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第8話 涙の告白
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夜の静寂に包まれた禁書庫。
先ほどの騒動が嘘のように静まり返っていたが、カミルの心臓はまだ早鐘を打っていた。
涙で濡れた頬を拭うこともできず、彼はセドリックの腕の中に身を預けたまま小さく震えていた。
「……あなたに知られたくなかった」
掠れた声で零すと、胸の奥から重い塊が吐き出されるようだった。
最も隠したかった過去。
守秘義務に縛られ、一人籠って生きてきた理由。
それを最も見せたくなかった相手に知られてしまった絶望。
それを、今はもう誤魔化せなかった。
セドリックの前で、自分の弱さを曝け出してしまった。
「……カミル」
低く、優しい声。
セドリックは抱き寄せる腕に力を込め、カミルを見下ろした。
「馬鹿を言うな。過去なんかどうでもいい」
「……」
「俺は今のお前が愛おしい。それだけだ」
真っ直ぐに放たれた言葉に、カミルの胸が強く揺れた。
「……でも、私は……」
言葉が続かない。
唇は震え、視線は床に落ちる。
「怖いんです」
「何が」
「……あなたに嫌われることが」
掠れた声は、涙で途切れそうになっていた。
セドリックの瞳が大きく揺れた。
カミルはこれまで誰に対しても感情を押し殺し、淡々とした態度を崩さなかった。
その彼が、こんなにも脆く、恐れている姿を見せている。
セドリックは静かにカミルの髪を撫で、安心させるように言った。
「嫌うものか」
はっきりと、迷いなく言い切る。
「俺がお前を嫌う? そんなわけがない」
「……っ」
「むしろ、もっと知りたい。もっと近くにいたい。お前がどんな過去を抱えていても、関係ない」
カミルの灰色の瞳に、ぽろりと涙が零れる。
堰を切ったように、心の奥に溜め込んでいた不安と恐怖が溢れ出した。
「……私は、ずっと……誰にも必要とされないと思っていました。過去を知られれば、皆、私から離れていくと……」
「俺は離れない」
即答だった。
セドリックは震える手を取り、その甲にそっと唇を触れさせた。
「お前がどう思おうと、俺はお前を離さない」
その言葉は、揺らぎなく強い。
決して押し付けではなく、温かな誓いのように響いた。
カミルは嗚咽をこらえながら、肩を震わせた。
過去を知られたら終わりだと信じていた。
彼は一歩も引かず「欲しい」と言ってくれる。
その想いに触れた瞬間、心に張り巡らせた厚い壁が、少しずつ崩れていくのを感じた。
「……どうして……そこまで」
「どうして、だと?」
セドリックは小さく笑い、涙に濡れた頬を親指で拭った。
「簡単なことだ。俺がお前を好きだからだ」
その一言に、カミルの全身が熱に包まれる。
心臓が痛いほど高鳴り、息が詰まる。
「……ヴァレンティス様……」
「名前で呼べ」
「……セドリック様……」
震える声で名を呼ぶと、セドリックの瞳が柔らかく細められた。
「……安心しろ、カミル」
低く囁き、セドリックはそっとその体を抱き締めた。
広い胸に包まれ、カミルはようやく全身の力が抜けていくのを感じた。
恐怖に支配され続けた日々。
自分には誰も手を差し伸べてくれないと思い込んでいた。
今、セドリックの腕が自分を守ろうとしてくれている。
涙が再び溢れ、カミルはその胸に顔を埋めた。
「ごめんなさい、……まだ怖いんです。それでも、あなたに縋りたいと思ってしまう……」
「いいんだ。それでいい」
「でも……」
「何度でも言う。俺はお前を離さない。お前を好きだ。だから、もう逃げないでくれ」
強い声だった。
その響きは、不思議と心を安らげる。
カミルは震える声で小さく呟いた。
「……信じてもいいのですか」
「信じろ。俺を」
その一言に、カミルは頷いていた。
暖炉の火が静かに揺れる。
互いに抱き合ったまま、時が止まったかのように動かない。
その沈黙の中で二人の間を隔てていた壁が崩れ始めていた。
恐怖の影を抱えながらも、初めて「信じたい」と思えた。
カミルは小さな声で、震えながらも確かに言葉を紡いだ。
「……離れないでください」
セドリックの胸にしがみつくその姿に、彼は優しく囁いた。
「離さない。何があっても、絶対に」
その誓いは、嵐の夜を超えた静寂の中で強く響き、カミルの心をそっと包み込んだ。
先ほどの騒動が嘘のように静まり返っていたが、カミルの心臓はまだ早鐘を打っていた。
涙で濡れた頬を拭うこともできず、彼はセドリックの腕の中に身を預けたまま小さく震えていた。
「……あなたに知られたくなかった」
掠れた声で零すと、胸の奥から重い塊が吐き出されるようだった。
最も隠したかった過去。
守秘義務に縛られ、一人籠って生きてきた理由。
それを最も見せたくなかった相手に知られてしまった絶望。
それを、今はもう誤魔化せなかった。
セドリックの前で、自分の弱さを曝け出してしまった。
「……カミル」
低く、優しい声。
セドリックは抱き寄せる腕に力を込め、カミルを見下ろした。
「馬鹿を言うな。過去なんかどうでもいい」
「……」
「俺は今のお前が愛おしい。それだけだ」
真っ直ぐに放たれた言葉に、カミルの胸が強く揺れた。
「……でも、私は……」
言葉が続かない。
唇は震え、視線は床に落ちる。
「怖いんです」
「何が」
「……あなたに嫌われることが」
掠れた声は、涙で途切れそうになっていた。
セドリックの瞳が大きく揺れた。
カミルはこれまで誰に対しても感情を押し殺し、淡々とした態度を崩さなかった。
その彼が、こんなにも脆く、恐れている姿を見せている。
セドリックは静かにカミルの髪を撫で、安心させるように言った。
「嫌うものか」
はっきりと、迷いなく言い切る。
「俺がお前を嫌う? そんなわけがない」
「……っ」
「むしろ、もっと知りたい。もっと近くにいたい。お前がどんな過去を抱えていても、関係ない」
カミルの灰色の瞳に、ぽろりと涙が零れる。
堰を切ったように、心の奥に溜め込んでいた不安と恐怖が溢れ出した。
「……私は、ずっと……誰にも必要とされないと思っていました。過去を知られれば、皆、私から離れていくと……」
「俺は離れない」
即答だった。
セドリックは震える手を取り、その甲にそっと唇を触れさせた。
「お前がどう思おうと、俺はお前を離さない」
その言葉は、揺らぎなく強い。
決して押し付けではなく、温かな誓いのように響いた。
カミルは嗚咽をこらえながら、肩を震わせた。
過去を知られたら終わりだと信じていた。
彼は一歩も引かず「欲しい」と言ってくれる。
その想いに触れた瞬間、心に張り巡らせた厚い壁が、少しずつ崩れていくのを感じた。
「……どうして……そこまで」
「どうして、だと?」
セドリックは小さく笑い、涙に濡れた頬を親指で拭った。
「簡単なことだ。俺がお前を好きだからだ」
その一言に、カミルの全身が熱に包まれる。
心臓が痛いほど高鳴り、息が詰まる。
「……ヴァレンティス様……」
「名前で呼べ」
「……セドリック様……」
震える声で名を呼ぶと、セドリックの瞳が柔らかく細められた。
「……安心しろ、カミル」
低く囁き、セドリックはそっとその体を抱き締めた。
広い胸に包まれ、カミルはようやく全身の力が抜けていくのを感じた。
恐怖に支配され続けた日々。
自分には誰も手を差し伸べてくれないと思い込んでいた。
今、セドリックの腕が自分を守ろうとしてくれている。
涙が再び溢れ、カミルはその胸に顔を埋めた。
「ごめんなさい、……まだ怖いんです。それでも、あなたに縋りたいと思ってしまう……」
「いいんだ。それでいい」
「でも……」
「何度でも言う。俺はお前を離さない。お前を好きだ。だから、もう逃げないでくれ」
強い声だった。
その響きは、不思議と心を安らげる。
カミルは震える声で小さく呟いた。
「……信じてもいいのですか」
「信じろ。俺を」
その一言に、カミルは頷いていた。
暖炉の火が静かに揺れる。
互いに抱き合ったまま、時が止まったかのように動かない。
その沈黙の中で二人の間を隔てていた壁が崩れ始めていた。
恐怖の影を抱えながらも、初めて「信じたい」と思えた。
カミルは小さな声で、震えながらも確かに言葉を紡いだ。
「……離れないでください」
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「離さない。何があっても、絶対に」
その誓いは、嵐の夜を超えた静寂の中で強く響き、カミルの心をそっと包み込んだ。
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