冷徹社長と完璧秘書、二人きりの“業務報告”は蜜の味

どえろん

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第4話:会議室の“水瀬くん”と、疼く蜜の在り処

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 株式会社T・I・Sの第一会議室。
 ガラスとスチールで構成された無機質な空間は、凍てつくような緊張感に支配されていた。

「――つまり、橘社長。あなたのその“勘”に、我が社は数百億の未来を賭けろと?」

 テーブルの向こう側から投げかけられたのは、筆頭株主である古賀会長の、鋭いナイフのような言葉だった。
 新規事業への大規模投資。その最終承認を得るための役員会議は、完全に暗礁に乗り上げていた。

 俺の隣で、水瀬雫は完璧なポーカーフェイスを保ったまま、議事録をタイプしている。その指先には一切の乱れがない。
 朝、俺の腕の中で甘く乱れていた姿など、幻だったかのようだ。

 それが、少しだけ……気に入らない。

 俺はフッと口角を上げ、あえて全員に聞こえるように言った。

「勘、ではありませんよ、会長。これは“確信”です。その根拠となるデータを、今から私の秘書に説明させましょう」

 会議室にいる全員の視線が、一斉に雫へと集まる。
 彼女は動じることなくすっと立ち上がると、プロジェクターの前に立った。

「それでは、ご説明いたします」

 淡々と、淀みなく。
 市場の成長性、競合の動向、リスク分析。彼女が紡ぐ言葉はどこまでもロジカルで、鉄壁の理論武装だった。
 古賀会長の渋面も、わずかに和らいでいくのが分かる。

 完璧だ。俺の秘書は、やはり完璧だ。
 だからこそ……試したくなる。
 その完璧な仮面の下に隠された、俺だけが知る甘い素顔を。

 プレゼンが佳境に差し掛かった、その瞬間。
 俺は、静かに“合図”を送った。

「――素晴らしい説明だ。だが、最後の競合リスクについて、もう少し深掘りしてほしい。……水瀬くん」

 “くん”

 その一言が、引き金だった。

 ぴくっ、と雫の肩が、一瞬だけ硬直したのを俺は見逃さない。
 彼女の完璧なプレゼンテーションが、コンマ数秒、途切れた。

「(――っ!?)」

 雫の脳裏に、俺の言葉が蘇る。

『俺が会議中、お前のことを“水瀬くん”と呼んだら、それは合図だ』
『昨夜、俺がお前のどこを一番可愛がったか思い出せ』

 昨夜の、記憶。
 寝室で、俺に足を掴まれ、無防備な場所を舌で何度も、何度もなぶられた、あの恥ずかしい快感……!

「……っ♡」

 顔に、カッと熱が集まる。
 だめ、今は会議中。社長の、人生を懸けた大事なプレゼンの最中なのに。
 思い出せ、なんて命令されなくても、身体が勝手に思い出してしまう。

 とろり、と。
 スカートの下で、秘裂がじゅわりと熱を帯びるのが分かった。
 まるで、昨夜の俺の舌の感触を、今まさに内側からなぞられているかのように。

「……水瀬くん? どうしたのかね」

 古賀会長の怪訝な声に、雫ははっと我に返る。

「も、申し訳ありません。……ご説明いたします。競合A社の最大のリスクは、その資金調達の……あっ……♡」

 だめだ。言葉が、続かない。
 思考しようとするそばから、脳が昨夜の快感にトロトロに溶かされていく。
 蓮様が、あんなにも優しく、激しく、私の奥をめちゃくちゃにしてくれた……。
 蓮様の指が、舌が、そして……もっと硬くて熱い“全部”が、私の中にあった記憶……。

「んんっ……♡」

 必死に太ももを擦り合わせ、込み上げる熱い疼きを誤魔化そうとする。
 その微かな仕草を、俺はデスクの下で愉悦と共に眺めていた。

(そうだ、思い出せ、雫。俺だけがお前をめちゃくちゃにできるんだ)

 この会議室にいる誰もが、俺の完璧な秘書が、今まさにスカートの下をじゅくじゅくと濡らし、俺への想いで身体を震わせていることなど知りもしない。
 この背徳的な秘密の共有が、俺の支配欲を最高に満たした。

「……社長」

 不意に、雫が潤んだ瞳で、助けを求めるように俺を見た。
 その表情は、懇願と、そして微かな“怒り”が混じっているように見えた。
 ――『こんなところで、意地悪しないで』と。

 最高だ。その顔が、たまらなくそそる。

 俺はゆっくりと立ち上がると、彼女の隣に並んだ。そして、役員たちには聞こえない、ごく小さな声で、彼女の耳元にだけ囁いた。

「よく耐えたな。……今夜の“報告”は、たっぷり“ご褒美”をやらないとな」

「ひゃぅっ……♡♡」

 雫は小さな悲鳴を押し殺し、口元を両手で覆った。
 もう限界だった。彼女の瞳はとろとろに蕩け、立っているのもやっとの状態だ。

 俺はそんな彼女の腰を、他の役員からは見えない角度で、ぐっと支える。

「――以上が、我々の結論です。ご静聴、ありがとうございました」

 俺が力強く締めくくると、会議室は一瞬の沈黙の後、大きな拍手に包まれた。
 古賀会長も、満足げに頷いている。

 交渉は、またしても俺たちの勝利で終わった。

 会議室から役員たちが出ていく中、俺は腰を抜かしたように動けない雫の耳元に、もう一度だけ囁く。

「今夜は、寝かさない。……覚悟しておけ、“水瀬くん”」

 その言葉に、彼女は燃え尽きたように、俺の胸にこてんと頭を預けるのだった。

【続く】
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