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お仕事開始です
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その後社長は何事もなかったかのようにサクサクと説明を始める。
「実際うちでも事故物件をあつかっているので、霊障が出ることもありますからね。相談や、調査を行っています。アフターサービスもしくはオプションのようなものですよ」
「いや、でも、瀬戸様のケースは」
明らかに本人に憑いている。
「言うなれば、うちの裏家業とでもいいますか」
たしかに雇用契約を結ぶとき、不動産の仕事ではないと言われた。裏家業って……。まさかとは思うが、このために雇われたのだろうか。そういえば、
「逃げ出すものもいまして」
なとどあの時瀧崎はいっていた。今更ながら、彼の言葉に納得する。
「何、こういう依頼は年に数回ある程度ですよ。問題ありません」
葵は「いえ、問題ないのはあなただけであって私は違います」という言葉をどうにか飲み込んだ。
それから、滝崎に護符や盛り塩のための道具と箒、家の見取り図を貰った。見取り図には、どこに何を配置すればいいのか詳細がかかれている。
「これを持って瀬戸様にお宅に行ってください。一晩、彼女といて僕の到着を待ってください」
「あの、私こうことやったことないんですけど、一人いくんですか?」
「ええ、僕はこれから所要がありますから。それにここの従業員はこの仕事にタッチしていません。これくらいならば、あなた一人でもできるでしょう。ちょうど初心者むきです」
「え、あの初心者って……そんなあ」
戸惑いと不安しかない。葵は、幽霊は見えても祓ったことなどなかったし、やってみよとも思わなかった。
(だいたい、そんな事ってできるの?)
「大丈夫、手順通りにやれば何とかなりますよ。事は急を要します。僕が行くまでしっかりと瀬戸様に張り付いていてください」
自分がいて何かの役に立つとは思えない。
葵は視えるからって霊に慣れしたしんでいるわけではない。はっきりって怖いし、視えれば逃げる。いままでそうやって彼らと目を合わせないようにして生きて来た。
「それから、あれは生霊ですから、もし、貼ったお札落ちたり、燃えたりしてしまう様なことがあれば、気を付けてください」
葵はふるりと震えた。
「え? 生霊だったですか? 気を付けるっていったい何に、どうやって気を付ければいいんですか?」
怖い。できればやりたくない。だが、これで給料が高い理由がはっきり分かった。
「もしも、お札に不具合が生じた場合。その日、最初に来た客を、絶対に家に家いれてはなりません」
「ひぃっ! なにそれ、凄く怖いです!」
随分生々しい霊だとは思ったが生霊だったのか、葵にもそこまでは分からなかった。
いきなりその生霊を飛ばして生きている人間がやってきて殺人事件などおきたりしないのだろうか? 葵の不安はつきない。
だから、この仕事は人が続かないのだ。皆稼いでまとまった金ができると、やめてしまうのだろう。
葵にしても住むところと仕事と金があればこんな仕事絶対にやらない。命あっての物種だ。
「さあ、さっさと準備に取り掛かってください」
そう言って瀧崎は薄く笑う。葵はぞわりと寒気を感じた。
「実際うちでも事故物件をあつかっているので、霊障が出ることもありますからね。相談や、調査を行っています。アフターサービスもしくはオプションのようなものですよ」
「いや、でも、瀬戸様のケースは」
明らかに本人に憑いている。
「言うなれば、うちの裏家業とでもいいますか」
たしかに雇用契約を結ぶとき、不動産の仕事ではないと言われた。裏家業って……。まさかとは思うが、このために雇われたのだろうか。そういえば、
「逃げ出すものもいまして」
なとどあの時瀧崎はいっていた。今更ながら、彼の言葉に納得する。
「何、こういう依頼は年に数回ある程度ですよ。問題ありません」
葵は「いえ、問題ないのはあなただけであって私は違います」という言葉をどうにか飲み込んだ。
それから、滝崎に護符や盛り塩のための道具と箒、家の見取り図を貰った。見取り図には、どこに何を配置すればいいのか詳細がかかれている。
「これを持って瀬戸様にお宅に行ってください。一晩、彼女といて僕の到着を待ってください」
「あの、私こうことやったことないんですけど、一人いくんですか?」
「ええ、僕はこれから所要がありますから。それにここの従業員はこの仕事にタッチしていません。これくらいならば、あなた一人でもできるでしょう。ちょうど初心者むきです」
「え、あの初心者って……そんなあ」
戸惑いと不安しかない。葵は、幽霊は見えても祓ったことなどなかったし、やってみよとも思わなかった。
(だいたい、そんな事ってできるの?)
「大丈夫、手順通りにやれば何とかなりますよ。事は急を要します。僕が行くまでしっかりと瀬戸様に張り付いていてください」
自分がいて何かの役に立つとは思えない。
葵は視えるからって霊に慣れしたしんでいるわけではない。はっきりって怖いし、視えれば逃げる。いままでそうやって彼らと目を合わせないようにして生きて来た。
「それから、あれは生霊ですから、もし、貼ったお札落ちたり、燃えたりしてしまう様なことがあれば、気を付けてください」
葵はふるりと震えた。
「え? 生霊だったですか? 気を付けるっていったい何に、どうやって気を付ければいいんですか?」
怖い。できればやりたくない。だが、これで給料が高い理由がはっきり分かった。
「もしも、お札に不具合が生じた場合。その日、最初に来た客を、絶対に家に家いれてはなりません」
「ひぃっ! なにそれ、凄く怖いです!」
随分生々しい霊だとは思ったが生霊だったのか、葵にもそこまでは分からなかった。
いきなりその生霊を飛ばして生きている人間がやってきて殺人事件などおきたりしないのだろうか? 葵の不安はつきない。
だから、この仕事は人が続かないのだ。皆稼いでまとまった金ができると、やめてしまうのだろう。
葵にしても住むところと仕事と金があればこんな仕事絶対にやらない。命あっての物種だ。
「さあ、さっさと準備に取り掛かってください」
そう言って瀧崎は薄く笑う。葵はぞわりと寒気を感じた。
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