7月21日の雨1 ~七夕の逢瀬を思い出し……~

壬生葵

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2 ※性描写多量につき注意

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 私はドサッと寝床に寝転がる。仕事後の心地よい疲労感がじんわりと布団に染み込んでいくような気がした。仰向けになった私の股間はすでに隆起しており、劣情の高まりを誇示している。
 枕元に置いてある薄布を掴み取り、顔に近付けて大きく息を吸う。二週経ってもなお感じる彼女の気配に、私の胸は熱く滾る。それに合わせるように、逸物は鋭さを増していく。


 私はもぞもぞと布団にもぐり込む。胸を締め付ける切なさも、涙とともに枕に染み込んでいくような気がした。横向けになった私の隣に彼は居らず、寂寞たる思いが胸中に広がるばかり。
 あの日に過ごした彼との一夜を思い出し、布団の中で悶える。二週経ってもなお覚えている体の感覚に、私の心は虚ろになる。それを満たそうとするかのように、体は得体の知れない熱を発し出す。


 布に残る妻の幻影が私の脳内で微笑む。
 近いようで果てしなく遠いもどかしさ、願いが叶わぬ空しさ、押し寄せる感情の波により、布を握る力が強くなる。耐えきれずにかき抱いたとて、懐中に君は居らず、ただただ情欲が増すばかり。


 体に刻まれた交合の記憶が私の脳内を支配する。
 抑えようにも止めどなく漏れる声、意識が定まらぬ程の快楽、囁かれた愛の言葉が私の全身を駆け巡る。身を縮めて眠りにつこうとしても、心身共に落ち着かず、ただただあなたを求めるばかり。


 滾る血潮が股下の象徴に集結する。ほとばしる情熱が溢れ、先端を軽く濡らす。
 私の呼吸は荒くなり、息を吸う度に彼女の残り香が鼻腔を刺激する。ほのかな甘さが頭の中いっぱいに広がる。私の物はさらに硬度を増し、喜びに打ち震える。
 優しく包み込むように握ってみる。大きく膨らんだそれは、私の意思とは関係なしに熱を発しており、ゆっくり擦ると肉質をさらに凝固させた。こそばゆさを孕んだ快感が背筋に走る。


 蠢く情欲が理性の壁を揺する。打ち寄せる快楽は波となり、心身の渇きを潤さんとす。
 私の触感は敏感になり、寝返りを打つ度に体の芯が反応する。柔らかな温もりが体の奥でじんわりと広がる。私の指はさらなる悦楽を求め、秘部に触れ始める。
 羽毛で撫でるように指先で触れる。下着に大きくできた染みが、否応なしに私の高まりを示しており、ぬるりとした感触に思わず息が漏れた。己のいやらしさをまざまざと実感し、背徳感に全身を震わす。


 妻の嬌声が脳裏に浮かぶ。先の一夜を慰みの糧とし、私は思うままに、衝動のままに、空想で彼女を攻め立てる。
 目を閉じて身を委ねる彼女に、私は手技を以て体に染み渡らせるように快感を与えていく。肌に触れるか触れないかの寸前に指を走らせる度に、彼女は身をよじらせる。
 吐息を漏らす姿を思い浮かべて、この上なくいじらしいと感じ、愛おしい気持ちが一層高まる。
 私は右手を荒々しく上下させる。握られた物は真っ赤に腫れあがり、太い血管が高まりを誇示する。もう前戯の妄想だけで果ててしまいそうだ。
 きめ細やかな布の触れ心地が火照った体に心地よい。妻の見事な仕事ぶりに汚らしい欲望を押しつけることに背徳感を覚える。美しき布を織るあの細くしなやかな指が、私の物に絡みついた様を想像する。
 彼女の指が陰棒を弄ぶ。
「仕返し」といたずらな笑みを浮かべながら、柔らかな手を躍らせる。包み込まれるような心地よさを思い出し、腰ががくがくと無自覚に震える。
 一つになりたいという願いは今は叶わず。私はただただ空虚に手を上下させるしかなかった。満たされようとあがく悲しき男の性がそこにはあった。


 夫の腕に抱かれて、体のありとあらゆる所を弄ばれる。それを思い出しただけで秘所からは蜜が滲みだす。先の一夜は私には少々刺激が強かったかもしれない。それでも私はその時のことを思わずにはいられなかった。
 眼を閉じれば私の体は「早く」、「もっと」と性感を求めてざわざわと騒ぎ立てる。私は体の敏感な所に指を走らせることで、それに応える。
「んっ」と息が詰まったり、「はあっ」と吐息を漏らしたりすることを幾分か繰り返す。農作業で鍛えたたくましい彼の手に比べると、やや物足りない。あの手で優しく触れられた時の絶妙な力加減が恋しくてたまらない。
 いまひとつに感じる私の心中とは裏腹に、体は欲求に正直であった。胸は張って先端がピンと立ち、陰部からは愛液がほとばしり、指で触れれば糸が引くほどに粘膜は潤っていた。無意識の内に軽く果てていたのかもしれない。
 布団に湿気と熱気がこもって不快だ。ただ、体は脱力感に覆われており、動く気力が湧かなかった。
 身を包むこの熱は私から発された彼への愛、彼を想って自慰に耽ることで、褥に愛を染み込ませていく……。それは一人ぼっちの私に許された、粘着質で罪深い戯れだった。
 指を彼の象徴に見立てて、体の奥へ深く突きさす。
「愛している」と耳元で囁かれた気がした。駆け巡る快楽に、思わず体が大きくのけぞる。彼の物に比べたらまだ物足りない。もっと深く、もっと激しく、求めれば求めるほどに体は反応し、ぐちゃぐちゃと淫靡な音が増していく。
 結ばれたいという願いだけがいたずらに加速していく。私はただただ快楽に身を委ねるしかできなかった。満たされぬ愛を貪る浅ましい女の性がそこにはあった。


 陰部を握る手はさらに激しく上下する。秘部をまさぐる指はさらに細かく律動する。
 妻の名を何度も呼ぶ。河を越えてとどくように。夫の名をひたすら呟く。届かぬ愛欲を押しこめるように。
 二人はあの日の夜を何度も何度も思い描く。
 安寧、快感、充足、惜別……。
 頭の中でリプレイが絶えず流れる。ぐしゃぐしゃになった感情を押し流すように、衝動のままに自慰に耽溺する。
 ほどなくして絶頂の前兆が訪れる。びりびりと痺れるような感覚のなすがままに、二人は官能を高めていく。
 逸物はぬるぬると先走り塗れになっており、今か今かと発射の時を待っている。
 蜜壺は粘度を増した白濁液に塗れており、挿しこまれた指にきゅっと吸いついている。
 互いに妄想が絶頂の場面に達した刹那、二人の自慰もまた頂きに至った。
 噴き出す白濁の粘液、指を締め付ける粘膜の蠕動、息も絶え絶えに余韻を味わう二人であったが、絶頂を迎えてなお欲求が収まらぬことを感じていた。
 男は未だ硬度を保つそれをさらにしごき、女はさらなる深みに没入し始める。
 やがて、河を隔てた二人の愛の熱気は下界に雲を立ち昇らせた。
 男女の互いを思慕し合う自慰はいつまでも続き、果てなき絶頂により溢れた潮が河を通じて下界に降り注ぐ。
 それが降るのが七月二十一日、わかる人にはわかるあの日にまつわる伝説です。

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