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第二章 約束
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「…他に…好きな人ができた…?」
護の震える手を見ながら、思ってもない言葉が出た。
そんなはずない
そんなわけない
そうは思うんだけど、出てきてしまった言葉は俺の胸を突き刺した。
俯いたまま、俺を見ようとしない護の頭がコクンとひとつ下げられた。
いつも困ったように下がってる眉が、更に下がってる。
前髪の掛かりそうな目は、いつも通り透明で…俺が好きになった硝子玉みたいに綺麗な目。
その目が曇ってる
「…ああ…」
「嘘…」
頭から、血の気が引いていくのがわかった。
めまいにも似た映像が目の前に広がってる。
立っていられなくて、キッチンに続くリビングの壁に手をついた。
「嘘でしょ…」
「ごめん…」
口では謝ってるのに、俺の顔を見ようともしない。
そうだ…
最近ずっと、護は俺の顔見なかった
視線も合わさないし、喋ることも少なくなってた
ただ機械みたいに、朝起きて仕事に行って
帰ってきて風呂に入って飯を食って
そして俺の隣で寝るだけ
キスもハグもセックスも、なんにもなかった
もう一緒に暮らして5年になるから…
だからそういう時期もあるかなって。
疲れてるのかなって。
そう思ってた。
まさか、護の心が他に移ってたなんて…
いや…
本当は、わかってた
考えたくなくて。
ずっと、自分の気持ちを無視してた。
「さい…てー…」
「ああ…」
「同意なんか求めてないっ」
テーブルに乗っかってる、空のコップを護に投げつけた。
コップは護の顔の横を通り過ぎて、壁に当たって砕けた。
「最低…」
「…ごめん…」
静かに護は立ち上がった。
俺の横をゆっくり通り過ぎると、リビングの隣の部屋に入っていった。
心臓が、バクバクして…
冷静になることができない。
喉がカラカラで。
水が飲みたいのに、体が動かない。
やがて、隣の部屋から物音が聞こえてきて。
荷物、纏めてるんだ…
そう思ったら、駆け出していた。
「護っ…!」
部屋のドアを開けると、驚いた顔で護は振り返った。
着替えて、Tシャツにハーフパンツという姿になってる。
でもそれは…家で寛ぐ時の格好ではなく。
出かける時の護にしては精一杯キレイめの服で。
その手元には、ボストンバッグが広げられていた。
やっぱり、出ていく気なんだ。
「…もう、その人と付き合ってるの?」
「え?」
「だから、その好きな人とは付き合ってるの?」
「え…あ、ああ…」
「ほんと…最低だね」
ぎゅっと口を引き結んで、護は目を逸した。
「誰なの」
「…関係ないだろ」
「関係あるでしょうよっ…あんたのこと盗んでいくんだからっ…」
「……」
護は無言でまた、荷物を詰めだした。
「言いなさいよっ…なんで黙ってんのよっ…」
「言うだけ無駄だ」
庇ってる…
相手のこと、庇ってるんだ…
「なんで…俺よりも、そいつのことそんなに大事なの…?」
護の震える手を見ながら、思ってもない言葉が出た。
そんなはずない
そんなわけない
そうは思うんだけど、出てきてしまった言葉は俺の胸を突き刺した。
俯いたまま、俺を見ようとしない護の頭がコクンとひとつ下げられた。
いつも困ったように下がってる眉が、更に下がってる。
前髪の掛かりそうな目は、いつも通り透明で…俺が好きになった硝子玉みたいに綺麗な目。
その目が曇ってる
「…ああ…」
「嘘…」
頭から、血の気が引いていくのがわかった。
めまいにも似た映像が目の前に広がってる。
立っていられなくて、キッチンに続くリビングの壁に手をついた。
「嘘でしょ…」
「ごめん…」
口では謝ってるのに、俺の顔を見ようともしない。
そうだ…
最近ずっと、護は俺の顔見なかった
視線も合わさないし、喋ることも少なくなってた
ただ機械みたいに、朝起きて仕事に行って
帰ってきて風呂に入って飯を食って
そして俺の隣で寝るだけ
キスもハグもセックスも、なんにもなかった
もう一緒に暮らして5年になるから…
だからそういう時期もあるかなって。
疲れてるのかなって。
そう思ってた。
まさか、護の心が他に移ってたなんて…
いや…
本当は、わかってた
考えたくなくて。
ずっと、自分の気持ちを無視してた。
「さい…てー…」
「ああ…」
「同意なんか求めてないっ」
テーブルに乗っかってる、空のコップを護に投げつけた。
コップは護の顔の横を通り過ぎて、壁に当たって砕けた。
「最低…」
「…ごめん…」
静かに護は立ち上がった。
俺の横をゆっくり通り過ぎると、リビングの隣の部屋に入っていった。
心臓が、バクバクして…
冷静になることができない。
喉がカラカラで。
水が飲みたいのに、体が動かない。
やがて、隣の部屋から物音が聞こえてきて。
荷物、纏めてるんだ…
そう思ったら、駆け出していた。
「護っ…!」
部屋のドアを開けると、驚いた顔で護は振り返った。
着替えて、Tシャツにハーフパンツという姿になってる。
でもそれは…家で寛ぐ時の格好ではなく。
出かける時の護にしては精一杯キレイめの服で。
その手元には、ボストンバッグが広げられていた。
やっぱり、出ていく気なんだ。
「…もう、その人と付き合ってるの?」
「え?」
「だから、その好きな人とは付き合ってるの?」
「え…あ、ああ…」
「ほんと…最低だね」
ぎゅっと口を引き結んで、護は目を逸した。
「誰なの」
「…関係ないだろ」
「関係あるでしょうよっ…あんたのこと盗んでいくんだからっ…」
「……」
護は無言でまた、荷物を詰めだした。
「言いなさいよっ…なんで黙ってんのよっ…」
「言うだけ無駄だ」
庇ってる…
相手のこと、庇ってるんだ…
「なんで…俺よりも、そいつのことそんなに大事なの…?」
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【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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