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新生活スタート2
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「そうそう、名刺の前に部長とか主任とかついているけれど、別に部も課もないから、ただ便宜上あるだけ。それに彼らが責任者であるのにはかわらなかいから」
と滝崎が言う。驚いたことに若い滝崎が社長だという。名刺には社長とはなかった。そのうえ、葵が管理人をするアパートのオーナーでもある。
「すごいんですね」
葵が目を丸くして言う。
「別に凄い事でも何でもないですよ。親の会社を継いだだけですから」
こういう人もいるのだなと素直に羨ましく思う。
そんな風に挨拶が終わると葵は早速、仕事にかかるように言われた。まずは電話番。電話はなれているが、やはり最初は社名を間違えないようにと緊張する。
昼になるとみな交代で、裏の休憩所兼給湯室で食事をした。勝田も山本も愛妻弁当を持ってきている。水町と斎藤の二人は独身なので、外で食べたり、買ってきたりすることが多いそうだ。
そんな細かの情報を新入契約社員に教えてくれるのは部長の勝田だ。
社員はお客さんと物件を回ることも多いらしく。たいてい誰かしらいない。意外に客の出入りが多く、繁忙期は春先と秋口あたりだといっていた。
そして土地柄のせいか外国人が非常に多い。社員は勝田と山本は中国語ができ、社員全員ある程度の韓国語が分かるという。日本語しか話せない葵には外国人客の対応は無理だ。
初日の今日は一時半ごろ、昼休憩を貰い、給湯室で茶を淹れて、コンビニで買ったおにぎりをかじる。とても美味しい。そのうえ、お茶がタダというのがうれしい。会社勤めでなければ、お茶は買わなければならないものだ。ありがたい。
ずずっと紙カップにいれた茶をすする。ああ嬉しい。一昨日まで食うや食わずで、腹をすかせていたが今日から三食食べられて、寝る場所まである。
するとそこに派手系美人の亜子が入ってきた。葵は少し緊張する。
「お疲れ様です」
声をかけると彼女が会釈を返し、ミネラルウォーターのボトルを冷蔵庫からとり出し飲み始めた。亜子は背が高くスタイルもいい。
「あなた、地味ね」
いきなりの先制パンチに、葵はおにぎりが咽につまりむせてしまった。慌ててお茶で流し込む。すると、亜子がカラカラと笑いだしす。
「私、そんな美味しそうにコンビニのおにぎり食べる子、初めて見た」
その屈託のない笑顔に一気に緊張がとけた。
「そうですか」
つられて葵も笑う。
「よかったら、これどうぞ。お客様にもらったの」
そういって、彼女は見るからに高級チョコレートを一粒くれた。いい人みたいでほっとする。そういえば、祖母が言っていた。美人はひがみが強くないから、たいていいい人だと。
葵の就業時間は六時までだったが、社員はまだ忙しいそうだ。アパートの管理人の仕事もあるからと社長滝崎が早めに帰してくれたのだ。
支度金をもらっているので、帰りに道にまず鍋をかった。これである程度、自炊が出来る。炊飯器は給料がはいってから、買うことにしよう。ちなみに電子レンジと冷蔵庫、冷暖房、テレビは完備されている。その上Wi-Fi使い放題だ。まるで天国のよう。
今はまだ会社から支給されたものを使っているが、早く自分のスマホが欲しい。
と滝崎が言う。驚いたことに若い滝崎が社長だという。名刺には社長とはなかった。そのうえ、葵が管理人をするアパートのオーナーでもある。
「すごいんですね」
葵が目を丸くして言う。
「別に凄い事でも何でもないですよ。親の会社を継いだだけですから」
こういう人もいるのだなと素直に羨ましく思う。
そんな風に挨拶が終わると葵は早速、仕事にかかるように言われた。まずは電話番。電話はなれているが、やはり最初は社名を間違えないようにと緊張する。
昼になるとみな交代で、裏の休憩所兼給湯室で食事をした。勝田も山本も愛妻弁当を持ってきている。水町と斎藤の二人は独身なので、外で食べたり、買ってきたりすることが多いそうだ。
そんな細かの情報を新入契約社員に教えてくれるのは部長の勝田だ。
社員はお客さんと物件を回ることも多いらしく。たいてい誰かしらいない。意外に客の出入りが多く、繁忙期は春先と秋口あたりだといっていた。
そして土地柄のせいか外国人が非常に多い。社員は勝田と山本は中国語ができ、社員全員ある程度の韓国語が分かるという。日本語しか話せない葵には外国人客の対応は無理だ。
初日の今日は一時半ごろ、昼休憩を貰い、給湯室で茶を淹れて、コンビニで買ったおにぎりをかじる。とても美味しい。そのうえ、お茶がタダというのがうれしい。会社勤めでなければ、お茶は買わなければならないものだ。ありがたい。
ずずっと紙カップにいれた茶をすする。ああ嬉しい。一昨日まで食うや食わずで、腹をすかせていたが今日から三食食べられて、寝る場所まである。
するとそこに派手系美人の亜子が入ってきた。葵は少し緊張する。
「お疲れ様です」
声をかけると彼女が会釈を返し、ミネラルウォーターのボトルを冷蔵庫からとり出し飲み始めた。亜子は背が高くスタイルもいい。
「あなた、地味ね」
いきなりの先制パンチに、葵はおにぎりが咽につまりむせてしまった。慌ててお茶で流し込む。すると、亜子がカラカラと笑いだしす。
「私、そんな美味しそうにコンビニのおにぎり食べる子、初めて見た」
その屈託のない笑顔に一気に緊張がとけた。
「そうですか」
つられて葵も笑う。
「よかったら、これどうぞ。お客様にもらったの」
そういって、彼女は見るからに高級チョコレートを一粒くれた。いい人みたいでほっとする。そういえば、祖母が言っていた。美人はひがみが強くないから、たいていいい人だと。
葵の就業時間は六時までだったが、社員はまだ忙しいそうだ。アパートの管理人の仕事もあるからと社長滝崎が早めに帰してくれたのだ。
支度金をもらっているので、帰りに道にまず鍋をかった。これである程度、自炊が出来る。炊飯器は給料がはいってから、買うことにしよう。ちなみに電子レンジと冷蔵庫、冷暖房、テレビは完備されている。その上Wi-Fi使い放題だ。まるで天国のよう。
今はまだ会社から支給されたものを使っているが、早く自分のスマホが欲しい。
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