20 / 99
第20話 魔王級
しおりを挟む
「……は!? 我は一体、何をしておるのだ!?」
再び意識を失っていたカンは、意識を取り戻すと同時に、多少混乱しながら叫び声をあげた。
その様子を、椅子に横柄に腰掛けながら見ていたイチカは、机の転生陣に転生してきたカンに対して話しかけた。
「おぉ、カンよ。潰れてしまうとは、情けない」
「おのれぇええええぇ! やはり貴様かぁあああ!」
"カンは転生により、Lv.4の空き缶になった"
「は!? ま、待つのだ! レベルアップだと!? 全く何もしてないのだが……まさか!?」
イチカに食ってかかろうとしていた矢先に、カンの意識に"世界の声"が聞こえてきた。
しかも世界の声は、カンのレベルが上がった事を知らせるものであった。
そして突然のレベルアップに驚いたカンだったが、少し落ち着くと実は思い当たる節があった。
「カンの転生回数を、しっかり忘れないようにしないとね」
「やはり転生カウンターか!? いつ強くなるのだぁぇえぇ!」
自身の唐突なレベルアップが、単なる転生回数を記録するものだとイチカに暗に示唆されたカンは、やけくそ気味に絶叫していた。
カンのそんな様子を見下ろしながらも、イチカは全く意に介さず話を続けようとしていた。
「さて、見事再び転生してレベルが上がった、カンよ」
「リセットボタンみたいに、ホイホイ転生させるでないわ! それに、わざわざ潰さなくても口で説明すれば、良いではないか!」
「"潰れて、転生したらレベル上がるよ"って? 先に説明してから確認しようとしたら、文句言いながら、止めろと駄々こねるでしょ?」
「当たり前だ!」
「本当、面倒くさい空き缶だなぁ」
「だいたいイチカは……」
結局どんな説明をしたところで、潰れて転生してみないと確認出来ないが、カンは簡単にその事を受け入れたくはなかった。
その事を煩くイチカに文句を言い始めると、わかりやすくイチカは嘆息をつきながら、部屋の片隅に並べられていた空き缶を指を差した。
「ん? アレがなんだと言うのだ。それにお主、少しばかり飲みすぎではないか?」
「しょうがないだろう。外に出かけたら、寒いからつい買って帰ってきちゃうんだよ」
「冬なのだ、寒いのはしょうがないだろう。で、それとさっきまでの話は関係ないであろう」
「溜まった空き缶のゴミ出しが、結構面倒でさ」
心底嫌そうな顔をしながらイチカは、説明を続ける。
「だから、なんなのだ?」
「カンのボディって、潰れたら消滅するでしょ?」
「……そうだな……おい……まさかと思うが……」
「アレ使えば、ゴミ出しとかしなくていいよね!」
「貴様ぁああ! そこに今すぐになおれぇえええ!」
「煩い。すぐ潰すぞ」
「理不尽な……」
圧倒的な理不尽をカンは受けながら、無駄に本気で威圧してくるイチカに対して何も言えなくなるのだった。
何か言えば、それを口実に再び潰されると察してしまい、これ以上この話を続けるのは危険だと、カンは判断したのだった。
「……まぁ、よい。そういえば、今の季節は冬なのだな。だが、我は空き缶だからかの? 特に寒くもないが」
「よほど潰される事が嫌とみえるね、明らさまに話をそらせてきたか……まぁ、カンは空き缶だから、熱い寒いはそもそも……は!? アルミの空き缶だって!?」
「ん? 何を今更言っておるのだ」
イチカは何か思いつくと、何故か驚愕の表情を見せた。
その様子を訝しむカンであったが、イチカはカンの問いかけを無視しながら、天井に目線を送ると、微かに口元を動かした。
そして次の瞬間、カンの意識に再び"世界の声が聞こえてくるのだった。
"カンは、熱耐性(Lv.2)を取得していた"
"カンは、寒耐性(Lv.2)を取得していた"
「取得していたとはなんだ! いたとは! 忘れとった様に取得しただと!?」
「よかったね。世界の理もカンみたいな矮小な存在の事なんて、すぐに忘れちゃうから仕方ないよ」
「やかましいわ! しっかり我を見ておけ、世界よ! まぁ、しかしだ。耐性関連の力を得たことは好ましいが……は!? 耐性試験をするとか、言い出さぬであろうな!」
カンの言葉を聞いたイチカは不敵に笑いながら、カンを指差すと徐ろに口を開いた。
「……メ○」
「魔王級ぅううぅううう!?」
「って、出来たら良いよね」
「……シャレにならんわ!?」
・・・・・・・
名前:カン
種族:空き缶(Lv.4) 1UP!
体力:13(最大13) 1UP!
技能:
言語理解
常時発動M型(Lv.3) 1UP
熱耐性(Lv.2) New!
寒耐性(Lv.2) New!
状態:傷無し
現在地:イチカの書斎
・・・・・・・
「……地味に他のレベルも上がったのだな……M型も……」
「さすがドM」
「……」
カンは、自身の成分表示に表記されている〝常時発動M型〟のレベルまでも上がっている事に、地味にメンタルダメージを受けるのだった。
再び意識を失っていたカンは、意識を取り戻すと同時に、多少混乱しながら叫び声をあげた。
その様子を、椅子に横柄に腰掛けながら見ていたイチカは、机の転生陣に転生してきたカンに対して話しかけた。
「おぉ、カンよ。潰れてしまうとは、情けない」
「おのれぇええええぇ! やはり貴様かぁあああ!」
"カンは転生により、Lv.4の空き缶になった"
「は!? ま、待つのだ! レベルアップだと!? 全く何もしてないのだが……まさか!?」
イチカに食ってかかろうとしていた矢先に、カンの意識に"世界の声"が聞こえてきた。
しかも世界の声は、カンのレベルが上がった事を知らせるものであった。
そして突然のレベルアップに驚いたカンだったが、少し落ち着くと実は思い当たる節があった。
「カンの転生回数を、しっかり忘れないようにしないとね」
「やはり転生カウンターか!? いつ強くなるのだぁぇえぇ!」
自身の唐突なレベルアップが、単なる転生回数を記録するものだとイチカに暗に示唆されたカンは、やけくそ気味に絶叫していた。
カンのそんな様子を見下ろしながらも、イチカは全く意に介さず話を続けようとしていた。
「さて、見事再び転生してレベルが上がった、カンよ」
「リセットボタンみたいに、ホイホイ転生させるでないわ! それに、わざわざ潰さなくても口で説明すれば、良いではないか!」
「"潰れて、転生したらレベル上がるよ"って? 先に説明してから確認しようとしたら、文句言いながら、止めろと駄々こねるでしょ?」
「当たり前だ!」
「本当、面倒くさい空き缶だなぁ」
「だいたいイチカは……」
結局どんな説明をしたところで、潰れて転生してみないと確認出来ないが、カンは簡単にその事を受け入れたくはなかった。
その事を煩くイチカに文句を言い始めると、わかりやすくイチカは嘆息をつきながら、部屋の片隅に並べられていた空き缶を指を差した。
「ん? アレがなんだと言うのだ。それにお主、少しばかり飲みすぎではないか?」
「しょうがないだろう。外に出かけたら、寒いからつい買って帰ってきちゃうんだよ」
「冬なのだ、寒いのはしょうがないだろう。で、それとさっきまでの話は関係ないであろう」
「溜まった空き缶のゴミ出しが、結構面倒でさ」
心底嫌そうな顔をしながらイチカは、説明を続ける。
「だから、なんなのだ?」
「カンのボディって、潰れたら消滅するでしょ?」
「……そうだな……おい……まさかと思うが……」
「アレ使えば、ゴミ出しとかしなくていいよね!」
「貴様ぁああ! そこに今すぐになおれぇえええ!」
「煩い。すぐ潰すぞ」
「理不尽な……」
圧倒的な理不尽をカンは受けながら、無駄に本気で威圧してくるイチカに対して何も言えなくなるのだった。
何か言えば、それを口実に再び潰されると察してしまい、これ以上この話を続けるのは危険だと、カンは判断したのだった。
「……まぁ、よい。そういえば、今の季節は冬なのだな。だが、我は空き缶だからかの? 特に寒くもないが」
「よほど潰される事が嫌とみえるね、明らさまに話をそらせてきたか……まぁ、カンは空き缶だから、熱い寒いはそもそも……は!? アルミの空き缶だって!?」
「ん? 何を今更言っておるのだ」
イチカは何か思いつくと、何故か驚愕の表情を見せた。
その様子を訝しむカンであったが、イチカはカンの問いかけを無視しながら、天井に目線を送ると、微かに口元を動かした。
そして次の瞬間、カンの意識に再び"世界の声が聞こえてくるのだった。
"カンは、熱耐性(Lv.2)を取得していた"
"カンは、寒耐性(Lv.2)を取得していた"
「取得していたとはなんだ! いたとは! 忘れとった様に取得しただと!?」
「よかったね。世界の理もカンみたいな矮小な存在の事なんて、すぐに忘れちゃうから仕方ないよ」
「やかましいわ! しっかり我を見ておけ、世界よ! まぁ、しかしだ。耐性関連の力を得たことは好ましいが……は!? 耐性試験をするとか、言い出さぬであろうな!」
カンの言葉を聞いたイチカは不敵に笑いながら、カンを指差すと徐ろに口を開いた。
「……メ○」
「魔王級ぅううぅううう!?」
「って、出来たら良いよね」
「……シャレにならんわ!?」
・・・・・・・
名前:カン
種族:空き缶(Lv.4) 1UP!
体力:13(最大13) 1UP!
技能:
言語理解
常時発動M型(Lv.3) 1UP
熱耐性(Lv.2) New!
寒耐性(Lv.2) New!
状態:傷無し
現在地:イチカの書斎
・・・・・・・
「……地味に他のレベルも上がったのだな……M型も……」
「さすがドM」
「……」
カンは、自身の成分表示に表記されている〝常時発動M型〟のレベルまでも上がっている事に、地味にメンタルダメージを受けるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。
億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。
彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。
四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?
道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!
気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?
※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました
東束末木
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞、いただきました!!
スティールスキル。
皆さん、どんなイメージを持ってますか?
使うのが敵であっても主人公であっても、あまりいい印象は持たれない……そんなスキル。
でもこの物語のスティールスキルはちょっと違います。
スティールスキルが一人の少年の人生を救い、やがて世界を変えてゆく。
楽しくも心温まるそんなスティールの物語をお楽しみください。
それでは「スティールスキルが進化したら魔物の天敵になりました」、開幕です。
2025/12/7
一話あたりの文字数が多くなってしまったため、第31話から1回2~3千文字となるよう分割掲載となっています。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる