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第七章 悠久
断崖絶壁
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「受け止めて欲しいのじゃぁあああ!」
「マジでか!?」
「空から『のじゃロリ』が落ちてくるなんて、正にファンタジーですね、マスター」
「どんなジャンルのファンタジーだよ!? しかも、落ちてくるっていうか、ミサイルみたいな勢いだぞ!?」
「ジャンルは、コメディです」
「やかましいわ!」
そうこう言っている内に、風を切りながら迫ってくる『のじゃロリ』を受け止める準備を急いで始めた。
「衝撃……緩和……エアクッションか! 『明鏡止水』『獄炎の絶壁』『形状変化』『衝撃緩和壁』!」
俺は自分の目の前に『衝撃緩和壁』を創り出し、向かってくるミサイルのじゃロリを受け止めようとした。勿論、明鏡止水により、獄炎の温度も下げてある為、火傷も負わない筈だ。
「よし! 間に合っどべらげぇらぁああ!」
「吹き飛んだわね」
「はい、派手に飛びましたね」
「流石にあの勢いに対して、態勢を整える前でしたから」
「ヤナが、ゴロゴロゴロ」
俺は派手に蹴り飛ばされ、地面をゴムボールの如く転がった。
「ぐっ……なんで……なんで直前に……飛び蹴りの態勢に変えやがった! コノヤロウ!」
「ノリじゃ!」
風を切る勢いで、俺に何処かのライダーさながらのキックをかましてくれた『のじゃロリ』は、翠色のロングの髪をふわりとさせ、子供サイズの鱗の鎧を装備した状態で、見事な着地を決めた。あまりに見事な飛び蹴りからの着地に、周囲からの拍手が上がる中、ドヤ顔でキメ顔していた。
「危うく大怪我するとことだったぞ!」
「お主……存外丈夫だの……」
何故か、初対面の『のじゃロリ』に呆れられたが、全くもって心外だ。
「何なんだお前は!」
「妾か? ふふふ、よく聞くのじゃ!」
絶壁な正面を盛大に張りながら、『のじゃロリ』は名乗りをあげる。
「何を隠そう『天空の覇者シェンラ』とは、妾ことなのじゃ!」
「迷宮はあっちだったな、ついでに食料でも買いこぶへらぁあ!」
「妾に名を聞いといて、無視して歩き出すとはどういう事じゃ!」
俺は、『絶対に関わっちゃ行けない人物認定』をして、無視して迷宮に向かおうと歩き出していた。しかし、再度『天空の覇者シェンラ』と名乗る痛い幼女から、背中に思いっきり飛び蹴りをくらい吹き飛ばされた。
「がはっ……あのチビっこい身体の何処に、こんな重い蹴りを放つ力が……って、それよりも……背骨が折れたらどうする!」
「むしろなんで、今ので無傷なのじゃ? お主の身体は、どうなっとるんじゃ……」
「蹴った方が、怪我しなかった事に対して不思議そうな顔をするな!」
俺が、文句をシェンラに言っていると、おもむろに近ずいて来たライに、サングラスを取られた。
「え? ライ?」
「エディスお姉ちゃんが、ヤナビ先生を取ってきてって」
「は?」
ライにそう言われ、三人を探すと既に俺から距離を取っていた。
「酷い!?」
「正しい判断ですね。ライ様、それじゃ私をかけて下さい。行きましょう」
「うん、ヤナ、後でね」
「ライまで!?」
サングラスをかけたライが、エディス達の方に歩いて行き合流すると、本当に先に行ってしまった。
「可哀想にのぉ、元気出すのじゃ」
「お前のせいだよ!?」
「置いてきぼりにされた哀れな男を、せっかく慰めてやっておるのに、何じゃその態度は!」
「的確に傷を抉るんじゃねぇよ!」
「そう言えば、お主の名は何というのじゃ?」
「聞けよ人の話! 何!? この久しぶりに雑な扱いは!? 誰がお前なんかに教えるげへら!」
「妾が、名を聞いているじゃろうが!」
俺は三度、ドロップキックで吹き飛ばされた。
「ごふっ……いちいち蹴るんじゃねぇよ!」
「さっきより強めに蹴ったのじゃが、もうちょいいけそうかの」
「なんの検証をしてんだよ!? 付き合ってられるか!」
俺は、ダッシュで駆け出し、シェンラから離脱しようとした。
「なんで付いてくるんだよ!」
「お主が、急に駆け出すからじゃ!」
「お前は犬か! ってか、なんで付いて来られるんだよ!?」
俺は、割と本気で走って逃げ出したのだが、何故かその早さにシェンラは付いて来ていた。
「ふむ、中々の脚力だの」
「ちっ! これならどうだ!『神出鬼没』『騙し絵』『街並』」
俺は建物の上にジャンプし、シェンラの視界から外れた一瞬の内に、神出鬼没で気配を消し、騙し絵で完全に背景に溶け込んだ。
俺は流石にこれで逃げられるだろうと判断し、気配を消したまま、迷宮の場所を思い出しながら慎重に移動を始めた。
「む、気配を消したかの。ほほう、気配も姿も完全に消しておるの」
何故か、あの男をかまっていると心が躍るのだ。
「流石に、最奥から出てきて行きなり当たりってことは、ないじゃろうな?」
最奥で待っていても、会いに来てくれない貴方に会いに、自分から外に出てきた。
「そんな直ぐには、見つかる訳はないしの」
妾は、自嘲気味に笑いながら、あの男との遊びを続ける。
「さぁ、何処にいったかのぉ」
妾は、大きく息を吸い込んだ。
俺は、街に設置されている迷宮へ看板と記憶を頼りに、シェンラの死角を移動しながら、迷宮への入り口へと辿り着いた。
「ふぅ、ここまでこれば、大丈夫だろ」
俺は当たりを見回しながら、シェンラの気配が無いことを確認し、ほっと一息ついた。
「アシェリ達も、丁度今着いたのか?」
俺は、迷宮の入り口に向かう四人を見つけ、其方に歩いていった。
「あら、あなた。ちゃんと来れたのね」
「主様にしては、珍しくちゃんと振り切って来れたのですね」
「何か、悪い食べ物でも食べたのですか? ヤナ様が、。お約束通りに動かないなんて」
「ヤナ、調子悪い?」
「お前ら……ふぅ、まぁいいさ、早速迷宮に触れて迷宮診断で、迷宮の情報を見てみるぐべへらぁあ!」
「「「あ」」」
「ライ様、コレをお約束と言うのですよ」
「うん、わかったよヤナビ先生」
俺は四度、背中に飛び蹴りをくらい吹き飛ばされた。
「がふ……何故……だ……」
俺はよろめきながら立ち上がり、襲撃犯を見た。
「匂いを嗅いで来たのだ!」
「……犬かよ……」
シェンラは自分の完全に絶壁な正面を、思いっきり張りながらドヤ顔で宣言していた。俺は、そんなシェンラに呆れながら、俺はトボトボと迷宮の入り口へと歩き出した。
「何処に行くのじゃ? もっと妾を構うのじゃ」
「やかましいわ。もう十分遊んでやっただろ。俺は忙しいんだよ」
俺は冷たく言い放ち、シェンラの言葉に振り返ることなく、歩き続けた。
「はぁ、流石にこれで、どっか行くだろ。何なんだよ一体」
俺は、シェンラに絡まれた事に疲れながらも、そこまで自分が怒っていない事に少し驚いていた。そして、また縁があれば会うだろうぐらいの感覚で別れようとした。
「………ふぇ……ふえぇ……ふぇええええん!」
突然、シェンラのいた方向から盛大な泣き声が聞こえ、振り返るとシェンラが大泣きしていた。
「な!? なんだ!?」
「ふぇええ! あの人が、妾を捨ててどっか行くって言うのぉお……ふぇええ!」
「は!? 何を言って…」
シェンラが確実に俺を指差しながら、大声で大泣きしながら叫んでいた。
「うわぁ、無いわぁ」
「何あれ、サイテー」
「まさか、あのまま置いて行くつもりかよ」
観衆からの、俺に対する目線がどんどん冷たくなっていく。
「や、やぁシェンラ! 置いて行くわけなんか無いだろ? 今、そこでお前のおやつでも買おうかと思っただけだ。心配するなって」
俺は努めて笑顔で、大声でそう言いながら、シェンラに近づいた。
「良かったのじゃ! 妾の勘違いだったのじゃ!」
満面の笑みでそう言うシェンラの様子を見て、観衆はホッとしたような顔になり、口々にシェンラに「良かったな嬢ちゃん」等と声をかけていき、その場はなんとか収まった。
そこで、改めてシェンラに声をかけた。
「何も泣かなくても、いいだろ?」
そう言うとシェンラは、俺に向かって再度絶壁な正面を思いっきり張りながら、清々しいほどのドヤ顔で答える。
「嘘泣きなのじゃ!」
「なんなんだよ!? 誰か助けてぇえええ!」
最深最古迷宮の入り口を前にして、俺の絶叫が響き渡った。
「マジでか!?」
「空から『のじゃロリ』が落ちてくるなんて、正にファンタジーですね、マスター」
「どんなジャンルのファンタジーだよ!? しかも、落ちてくるっていうか、ミサイルみたいな勢いだぞ!?」
「ジャンルは、コメディです」
「やかましいわ!」
そうこう言っている内に、風を切りながら迫ってくる『のじゃロリ』を受け止める準備を急いで始めた。
「衝撃……緩和……エアクッションか! 『明鏡止水』『獄炎の絶壁』『形状変化』『衝撃緩和壁』!」
俺は自分の目の前に『衝撃緩和壁』を創り出し、向かってくるミサイルのじゃロリを受け止めようとした。勿論、明鏡止水により、獄炎の温度も下げてある為、火傷も負わない筈だ。
「よし! 間に合っどべらげぇらぁああ!」
「吹き飛んだわね」
「はい、派手に飛びましたね」
「流石にあの勢いに対して、態勢を整える前でしたから」
「ヤナが、ゴロゴロゴロ」
俺は派手に蹴り飛ばされ、地面をゴムボールの如く転がった。
「ぐっ……なんで……なんで直前に……飛び蹴りの態勢に変えやがった! コノヤロウ!」
「ノリじゃ!」
風を切る勢いで、俺に何処かのライダーさながらのキックをかましてくれた『のじゃロリ』は、翠色のロングの髪をふわりとさせ、子供サイズの鱗の鎧を装備した状態で、見事な着地を決めた。あまりに見事な飛び蹴りからの着地に、周囲からの拍手が上がる中、ドヤ顔でキメ顔していた。
「危うく大怪我するとことだったぞ!」
「お主……存外丈夫だの……」
何故か、初対面の『のじゃロリ』に呆れられたが、全くもって心外だ。
「何なんだお前は!」
「妾か? ふふふ、よく聞くのじゃ!」
絶壁な正面を盛大に張りながら、『のじゃロリ』は名乗りをあげる。
「何を隠そう『天空の覇者シェンラ』とは、妾ことなのじゃ!」
「迷宮はあっちだったな、ついでに食料でも買いこぶへらぁあ!」
「妾に名を聞いといて、無視して歩き出すとはどういう事じゃ!」
俺は、『絶対に関わっちゃ行けない人物認定』をして、無視して迷宮に向かおうと歩き出していた。しかし、再度『天空の覇者シェンラ』と名乗る痛い幼女から、背中に思いっきり飛び蹴りをくらい吹き飛ばされた。
「がはっ……あのチビっこい身体の何処に、こんな重い蹴りを放つ力が……って、それよりも……背骨が折れたらどうする!」
「むしろなんで、今ので無傷なのじゃ? お主の身体は、どうなっとるんじゃ……」
「蹴った方が、怪我しなかった事に対して不思議そうな顔をするな!」
俺が、文句をシェンラに言っていると、おもむろに近ずいて来たライに、サングラスを取られた。
「え? ライ?」
「エディスお姉ちゃんが、ヤナビ先生を取ってきてって」
「は?」
ライにそう言われ、三人を探すと既に俺から距離を取っていた。
「酷い!?」
「正しい判断ですね。ライ様、それじゃ私をかけて下さい。行きましょう」
「うん、ヤナ、後でね」
「ライまで!?」
サングラスをかけたライが、エディス達の方に歩いて行き合流すると、本当に先に行ってしまった。
「可哀想にのぉ、元気出すのじゃ」
「お前のせいだよ!?」
「置いてきぼりにされた哀れな男を、せっかく慰めてやっておるのに、何じゃその態度は!」
「的確に傷を抉るんじゃねぇよ!」
「そう言えば、お主の名は何というのじゃ?」
「聞けよ人の話! 何!? この久しぶりに雑な扱いは!? 誰がお前なんかに教えるげへら!」
「妾が、名を聞いているじゃろうが!」
俺は三度、ドロップキックで吹き飛ばされた。
「ごふっ……いちいち蹴るんじゃねぇよ!」
「さっきより強めに蹴ったのじゃが、もうちょいいけそうかの」
「なんの検証をしてんだよ!? 付き合ってられるか!」
俺は、ダッシュで駆け出し、シェンラから離脱しようとした。
「なんで付いてくるんだよ!」
「お主が、急に駆け出すからじゃ!」
「お前は犬か! ってか、なんで付いて来られるんだよ!?」
俺は、割と本気で走って逃げ出したのだが、何故かその早さにシェンラは付いて来ていた。
「ふむ、中々の脚力だの」
「ちっ! これならどうだ!『神出鬼没』『騙し絵』『街並』」
俺は建物の上にジャンプし、シェンラの視界から外れた一瞬の内に、神出鬼没で気配を消し、騙し絵で完全に背景に溶け込んだ。
俺は流石にこれで逃げられるだろうと判断し、気配を消したまま、迷宮の場所を思い出しながら慎重に移動を始めた。
「む、気配を消したかの。ほほう、気配も姿も完全に消しておるの」
何故か、あの男をかまっていると心が躍るのだ。
「流石に、最奥から出てきて行きなり当たりってことは、ないじゃろうな?」
最奥で待っていても、会いに来てくれない貴方に会いに、自分から外に出てきた。
「そんな直ぐには、見つかる訳はないしの」
妾は、自嘲気味に笑いながら、あの男との遊びを続ける。
「さぁ、何処にいったかのぉ」
妾は、大きく息を吸い込んだ。
俺は、街に設置されている迷宮へ看板と記憶を頼りに、シェンラの死角を移動しながら、迷宮への入り口へと辿り着いた。
「ふぅ、ここまでこれば、大丈夫だろ」
俺は当たりを見回しながら、シェンラの気配が無いことを確認し、ほっと一息ついた。
「アシェリ達も、丁度今着いたのか?」
俺は、迷宮の入り口に向かう四人を見つけ、其方に歩いていった。
「あら、あなた。ちゃんと来れたのね」
「主様にしては、珍しくちゃんと振り切って来れたのですね」
「何か、悪い食べ物でも食べたのですか? ヤナ様が、。お約束通りに動かないなんて」
「ヤナ、調子悪い?」
「お前ら……ふぅ、まぁいいさ、早速迷宮に触れて迷宮診断で、迷宮の情報を見てみるぐべへらぁあ!」
「「「あ」」」
「ライ様、コレをお約束と言うのですよ」
「うん、わかったよヤナビ先生」
俺は四度、背中に飛び蹴りをくらい吹き飛ばされた。
「がふ……何故……だ……」
俺はよろめきながら立ち上がり、襲撃犯を見た。
「匂いを嗅いで来たのだ!」
「……犬かよ……」
シェンラは自分の完全に絶壁な正面を、思いっきり張りながらドヤ顔で宣言していた。俺は、そんなシェンラに呆れながら、俺はトボトボと迷宮の入り口へと歩き出した。
「何処に行くのじゃ? もっと妾を構うのじゃ」
「やかましいわ。もう十分遊んでやっただろ。俺は忙しいんだよ」
俺は冷たく言い放ち、シェンラの言葉に振り返ることなく、歩き続けた。
「はぁ、流石にこれで、どっか行くだろ。何なんだよ一体」
俺は、シェンラに絡まれた事に疲れながらも、そこまで自分が怒っていない事に少し驚いていた。そして、また縁があれば会うだろうぐらいの感覚で別れようとした。
「………ふぇ……ふえぇ……ふぇええええん!」
突然、シェンラのいた方向から盛大な泣き声が聞こえ、振り返るとシェンラが大泣きしていた。
「な!? なんだ!?」
「ふぇええ! あの人が、妾を捨ててどっか行くって言うのぉお……ふぇええ!」
「は!? 何を言って…」
シェンラが確実に俺を指差しながら、大声で大泣きしながら叫んでいた。
「うわぁ、無いわぁ」
「何あれ、サイテー」
「まさか、あのまま置いて行くつもりかよ」
観衆からの、俺に対する目線がどんどん冷たくなっていく。
「や、やぁシェンラ! 置いて行くわけなんか無いだろ? 今、そこでお前のおやつでも買おうかと思っただけだ。心配するなって」
俺は努めて笑顔で、大声でそう言いながら、シェンラに近づいた。
「良かったのじゃ! 妾の勘違いだったのじゃ!」
満面の笑みでそう言うシェンラの様子を見て、観衆はホッとしたような顔になり、口々にシェンラに「良かったな嬢ちゃん」等と声をかけていき、その場はなんとか収まった。
そこで、改めてシェンラに声をかけた。
「何も泣かなくても、いいだろ?」
そう言うとシェンラは、俺に向かって再度絶壁な正面を思いっきり張りながら、清々しいほどのドヤ顔で答える。
「嘘泣きなのじゃ!」
「なんなんだよ!? 誰か助けてぇえええ!」
最深最古迷宮の入り口を前にして、俺の絶叫が響き渡った。
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