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調査業務実践3
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今はそんな事よりも、舞香の親友美玖の存在が気になる。別に霊に詳しいわけではないが、生霊はならば、知り合
いだろう。
舞香の肩のあたりをチラリと見ると黒い影と目が合ったような気がした。
(怖い、これと一晩中だなんて……)
「そうそう、ビデオをかりてきたんです。一緒に見ませんか」
明るい声で舞香が誘う。気さくな人だ。初対面なのに気づまりを感じない。
二人は揃ってコーヒーを飲みながら、ビデオを見ることにした。舞香は途中で飽きてきたようでうとうとしだす。
憑りつかれているにも拘わらずその緊張感のなさが羨ましい。視えていないからだろうか。それとも、憑りつかれていることで疲弊しているのか、彼女の目の下に隈が浮かんでいる。
半年後には花嫁になるというのに気の毒だ。
「あの、瀬戸様、私には気を使わないで、どうぞ、お休みください」
「そう、それじゃあ、お先に」
そう言うと舞香はシャワーを浴びにいった。シャワーの水音が聞こえる部屋のなかで、カタカタと音がする。振り返ると、塩を盛った皿が動いている。
「ひっ、怖いよぉ。帰りたいよ」
葵は密かに弱音を吐きつつも皿の場所をこわごわとなおす。
こうなると舞香の霊感のなさが羨ましい。もっとも生霊の場合、憑かれた本人は霊感があったとしても気付きにくいと滝崎がいっていたが……。生きている人間の方が怖いのかもしれない。瀧崎はどうやってこんなもの祓うのだろう。とんでもないことに巻き込まれてしまった。というかいきなり実践だなんてスパルタなの?
舞香が毛布を貸してくれたので、葵はダイニングの二人掛け用のソファーで丸くなる。
「早く社長来てくれないかな」
深夜のダイニングで独り言ちる。
現在午前二時、寝ている舞香の様子をちらと見だが、黒い影にのしかかられていることもない。きっとお札や盛り塩がきいて、生霊は憑りついてい入るものの身動きが出来ないのだろう。
家に帰ったら、葵も自分の家に盛り塩をおいてみようかと思った。なんだかこんな仕事をしていたら、そのうち何かに憑かれてしまいそうだ。
うとうとしかけた頃、「ピンポーン」とチャイムの音がした。葵は慌ててソファーから落ちそうなった。外はまだ暗い時計を見ると午前四時だ。
こんな時間に誰だろう。
そんな風に寝ぼけたせいで出遅れた。いつの間にかベッドから起きだした舞香がドアの前に立っている。そこで葵は滝崎の言いつけを思い出す。お札に不具合が会った場合初めて来た客を入れないと言っていた。本当に客が来た。
「待て下さい! 瀬戸様、ドアを開けないでください」
葵は震える声で叫んだ。
いだろう。
舞香の肩のあたりをチラリと見ると黒い影と目が合ったような気がした。
(怖い、これと一晩中だなんて……)
「そうそう、ビデオをかりてきたんです。一緒に見ませんか」
明るい声で舞香が誘う。気さくな人だ。初対面なのに気づまりを感じない。
二人は揃ってコーヒーを飲みながら、ビデオを見ることにした。舞香は途中で飽きてきたようでうとうとしだす。
憑りつかれているにも拘わらずその緊張感のなさが羨ましい。視えていないからだろうか。それとも、憑りつかれていることで疲弊しているのか、彼女の目の下に隈が浮かんでいる。
半年後には花嫁になるというのに気の毒だ。
「あの、瀬戸様、私には気を使わないで、どうぞ、お休みください」
「そう、それじゃあ、お先に」
そう言うと舞香はシャワーを浴びにいった。シャワーの水音が聞こえる部屋のなかで、カタカタと音がする。振り返ると、塩を盛った皿が動いている。
「ひっ、怖いよぉ。帰りたいよ」
葵は密かに弱音を吐きつつも皿の場所をこわごわとなおす。
こうなると舞香の霊感のなさが羨ましい。もっとも生霊の場合、憑かれた本人は霊感があったとしても気付きにくいと滝崎がいっていたが……。生きている人間の方が怖いのかもしれない。瀧崎はどうやってこんなもの祓うのだろう。とんでもないことに巻き込まれてしまった。というかいきなり実践だなんてスパルタなの?
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「早く社長来てくれないかな」
深夜のダイニングで独り言ちる。
現在午前二時、寝ている舞香の様子をちらと見だが、黒い影にのしかかられていることもない。きっとお札や盛り塩がきいて、生霊は憑りついてい入るものの身動きが出来ないのだろう。
家に帰ったら、葵も自分の家に盛り塩をおいてみようかと思った。なんだかこんな仕事をしていたら、そのうち何かに憑かれてしまいそうだ。
うとうとしかけた頃、「ピンポーン」とチャイムの音がした。葵は慌ててソファーから落ちそうなった。外はまだ暗い時計を見ると午前四時だ。
こんな時間に誰だろう。
そんな風に寝ぼけたせいで出遅れた。いつの間にかベッドから起きだした舞香がドアの前に立っている。そこで葵は滝崎の言いつけを思い出す。お札に不具合が会った場合初めて来た客を入れないと言っていた。本当に客が来た。
「待て下さい! 瀬戸様、ドアを開けないでください」
葵は震える声で叫んだ。
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