合を入れた。
カリンは、玄武の神使いで木属性だ。
「カリンって、獣使いの他には何が出来るの」
「植物の成長を早くして、思い通りに動かせるよぉ。あとは、風を作ったりぃ」
「それは凄いや、見てみたいっ」
「それじゃあ、いっくよぉーー」
カリンが地面にふれた。
「みんな、おいでぇ」
いくつもの小さな呪法陣が現れてた。
その中から小さな芽が出て、ニョキニョキと大きくなって、あっという間に綺麗な花や草に低木が生えた。
その現象は、早送りを見ているようである。
「もっと、いっぱいっ」
大きな呪法陣が現れて、辺り一面が花畑になる。
次にカリンが指笛を吹くと、低木の枝がコハクの方へと伸びてくる。
今度はカリンが、口笛を吹くと風が吹く。
「はなふぶきぃ」
強い風が吹いて、花畑の花が舞った。
それはとても綺麗な光景だ。
コハクが驚いている様子に、カリンは楽しそうに笑っている。
「すごい、すごいよ」
「でもぉ、戦いには、ぜんぜん役に立たないけどねぇ。ちょっとだけイジワル。邪魔するのぉ」
「体勢を整えたり、逃げたりするには、時間が必要だから役に立つよ」
「へへ、そっかなぁ」
コハクに褒められてカリンは嬉しくなる。
「カリンは木属性で、玄武の水属性と相性がいいよね。だから、植物を操ることができるのかな。獣使いっていう能力もすごく珍しいよね」
「そうだよねぇ……」
カリンが、何だか元気がない様子を見せた。
「ボク、何か気に触ること言ったかな……」
「ううん、違うよぉ。あのね、すっごく昔のことを思い出しただけぇ」
「昔って、式神になる前のこと?」
「うん。あるじとルーンが助けてくれた時の事だよぉ」
「あっ……」
コハクの気持ちが声になった。
「お話しするぅ」
「えっとね! 先ずは、動物たちと仲良くなるコツから教えもらおうかなって」
自分勝手な気持ちを表に出して、カリンに気を使わせてしまった。
コハクは悔いる。
カリンと楽しく過ごしたい。
その思いは本当で、元気づけたくて明るく振る舞った。
「コハクはいい子で、優しいねぇ」
いつもの明るくて賑やかなカリンの雰囲気とは違った。昨日、頭を撫でてくれた時の感覚を思い出す。物静かな声と大人びた言い方は、その時よりもはっきりとした違和感となる。
「か、カリン?」
しぃーっとカリンが、口に人差し指を当てた。そして、にっこりと笑う。
カリンは、こんな風じゃない。
「ぼくはエレン。よろしくね、コハク」
エレンと名乗ったカリンに、コハクは何が起こっているのか、わからないままだ。状況を把握出来ずに呆然としていた。
「ははっ、ビックリするよねっ。まぁ、無理もないかなぁ」
少しづつ、頭が冴えてくる。
確かに、コハクの知っているカリンとは、全く違う。
「いったいどういうことなの……」
「入れ変わったんだ」
「それって……。えっと、君がエレンなら、カリンは今どこにいるの」
「僕の中」
エレンが、自分の胸をトントンと叩いた。
「確認するよ。今の君はエレンで、さっきまではカリンだった」
「そうだねぇ」
「カリンの時は、エレンが胸の中にいて、エレンの時は、その逆なんだね」
「そうだよっ」
「君は、カリンは、二重人格ってやつなの?」
「そう定義されるものかもね。でもねぇ、カリンも僕も実在したから、似て非なるものだろうねぇ」
「それは、シロガネが関係しているの?」
「さすがはコハク。こういうのは鋭いねぇ、他は、てっきりだけどね」
クックっとエレンが笑う。
「どういうことか、話しを聞かせて。教えて欲しい」
「僕とエレンが、主と会った時の話しよりも」
「違う。そんなの、どうでもいい。カリンの、エレンとの話しが聞きたいっ」
コハクが泣き出しそうな表情で一生懸命に訴える。
「そんな、顔をしないくれ。意地悪をしたみたいになったよ。カリンに怒られる」
エレンが困り顔で苦笑する。
少し息を吸って吐いてから、気持ちを落ち着かせた。
「それでは、カリンと僕の話しを聞いておくれ」
エレンが話しを始めた。
ある国の王妃が難産の末に、子供を出産した。
一人目は男の子、二人目は女の子の双子だった。
古くからの言い伝えで、自分と同じ顔を持つ者に会えば、死の前触れの死神を連れて来ると恐れられていた。だから、双子は不吉な象徴であった。
故に、男の子は残されて、王子として皆から大切に育てられた。
だが、王女となるはずの女の子は、その存在を抹消された。
王子が十五歳になり、世の中を知る為に国を離れて隣国へと留学をすることになった。
隣国はよく似た文化だが、異なる部分もある。
自国から離れて解放され、新しい交流に王子は楽しんでいた。
隣国の先は、深い森が広がっていた。手前までならば普通の森だが、その奥になると魔素が多くて魔物が出現した。
その奥には何があるのか、誰も知らなかった。
その話しを聞いて王子は、興味を抱いた。
王子の国の先には、広大な土と砂と岩があり、その先の国に続くのみだった。
その道中に魔物が出現することがあるらしいが、それも稀だった。
本や話しでしか聞いたことない魔物を見てみたかった。
仲間を率いて、魔物が出る森へと入った。
「エレン様、これより先は駄目です」
従者が忠告する。
「わかっている」
この国の者たちは、魔物を恐れて近づかない。それは仕方がないことで、今まで何人の者たちが森に入り帰って来なかったからだ。
だが、約十年前ほどから森の入り口からその先へ、少し奥まで入れるようになったらしい。
そして、行方不明になる者はいなかった。
今、エレンがいる場所な境目である。
この場所と魔素が溢れて魔物が出現する場所の境目の違いに、エレンは興味を持った。
この周りを歩いて観察する。
あばよくば、境目の奥にいる魔物を見れないか、などと考えていた。
あれから、エレンは一人でこっそりと森へ入るようになった。
日中は人目があるので難しい。だから夜明け前に部屋を抜け出す。見つかれば鍛錬だと誤魔化した。
最初は怖々だったが、何度も行く内に慣れてきた。森で朝を迎えるのは気持ち良かった。
ある日、境界の近くを歩いていると、カサっと茂みが揺れた。気がつけば、足元に黒いフニャとしたモノがいた。それは、あちこちから現れる。
魔物だと分かり、魔物避けの粉をふり撒く。動きが鈍り、その隙に逃げた。
しかし、その黒いモノたちが追いかけて来る。エレンは、慌てて転んでしまった。
襲われると思った瞬間、森の中から口笛が響いた。
カタカタカタ、キュキュキュと、音が近づいてくれば、黒いモノに襲いかかっていた。それはネズミだった。気がつけば、黒いモノもネズミも、あっという間にいなくなっていた。
「だいじょうぶぅ」
「うわぁっ!」
転んだままのエレンの後ろから、声がして驚く。
後ろ振り向くと、さらに驚いた。
自分と良く似た顔の、背丈も一緒で歳の頃も同じぐらいの者がいたからだ。
少し丸みがある雰囲気から、女の子だとわかった。
「やっばりぃー、いっしょ、にてるぅねっ」
「なにがだ……」
「かおっ」
「そうだ、顔が一緒だ。なぜなんだっ」
「わかんないっ」
「お前は、魔物ではないのかっ。それとも死神の使いなのか」
「ぼくは人だよぉ」
「嘘をつくな、自分と同じ顔している者に会えば死神が、死が訪れると……」
「じゃあ、ぼくも死んじゃうの?」
そう、エレンもまた、目の前いる自分と良く似た顔の女の子にとって、畏怖される存在なのだと気づく。
エレンは深呼吸をして心を落ち着かせた。
「ここで、何をしている」
「ここで、暮らしているよぉ」
「ひとりでかっ」
「うん」
「いつから」
「わかんないけど、生まれてからすぐじゃないのぉ」
「どうしてだっ」
「わかんないけど、ルーンがね。捨てられたのを拾ったって、言ってたよぉ」
「捨てられた……ルーンとは何者だ」
エレンと良く似た顔の女の子がニッコリと笑って口笛を吹いた。さっきとは違う音色だ。
ドスドスと大きな音がした。
茂みが大きく揺れると、現れたのは白と灰色の熊だった。
「わぁっ」
「ルーン、おいでぇ」
「この、この熊が、お前を育てたのかっ」
「うん」
エレンは、自分に似た女の子と熊が戯れ合う様子を不思議な感覚で眺めた。
熊が人の子を育てるなどあるのか。
しかし、熊の懐く様子から嘘ではないのだと理解した。
ルーンが、エレンをジッと見つめた。
近づいてくるので、エレンは身構える。クンクンっと匂いを嗅いでくる。口を大きく開けたので驚いて目を瞑ると、顔がベチャッと濡れてベロっと舐められた。
ルーンが、エレンの顔をペロリペロリと舐めて戯れてくる。
「ちょっと、まってくれ」
クスクスっと笑い声がする。
「おいっ、お前、やめさせてくれ」
笑い声の主に止めるように声をかけた。
エレンは、お互いの名前を知らない事に気がついた。王子であるから自ら名乗るなど、あり得ない事だ。しかし命を助けてもらった。にも関わらず、礼さえも言ってなかった。
「ルーンっ、おしまいだよぉ」
言葉が理解できるのか、熊のルーンが舐めるのやめた。
エレンは一息つく。
「俺はエレンという。助けてくれてありがとう。おま……、君の名前を教えて欲しい」
「ぼくの名前はカリンだよぉ」
朝日が昇っていく。辺りは明るくなっていく。カリンの笑顔が眩しく輝いている。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!
黒木 鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる