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第27話:敗北の美酒と、氷の女王の落日
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勝利の熱狂に包まれた『ネオ・フロンティア』のキングスルーム。ブラインドが下ろされた密室で、蓮と雫は、互いの存在をむさぼるように求め合っていた。
「あぁ……っ!蓮さん、すごい……っ♡勝利の、味がする……っ♡♡」
「雫……!お前は、最高だ……っ!」
デスクの上で、書類の山を背に喘ぐ雫。その白磁のような肌は、興奮でバラ色に染まっている。蓮は、彼女の腰を強く掴み、勝利の凱歌をあげるように、力強く腰を打ち付けた。それは、イザベラに見せつけた“信頼”などという美しい言葉だけでは表現できない。もっと動物的で、根源的な、雄と雌の勝利の儀式だった。
「見てみろ、雫。……この景色を」
蓮は、雫を抱き上げたまま、窓際のブラインドを少しだけ開けた。眼下には、夕暮れに染まり始めた東京の街が広がっている。かつて、全てを失いかけた街。だが今は、二人の足元にひれ伏している。
「あの街の光、全部……俺たちのものだ」
「はい……っ♡あなたと、わたくしの……王国です……っ♡」
雫は、ガラスに手をつき、背後から突き上げる蓮の愛を受け入れながら、恍惚と街を見下ろした。もう、誰も二人を邪魔できない。あの恐ろしい氷の女王でさえ、二人の絆の前には無力だった。
「愛してる、雫。……お前だけが、俺の真実だ」
「蓮さん……っ♡わたくしも……心も身体も、全部、あなたのものです……っ♡♡」
絶頂の瞬間、二人の影は、茜色の夕陽の中で一つに重なった。それは、あまりにも完璧で、幸福な光景だった。
一方、地球の裏側。ニューヨーク、マンハッタン。
イザベラ・ヴォスは、再びあの会員制のバーにいた。だが、その姿は、いつもの冷徹で完璧な女王ではなかった。髪は乱れ、瞳は充血し、足元には空になった強い酒のボトルが転がっている。
巨額の損失。投資家からの突き上げ。そして何より、あの“地味な女”に完全敗北したという屈辱。それらが、彼女のプライドを粉々に砕いていた。
「……ありえない」
グラスを握りしめる手が、白く震えている。
「私が、負けるなんて……。あんな、女に……」
彼女の脳裏には、モニター越しに見せつけられた、蓮と雫の姿が焼き付いて離れない。蓮の、あの満足げな顔。雫の、勝ち誇った瞳。そして、自分が蓮に抱かれていた時、彼が叫んだ『シズク』という名前。
「……許さない……許さない許さない許さない……ッ!!」
パリンッ!イザベラはグラスを壁に投げつけた。破片が飛び散る中、カウンターの中にいた青年が、ビクリと身を竦める。
「……何を見ているの?」
イザベラは、ゆらりと立ち上がり、青年に近づいた。その瞳は、狂気を孕んで妖しく光っている。
「来なさい。……今すぐ」
彼女は青年の腕を掴み、乱暴にプライベートルームへと引きずり込んだ。扉を閉めるなり、彼女は青年の服を引き裂くように脱がせ、ベッドへと押し倒す。
「……あなたは、レンよ」
彼女は、青年の上に跨り、自らの胸をさらけ出した。
「いい?あなたは橘蓮。私の、レン……。あの女のことなんて忘れて、私だけを求めているの。……そうでしょう?」
青年は、怯えたように頷くことしかできない。イザベラは、その反応に満足せず、彼の手を取り、自らの胸に押し当てた。
「触って。……もっと、激しく!あの夜みたいに、私を壊すつもりで!」
「イザベラ、さん……痛い、です……」
「黙りなさい!!」
彼女は青年の頬を打ち、そして無理やり口づけをした。そのキスは、血の味がした。
「言って。……『愛してる、イザベラ』って。あの女じゃなくて、私が一番だって、言いなさい!!」
彼女は、青年の楔を自らの中に導き入れ、狂ったように腰を振り始めた。快感などない。あるのは、満たされない渇きと、広がり続ける空虚な穴だけ。どんなに激しく動いても、目の前の男は蓮ではない。蓮は今頃、あの女と笑い合っている。
「言ってよぉぉぉッ!!」
「……あ、愛して、ます……イザベラ……ッ」
青年の絞り出すような言葉を聞いた瞬間、イザベラは絶叫と共に絶頂を迎えた。だが、その絶頂は、彼女を救うどころか、より深い闇へと突き落とした。
「……あはっ、あはははは……ッ!」
事後、乱れたシーツの上で、イザベラは乾いた笑い声を上げた。目からは、涙が止めどなく溢れている。惨めだ。あまりにも、惨めだ。金で買った男に、嘘の愛を囁かせて、自分で自分を慰める。それが、氷の女王の成れの果てだった。
「……レン。あなたが、いけないのよ」
彼女は、虚空を見つめ、暗い、底知れぬ声で呟いた。
「私をここまで壊しておいて、自分たちだけ幸せになろうなんて……そんなこと、許されると思って?」
彼女の手が、サイドテーブルに置かれたスマートフォンへと伸びる。画面には、ある“劇薬”のような人物の連絡先が表示されていた。それは、ビジネスのルールも、法律さえも通用しない、裏社会のフィクサー。
「……全部、燃やしてあげる。あなたの城も、愛も、未来も」
氷の女王の心は、完全に砕け散り、鋭利な殺意の破片へと変わっていた。
【続く】
「あぁ……っ!蓮さん、すごい……っ♡勝利の、味がする……っ♡♡」
「雫……!お前は、最高だ……っ!」
デスクの上で、書類の山を背に喘ぐ雫。その白磁のような肌は、興奮でバラ色に染まっている。蓮は、彼女の腰を強く掴み、勝利の凱歌をあげるように、力強く腰を打ち付けた。それは、イザベラに見せつけた“信頼”などという美しい言葉だけでは表現できない。もっと動物的で、根源的な、雄と雌の勝利の儀式だった。
「見てみろ、雫。……この景色を」
蓮は、雫を抱き上げたまま、窓際のブラインドを少しだけ開けた。眼下には、夕暮れに染まり始めた東京の街が広がっている。かつて、全てを失いかけた街。だが今は、二人の足元にひれ伏している。
「あの街の光、全部……俺たちのものだ」
「はい……っ♡あなたと、わたくしの……王国です……っ♡」
雫は、ガラスに手をつき、背後から突き上げる蓮の愛を受け入れながら、恍惚と街を見下ろした。もう、誰も二人を邪魔できない。あの恐ろしい氷の女王でさえ、二人の絆の前には無力だった。
「愛してる、雫。……お前だけが、俺の真実だ」
「蓮さん……っ♡わたくしも……心も身体も、全部、あなたのものです……っ♡♡」
絶頂の瞬間、二人の影は、茜色の夕陽の中で一つに重なった。それは、あまりにも完璧で、幸福な光景だった。
一方、地球の裏側。ニューヨーク、マンハッタン。
イザベラ・ヴォスは、再びあの会員制のバーにいた。だが、その姿は、いつもの冷徹で完璧な女王ではなかった。髪は乱れ、瞳は充血し、足元には空になった強い酒のボトルが転がっている。
巨額の損失。投資家からの突き上げ。そして何より、あの“地味な女”に完全敗北したという屈辱。それらが、彼女のプライドを粉々に砕いていた。
「……ありえない」
グラスを握りしめる手が、白く震えている。
「私が、負けるなんて……。あんな、女に……」
彼女の脳裏には、モニター越しに見せつけられた、蓮と雫の姿が焼き付いて離れない。蓮の、あの満足げな顔。雫の、勝ち誇った瞳。そして、自分が蓮に抱かれていた時、彼が叫んだ『シズク』という名前。
「……許さない……許さない許さない許さない……ッ!!」
パリンッ!イザベラはグラスを壁に投げつけた。破片が飛び散る中、カウンターの中にいた青年が、ビクリと身を竦める。
「……何を見ているの?」
イザベラは、ゆらりと立ち上がり、青年に近づいた。その瞳は、狂気を孕んで妖しく光っている。
「来なさい。……今すぐ」
彼女は青年の腕を掴み、乱暴にプライベートルームへと引きずり込んだ。扉を閉めるなり、彼女は青年の服を引き裂くように脱がせ、ベッドへと押し倒す。
「……あなたは、レンよ」
彼女は、青年の上に跨り、自らの胸をさらけ出した。
「いい?あなたは橘蓮。私の、レン……。あの女のことなんて忘れて、私だけを求めているの。……そうでしょう?」
青年は、怯えたように頷くことしかできない。イザベラは、その反応に満足せず、彼の手を取り、自らの胸に押し当てた。
「触って。……もっと、激しく!あの夜みたいに、私を壊すつもりで!」
「イザベラ、さん……痛い、です……」
「黙りなさい!!」
彼女は青年の頬を打ち、そして無理やり口づけをした。そのキスは、血の味がした。
「言って。……『愛してる、イザベラ』って。あの女じゃなくて、私が一番だって、言いなさい!!」
彼女は、青年の楔を自らの中に導き入れ、狂ったように腰を振り始めた。快感などない。あるのは、満たされない渇きと、広がり続ける空虚な穴だけ。どんなに激しく動いても、目の前の男は蓮ではない。蓮は今頃、あの女と笑い合っている。
「言ってよぉぉぉッ!!」
「……あ、愛して、ます……イザベラ……ッ」
青年の絞り出すような言葉を聞いた瞬間、イザベラは絶叫と共に絶頂を迎えた。だが、その絶頂は、彼女を救うどころか、より深い闇へと突き落とした。
「……あはっ、あはははは……ッ!」
事後、乱れたシーツの上で、イザベラは乾いた笑い声を上げた。目からは、涙が止めどなく溢れている。惨めだ。あまりにも、惨めだ。金で買った男に、嘘の愛を囁かせて、自分で自分を慰める。それが、氷の女王の成れの果てだった。
「……レン。あなたが、いけないのよ」
彼女は、虚空を見つめ、暗い、底知れぬ声で呟いた。
「私をここまで壊しておいて、自分たちだけ幸せになろうなんて……そんなこと、許されると思って?」
彼女の手が、サイドテーブルに置かれたスマートフォンへと伸びる。画面には、ある“劇薬”のような人物の連絡先が表示されていた。それは、ビジネスのルールも、法律さえも通用しない、裏社会のフィクサー。
「……全部、燃やしてあげる。あなたの城も、愛も、未来も」
氷の女王の心は、完全に砕け散り、鋭利な殺意の破片へと変わっていた。
【続く】
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