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3章 天空寮(ダイジェスト版)
悩み事とゲームの世界
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ちょっと後半ホラー入ります!
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竜君と別れたあたしはそのまま寮に帰る気にもなれず、学校を取り囲む森の中にある広場に来ていた。
広場と言ってもベンチ一つきりある他は何もないところだ。舗装された道から数十メートルほどの獣道をたどった先にあるわずかに開けただけの場所だった。
もともとさほど知られている場所ではない上に、門限が過ぎようかとする時間であるのでもちろん人はいない。
あたしは持っていた紙袋をベンチに置き、その横に腰を下ろした。
ここへ来る道の途中はまるで舗装されておらず、人の姿も見たことのないここにどうしてベンチがあるのか知らない。
しかしベンチは雨ざらしでやや風化しかけの様子で人が頻繁出入りしている様子は感じない。
あたしがこの場所を知ったのはゲームの知識のない一年の頃だ。
いじめにあっており、学校にも寮にも居場所がなかった時のことだ。
まだルームメイトがおり、しかし彼女ともあまり仲が良いわけではなく一緒にいると落ち着かなかった。そのため一人になれる場所を探して彷徨っていたら、ここにたどり着いた。ルームメイトがいなくなって以降一人部屋になったために、ここを使うことは自然となくなった。
ここはゲーム知識に頼らず自分で知った学園の秘密の場所だ。
ゲームと関わらない自分の場所。その意識があったからここに来たのか。
そう思えば自嘲の笑みが溢れた。
(なんでこんなことになっちゃんたんだろ?)
手の中に握ったままになっていた手紙に再度目を落とす。しかし何度読み返しても、その文字に変わりはない。
現実は残酷にも、親友の文字という形であたしに迫ってくる。あたしは手紙を握りつぶした。
この学園にきた当初は夢や希望に溢れていた。
諦めていた夢が開けた思いに、お母さんの期待に応えられる人間になるんだ、て頑張るんだ、て思えた。でもいじめにあって、でも逃げるわけにも行かず、地味に目立たないようにしていたら孤立していた。
幸い教職員など一部の人は良くしてくれたからなんとかやってこれたけれど、二年になって知った事実はすべての希望を根こそぎ奪うようなものだった。
どうしてあたしばかりこんな目にあうのか。正直そう思ったことは何度としれない。
この学園にしか夢を叶える道がないのに、それを阻むかのような現実に折れそうになる。
それでも中学時代の友達や家族があったからなんとか折れずにやってこれた。それなのに、今その大切な家族すら悲惨な現実に巻き込もうとしている。
脳裏に浮かぶ血の海。あれはあたしの大事な人たちの血なの?
あたしは生きちゃダメなの?あたしがいたら皆幸せにならないの?
死ななきゃいけないの?
「……もう、ヤダ」
思いがけず声を出した途端、嗚咽が漏れて涙が出た。
もうそうなったら涙は止まらなかった。
あたしは久しぶりに大声で泣いた。
どうせここに人は来ない。
今まで何度となく来ても誰にも会うことのなかった場所だ。
あたしを見るのはどうせ頭上に輝く月だけ。木立が全て隠してくれる。
そう思えばあたしは思う存分、泣けたし声も上げることができた。
どれくらい泣いていただろう。
いい加減喉が痛くなって、声は出せなかったが、それでも涙は止まらない。
自分がかわいそうで、そう思う自分が情けなくて涙が落ち続ける。
涙と鼻水だらけの顔を拭うことすらなく、ベンチに座り続けていた。
流れるそれぞれを放置して、頭上に輝く月を見上げる。
そうしていれば泣き疲れたためかだんだん意識がぼやけ始める。
もうこのまま眠ってしまおうかと、やけくそ気味の思考で目を閉じた時だった。
「……誰かいるのか?」
突然響いた声に、目を開く。
まさかここに人がきた?こんな時間に?
驚きはしたものの体を起こす気になれず、視線だけ動かすと不意に眩しい光に照らされる。
あまりの眩しさに一瞬網膜を焼かれるが、すぐに人口の懐中電灯の明かりだと気づき、それを手にした人影に視線を向けて驚いた。だが、内心とは裏腹に表情筋は泣き疲れたためか動かなかった。
そんな無表情のあたしをみて相手はまさかこんな時間にこんな場所に人がいるとは思っていなかったのか、いつも冷静そうな顔に呆然とした表情を浮かべている。
「こんなところで何をしている?」
わずかに厳しい声色でこちらを見下ろすのは桃李火澄教諭だった。
後ろに流した闇をとかしたような髪に細いフレームレスの眼鏡。夜の森だというのに相変わらず、一部の隙もない着こなしのスーツ姿だ。
ああ、なんかすっごい久しぶりな気がする。本当に関わらない、あれ以来。というか遭遇しそうになる度にあたしは猛ダッシュで逃げていた。
もともと文系クラスのあたしは彼に授業を受け持ってもらったことはない。接点がまるでなかったにも関わらず、なぜかあの後たまにあたしの前に桃李は現れた。
もしかしたらあの時に謝罪を断ったのを気にしているのかしれないと思ったが、今更関わりたくないためあたしは姿を確認するとすぐに逃げていた。
追いかけたそうにしている姿は見えたが、その容姿や面倒見の良さから何かと人気のある教師だ。逃げる生徒を追う前に周りの人に引き止められて足止めをくらっていた。そのため、あまり足の速くないあたしでも今まで逃げ切れていた。
そんなどうでもいいことを思い出しながら、じっと桃李を見つめた。その視線に困惑しているのか桃李は次の言葉を発しかねているようだった。
その気持ちはわからないでもない。あたしだってなんだか自分がおかしいことに気づいている。普段だったら見かけた時点ですぐに逃げているのに、今はまるでその気が起きない。むしろ穴が空きそうな程真っ直ぐ睨んでいるあたしに困惑気味の桃李はおずおずといった感じで声を発した。
「……君は、多岐環か?」
「そうですけど、なにか?」
間髪いれずに答えた言葉に桃李が訝しむ気配がした。
「そうですけど、とは。すでに門限は過ぎている時間だがこんなところで何をしている?」
そう言えば、霧島くんと別れた時点で門限が迫っていたことを思い出す。
ここでどのくらいいたのか知らないが、すでに過ぎてしまっているだろ。だが正直そんなことはどうでもいい気分だった。
桃李の問にも答える気力もなく口をつぐむ。しかし、桃李は意外にもなにも言ってこなかった。
門限を破ってこんなところにいる生徒なら無理やり連れて帰ったり説教したりすると思っていたから意外だった。
だがそんな桃李の珍しい行動など今のあたしにはどうでもよかった。
あたしはそっと空を仰いだ。さんざん泣いたからか自暴自棄なせいか。心は不思議なくらい空っぽだった。だから、普段は気になる他人の存在もさほど気にならない。
どれくらい無言だっただろうか。ポツリと桃李の声が聞こえた。
「……泣いていたのか?こんなところで」
聞かれて、そう言えば涙と鼻水をそのままにしていたのを思い出す。
おそらくひどい顔になっているだろう。流石にそんな顔を晒していたのには羞恥が湧き、握りつぶした手紙を制服の内ポケットに仕舞い、代わりにポケットからハンカチを取り出そうとする。
しかし、そこにはハンカチはなく、そう言えば、先程霧島くんに貸してしまったのを思い出した。
どうしようか迷っていたら、スイっと布が目の前に差し出される。
男物のキレイにプレスされたそれは桃李の手に握られている。
「使え」
「……どうも」
断る気力もなくて受け取る。
涙と鼻水を遠慮なく拭いながら考える。
……どうでもいいけど、会長にしてもこの学校の男ってどうしてこんなに用意がいいんだろう。普通なのだろうか。
いや、でも竜くんも香織から突っ込まれない限り、持ったりしていなかった。女子ですら持ってない娘もいるというのにこの用意の良さはなんだろう。乙女ゲーの攻略相手だからだろうか。
そんなどうでもいいことを考えていたら、桃李があたしの横に置いてあった紙袋をどけ、ベンチに腰掛ける姿が見えた。
なんとなくベンチの強度が気になったが、意外に頑丈なそれは大人の男性の体重も支えてみせた。まあ、屋外用のベンチだしね。
「で?なんでこんなところで一人で泣いてた?」
覗き込むように問われても答えるつもりはない。
「桃李先生には関係ないですよ」
「関係なくはないだろう?君はこの学校の生徒で、私は教師だ」
泣いてる生徒を放っておけるかと言う桃李になぜか苛立って、わざと意地悪を言ってしまう。
「……この学校の教師はあたしを悪者扱いしかしないじゃないですか」
先日の濡れ衣事件を思い出して、嫌味ったらしく言ってやったら大きく狼狽えた。
「そ、それは……。いや、事実だな。すまなかった」
言い訳すると思いきや、素直に謝られて、拍子抜けする。
「認めるんですか?」
不思議に思って聞けば、真剣な顔を返された。
「悪いことをしたら認めてあやまる。それは教師が生徒に教えなければならないことだ。」
それはそうだが。それじゃあまるで小学校の教師と生徒のようだ。
なんだか自分が子供と言われているようで微妙な気分になる。しかし真摯に言われれば、なんだかこちらが悪いような気がしてくるのが不思議だ。
「今度こそ謝罪を受け入れてくれるだろうか?」
ここまで言われて受け入れないのはあまりに子供っぽい反応だ。
あたしは深くため息を吐いた。
「……もういいですよ。冤罪だってわかってくれた時点で気にしてません」
「そうか、恩に切る」
そう月下に微笑まれた表情に、思わず見惚れる。桃李は大人の役であるせいかややスチルの表情は豊かとは言えない。その分、貴重な笑顔は破壊力抜群だと桃李ファンのサイトには愛が溢れていた。うーん、やはり腐っても人外美形。すごいな。
その顔がささくれ立った心に眩しくて視線を外す。
「で?どうして泣いてた?」
また聞かれて、面倒くさくて俯く。
「……しつこいですね」
「理由ならさっき言ったはずだ」
あたしがこの学園の生徒だから、ね。
ちらりと隣の桃李を伺う。真剣な顔でこちらを見る姿が見えた。
「じゃあ、先生はあたしの悩み事に答えをくれるんですか?」
そんなことはできるはずがない。あたしだってどうすればよいのかわからないのだ。どうすればゲームの死亡フラグをへし折り、一年間生き延びるのか。
すでにあたしはゲームの世界に完全に取り込まれてしまっている。
逃れる術もないほどガッチリと。そんなあたしの近くに来てしまったゲームの世界に関係のないはずだった親友の弟の姿に再び涙が出そうになった。
どうやったら彼を守れる?巻き込まずにいられる。
あたしはどうしたらいいのかわからなかった。今までだって頑張ってきたつもりなのだ。聖さんの引き連れてくる死亡フラグや吸血鬼に関わらないようこっそりひっそりやってきたつもりだ。死にそうになった時も頑張って会長止めて、ゲーム知識総動員して暴走止めたり。それまで妙に絡んできたというのに、突然手の平を返したようにあたしの存在を記憶から消して知らない人間を見るみたいに見られてトラウマえぐられたり。それでも頑張ってなんとか必死で生き延びようとあがいてきたつもりなのだ。
それなのにあたしの前にはどうしようもないほどの死亡フラグが積み上がり、大切な人まで傷つけようとしている。
正直これ以上どう頑張ればいいのかあたしにはわからない。
不意に、頬に触れる自分とは異なる体温を感じて視線を動かせば桃李があたしの頬に触れていた。下から救い上げるような手の動きにどうやらいつの間にかまた涙が流れていたのだと知る。
突然のことで驚いたが、すでにいろいろな気力の抜け落ちたあたしは振り払うことはしなかった。だが、そっと視線を向けると、それに気づいた桃李がおかしなくらい狼狽えた。
「っ!すまない。いやハンカチを君にすでに渡していたから」
その言葉にそう言えば彼のハンカチを奪っていたのだと手の中にあるすでに涙と鼻水まみれの布を見下ろす。
「……泣くな」
「泣いてません」
完全に嘘だが、肯定するとまた泣けそうなので否定しながら、桃李のハンカチのまだ濡れていない箇所を探して目を押さえた。
そんなあたしに少しだけ逡巡したあと桃李が溜息を吐いた音がした。
「泣いているだろ。……まあ、泣いているところ悪いんだがさっきの答えだが」
なんの事情も話していないのにまさか、と思ったが藁にもすがるような心情で言葉を期待し、顔を桃李に向けた。
桃李はあたしの視線に一瞬だけ言いよどむように言葉を詰まらせるが、数学の教師である彼らしく完結に答えた。
「それはできない」
あっさりと否定の言葉を口にした桃李に思い掛けず拍子抜けした。
考えてみれば、こちらの事情も知らないで適当な答えを返されるのも腹が立つのでそれよりマシだが、これはこれで馬鹿にされた気分がして釈然とせず自然と口が尖った。
「何ですか。じゃあ聞かないでくださいよ」
あたしの言葉に「まあ、待て」と桃李がいなす。
「教師とは答えを教えるものではなく、答えを見つける術を教える者だというのが俺の持論なんだ」
「……答えを見つける術?」
不思議に思って聞き返すと、桃李は深く頷いた。
「人の悩みの答えなんて、一つじゃないからな」
桃李曰く、どんな問題でも答えは一つではない。しかし一人の人にとって答えはひとつしかない。そうでなければ行動することができなくなる。
ではどうやってその問題に一つの答えを出すのか。
そこで大切になってくるのが、どうやってその答えを見つけ出したかの解法なのだという。
自分で解いた問題の結果なら人間はどんなものでもある程度納得するものなのだそうだ。
そして納得のいく答えこそが正解なのだという。
「だから教師は答えを教えない。正解に導くための手助けをしてもな」
そう優しく微笑む桃李の姿は自信に溢れていた。
おそらく本気でそう信じているのだろう。その姿が眩しくで、今の自暴自棄になっている自分の姿が情けなくて、思わず視線をそらした。
「答えをひとつに限定する数学の教師とは思えない回答ですね?」
我ながらなんて可愛くない反応かと思ったが、桃李はそうでもない、と笑い飛ばした。
「数学って学問は算数とは違う。問題に対して解法で答えが変わることだってざらだ。だがそれでも数学者っていうのはただ一つの答えを求めてずっと問題を考え解き続ける」
桃李によると数学はまさに人生のようなものなのだという。
命題があってその解法を考えるが、例え同じ数字を導き出せたとしても、解法によってその答えの意味は違ってくる。
数学の解法は何年もかかって幾人もの人の手をわたり、導き出されることも少なくない。それはまるで親が子に受け継がせる職人技のごとく、幾世代の人間の合作になることもある。そんな困難な状況を何度となく繰り返し、数学という学問は答えを得るのだそうだ。
だからこそ答えにたどり着いたときはとんでもない快感が得られるのだと、普段見ることもない無邪気な子供のような桃李の表情に思いがけずぽかんとしてしまった。
その表情に気づいたのか桃李が慌てたように一瞬顔をしかめた。
「と、すまないな。多岐の悩みを聞いてたのに。俺の話をしてしまった」
つまらなかっただろう、と再度謝る桃李の言葉を慌てて遮る。
「いえ、そんなことはなかったですけど」
「そうか。よかった。……多岐は数学好きか?」
『……は数学は好きか?』
(え?)
一瞬桃李の言葉に誰かの声がかぶる。
だがその声はひどく桃李に似ており、同時に目の前の桃李の姿が一瞬ぶれて見えた。
突然の視界と音の揺れに思わず、目をしばたかせる。
すると桃李があたしの様子に気付いたように覗き込んできた。
「……どうかしたか?」
そう言葉を発する姿はぶれず、クリアだった。
一瞬のことだったので、目が泣きすぎで疲れたかと思いあたしは、目にゴミが入っただけだと心配する桃李に向かって首を振った。
それから妙に心配げに覗き込んで来る桃李をかわすためにわざと大声で話を蒸し返す。
「そ、それより数学が好きかという話の続きですが!」
やや大きくなった声に桃李は驚いたようにキョトンとしていたが、すぐに面白そうにニヤリと笑った。
桃李はゲーム中ではクールに見えて正統派熱血教師であるが、時たまこんな意地の悪い表情もしていたのを思い出す。
と、思い出したと同時に再びあの視界のブレが目の前に現れた。
驚きながらも、乳白色にわずかに染まる視界を確認するとうっすらと細い線が見えた。
それは、透けて目の前の桃李の顔の輪郭をなぞるように書かれており、彼の顔が二重にぶれて見えた。
「で?多岐は数学好きか?」
『……は数学好きか?』
再び現れたノイズのように桃李の言葉とかぶる声。同時に乳白色の画面の桃李も同じように動く。
その光景にあたしは思わず、反射的に答えていた。
「……あまり』
思わず出た素直な一言に一瞬数学の教師に対し失礼かと思ったが、桃李は意外にも微笑んだ。
「そうか。俺もだよ」
『そうか。俺もだよ』
一瞬、その桃李の表情が大きくぶれたかと思うと、突然乳白色の画面の下の方に四角い枠のようなものが現れた。
怪訝に思った瞬間、それは突然表示される。
「俺もな、お前くらいの頃には数学嫌いだったんだ」
『俺もな、お前くらいの頃には数学嫌いだったんだ』
桃李の声に合わせるように文字が枠の中に表示される。
その光景はまるでゲームのようで。あたしはただその光景に固まった。
そんなあたしに気づかないのか桃李はそのまま話を進めている。
四角いテキスト枠の中に音声とともに次々と、桃李のセリフが現れた。
「だけど、一人の恩師にあってその面白さを教わった」
『だけど、一人の恩師にあってその面白さを教わった』
さらには桃李の声が頭の中に流れるものとブレる。テキストは一言一句間違われることなく目の前のスクリーンに表示される。
『その人は俺に……』
「その人は俺に……」
それは最初こそブレがひどく文字と音声の速度が噛み合わなかったが、やがてそれも少なくなりいつしかスクリーンと一体化した。
あたしはその光景にひどい違和感を感じてはいたが、同時にひどく安心もした。
ああそうだった。ここは。
(ゲームの世界)
この世界で起こることは全てゲームだ。ゲームが全て。
ああ、そういうことならば仕方がない。仕方がないのだ。
『……多岐?どうかしたのか?』
不思議そうな桃李の声がテキストともに紡がれる。
あたしはその光景を自然に受け入れた。だってそれはあまりにも自然な光景。
思い悩む必要もないほど歴然とした事実にあたしは知らずに微笑んだ。
* * *
ぴぴぴ、という電子音とともに高いエラー音が薄暗い室内に響く。
ただ皓皓と光を放つ室内で唯一の光源とも言えるべきスクリーンを見ながら、赤い唇を笑の形に歪ませた女は楽しげに呟いた。
「うふふ、つーかまえた!」
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竜君と別れたあたしはそのまま寮に帰る気にもなれず、学校を取り囲む森の中にある広場に来ていた。
広場と言ってもベンチ一つきりある他は何もないところだ。舗装された道から数十メートルほどの獣道をたどった先にあるわずかに開けただけの場所だった。
もともとさほど知られている場所ではない上に、門限が過ぎようかとする時間であるのでもちろん人はいない。
あたしは持っていた紙袋をベンチに置き、その横に腰を下ろした。
ここへ来る道の途中はまるで舗装されておらず、人の姿も見たことのないここにどうしてベンチがあるのか知らない。
しかしベンチは雨ざらしでやや風化しかけの様子で人が頻繁出入りしている様子は感じない。
あたしがこの場所を知ったのはゲームの知識のない一年の頃だ。
いじめにあっており、学校にも寮にも居場所がなかった時のことだ。
まだルームメイトがおり、しかし彼女ともあまり仲が良いわけではなく一緒にいると落ち着かなかった。そのため一人になれる場所を探して彷徨っていたら、ここにたどり着いた。ルームメイトがいなくなって以降一人部屋になったために、ここを使うことは自然となくなった。
ここはゲーム知識に頼らず自分で知った学園の秘密の場所だ。
ゲームと関わらない自分の場所。その意識があったからここに来たのか。
そう思えば自嘲の笑みが溢れた。
(なんでこんなことになっちゃんたんだろ?)
手の中に握ったままになっていた手紙に再度目を落とす。しかし何度読み返しても、その文字に変わりはない。
現実は残酷にも、親友の文字という形であたしに迫ってくる。あたしは手紙を握りつぶした。
この学園にきた当初は夢や希望に溢れていた。
諦めていた夢が開けた思いに、お母さんの期待に応えられる人間になるんだ、て頑張るんだ、て思えた。でもいじめにあって、でも逃げるわけにも行かず、地味に目立たないようにしていたら孤立していた。
幸い教職員など一部の人は良くしてくれたからなんとかやってこれたけれど、二年になって知った事実はすべての希望を根こそぎ奪うようなものだった。
どうしてあたしばかりこんな目にあうのか。正直そう思ったことは何度としれない。
この学園にしか夢を叶える道がないのに、それを阻むかのような現実に折れそうになる。
それでも中学時代の友達や家族があったからなんとか折れずにやってこれた。それなのに、今その大切な家族すら悲惨な現実に巻き込もうとしている。
脳裏に浮かぶ血の海。あれはあたしの大事な人たちの血なの?
あたしは生きちゃダメなの?あたしがいたら皆幸せにならないの?
死ななきゃいけないの?
「……もう、ヤダ」
思いがけず声を出した途端、嗚咽が漏れて涙が出た。
もうそうなったら涙は止まらなかった。
あたしは久しぶりに大声で泣いた。
どうせここに人は来ない。
今まで何度となく来ても誰にも会うことのなかった場所だ。
あたしを見るのはどうせ頭上に輝く月だけ。木立が全て隠してくれる。
そう思えばあたしは思う存分、泣けたし声も上げることができた。
どれくらい泣いていただろう。
いい加減喉が痛くなって、声は出せなかったが、それでも涙は止まらない。
自分がかわいそうで、そう思う自分が情けなくて涙が落ち続ける。
涙と鼻水だらけの顔を拭うことすらなく、ベンチに座り続けていた。
流れるそれぞれを放置して、頭上に輝く月を見上げる。
そうしていれば泣き疲れたためかだんだん意識がぼやけ始める。
もうこのまま眠ってしまおうかと、やけくそ気味の思考で目を閉じた時だった。
「……誰かいるのか?」
突然響いた声に、目を開く。
まさかここに人がきた?こんな時間に?
驚きはしたものの体を起こす気になれず、視線だけ動かすと不意に眩しい光に照らされる。
あまりの眩しさに一瞬網膜を焼かれるが、すぐに人口の懐中電灯の明かりだと気づき、それを手にした人影に視線を向けて驚いた。だが、内心とは裏腹に表情筋は泣き疲れたためか動かなかった。
そんな無表情のあたしをみて相手はまさかこんな時間にこんな場所に人がいるとは思っていなかったのか、いつも冷静そうな顔に呆然とした表情を浮かべている。
「こんなところで何をしている?」
わずかに厳しい声色でこちらを見下ろすのは桃李火澄教諭だった。
後ろに流した闇をとかしたような髪に細いフレームレスの眼鏡。夜の森だというのに相変わらず、一部の隙もない着こなしのスーツ姿だ。
ああ、なんかすっごい久しぶりな気がする。本当に関わらない、あれ以来。というか遭遇しそうになる度にあたしは猛ダッシュで逃げていた。
もともと文系クラスのあたしは彼に授業を受け持ってもらったことはない。接点がまるでなかったにも関わらず、なぜかあの後たまにあたしの前に桃李は現れた。
もしかしたらあの時に謝罪を断ったのを気にしているのかしれないと思ったが、今更関わりたくないためあたしは姿を確認するとすぐに逃げていた。
追いかけたそうにしている姿は見えたが、その容姿や面倒見の良さから何かと人気のある教師だ。逃げる生徒を追う前に周りの人に引き止められて足止めをくらっていた。そのため、あまり足の速くないあたしでも今まで逃げ切れていた。
そんなどうでもいいことを思い出しながら、じっと桃李を見つめた。その視線に困惑しているのか桃李は次の言葉を発しかねているようだった。
その気持ちはわからないでもない。あたしだってなんだか自分がおかしいことに気づいている。普段だったら見かけた時点ですぐに逃げているのに、今はまるでその気が起きない。むしろ穴が空きそうな程真っ直ぐ睨んでいるあたしに困惑気味の桃李はおずおずといった感じで声を発した。
「……君は、多岐環か?」
「そうですけど、なにか?」
間髪いれずに答えた言葉に桃李が訝しむ気配がした。
「そうですけど、とは。すでに門限は過ぎている時間だがこんなところで何をしている?」
そう言えば、霧島くんと別れた時点で門限が迫っていたことを思い出す。
ここでどのくらいいたのか知らないが、すでに過ぎてしまっているだろ。だが正直そんなことはどうでもいい気分だった。
桃李の問にも答える気力もなく口をつぐむ。しかし、桃李は意外にもなにも言ってこなかった。
門限を破ってこんなところにいる生徒なら無理やり連れて帰ったり説教したりすると思っていたから意外だった。
だがそんな桃李の珍しい行動など今のあたしにはどうでもよかった。
あたしはそっと空を仰いだ。さんざん泣いたからか自暴自棄なせいか。心は不思議なくらい空っぽだった。だから、普段は気になる他人の存在もさほど気にならない。
どれくらい無言だっただろうか。ポツリと桃李の声が聞こえた。
「……泣いていたのか?こんなところで」
聞かれて、そう言えば涙と鼻水をそのままにしていたのを思い出す。
おそらくひどい顔になっているだろう。流石にそんな顔を晒していたのには羞恥が湧き、握りつぶした手紙を制服の内ポケットに仕舞い、代わりにポケットからハンカチを取り出そうとする。
しかし、そこにはハンカチはなく、そう言えば、先程霧島くんに貸してしまったのを思い出した。
どうしようか迷っていたら、スイっと布が目の前に差し出される。
男物のキレイにプレスされたそれは桃李の手に握られている。
「使え」
「……どうも」
断る気力もなくて受け取る。
涙と鼻水を遠慮なく拭いながら考える。
……どうでもいいけど、会長にしてもこの学校の男ってどうしてこんなに用意がいいんだろう。普通なのだろうか。
いや、でも竜くんも香織から突っ込まれない限り、持ったりしていなかった。女子ですら持ってない娘もいるというのにこの用意の良さはなんだろう。乙女ゲーの攻略相手だからだろうか。
そんなどうでもいいことを考えていたら、桃李があたしの横に置いてあった紙袋をどけ、ベンチに腰掛ける姿が見えた。
なんとなくベンチの強度が気になったが、意外に頑丈なそれは大人の男性の体重も支えてみせた。まあ、屋外用のベンチだしね。
「で?なんでこんなところで一人で泣いてた?」
覗き込むように問われても答えるつもりはない。
「桃李先生には関係ないですよ」
「関係なくはないだろう?君はこの学校の生徒で、私は教師だ」
泣いてる生徒を放っておけるかと言う桃李になぜか苛立って、わざと意地悪を言ってしまう。
「……この学校の教師はあたしを悪者扱いしかしないじゃないですか」
先日の濡れ衣事件を思い出して、嫌味ったらしく言ってやったら大きく狼狽えた。
「そ、それは……。いや、事実だな。すまなかった」
言い訳すると思いきや、素直に謝られて、拍子抜けする。
「認めるんですか?」
不思議に思って聞けば、真剣な顔を返された。
「悪いことをしたら認めてあやまる。それは教師が生徒に教えなければならないことだ。」
それはそうだが。それじゃあまるで小学校の教師と生徒のようだ。
なんだか自分が子供と言われているようで微妙な気分になる。しかし真摯に言われれば、なんだかこちらが悪いような気がしてくるのが不思議だ。
「今度こそ謝罪を受け入れてくれるだろうか?」
ここまで言われて受け入れないのはあまりに子供っぽい反応だ。
あたしは深くため息を吐いた。
「……もういいですよ。冤罪だってわかってくれた時点で気にしてません」
「そうか、恩に切る」
そう月下に微笑まれた表情に、思わず見惚れる。桃李は大人の役であるせいかややスチルの表情は豊かとは言えない。その分、貴重な笑顔は破壊力抜群だと桃李ファンのサイトには愛が溢れていた。うーん、やはり腐っても人外美形。すごいな。
その顔がささくれ立った心に眩しくて視線を外す。
「で?どうして泣いてた?」
また聞かれて、面倒くさくて俯く。
「……しつこいですね」
「理由ならさっき言ったはずだ」
あたしがこの学園の生徒だから、ね。
ちらりと隣の桃李を伺う。真剣な顔でこちらを見る姿が見えた。
「じゃあ、先生はあたしの悩み事に答えをくれるんですか?」
そんなことはできるはずがない。あたしだってどうすればよいのかわからないのだ。どうすればゲームの死亡フラグをへし折り、一年間生き延びるのか。
すでにあたしはゲームの世界に完全に取り込まれてしまっている。
逃れる術もないほどガッチリと。そんなあたしの近くに来てしまったゲームの世界に関係のないはずだった親友の弟の姿に再び涙が出そうになった。
どうやったら彼を守れる?巻き込まずにいられる。
あたしはどうしたらいいのかわからなかった。今までだって頑張ってきたつもりなのだ。聖さんの引き連れてくる死亡フラグや吸血鬼に関わらないようこっそりひっそりやってきたつもりだ。死にそうになった時も頑張って会長止めて、ゲーム知識総動員して暴走止めたり。それまで妙に絡んできたというのに、突然手の平を返したようにあたしの存在を記憶から消して知らない人間を見るみたいに見られてトラウマえぐられたり。それでも頑張ってなんとか必死で生き延びようとあがいてきたつもりなのだ。
それなのにあたしの前にはどうしようもないほどの死亡フラグが積み上がり、大切な人まで傷つけようとしている。
正直これ以上どう頑張ればいいのかあたしにはわからない。
不意に、頬に触れる自分とは異なる体温を感じて視線を動かせば桃李があたしの頬に触れていた。下から救い上げるような手の動きにどうやらいつの間にかまた涙が流れていたのだと知る。
突然のことで驚いたが、すでにいろいろな気力の抜け落ちたあたしは振り払うことはしなかった。だが、そっと視線を向けると、それに気づいた桃李がおかしなくらい狼狽えた。
「っ!すまない。いやハンカチを君にすでに渡していたから」
その言葉にそう言えば彼のハンカチを奪っていたのだと手の中にあるすでに涙と鼻水まみれの布を見下ろす。
「……泣くな」
「泣いてません」
完全に嘘だが、肯定するとまた泣けそうなので否定しながら、桃李のハンカチのまだ濡れていない箇所を探して目を押さえた。
そんなあたしに少しだけ逡巡したあと桃李が溜息を吐いた音がした。
「泣いているだろ。……まあ、泣いているところ悪いんだがさっきの答えだが」
なんの事情も話していないのにまさか、と思ったが藁にもすがるような心情で言葉を期待し、顔を桃李に向けた。
桃李はあたしの視線に一瞬だけ言いよどむように言葉を詰まらせるが、数学の教師である彼らしく完結に答えた。
「それはできない」
あっさりと否定の言葉を口にした桃李に思い掛けず拍子抜けした。
考えてみれば、こちらの事情も知らないで適当な答えを返されるのも腹が立つのでそれよりマシだが、これはこれで馬鹿にされた気分がして釈然とせず自然と口が尖った。
「何ですか。じゃあ聞かないでくださいよ」
あたしの言葉に「まあ、待て」と桃李がいなす。
「教師とは答えを教えるものではなく、答えを見つける術を教える者だというのが俺の持論なんだ」
「……答えを見つける術?」
不思議に思って聞き返すと、桃李は深く頷いた。
「人の悩みの答えなんて、一つじゃないからな」
桃李曰く、どんな問題でも答えは一つではない。しかし一人の人にとって答えはひとつしかない。そうでなければ行動することができなくなる。
ではどうやってその問題に一つの答えを出すのか。
そこで大切になってくるのが、どうやってその答えを見つけ出したかの解法なのだという。
自分で解いた問題の結果なら人間はどんなものでもある程度納得するものなのだそうだ。
そして納得のいく答えこそが正解なのだという。
「だから教師は答えを教えない。正解に導くための手助けをしてもな」
そう優しく微笑む桃李の姿は自信に溢れていた。
おそらく本気でそう信じているのだろう。その姿が眩しくで、今の自暴自棄になっている自分の姿が情けなくて、思わず視線をそらした。
「答えをひとつに限定する数学の教師とは思えない回答ですね?」
我ながらなんて可愛くない反応かと思ったが、桃李はそうでもない、と笑い飛ばした。
「数学って学問は算数とは違う。問題に対して解法で答えが変わることだってざらだ。だがそれでも数学者っていうのはただ一つの答えを求めてずっと問題を考え解き続ける」
桃李によると数学はまさに人生のようなものなのだという。
命題があってその解法を考えるが、例え同じ数字を導き出せたとしても、解法によってその答えの意味は違ってくる。
数学の解法は何年もかかって幾人もの人の手をわたり、導き出されることも少なくない。それはまるで親が子に受け継がせる職人技のごとく、幾世代の人間の合作になることもある。そんな困難な状況を何度となく繰り返し、数学という学問は答えを得るのだそうだ。
だからこそ答えにたどり着いたときはとんでもない快感が得られるのだと、普段見ることもない無邪気な子供のような桃李の表情に思いがけずぽかんとしてしまった。
その表情に気づいたのか桃李が慌てたように一瞬顔をしかめた。
「と、すまないな。多岐の悩みを聞いてたのに。俺の話をしてしまった」
つまらなかっただろう、と再度謝る桃李の言葉を慌てて遮る。
「いえ、そんなことはなかったですけど」
「そうか。よかった。……多岐は数学好きか?」
『……は数学は好きか?』
(え?)
一瞬桃李の言葉に誰かの声がかぶる。
だがその声はひどく桃李に似ており、同時に目の前の桃李の姿が一瞬ぶれて見えた。
突然の視界と音の揺れに思わず、目をしばたかせる。
すると桃李があたしの様子に気付いたように覗き込んできた。
「……どうかしたか?」
そう言葉を発する姿はぶれず、クリアだった。
一瞬のことだったので、目が泣きすぎで疲れたかと思いあたしは、目にゴミが入っただけだと心配する桃李に向かって首を振った。
それから妙に心配げに覗き込んで来る桃李をかわすためにわざと大声で話を蒸し返す。
「そ、それより数学が好きかという話の続きですが!」
やや大きくなった声に桃李は驚いたようにキョトンとしていたが、すぐに面白そうにニヤリと笑った。
桃李はゲーム中ではクールに見えて正統派熱血教師であるが、時たまこんな意地の悪い表情もしていたのを思い出す。
と、思い出したと同時に再びあの視界のブレが目の前に現れた。
驚きながらも、乳白色にわずかに染まる視界を確認するとうっすらと細い線が見えた。
それは、透けて目の前の桃李の顔の輪郭をなぞるように書かれており、彼の顔が二重にぶれて見えた。
「で?多岐は数学好きか?」
『……は数学好きか?』
再び現れたノイズのように桃李の言葉とかぶる声。同時に乳白色の画面の桃李も同じように動く。
その光景にあたしは思わず、反射的に答えていた。
「……あまり』
思わず出た素直な一言に一瞬数学の教師に対し失礼かと思ったが、桃李は意外にも微笑んだ。
「そうか。俺もだよ」
『そうか。俺もだよ』
一瞬、その桃李の表情が大きくぶれたかと思うと、突然乳白色の画面の下の方に四角い枠のようなものが現れた。
怪訝に思った瞬間、それは突然表示される。
「俺もな、お前くらいの頃には数学嫌いだったんだ」
『俺もな、お前くらいの頃には数学嫌いだったんだ』
桃李の声に合わせるように文字が枠の中に表示される。
その光景はまるでゲームのようで。あたしはただその光景に固まった。
そんなあたしに気づかないのか桃李はそのまま話を進めている。
四角いテキスト枠の中に音声とともに次々と、桃李のセリフが現れた。
「だけど、一人の恩師にあってその面白さを教わった」
『だけど、一人の恩師にあってその面白さを教わった』
さらには桃李の声が頭の中に流れるものとブレる。テキストは一言一句間違われることなく目の前のスクリーンに表示される。
『その人は俺に……』
「その人は俺に……」
それは最初こそブレがひどく文字と音声の速度が噛み合わなかったが、やがてそれも少なくなりいつしかスクリーンと一体化した。
あたしはその光景にひどい違和感を感じてはいたが、同時にひどく安心もした。
ああそうだった。ここは。
(ゲームの世界)
この世界で起こることは全てゲームだ。ゲームが全て。
ああ、そういうことならば仕方がない。仕方がないのだ。
『……多岐?どうかしたのか?』
不思議そうな桃李の声がテキストともに紡がれる。
あたしはその光景を自然に受け入れた。だってそれはあまりにも自然な光景。
思い悩む必要もないほど歴然とした事実にあたしは知らずに微笑んだ。
* * *
ぴぴぴ、という電子音とともに高いエラー音が薄暗い室内に響く。
ただ皓皓と光を放つ室内で唯一の光源とも言えるべきスクリーンを見ながら、赤い唇を笑の形に歪ませた女は楽しげに呟いた。
「うふふ、つーかまえた!」
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