問題児の俺、何故かギャルシスターと更生させられることになったんだが

週末のべるぜぶぶ

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第一話

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放課後のチャイムが鳴る。

部活の支度をする者、まっすぐ帰る者、放課後を謳歌する者――

それぞれの青春が一斉に動き出す時間だ。



階段を降りながら何気なく窓を見ると、ガラスに桜の花びらが一枚、張り付いていた。

……一年前の入学式のことを思い出す。



あの日、登校中にヤンキーに絡まれ、初日から喧嘩沙汰になった。

ボロボロになりながら校舎に辿り着いたものの、力尽きて気を失ってしまった。



耳の中で聞き覚えのある鼻歌が聞こえる。

降ってくる桜の花びらが顔に当たるのを感じた。

後頭部には――柔らかい感触。



「……ん?」



意識が朦朧とする中、俺に膝枕をしてくれていた少女

視界がぼやける中、彼女は顔を真っ赤にして――



「ご、ごめんなさいっ!」



そう叫んで、走り去ってしまった。目が覚めたときにはすでに入学式が終わってしまった。



――一年たっても結局、あの子が誰だったのかは今でもわからない。

名前も、顔も、あやふやなまま。

ただ、不思議と忘れられなかった。



廊下を歩くと、周囲の生徒がこそこそと俺を見る。



「げぇ……“聖桜の悪魔”だ」

「魔宮くん、また他校の子と喧嘩したらしいよ」



どうやら俺は“悪魔”と呼ばれ、恐れられているらしい。

だが――そんな俺にも、恐れている人物が一人だけいる。



指導室の前で足を止めた。

深呼吸をひとつ。

覚悟を決めて、ドアを開ける。



「失礼しまーす」



中では、担任の天城先生が腕を組み、椅子に座っていた。

こちらを見る目が、完全に“教育者”ではなく“尋問官”だ。



「魔宮。……入学してから、ここに来るのは何回目だ?」



「六回目です」



「また他校と喧嘩したそうじゃないか?」



「俺は何もしてません。あっちから絡んできたんで、ちょっと対応しただけです」



「“対応”って言い方、やめなさい。……はぁ、なんで君は普通の高校生らしく生きられないんだ」



「喧嘩の悪魔でも取り憑いてるんですかね。だから取り払ってもらうために、ここに入学してきたのに」



その瞬間、先生の額に青筋が浮かんだ。



「……そう。じゃあ今ここで――除霊してあげようか?」



「えっ、ちょ、先生、まさか――」



ドガッ。



腹に衝撃。視界が一瞬、白く飛んだ。



「ぐふっ!?」



次の瞬間、俺は床に膝をついていた。

息が、出ない。痛い。けど……なんか、いつものことだ。



「ったく……除霊完了っと」



天城先生は手をぱんぱんと払うと、ため息をついた。



「ほんとに君は手がかかるね、魔宮。……でも今回は、ただの説教じゃ済まないよ」



天城先生の声が、低く響いた。

いやな予感しかしない。



「魔宮。お前には――今日から“聖心部”に入ってもらう」



「……せいしんぶ?」



「そう。正式名称は“聖心奉仕部”。敷地内の教会を拠点にしてるボランティア系の部活だ」



「ボランティア? 俺、そういうの似合います?」



「自覚があるなら丁度いいじゃないか。少しは心を清めなさい」



そう言って、先生は机の引き出しから書類を取り出した。

そこには太い赤字で《部活強制参加命令》と書かれている。



「……これ、まさか俺専用に作ったやつじゃないですよね?」



「察しがいいな。実は今年度から導入してみたんだ」



「悪魔退治の新制度ってわけか……」



「そう思うなら、なおさらぴったりだろう?」

天城先生が口元だけで笑う。



「顧問は――この私だ。逃げても無駄だからな」



「……マジですか。完全に監視コースじゃないですか」



「当然だ。今日からが“更生プログラム第一号”。

 というわけで、さっそくだが初仕事だ」



「初仕事?」



「せっかく“聖心部”なんだから、修道院――つまり敷地内の教会へ行け。

 そこにいるシスターに会って、部員になってもらえ。」



「部員探し? 俺が?」



「そうだ。聖心部は現在、幽霊部活だ。

 部員ゼロ。つまり――お前が最初の信者ってわけだ」



「悪魔が信者って、もうツッコミ追いつかないんですけど……」



「言ってないで行け。仏の顔も三度まで、だぞ」



「先生、仏と神混ざってますよ」



「細けぇことはいいんだ」



「教師がそれ言っちゃう?」



ため息をひとつつき、俺は窓の外に見える教会の尖塔を見上げた。

桜の花びらが風に舞い、遠くの空に吸い込まれていく。
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