HEAVEN B HELL【BL短編集】

野瀬 さと

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第一章 遠別

1

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隙間風の音が、いよいよ激しくなってきた。

外は、猛吹雪。
予報では、氷点下10度を下回ると言っていた。

すべてが凍る。
すべてが時を止める。

そんな冬は初めてだった。

「窓…凍ってる…」

布団の中から見上げていた君が、ぽつりと呟いた。
俺も窓に目を向けると、カーテンの隙間からほんの少し見える窓。
二重サッシになってる外側の窓の表面が真っ白になっていた。

「ほんとだ…」
「雨戸、引いておけばよかったね…」
「そうだね…忘れてた…」

今日は…早い時間から、布団に入ってしまって…
こんな時間まで、君の身体に熱中してしまった。

だから…晩飯だって食べてないし、風呂にだって入ってない。

真っ暗な部屋の中央に、ぽつんと敷いた布団。
部屋の中には、石油ストーブが灯ってて。
オレンジ色の鈍い光が、君の横顔を照らしている。

不意に、気だるい表情を俺に向けて…
君は微笑んだ。

「ねえ…もう一回、しよっか…」
「うん…」

もう、二回…お互いに果てているのに…
この年になると、もうお互いに厳しいはずなのに。

君はまだ求めてくる。

「ちゃんと勃つかなあ…」
「大丈夫だよ…まだ俺より若いんだから…」

クスクス笑いながら、君は布団に潜り込んだ。

「まだ若いって…ひとつしか変わんないで…っ…ぁ…」

そう言ってる途中で、俺自身を君は温かい口で包み込んだ。
ぬるりとした口の粘膜と舌が、亀頭を擦る。
じわり、快感が昇ってくる。

「せっかちだな…」

布団の中に手を入れて、君の髪を撫でた。
猫っ毛の柔らかい髪…
しばらく手で弄んでいると、君も俺自身を口の中で弄ぶ。

「っ…ふ…」

気持ちよさに漂っていたら、突然俺の後口に触れられた。

「ちょ…いつの間に…」

その指にはローションが塗られていた。

「ふふ…」

布団を捲くりあげると、君はいたずらっ子みたいに微笑んでる。
ぬるりと俺自身を口から出すと、ぐいっと再度、指を後口に押し付けた。

「あっ…まっ…て…」
「…なんで…?」
「だって…中、洗ってない…」
「大丈夫だよ…だって、何も食べてないじゃん…」
「そ、だけど…」

生な体臭を君に感じさせるのは、抵抗があった。
でも、君はそんな俺を微笑んで見てる。

「今日はずっと俺が下だったんだから…いいでしょ?」
「…もう…わかった…」

そう言うと、嬉しそうに笑って。

「恥ずかしがってるの、そそる…」
「バカ…早く舐めろよ…」

そう言うと、パクンと屹立してる俺自身を口に入れた。

だれもいない
俺たちしかいない部屋

外で吹き荒れる吹雪の風
じっと俺たちを照らす石油ストーブの灯り
俺を愛撫する君から聞こえる音
時々強い風の音とともに漂ってくる君の体臭

そのどれもが
俺たちのしあわせな時間を作ってる

「あっ…」

そこを弾かれて、思わず仰け反る。

「んふ…」

俺自身を咥えながら、君は微笑んで。
亀頭をチロチロと嬲るように舌で撫でたかと思うと、また同じ場所を弾いた。

「っ…う…」

同時にくる快感に、思わず手で口を塞いでしまった。

「…声出してよ…」

ぬるりと俺を口から出すと、不満げな顔をする。

「だ…って…」
「俺しか、聞いてない」

そう、だけど…
そうなんだけど…

「いつもの…癖…」
「ふうん…?」

君は起き上がると、布団から離れていった。
洗面所まで行って帰ってくると、にやりと笑った。
布団の上にあぐらをかいて座ると、俺自身をぎゅっと掴んで。

「な…なに…?」
「いつまでも昔のこと忘れないから、お仕置き」

そう言って、俺自身の根本に髪ゴムを巻きつけた。

「ちょっ…冗談キツイっ…」
「冗談じゃない」

至極、真面目な顔をして。
指を外してしまった。

首を絞められたみたいに、苦しい。
下半身から、頭にぎゅうっと血が登ってくる。

「まって…それ、無理…」
「だめ…怒った、俺」
「ごめん…外して…」

息苦しさに、手を動かすこともできない。
夕方から、ずっと君の身体を貪っていた俺には、あまり体力が残っていなかった。
抵抗しようとしたが、力が抜けて…


そんな俺を見下ろして、薄く笑う君は


こんなに淫らなのに
こんなに妖艶なのに

清らかで
美しくて


なぜか、涙が滲んだ


ぺろりと、舌で唇を潤すと、また同じ場所に座って。
手に、ローションを改めて取ると、また俺の後口に指を入れた。

「ああ…いいね……」

くすくす、独りごちると。
根本を戒められて張り詰めてる俺自身を、また口に含んだ。

今度は亀頭だけを口で包み、顔を動かして執拗に舐め回す。
時々、裏筋を舌が這っていって…そして、中にはいっている指がそこを弄び続けている。

「あっ…あああっ…嫌っ嫌っ…」

特大の波が来るのに。
解放できない苦しさ。
狂いそうになる。

出口の見えない、快感

「外してっ…外してっ…ああっ…ねえっ…」

大きな喘ぎ声が出て、身体を女みたいに捩ってるのに。
もう何も考えられなかった。

「お願いっ…ああっ…あっ…嫌っ…」

もう訳がわからない。
気持ちよすぎて、脳みそ煮えそう。

ジワリ、俺自身の根本が熱くなる。
今まで感じたことのない熱。

「やだっ…なにこれっ…」

その熱が、下腹や陰嚢まで降りていって。
腰から下が焼けるかと思うほど熱い。
なのに足先からは、ぞわりとなにかが這い登ってきて。
それが腿まで到達すると、全身の毛を逆立てた。

「やあああっ…やだっ…やあっ…」

体験したことのない物が、自分の体の奥底から湧いてくるのが怖い。

なのに…
その快感は、物凄くて

力任せに君を振りほどくこともできない。

ぬるぬると亀頭ばかり舐められて、唾液が伝って俺自身を濡らしていく。
根本の髪ゴムが水分を含んで、ますます戒めがキツくなる。

あっという間に、腿から這い上がってきたゾワリとした物は、背中から脳天まで到達した。

一瞬、頭が真っ白になって。
身体が勝手に仰け反った。

「やっ…あああああっ…」

ビクンビクン身体が跳ねて。
勝手に跳ねて。

失神するかと思うほどの快感が突き抜けていった。

「…やった…」

小さく君が呟いた。

「ドライで、イカせてやった…」

嬉しそうな声を聞きながら、意識が遠くなっていった。


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